左:高橋健介 右:伊万里 有
©ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
4年ぶりだから、今の時代だから、できることがある
劇場での公演に加え、大型ライブや海外公演、世界遺産での特別公演、NHK紅白歌合戦への出場などなど……2.5次元作品の中でも特別な存在感を放つミュージカル『刀剣乱舞』。そのシリーズ第2作で、’16年に初演された「幕末天狼傳」がファン待望の’20年版上演を果たす。
高橋「上演が決まったときからずっとソワソワしていました。新演出とはいえ基本的には同じ作品なので、この4年の変化が如実にわかると思うから。成長を見せなければというプレッシャーは感じています」
伊万里「この作品はシリーズが始まったばかりの頃のものなので、当時は僕らも初々しかった。そこから4年分の経験を重ねた今だからこそのものを、イチからつくるつもりでいます」
そう意気込んだのは、蜂須賀虎徹役の高橋健介と長曽祢虎徹役の伊万里 有。本作で描かれるのは、蜂須賀虎徹を隊長に、新撰組ゆかりの刀剣男士である加州清光、大和守安定、和泉守兼定、堀川国広、長曽祢虎徹が、幕末に出陣する物語だ。この作品を始まりに、シリーズのさまざまな公演に出演してきたふたりにとっては「僕の知名度を一気に上げてくれた作品」(高橋)、「僕にとっての原点」(伊万里)と思い入れが深い。
伊万里「ストーリー的にも内容的にも、こんな大変な作品は他にないですよ(笑)。僕は初演のとき、役作りで鍛えて12キロ体を大きくしたんです。でも、公演が終わる頃には12キロ減ってましたから!(笑)」
高橋「1部のミュージカル、2部のライブと、やることもすごく多い作品ですからね。初演の頃は覚えることに必死だったけど、今回は一つひとつのクオリティをもっと上げていきます」
ふたりが演じるのは、同じ“虎徹”の名を持つ刀剣男士。しかし、名家・蜂須賀家に伝来した蜂須賀虎徹は“真作”で、新撰組の近藤勇が所有していた長曽祢虎徹は“贋作”、といわれることが物語にも大きく作用する。
高橋「蜂須賀は、長曽祢以外には素直だしコミュニケーション能力もある。それなのに長曽祢との関係は複雑になってしまう。ただ、そうなる理由は実は人間的な感情というか。僕もわかるし、お客様も共感しやすい部分なんじゃないかと思っています」
伊万里「僕には兄がいて、今は仲いいけど、蜂須賀と長曽祢みたいな関係だった時期があるんです。だからこそ、そんな二振りの間で一本の糸が結びついたときに生まれるものもわかる。長曽祢は強がってるけど弱い部分もあって、なんだかんだ蜂須賀のことを頼りにしているんじゃないかと。そういう兄弟愛に感動します」
’20年版ではさらに緻密な新演出になるそうだが、「4年の時間を過ごしてきた有くんとの関係をもう一回悪くするというのがすごく難しそう。だけどそこは払拭します!(笑)」(高橋)「健介は大丈夫だと思う。僕は不安視してないです!」(伊万里)と話すふたりの今の信頼関係ならではの深みも出そうで楽しみだ。
そんな二振りの物語と同時進行していくのが新撰組と刀剣男士のストーリー。新撰組の顛末は広く知られるところだが、刀剣男士は歴史を守るための選択を迫られる。
伊万里「『本来なら死んでいる元主が生きている』という場面に直面したとき、刀剣男士は何をしなければならないのか。そりゃ12キロ痩せますよ(笑)。だけど新撰組の刀剣男士の素敵なところは、それでも強くあろうとするんです。みんな、いつも笑って冗談とか言ってるけど、心の底に何を抱えているのかなと思います」
高橋「そういうところも’20年版の新演出でどう描かれるのかが楽しみです。でも実はまだ脚本が届いてないんですよ。あらすじは変わらないはずなのに、なんでなんだろう……。内容が総とっかえだったらどうしよう(笑)」
ミュージカル『刀剣乱舞』の本公演は〈1部ミュージカル・2部ライブパフォーマンス〉が定番。2部の変化も気になるところだが。
伊万里「ライブパートは今までとは全く違うものになると思います。コロナウイルスの影響も少なからず演出に関わるでしょうし。いつもは審神者の歓声で頑張れていたので、違うカタチで熱をつくっていかないとと思っています」
高橋「こういう状況だからこそ、より僕らの盛り上げ方が問われるんじゃないかな。一番は審神者の皆さんが楽しんでくださることだと思うので、そこは挑戦しながらやっていきたいです」
「最高のものをお届けします」(高橋)「今だからこそ楽しめるものに!」(伊万里)というふたりの言葉をお守りにして、秋をお楽しみに!
インタビュー・文/中川實穂
※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
高橋健介
■タカハシ ケンスケ ’94年生まれ。東京都出身。’14年舞台「ハマトラTHE STAGE-CROSSING TIME-」で主演。以後、数多くの舞台に出演。
伊万里 有
■イマリ ユウ ’88年生まれ、佐賀県出身。’11年に俳優デビュー。以後、舞台、テレビドラマ、映画と幅広く活躍している。