あの話題作がスケールアップして帰ってくる!
2018年秋、博多・東京・大阪で上演し話題を呼んだスペクタクル時代劇『魔界転生』。山田風太郎の人気伝奇小説で、豪華絢爛、奇想天外、壮大なスケールで雄大な歴史ロマンを描いたあの大ヒット作の再演は4月7日から愛知・刈谷市総合文化センターにて開幕したが、4月16日からはいよいよ博多座に登場!5月4日からは東京・明治座、6月2日からは大阪・新歌舞伎座へと、各地に再び旋風を巻き起こす!
2月某日、公演を控えた演出の堤幸彦と天草四郎役の小池徹平がキャンペーンで来福し、会見を開いた際に二人は再演についてそれぞれの思いを語ってくれた。
堤「2018年に上演した魔界転生が新たな形で再演出来ること、博多座にて再び上演できることが嬉しいです。役者たちも博多が大好きですので、大変よろこんでおります。コロナ禍の中での公演となりますので、十分に感染対策をして挑みたいと思っております」
小池「新キャストとして参加させて頂けるんですが、新しい風を吹かせることが出来ればなと。今は一日も早くこの作品に取り掛かりたいなと思っています」
ー2度目となる博多座の印象は?
堤「博多座という劇場は非常に使いやすく、音響面が秀逸な劇場で表現しやすいんです。古典的な作品からテクノロジーに寄っているような作品まで、しっかりと包み込んで頂ける素晴らしい舞台なんですよね。また、何よりも“博多”という町そのものが楽しい町ですからね。東京の汲々とした時間の中から‟食・住“の面など、生活しながら芝居するには、スタッフ・キャスト共にとても快適に過ごせるのも魅力な場所です」
―小池さんは博多座での出演は3度目になりますね?
小池「博多座は楽しい思い出ばかりです。舞台に立てる楽しみはもちろん、芝居で長期滞在するので生活環境も大事になりますから、その点で博多は町自体も素晴らしいですから住みやすく(演じるうえでも)モチベーションがあがります」
―再演ですが、前回との違いはどこに?
堤「前回、思いの丈を詰め込みすぎて上演時間が長くなったんです。なので、今回は見る側も見られる側もコロナの影響を多大に受けておりますから、時間を短くし人と人との距離感を考慮しながら、新たな時代のエンタメ作りをしたいと思っています。キャストは大幅に一新していますし、新作に近いかもです。時代の要請もあって演出面でも省力化しつつパワーアップしています。透過性スクリーンやプロジェクションマッピングを前回では活用していましたが、今回は違う物での映像表現が必要になっていまして…。とにかく説明だけではわからないと思うので、見て頂ければと!」
―初めて天草四郎の衣装を来た時の感想などは?
小池「ポスター撮影時、衣装やかつらなど着飾ることで重みのようなものを感じて、ハイテンションなモードになっていました。(取材会の前日)昨日から堤さんとご一緒して天草や島原のゆかりの地に行ったことで天草四郎についてたくさん自分の中で膨れ上がっています。あとは、‟堤マジック”によって大雑把な舞台のイメージが実際に演じてみて結びついた時、演技に説得力が増すんじゃないかと思っています」
―今回の会見前日に訪れた天草四郎ゆかりの地はいかがでしたか?
小池「はい。演出して頂ける方と演じる役のゆかりの地を訪れることが出来るなんて、とても贅沢な旅になりました。自分の中で役への重みが増していきました。当時のいろんな話を聞いて、380年くらい前に起こった悲しい出来事(島原の乱)があった地に立っているのは不思議な感覚に陥りましたね」
堤「いろいろな思いを胸に、天草四郎の墓前に手を合わせてきました。あの地で天草四郎を筆頭に現実に悲しい戦いがあったわけですよね…。天草四郎がなぜ内戦のリーダーとなり、どんな思いで命を失うことになったのか…。同時に農民や下級武士たちの思いを16歳の少年がどう背負えていたのか?そんな過程があって幕府への恨みを晴らすべく、悪魔のような人格になっていく…。本作ではそんな複雑な一面を小池さんにも背負って演じて頂かねばならないんです。そんな思いを馳せつつゆかりの地を訪れることが出来て有意義だったなと思います。私は両親が大分出身で、九州各地に私の親戚がおりますので、自分の中にも九州の血が流れているんだという自覚もあるので、昨日のツアーでさらに本作に対する熱がどんどん上がっていった感じでした」
―ミュージカル作品への出演が多い小池さん。今作では歌がありませんね
小池「はい。ミュージカル作品が多いので歌稽古が無いのが新鮮ですね。音響とか派手な演出もあるそうなので、自分の中で物足りない感じはなく、未知のものを体験できると思うと高揚感があります。芝居だけに集中できるから、天草四郎に集中できるというのは新鮮ですし、楽しみです」
堤「なんなら歌いますか?(笑)」
―俳優・小池徹平の印象は?
堤「演劇界をはじめ多方面でも大活躍されていて、俳優としては独特の立ち位置を持った方ですよね。天草四郎に関していえば、すごく純粋な表現、ピュアであることが大事なんですが、ビジュアルの面から小池さんを見て“二枚舌”だとか腹黒いなんてイメージを持つ方っていないでしょ?そのストレートでピュアな感じが天草四郎には必要で、だからこそ悪にも純粋にもなれるっていうんですかね。根っこの部分では魔界に転生しても愛や人との信頼・人々の苦しみを背負った事実を忘れてはいけなくて、二面性のある役なので、まさに小池さんの純粋な部分が必要になるんです」
―天草四郎という人物をどう捉えているか?
小池「彼はとても純粋で幼さがあるんです。ミステリアスな部分をどこまで表現できるかは、これからの稽古で考えていく部分ですが、純粋さは背負うものがあれば深みにはまって表現していけるのかなと思っています」
―コロナ後の舞台表現みたいなものは何か変わりましたか?
堤「窮屈ではありますね。それから、かなり制限・制約を受けているのも感じてはおりますが、舞台・スクリーン・TV画面などで表現をするのが私の仕事です。だから、どんな逆境・逆風であろうが、お金を払って来て頂くお客様がいるので、そのお客様たちに楽しんで頂き、こんなつらい時代であることを少しの時間ですが忘れて頂いて、見どころ満載だったね!と心のお土産を持って帰って頂けるようにと思っています。演出するのにはキツイ時代ではありますが、そこを逆手に取って表現出来たらと。前回を勝るとも劣らないよう頑張っていきます」
コロナ禍ゆえの制限・制約を課せられ、窮屈さを感じながらも生み出されつつある新様式のエンタメの世界。愛知公演からスタートし6月まで走り抜ける令和版『魔界転生』もさらにパワーアップして私たちを大いに楽しませてくれることだろう。
各地公演のチケットは販売中!詳細は下記よりご確認ください。
取材・文:ローチケ演劇部(シ)