今泉佑唯 インタビュー|舞台「あずみ~戦国編~」

欅坂46を卒業し、女優として着実に歩みを進めている今泉佑唯が出演する舞台「あずみ~戦国編~」。昨年「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」で初舞台を踏んだ彼女にとって、本作が初主演舞台となる。映画版の上戸彩、舞台版の黒木メイサ、川栄季奈に続き、4代目あずみに名を連ねることになった今泉。激しい殺陣などもあるこの役どころに、彼女はどのように挑むのだろうか。

今回で舞台は2作品目となります。出演が決まって、どんなお気持ちでしたか?

信じられなかったです。「熱海殺人事件」をやっていた時から、また一緒に何かやってみたいねというお話をしていたんですが、こんなにも早く叶うと思っていなかったので。しかも、初主演。「熱海~」をやってみて思ったのは、毎日毎日、来てくださるお客さんの反応が違うんですよ。昨日はここですごく大きな笑いが起きたけど、今日は全然反応が無かったり。毎日違う反応が見られるのが嬉しかったですね。ドラマとかは、直接肌で感じることがないので、そこが舞台のよさなんだなと感じました。魅力的でしたね。

前回、初めて舞台の稽古を経験してみていかがでしたか

稽古が始まって3日目くらいまではすごく楽しかったんです。でも1週間も経つ頃には「私、このままじゃ大変だ…」って思って、そこから何もわからなくなりました。自分のことだけで精一杯で、周りが見えなくなって。それが2~3週間続いちゃったせいで、共演していた石田明さんや味方良介さんとか、周りの方とお話もできなくなっていたんです。それが、悔いとして残っていますね。相談する、みたいな余裕もなかったんです。何がダメなのかすら自分でもわからなくて、相談のしようもなかったというか。ずーっと一人で泣いて、でも泣いて解消することでもなくて…って感じでしたね。

そんな中、本番を迎えたわけですが、幕が開いてからは何か心境に変化はあった?

でも、本番を迎えてからは毎日すごく楽しかったんです。終わっちゃうのが本当に寂しかったし、千秋楽が終わって、また絶対にやりたい!って思いました。舞台に立って、やっと気づいた部分も多かったです。私ができなかったところはココなんだ!とか、周りから言われていたアレってこういうことだったのか!っていうこともたくさんありました。それで、少しずつ気持ちが解消されていって、楽しさの方が勝っていきました。

今回演じられるあずみは、戦乱の世を生きた少女です。今はどんなキャラクターだととらえていますか?

すごく強い子ではあるんですけど、繊細というか。台本の中でも、涙するあずみ、と書かれていたりして、女の子の部分もたくさんあると思いましたね。私、すぐ感情移入しちゃうんです(笑)。台本を読んだり、前回の川栄季奈さんが主演されたときの「あずみ」を観たり、今も稽古が始まってまだ3日目とかなんですけど、すでにあずみの孤独を感じはじめています。すごく視野が狭くなっているというか、独りぼっちだな、って感じに勝手になっています。毎日台本を読むわけですけど、毎日泣いちゃうんですよ。なんて辛いんだろう、って。私だけじゃなく、それくらい入り込める作品だと思います。

稽古場の雰囲気はいかがですか?

本当に周りの方々が優しくて、すごく細かくいろいろなことを教えてくださるんです。ここをこうした方がやりやすいよ、とか。ちょっとずつですけど、できることが増えていったらいいな。初日にはできなかったことが、昨日はほんのちょっとできるようになっていたとか、ここで迷っていたけど今日は迷わずにできたとか、すごく小さなことですけど積み重ねられている感じが嬉しいですね。次やるときには、もう1個だけでもできることが増えていたら嬉しい。逆にさっき出来ていたのに、今出来てない、ってこともあるので、難しいですね。

「熱海~」の時の経験を踏まえて、今回はこうしよう!と思っていることはありますか?

わからなかったら、わからないって言おうって決めています。このまま先に進んじゃったら、きっと自分の中でモヤモヤしたままになっちゃうな、って思ったら「もう一回やりたいです」って言ったり。なるべく、少しでもそういうモヤモヤを残さずにやっていきたいので、周りの方には申し訳ないんですけど、お付き合いしていただいています。いっぱい間違えています。セリフは入っていても、セリフのここで斬るとか、殺陣をもっていくと全然わからなくなっちゃうんです。パニックになっちゃっているんですよね。

舞台をはじめ、モデルなどいろいろなお仕事をされていますが、ジャンルの違うお仕事がお芝居に影響していたりすることはある?

