舞台『マクガワン・トリロジー』稽古場レポート

2018.07.04

いま映画にドラマにと引っ張りだこの人気俳優、松坂桃李が主演を務める舞台『マクガワン・トリロジー』がついに開幕!!
今回は、6月29日より愛知、7月4日より兵庫、7月13日より東京で行われる公演に先立ち、稽古場を取材した。



松坂が演じるのは、IRA=アイルランド共和軍の内務保安部長、ヴィクター・マクガワン。彼はその冷酷さから、組織の殺人マシーンとして出世してきた。
そんな彼に起こる1984年、’85年、’86年の出来事を3部構成で描く本作。
―これは、ヴィクター・マクガワンの暴力性と悲哀に満ちた3年の歳月と、暴力が彼自身をも壊していく過程を、三部にわたってたどる“悲劇”である。―


今回の稽古場取材では、浜中文一、谷田歩、小柳心とともにとあるバーで繰り広げられる駆け引きを描いた一部の稽古が行われていた。

始まったのは、ダンスの指導者を呼んでの稽古。決してミュージカルではない本作に、ダンスの指導…?と思ったが、これも、細部の動きも考えて演出を作っていくからこその取り組み。

音楽がかかり、リズムに乗り始めるヴィクターの、そのラフなダンスにフォーカスを充てている。ほんの数分のリズミカルなシーンだが、それに反した松坂の狂気に溢れる演技を引き立てる、重要な演出の一部であった。
演出の小川絵梨子とダンスの指導者で、彼の性格、狂気、心情を表すための動きはどれなのかを話し合いながら、様々な動きが提案されていく。最初は戸惑いながらも、次第に自分の動きへと変えていく松坂も流石であった。実際どのような動きに落ち着いたのか、それは是非劇場でご覧あれ。


脇を固めるキャストも豪華だ。今回浜中が演じるのは気弱なバーテン。カウンターの後ろでヴィクターに怯えながらもへつらう浜中の存在は、谷田演じる司令官ぺンダーや小柳演じるIRAメンバーのアハーンと、強者ぞろいのバーで繰り広げられる駆け引きに一瞬の軽やかさをもたらしてくれる。


渋さや重さ、暴力、不穏な空気をジンジンと感じさせるバーで、なにが起こるのか。ハラハラしながらも目が離せない作品を、小川とキャストで作り上げていく様を目にすることが出来た今回の稽古場取材。

今回は取材できなかったが、趣里や高橋惠子の出演する二部、三部も同様に作り込まれ、観客を引き込んでいく作品となっているのではないだろうか。

撮影:ヒダキトモコ