東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にてロングラン公演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』。脚本と演出、キャストを変えて“Season花・鳥・風・月”と上演してきたこのシリーズのラストを飾る“Season極”は、メインタイトルから『修羅天魔』と銘打って、これまでの『髑髏城~』とはキャラクター設定やストーリー展開が大幅に変わる“完全新作”となる。
その新たな世界観の『極髑髏』で<兵庫>役を演じるのは福士誠治だ。ヴィジュアル撮影終了後、『修羅天魔』への意気込みを語ってもらった。
――福士さんは、いのうえひでのり演出作品ということでは2012年の『サイケデリック・ペイン』以来ということになりますが。いのうえ演出を経験してみて、印象深かったこととは。
福士「今回は特に兵庫役なのできっと、より、いのうえ節炸裂のキャラクターになるんじゃないかと思います。つまり、リズムとSE(効果音)との兼ね合いのお芝居。いのうえさんの演出は、ちょっと音楽チックなところがあるので、そこを何度も繰り返して、部活のように身体に入れていくことが結構大事だと思っています(笑)。」
――よく“千本ノック”があるとか言われますけど(笑)。
福士「はい。でも“千本ノック”をやってもらっておいたほうが、身体で覚えられますから。勝手に自然と反応するくらいになっておかないと。いのうえさんの演出は、ダンスではないのですが、動きを拍でとったりするし。このタイミングの時にこのセリフで、とかありますからね。今回はお芝居の中でどれだけSEとリズムに合わせることになるのか、今からとても楽しみです。それと僕としては今回、部下が何人かいると思うので(笑)。」
――兵庫の子分、“関八州荒武者隊”のみなさんですね。
福士「その子分たちと稽古の後、何回か飲みに行って親交を深めて、今回ならではの新しい技が出せればいいなと思っています(笑)。」
――やっぱり、それぞれのシーズンの兵庫は荒武者隊のみなさんとよく飲みに行ったりしているみたいでした。
福士「そうですよね。僕は、2回はオゴろうと思います(笑)。」
――みんなの目がキラーンと光りそうな発言ですが(笑)。やっぱり、アニキとしては。
福士「いいアニキでありたいですね。ああいうキャラクターなので、みんな揃って元気がいいというところを見せることも大事だと思うし。兵庫の分身たちみたいな部分も絶対あると思うので。いのうえさんからダメ出しをもらったら、すぐ反省会としてみんなで飲みに行って。「いらないって言われたけど、でももう一回メゲずにやってみよう」とか。でもやっぱり「いらない」と言われたら、また飲みに行って「二回でやめておこう、きっと三回目は怒られるぞ!」とか。」
――そういう関係性も楽しそうです。
福士「今回はものづくりの楽しさみたいなものも、たくさん味わえそうな気がします。そんな中で、いのうえさんの頭の中と、僕らから提供する部分とで、いい化学反応が生まれたら。その1割くらいを出せたらいいかなと思います。」
――1割なんですか(笑)。
福士「9割くらいは、いのうえさんが頭に描いていることをきちんと具現化できるかどうかが勝負だとも思いますからね。自分の得意分野のみで動くのではなくて、いのうえさんの頭の中でちゃんと動ける自分がいた上で、さらにアイデアが出せれば「これ、どうですかね?」と提案して、そこから1割でも採用してもらえれば。でも、まずは古田(新太)さんがどういう風に稽古場にいて、どういう風に台本と違うことをやるか、見極めてからですね。古田さんが一回遊んだら、僕も一回遊んでみようかな、と。」
――様子見しながら。
福士「はい。古田さんがめっちゃ台本通りだと思えば、台本通りに攻めなきゃいけないですから。結構いっぱい遊ぶ様子だったら、僕もいろいろ思いついたことを挑戦してみようかなと思います(笑)。」
インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎
【プロフィール】
福士誠治
■フクシセイジ 1983年6月3日生まれ。神奈川県出身。2002年に『ロングラブレター 漂流教室』でドラマデビュー。2006年のNHK朝のテレビ小説『純情きらり』でヒロインの相手役を演じ注目を集める。舞台では2010年に『RENT』でミュージカルに初挑戦し主演のマークを好演。さらに2016年の『幽霊でもよかけん、会いたかとよ』では演出家としてデビューするなど、幅広く活躍している。いのうえひでのり演出作品を受けるのは2012年『サイケデリック・ペイン』以来、2度目。劇団☆新感線には今回が初参加となる。