松本大洋の傑作コミック「鉄コン筋クリート」が初の単独舞台化!
“どんな宝町が生まれるのか私たちも楽しみです”
若月佑美(乃木坂46)&三戸なつめ インタビュー!

左:若月佑美(乃木坂46) 右:三戸なつめ

『ピンポン』や『Sunny』などで知られる漫画家・松本大洋の代表作「鉄コン筋クリート」。
2006年にマイケル・アリアス監督でアニメ化されたものの、生身の人間が演じるのは今回が初。
ビルからビルへ飛び移り、悪党たちにも屈しない、路地裏を生きる少年クロとシロ。
これまで多くの若者たちを虜にしてきた伝説的作品が、どんな形で私たちの前に現れるのか!?
クロ役を務める乃木坂46・若月佑美さんとシロ役の三戸なつめさんに意気込みを聞いた。


――「鉄コン筋クリート」の原作はご存でしたか?

三戸「お姉ちゃんが持っていたので読んでいました。最初に読んだときは、小さかったので内容はわからなかったんですけど、絵柄を好きになってそこからずっと大好きです」

若月「知り合いのかたから〈これ絶対に好きだと思うよ!〉って言われて読んだらハマりました。やっぱり絵の力もすごいですよね、おもちゃ箱みたいで」

三戸「うん。わかる。」


――出演が決まったときは?

若月「すごく嬉しい!という気持ちの反面、どうしようという気持ちもありました。クロが抱える複雑さも大好きだったから、それを自分が表現できるかなってところで緊張しちゃって……」

三戸「緊張って言葉、すごいわかる。プレッシャーみたいなものが一瞬通り過ぎるんだけど、シロを演じられるのが楽しいって気持ちが上回ってるというか。シロを絶対やりたいと思っていたから」

若月「その感じかも。緊張はしてるんだけど、やるからには誰でもなく私がクロをやりたい!って強く思ったので今は頑張りたい気持ちでいっぱい」


――メインビジュアルのおふたりはまるで本物のクロとシロです。

若月「衣裳を着ると気持ちが入るというか、スタッフさんに〈クロだ!〉って言って貰ったのが嬉しくて。ビジュアル撮影では本物の鉄パイプを持ったんですけど……普段、鉄パイプなんて持たないから重くて(笑)。あれを振り回しているクロってすごい」

三戸「確かに(笑)。衣裳を着たら、めっちゃテンションあがりました。スタイリストさんがシロが好きそうな時計をいくつも用意してくれて、アンテナがついているやつとか、デジタルのやつとか。小物にもこだわってくれて可愛かった」

若月「撮影はシロのソロから撮ったんですけど、三戸さんがめっちゃシロになってて、〈すごい! シロだ〉って言ったんです。で、それをどうしてもすぐに伝えたくて、最初に会ったときに「めっちゃシロでしたね!」って言ったくらい(笑)」

三戸「えへへ。言ってくれたね。嬉しかったです。なんか、シロってクロに頼っていると言うか、クロがシロに頼っている部分もあるんですけど、私もワカちゃんに甘えようかなって(笑)。実年齢は私のほうが上なんだけど」

若月「いやいや(笑)」

三戸「撮影のときにワカちゃんが私のうしろに回ってギュッてするシーンを撮ったんですけど、それもすごく心地よかったし」

若月「(ガッツポーズをしながら)嬉しい♡」

三戸「女の子とはいえ、抱きしめられるのってちょっと抵抗があるんだけど、〈あ、落ち着く~〉と思って、シロの気持ちで撮影ができました」


――今回の舞台ではアクションシーンもあると伺いました。

三戸「アクション稽古をまだはじめたばかりなのでパンチとか蹴りとか基礎的なことをやっています」


――本格的ですね。劇中でどんな形で昇華されるのか楽しみです。

三戸「かなりなものになる気がします」

若月「なりそう」


――原作の「鉄コン筋クリート」で気に入っているところは?

若月「面白いと思ったのはキャラクターの名前がクロとシロだったり、アサとヨル、チョコラとバニラ、ネズミとイタチとか、覚えやすくて印象に残るんですよね。小さい子にも読みやすいと言うか。あと、原作のなかでじっちゃが言った“オセロのチップには裏も表もねえだろ”ってセリフがとても印象的で、それは誰にとってもあるなって。どんな人の心のなかにもクロもシロもいるんだろうなって思って心に残っています」

三戸「キャラクターが面白いから、まずはそこから入るっていうのはいいと思います。私は、シロの子供っぽいところだったり、動きだったり、顔の表情……難しい口の動きをしているなとか、そういうところが大好き。シロってハナウタをよく歌っているんですけど、自分だったらどう歌うかなと想像するのが楽しいんです。原作だと音符がザザザってなってるときがあるから音痴なのかなとか(笑)」


――三戸さんから見てシロはどんな少年に見えていますか?

三戸「幼稚で子供っぽいんだけど、意外とオトナなのかなって。環境の変化や時代の流れを無意識に受け入れられるところは、クロより受け入れる体制が整っている部分というか。心がめちゃくちゃ広いオトナになるんじゃないかと思います」

若月「確かにシロのほうがオトナかも。普段のお世話とか、敵が来たときの作戦とかはクロがお兄さんっぽくやるんだけど、街が変わっていくとなったときにどうしていいかわからなくなって暴走しちゃうところは子どもなのかなと思うし」


――共感する部分はありますか?

若月「クロが葛藤するところは共感します。自分のなかでどうしていいかわからないことや、何も考えずにこれをやるしかないってときとかもありますし。守りたいものがあるって気持ちは、家族に対してや乃木坂46のメンバー、友だちにも当てはまります。それはクロにとってシロだったり、自分にとっても一緒だなと思います」


――今、楽しみにしていることは?

三戸「早く本格的な稽古に入りたいです。そして、出演者のみなさんがどんなキャラクターを作ってくるのかが楽しみです」

若月「私はクロとして生きるのが楽しみですね。そのときにそこからどんな景色が見えるのか今から楽しみです」


――舞台の幕開けまでもう少し。メッセージをお願いします。

三戸「独特の世界観をみんなで作り上げていければと思います。原作ファンの方は、自分の好きなキャラクターがどんな感じになるのかを楽しみに劇場に来ていただけたら嬉しいです」

若月「原作がとてもメッセージ性のある素敵な作品なので、伝えるものがある舞台を作りたいと思っています。あと、衣裳も可愛いし、セットも凝ったものになると思うので、三次元になったときの「鉄コン筋クリート」の世界を楽しんでください」

 

インタビュー・文/高畠正人