6月14日(水)より東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕する『点滅する女』の出演者とメインビジュアルが公開された。東京芸術劇場が才能ある若手団体とタッグを組み上演する芸劇eyesに選出された本作は、ある一家のもとに亡くなった長女が別人の体を借りて帰ってくるという、一風変わった設定で送る家族にまつわる物語。田舎町で暮らす一家と、彼らを取り巻く人々の姿をブラック・ユーモアを交え軽妙に描く。
ダブル主演となる姉妹役を務めるのは、映画『わたしの見ている世界が全て』でマドリード国際映画祭2022外国映画部門 主演女優賞を受賞した森田 想と、映画『ハニーレモンソーダ』や舞台『12人の淋しい親たち』などに出演の岡本夏美。さらに、水石亜飛夢、日比美思、斎藤友香莉、稲川悟史(青年団)、若林元太、富川一人(はえぎわ)、大石将弘(ままごと/ナイロン100℃)、金子清文、千葉雅子(猫のホテル)と舞台・映像の双方で活躍する実力派が顔をそろえる。劇中音楽は前作に引き続き、多数の海外映画祭を席巻する映像制作集団・大田原愚豚舎の渡辺雄司が担当する。
ピンク・リバティの代表であり作・演出を務める山西竜矢は、21年に自身初となる長編映画『彼女来来』で若手監督の登竜門 MOOSIC LABにて準グランプリ含む三冠を達成し、NYで開催される日本映画祭JAPAN CUTSでは新人部門最高賞の「大林賞」を受賞。その後も長久允監督・森田剛氏主演の短編映画『DEATH DAYS』のメイキングドキュメンタリー『生まれゆく日々』の監督・構成、ドラマ『今夜すきやきだよ』の脚本など、ジャンルの垣根を越え活躍中。
演劇映像の両ジャンルで活動する山西特有の、照明効果を駆使した幻想的な演出と、文学的表現を交えながらテンポよく駆け巡るセリフの応酬に期待が高まる。
この発表に際して、作・演出の山西竜矢とダブル主演で姉妹役を演じる、森田想と岡本夏美からのコメントが到着した。
作・演出:山西竜矢 コメント
本作は、田舎に住む家族の物語です。
一家はある奇妙な出来事をきっかけに、見て見ぬふりしていた家庭の問題に向き合わざるをえなくなります。そこで描かれる彼らの姿は、滑稽で、ややこしく、けれど美しいものであり、笑いあり涙ありというより、泣きながら笑えてしまうような情景になると思います。
主演の森田さん・岡本さんをはじめ、以前からご一緒したかった力強いキャストスタッフと共に、東京芸術劇場で新作に取り組めること、大変楽しみです。ピンク・リバティのこれまでを凝縮した「点滅する女」、是非劇場でご覧下さい。
出演:森田 想 コメント
自分にとって初めての舞台になります。ずっと見え隠れしていた好奇心を握りしめて、挑みます。本音を言えばまだまだ不安で、実感も何も本当に客席の前の舞台に立つのかと浮き足立っていますが、山西さんや共演者の方とのコミュニケーションを重ねながら、W主演として頼り甲斐のある岡本夏美さんの存在に安堵しながら、皆さんが観に来てくださるときには胸を張れるよう精一杯頑張りたいと思います。今言えるのは、それくらいです。強いて言えば、どれほど頭がパンクするのかが楽しみです。ご期待下さい。
出演:岡本夏美 コメント
ピンク・リバティはいつかご縁があるといいなと思っていた演劇ユニットでしたので今回こうして携われる事ができて嬉しいです。リアルと非リアルの掛け合わせと、舞台上で飛び交う言葉達を面白がりながらお芝居出来ればいいなと思っています!今回私が演じる役は、特殊な設定もあり、難しい役どころになると感じていますが、森田想さんや他キャストの皆さん、そして演出の山西さんと共に丁寧に繊細に、そして大胆につくっていきたいです。
<ストーリー>
初夏。緑眩しい、山あいの田舎町。
父、母、兄と共に実家の工務店で働く田村鈴子は、家族の間にある静かな歪みに悩んでいた。表面的には仲の良い田村家だったが、5年前、家族の中心だった長女・千鶴が亡くなってから、その関係はどこかおかしくなっていた。
そんなある昼下がり。一人の見知らぬ女が、田村家を訪れる。
「千鶴さんの霊に、取り憑かれてまして」
女の奇妙な言葉をきっかけに、ぎりぎりで保たれていた彼らの関係は、大きく揺り動かされ─
一年半ぶりのピンク・リバティ新作公演は、喪失に苦しむある家族に訪れた幻想的な夏の一幕を、ブラック・ユーモアを交えて軽妙に描き出す、さみしくも美しい家族劇。
<ピンク・リバティとは>
山西竜矢が脚本・演出をつとめる演劇ユニット。2016年の旗揚げ以降、東京を拠点に活動する。リアリティある日常生活の情景が奇妙な世界と混ざり合っていく、不穏かつ幻視的な作風が特徴的。人間が元来抱える行き場のないさみしさをユーモアを交えながら描き、空しくも美しい情景として昇華する劇作はどの作品にも通底している。