WEB発の大人気小説を基にコミカライズされた『転生したらスライムだった件』が舞台化。異世界に転生してスライムになった主人公リムル=テンペストを≠MEの尾木波菜が演じ、脚本・演出は、舞台「東京リベンジャーズ」などを手掛けた伊勢直弘が務める。本作で大鬼族(オーガ)のベニマルを演じる仲田博喜と、ソウエイを演じる北村諒は、どのように作品に飛び込んでいくのか。話を聞いた。
――とうとう舞台化という印象ですが、ご出演が決まった時にどのようなお気持ちでしたか?
北村 作品は話題になっていたのでもちろん知っていましたし、舞台化されることにも驚きました。舞台になることで作品がまたひとつ新しいステージに行くような感覚があって、嬉しかったですね。周囲でも作品を知っている人が多くて、周りの人から聞くことも多かったので、出演が決まってすごく嬉しかったです。
仲田 僕は台本を読んでいてすごく楽しかったので、舞台化されてそこに参加できること、その上ベニマルという結構かっこいい役をいただけたことが嬉しくて、すごく楽しみにしています。諒の言う通り、結構反響の大きい人気作品なので、役者仲間から「羨ましい!」って連絡も来たりして。頑張らなきゃいけないというプレッシャーも感じましたけど、これから稽古をしっかりやって素晴らしい舞台ならではのものを創って行けたらと思います。
――台本を読まれてみての印象もお聞かせください
北村 原作も含めての印象なんですけど、すごくテンポが速いんですよね。舞台でもそこは同じ感じで、すごいスピード感だと思います。特に、リムルは大変だと思いますよ。
仲田 いろんな主人公ってあるけれど、尾木(波菜)さんは本当に圧倒的なセリフ量で半端ないね。
北村 ある意味、この作品をクリアしたらチート能力を手に入れられるかも(笑)。
仲田 でも、本当に台本を読んでみるとテンポも速いし、登場人物も多いので、1人1人が登場したときに自己紹介で終わってしまわないようにしないとって思いますね。舞台でやるからこその表現で、奥行きや厚みを持たせていきたいです。
――それぞれの役どころの印象はいかがですか?
北村 ソウエイは、なんか人気があるのも頷けるキャラクターですよね。カッコいいし、強いし、いいやつ!
仲田 見た目だと、もう少しツンツンしてそうなんだけど、結構優しくていいやつで、真っすぐだし、良いとこ取りのキャラだよね。
北村 ちょっと冷酷というかクールな感じの印象を抱きがちだけど、そんなこともないよね。
仲田 オーガの一族って、みんな結構優しいんだよ。人情があって。ベニマルも”胆”があるよね。一族の中では引っ張っていくポジションでありながら、リムル様を一番近くで支えたいと考えて頑張っているキャラクターですね。でも、その他のキャラクターも魅力的なんですよ。ガビル(松田岳)とか、ちょっとやりたいって思うくらいだもん。
北村 こう、なりふり構わずに解放できる感じがあるよね、ガビル。
仲田 僕らのキャラが割と落ち着いたトーンなので、真逆を行くようなキャラは無いものねだりで欲しくなりました。
北村 稽古の初日で本読みをしたんですけど、すでにガビルさんのテンションがおかしかったんですよ。仕上がっていました。
仲田 もう見えたよね、ガビルが動いている絵が。
――魅力的なキャラクターが揃っているんですね。それぞれのビジュアルもすごくカッコいいですが、ビジュアル撮影で着用してみていかがでしたか?
仲田 単純に、和装ってかっこいいですよね。
北村 ベニマルはカッコいい感じだよね。ソウエイは、どっちかというと忍びっぽい。刀も背中にしょっている感じなんで。でもやっぱりテンションが上がりました。
仲田 二刀流のアクションとか見たいなぁ!
北村 ビジュアル撮影でちゃんと二刀流で持っているところも撮ったからきっとあるはず?
仲田 原作ファンが絶対に喜ぶと思う!ベニマルは割と赤が目を引いちゃって、目立っちゃってちょっと申し訳ない気持ち(笑)。衣装の丈も長いので、アクションの時もすごく映えると思うんですよ。本番までには炎も出せちゃうように、頑張りたいと思います!
――アクションの面ではどのようなイメージをされていらっしゃいますか?
