アニメ、ゲーム化もされている「週刊少年マガジン」連載中の人気漫画「FAIRY TAIL」が初舞台化。主人公で、自身の体質を竜に変える“火の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)”ナツ・ドラグニルを演じるのは、俳優集団D-BOYSの宮崎秋人だ。原作の大ファンだという彼はナツ役に向け、週7(!)のジム通いで肉体改造中という気合の入れよう。
宮崎「ジムのトレーナーさんにナツの画像を見せて、『この体にしてください。ビジュアル撮影をする1カ月後までに、こうならなきゃならないんです!』って(笑)。トレーナーさんたちは苦笑いで、『じゃあ、毎日来て』と。部活をやっていたときから筋トレが嫌いで、極力サボりたいと思ってきたんですけど、ここにきて醍醐味や楽しさを見いだすことができました。年末年始の宴会がウーロン茶だったり、正月の雑煮がモチ抜きだったのはキツかったですけど(苦笑)」
自宅のテレビ横にナツのフィギュアを置いて毎日眺めるなど、イメージトレーニングもバッチリ。見事に成果が表れた肉体で臨んだ撮影のことを聞くと、「魔導士ギルドの紋章が自分の右腕に宿ったとき、気持ちが引き締まりました」と、真剣な表情に。
宮崎「ただ、撮影する順番が一番目だったんです。みんな真剣になって空気がきっと重くなるだろうなと思ったから、とにかくその場を明るく盛り上げようと意識しました。普段の僕はそういうとき、『ああでもない、こうでもない』と考えてしまうタイプなんですけど、ナツは、周りを太陽みたいに照らすキャラクターなので」
役のナツとして、また座長としての意識もすでに十二分で頼もしい。
宮崎「周りにナツ・ドラグニルとして認めてもらうことが、まず僕の最初の仕事。刺激を受けてもらえれば、みんなそれぞれグレイ(白又 敦)やヒビキ(小野健斗)として、僕のナツにぶつかってきてくれるんじゃないかと思うんです」
もともと熱心な読者で、「数ある漫画のなかでも圧倒的に夢がある。本当に王道の直球ど真ん中のストーリーで、みんなに愛される作品」と、原作にほれ込んでいる。知り尽くしているだけに、ナツ役と聞いて、「最初はあんまりしっくりこなかった」とも話す。
宮崎「明るく見えて実は何かを抱えていて……というような役はあったんですけど、ここまでハジけてバカ正直な役をやるのは初めて。もっとしっかりしている人の役が多いんですよ(笑)。だから自分のイメージ的にもグレイなのかなと思っていたらナツだったので、ビックリしました。ただファンの方には合っていると思われているかもしれないし、仲が良くて普段からよく一緒にいる俳優の松田 凌には『ピッタリだね』って言われました。なので、そういう目を信じてやっていけばいいんじゃないかなと思っています」
宝塚歌劇団での演出家経験を経て、カナダに留学。世界的な演出家ロベール・ルパージュの元で研鑽を積んだ気鋭のクリエイター、児玉明子が演出を務める。
宮崎「児玉さんのアイデアはきっと、僕の想像の斜め上を行くもの。最初にお会いしたとき、『歌以外ならなんでもやります!』と言ったんです(笑)。だからもう、何を要求されてもやります! 単純に映像に頼るんじゃなくてアナログな部分も融合させてという、児玉さんの『NARUTO』での演出はすごい素敵だなと思いました。人間ができる可能性を最大限に引き出してくれる方だと思うので、ご一緒できて光栄ですね。原作を教科書にするというよりは、児玉さんの意図や舞台版の台本に書いてあることを大事にやっていきたい。原作の絵のとおりに見せるならば、それは“再現”だし、じゃあ『漫画を読めばいい』『アニメを見ればいい』ってことになってしまう。キャラクターが三次元の場で立体的に動いている、イコール“舞台”ではないっていうのは、僕が原作が大好きだからこそ言えることだと思っています」
インタビュー・文/武田吏都
Photo/山本倫子
構成/月刊ローソンチケット編集部 2月15日号より転載
【プロフィール】
宮崎秋人
■ミヤザキ シュウト ’90年、東京都出身。俳優集団D-BOYSのメンバー。ミュージカル「薄桜鬼」シリーズ、舞台「弱虫ペダル」シリーズなどで人気を集める。2月18日﹇木﹈より、つかこうへい作「引退屋リリー」に出演。
【公演情報】
©真島ヒロ/講談社 ©「FAIRY TAIL」舞台製作委員会2016
ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」
日程・会場:
2016/4/30[土]~5/9[月] 東京・サンシャイン劇場
★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!