左:松下洸平 右:柿澤勇人
若さゆえの危うさ、怖さのような疾走感を表現したい
実際に起きた事件をもとに、“私”役と“彼”役のふたりの俳優と1台のピアノだけで紡がれる、緊迫の愛のミュージカル『スリル・ミー』。その4年ぶりの上演が決定! 今回名を連ねるのは、歴代のペアの中でも特に高い人気を誇る、松下洸平と柿澤勇人だ。
松下「僕らは過去3度ペアを組んでいるので、不安に思っていることが今はないというのが不安ですね(笑)。初演のころの初々しさをどこまで再現出来るのか……。ただ勇人と僕は役へのアプローチの仕方や、もともともっている性格が真逆。だからこそこの役にはすごく合うと思いますし、同い年の役者であるということも僕たちだけの個性になっていると思います」
柿澤「7年前の初演から参加している僕らにとっては、まさに原点みたいな作品なんですよね。本当に未熟だった僕たちに、演出の栗山(民也)さんが一から芝居ってものを丁寧に教えてくださって。まさにゼロから、一緒に歩んできたという点で洸平とは共感、共鳴するものがたくさんありますし、やっていて毎回すごく楽しい。このふたりなら不安がないというのも必然だと思います」
非常に緊張感のある作品。舞台に立っている間は、お互いの存在とピアノの音しか感じないのだという。
柿澤「栗山さんに言われたんです。『お客さんは一切意識せず、ふたりだけの空間を覗き見しているような世界にして欲しい』と。それって演劇の中でもすごく稀有な作品だと思いますし、だからこそ中毒性があると言われるのかなと思います」
また“私”と“彼”を体現する上で特に大切にしていることが……。
松下「彼らが19歳だということが、この作品の肝なんですよね。若さゆえの危うさ、怖さみたいな。もちろんそこに愛はあったわけですが、彼らがあと10年大人だったら、この判断は絶対にしないはずだと思います。そういった衝動、ハンドルのきかなくなった車に乗っている疾走感みたいなものを表現出来たらと思います」
最後に「演劇のもっているすごさを感じてもらえたら」と松下。さらに柿澤が「この100分を体感して欲しい」と続ける。濃密で、そして衝撃の演劇体験が、ここにある。
インタビュー・文/野上瑠美子
※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
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【プロフィール】
松下洸平
■マツシタ コウヘイ ’08年にCDデビュー。翌年からは俳優として活動を始め、テレビ・映画・舞台と幅広く活動している。
柿澤勇人
■カキザワ ハヤト ’07年に倍率100倍以上の難関を突破し劇団四季の養成所に入所。同年デビュー。退団後も、映画にテレビとジャンルを問わず幅広く活躍中。