仲田 原作でも意外と抜刀して戦っているシーンよりも、糸とかを使った戦いのシーンとかが多いんですよね。でも、舞台でしか見られないような迫力あるアクションはしっかりとお見せしたいです。
北村 キャラクター性がアクションにも出たらいいなと思うので、糸や炎などいろいろな戦い方をするキャラクターではありますけど、刀のアクションは舞台ならではっていうことで増えるといいなと思っています。ベニマルは結構派手なアクションになると思うので、ソウエイは対照的に、素早くササっと仕留めるような、そういう差はだせたらいいですね。
――先ほど、リムル役の尾木波菜さんは大変、というお話もありましたが、彼女の印象もお聞かせください
仲田 聞くところによると、舞台は2回目だそうで…それで、あの圧倒的な物量のセリフ。説明セリフもすごく多いですし、感情のやりとりもたくさんあるし、アクションもあるでしょうし、すごく大変だと思います。でも、それを乗り越えられるポテンシャルの持ち主なんだと思うので、共演が楽しみですね。見守りつつ、自分たちもしっかり大鬼族として支えられるように頑張りたいです。
北村 役者として、彼女がどう演じるのかは楽しみな部分ではあります。僕らのキャラクターとしてはそういうバックグラウンドは知らないわけですけど、リムルは30代の男が転生しているわけで、そこをどうやっていくのかは気になりますね。
仲田 でもまぁ、参考にできる30代男性は稽古場にもたくさんいるから(笑)。
北村 確かに(笑)。そのほかのキャラクターも魅力的なので、楽しみにしていてほしいです。
――稽古に向けて、尾木さんにアドバイスするとしたら?
北村 上着を持っていくことが大事、とか?空調がめっちゃ効いているときがあって、この間もめちゃくちゃ寒かったんですよ。だから、上着は1枚もっておくこと!
仲田 でも、それ大事かも。体調管理が一番大切ですから。あと、いつも思ってるんだけどさ、諒って靴下おしゃれだよね。稽古の時の靴下なんて、誰も見ないと思うんですけど、ちょっと小キレイでワンポイントが入っているようなのをいつも履いているんですよ。
北村 え、あんまり意識したことないけど…。でも、靴下は意識したことないけど、稽古着はちょっと気にしてるかも。その日が稽古だけだったとしても、ジャージで行ってジャージで帰るっていうのは、ちょっと嫌なんですよ。でも、着替えるのは面倒なので、そのまま行って帰れるし、動きやすい服装ってことでカーゴパンツとかTシャツを愛用してます。
仲田 俺はもうジャージですよ。動きやすいし、いっぱいあるし。でも、靴は稽古に入るときに必ず新品にします。なんか身が入るんですよね、新品にすると。今回も新しい靴を買って履いています。靴自体に特にこだわりとかは無くて、その時に靴屋さんで選べる履きやすいシューズ、くらいですけど。動きやすさとか、軽さや通気性が大事ですね。だから、どんどん靴箱がいっぱいになっちゃいます(笑)。稽古が終わっても、普段に履いたりしてるんですけどね。多くなりすぎると、譲ったりしてます。
北村 その靴が欲しい人、いっぱいいそう!あとは…個人的にはちょっとつまめるようなものがたくさん欲しいです。お菓子とか。エネルギーを補給できるものがやっぱり必要ですね。
仲田 昨日はグミ食べてたね(笑)。
――夏バテなんかも怖いですからね。力をつけるためのパワーフードなんかはありますか?
仲田 とにかくしっかり食べることかな。スタミナをつけて、鉄分もしっかりとって。
北村 肉かな、やっぱり。脂がノドにもいいしね。
仲田 でも年齢的にも赤身のお肉がいいかな。分厚いやつをレア気味で食べたいんですけど、あたるといけないので良く焼かないとな。あとは、ラムネ飲むとか?
北村 飲みものだと、夏に限らず年中ですけど某コーヒーチェーンのフラッペドリンクが主食ですね。カロリーはこれで摂ってますよ。季節限定のやつじゃなく、いつもおなじものを頼みますね。稽古場近くにはその店が無いので、家の近所で買ってから稽古場に向かうことになりそうです。全然、飽きないんですよね。もはや血液です(笑)。
――脚本・演出の伊勢直弘さんとは何か作品についてお話されましたか?
北村 キャラクターやお芝居のことについてはこれからって感じですが、まずはシンプルにこの作品をみんなで力を合わせて作っていこうという話は稽古初日にしました。いろんな要素の多い作品なので、全貌が見られるのはもう少し先になるんじゃないかな。
仲田 本当に要素は多い。展開も速いので、それだけ緻密に作っていかないといけない気がします。じゃないと、なんだったんだ?みたいになってしまいそうな感じがしますね。何を見せたいのか、何を伝えたいのかを大事にしてやっていかなきゃいけないんじゃないかな。
――最後に、公演を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!
北村 『転スラ』がいろいろとメディアミックスされている中での、今回の舞台化なので、どこにも見たことのないような、舞台ならではの『転スラ』を観ることができると思います。原作などをご存じの方はもちろん、知らなかった方も、この舞台をきっかけに『転スラ』の世界を広げていただくような、たくさんの方に楽しんでもらえる舞台にしたいと思っています。ぜひ、期待していてください!
仲田 原作ファンの方も、初めて作品に触れる方も、この舞台を通して『転スラ』の魅力をさらに感じていただけるような、そんな舞台にしたいです。いい意味で裏切りたい。期待されているということもありますが、その期待以上のもの、舞台でしかできないことをお届けしたいですね。迫力のある殺陣もそうですし、人間ドラマもそうですし、舞台ならではのプラスアルファを乗っけて、しっかり皆さんに楽しんでもらえるように作っていきます!楽しみにしていてください!
取材・文/宮崎新之