松下優也、青野紗穂が至高の魔術ミステリーに挑む!音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」稽古場レポート


神秘と幻想、魔術と謎の交錯する音楽劇、いざ開幕。

原作は三田誠によって描かれる正統かつ至高の魔術ミステリー、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」。

とある極東の地方都市にて行われた魔術儀式・聖杯戦争。あらゆる願いを叶えると言われる万能の願望機・聖杯を巡って行われたその戦いを、征服王イスカンダルとともに駆け抜けた少年がいた。その名はウェイバー・ベルベット。
時を経て少年は青年となり、かつての師が冠したロード・エルメロイの名を受け継ぐこととなる。
魔術師たちの総本山・時計塔で、「ロード・エルメロイⅡ世」として教鞭を執る彼の元に舞い込む様々な事件。現代の常識でははかり知れない、魔術の世界で引き起こされる出来事に、内弟子の「グレイ」とともに立ち向かっていく――。

全10巻が発刊された原作小説の第1作目にあたるのが今作「case.剥離城アドラ」だ。
脚本に斎藤栄作、演出に元吉庸泰、音楽に和田俊輔、そして総合演出にはウォーリー木下という豪華スタッフ陣に加え、出演者には俳優・アーティストとして確かな実力を持つ松下優也と青野紗穂をはじめ、納谷健、百名ヒロキ、木戸邑弥、玉置成実、花王おさむ、壮一帆ら華やかで実力も備えた面々が顔を揃える。

魔術の世界を描いたファンタジー作品でありながら、謎を解きながら進行するサスペンス要素、戦闘シーンにおける殺陣、ダンスなどのアクション要素に加え、劇中の随所に歌を中心とした音楽を取り入れることで全体のイメージを作り上げていく。これらを有機的に結びつけるのが総合演出のウォーリー木下が思い描く今作のイメージだ。演出の元吉庸泰がそのイメージを細部に分解して一つ一つ丁寧に具現化していく。今回の稽古で公開されたのは作品中のごく一部のシーンであったが、試行錯誤しながら思い描く正解に向けて一丸となって作品を作り上げていく様子に完成形への大きな期待を抱かせるに十分だった。

ロード・エルメロイⅡ世役の松下優也、グレイ役の青野紗穂をはじめとしたキャスト達もチームワークが出来上がっていることが感じられ、役衣裳を纏った彼らが本番の舞台でどのような姿を見せてくれるのか大いに楽しみ。

今作の大きな見どころの一つである“魔術シーン”については様々な手法が用いられているという。この稽古では伺い知ることはできなかったが、それは定評のあるウォーリーのこと、あっと驚くような仕掛けを用意しているにちがいない。

原作ファンの人はもちろん、原作を知らない人たちも楽しめる、新感覚の音楽劇がまもなく幕を開ける。プレビュー公演の千葉(市川)公演を皮切りに東京、大阪、福岡、東京凱旋とめぐる1カ月間の全国公演。目の前で繰り広げられる生の舞台ならではの臨場感の魅力と感動を是非この作品で体感して欲しい。

 

◆STORY
『時計塔』。
それは魔術世界の中心。貴い神秘を蔵する魔術協会の総本山。
この『時計塔』において現代魔術科の君主(ロード)であるエルメロイⅡ世は、とある事情から剥離城アドラでの遺産相続に巻き込まれる。
城中に鏤められた数多の天使、そして招待者たちそれぞれに与えられた〈天使名〉の謎を解いた者だけが、剥離城アドラの『遺産』を引き継げるというのだ。
だが、それはけして単なる謎解きではなく、『時計塔』に所属する高位の魔術師たちにとってすら、あまりにも幻想的で悲愴な事件のはじまりであった──。