自分ではわからないんですけど、最近、雑誌のお仕事とかで、カメラマンさんなどグループで活動していた時にお世話になった方にお会いする機会があるんですけど、お芝居をはじめてから「表情の幅が広がったね」「お芝居が役に立っているんだね」って言ってくださったんです。自分では気づいていなくても、1年ぶりとかにお会いした方とかにそういっていただけると、嬉しいですね。

主演の重み、というのは今回今泉さんも感じているところだと思いますが、いかがでしょうか

すごくプレッシャーを感じています。吐きそうになります(笑)。前回の舞台初挑戦とはまた全然違う緊張感ですね。前回は、卒業してすぐだったので、久しぶりに今泉を見てみたいなって感じて来てくれていたかも知れないんですけど、もう1年が経ってくると、いろいろな現実も見えてくるんです。自分の実力とか…。これはダメだね、って思われるのも主演の責任だし。もっともっと「あずみ」が4年ぶりに上演するということを、たくさんの方に知ってもらいたいんですけど、私が発信できる場っていうのも限られていて…すごくもどかしいですね。自分がやれることは何でもやっているし、想いを伝えたりもしているんですけど、私じゃ何もできないっていう不安やプレッシャーはあります。

だからこそ、稽古を重ねて「えっ、そんなにスゴイことやってるの?」って気づいてもらいたいですよね

そうですね。私、そういうことが力になるんです。見返す、ともちょっと違うんですけど、観なかった人を後悔させたい!

―稽古も大変だと思いますが、気分転換や息抜きにはどんなことをしてる?

今の取材の場もそうなんですけど、こうやって誰かとお話することもすごくリフレッシュになりますよ。一人暮らしを始めてからは、相談事はマネージャさんにしちゃいますね。すごく小さいことも、とっても真剣に受け止めてくれるんです。例えば…この空き時間にジムに行くべきかどうか、みたいな相談(笑)。そんなくだらないこと聞いちゃってすみません、みたいな感じですけど、なんでも聞いてくれるんです。あとは最近だと、お肉が好きなので、誰かとお肉を食べに行ったりとかですね。

なるほど! お肉は好きなお店とかお肉の部位とかはあるんですか?

行きつけ、って言えるほどじゃないんですけど、4回くらい同じ焼肉のお店に行きました! どのメニューを食べてもおいしくて、ちょっと広めの個室があるんですよ。昨年の9月くらいから、結構行ってます。行くと、けっこう食べちゃう(笑)。赤身のお肉が好きですね、ロースとか。赤身のお肉がおいしい店は、当たり!って思っちゃいます。ここ1年は焼肉に行き過ぎて、お肉の写真とかでも「ここはおいしいかも?」っていうのがわかるようになってきたような気がします(笑)

今回の舞台のメンバーとも、どこかで焼肉とか行けるといいですね

まだ稽古に全員が揃っていないので、揃ったらみんなでゴハンに行きたいですね。前回の「熱海~」のとき、けっこうみなさんでゴハンに行ったりとかして、そこで反省点とか、ここもっとこうしようよ、みたいな話もしていたので、そういう稽古以外でそういう時間があるのも大事だと思います。

今回、あずみを演じるうえでどんなことが目標ですか?

目標というか…私は、この作品で何かもいいくらいでやっています。それくらいの覚悟があったほうが本気で取り組めると思うんです。だから、本当に、死ぬ気で臨みたい。

命がけで仕事をこなすあずみのように、演じたいということだと思いますが…でも、絶対に死んじゃダメです(笑)。まだまだ演じるべき役がこの先たくさんあるはずですから。最後に公演を楽しみにしている人にメッセージをお願いします!

きっとまばたきはしちゃうと思うんですけど、本当に全部を見逃さずに見ていただきたい。今までの私とは違う私を、見せます! まばたきするのを忘れるくらいの作品をお届けします!!

楽しみにしています! 本日はありがとうございました

 

インタビュー・文/宮崎新之