「炭治郎を演じて、僕は心が強くなりました」
吾峠呼世晴の漫画『鬼滅の刃』を原作にした舞台の第二弾「鬼滅の刃」其ノ弐 絆 が8月に上演される。2020年1月に第一弾が上演され、剣戟アクションや世界観に寄り添う音楽も話題を呼んだ作品で、今回も第一弾同様、脚本・演出を末満健一、音楽を和田俊輔が手がけ、主人公・竈門炭治郎を小林亮太が演じる。小林は今作について「今、続編が上演できることを嬉しく思いますし、ある種の使命感も感じています」と笑顔を見せた。原作は第一弾上演後のこの1年でさらに注目度は上がり、このことがプレッシャーではないのだろうか。
小林「いえ、多くの人に愛されている作品のキャラクターを演じられるのは光栄なことだと思います。舞台版も今作はキャストが増えて、座組がより大きくなっているんですよ。劇場のサイズも大きくなりますし、座長として嬉しく思っています。前作ではカンパニーの皆さんに助けてもらってばかりだったので、今作では僕もがんばって、炭治郎のように周りの人に影響を与えられる存在になれたら」
頼もしい発言に彼の成長を感じた。本作の第一弾で取材した時に、人気作の主人公を演じることを「不安です」と漏らす姿を覚えていたからだ。
小林「前作で炭治郎を演じて、僕は心が強くなりました。炭治郎に寄り添うことで気づかされるものがあって、僕の内面に変化が起きたのだと思います。これを客席にも届けられることができれば、観てくださる方にとっても、この作品が明日の糧になるんじゃないかと思っています」
ストーリーの面白さは原作ファンにはもはやご存知の通りだが、舞台版ならではの魅力といえばやはり「生身の人間が演じていることだと思います」と小林。
小林「例えば第一弾で、炭治郎は禰豆子のために敵と戦うようになるわけですが、いろんな鬼と戦っていくのは心身共に苦しいことですし、演じていて『体が動かない』と思う瞬間も何度もありました。でもこの舞台には歌があって、その歌を歌うことで本当に心が鼓舞されて、また戦えるようになるんです。そういう生の心情の変化が直接伝わるのは舞台だからこそだと思いますし、それが音楽での表現であることも舞台ならではだと思います」
第一弾からのタッグとなる脚本・演出の末満は、「いい意味で厳しい方です」と小林は明かす。
小林「前作の炭治郎と重なるところでもあるのですが、初演当時は僕自身がなかなか余裕が持てませんでした。だからこそ、続編となる今作では、俳優として少しでも成長した姿を見せないと、末満さんにも座組にも失礼だと思っています。なので実はもう自主的に殺陣稽古を始めたんです」
取材がおこなわれたのは開幕の3ヶ月以上前。その時点で殺陣稽古を始めるとは、小林の並々ならぬ意気込みを感じる。
小林「炭治郎としても、いろいろな経験を経て少し余裕も出てきた姿を見せたいですしね」
煉獄杏寿郎らが新たに登場する第二弾も見どころは多そうだが、小林が楽しみにしているのは?
小林「今作では、それぞれのキャラクターが抱いているものがより色鮮やかに出てくるんじゃないかと思うので、そこはぜひお客様にも楽しみにしていてほしいところです。個人的には、十二鬼月である累との戦いがどう表現されるか気になっていますし、煉獄さんたち“柱”のメンバーとの出会いにもワクワクしています。この舞台が、観てくださる方の日々の糧になるようにがんばっていきたいです!」
ヘアメイク/目崎陽子
スタイリスト/津野真吾(impiger)
インタビュー・文/中川實穗
Photo/植田真紗美
※構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載
※写真は誌面とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
小林亮太
■コバヤシ リョウタ ’98年生まれ。愛知県出身。幼少期からモデルとして活動。現在は俳優として舞台、テレビドラマで活躍。