原作は、『化物語』に始まる「〈物語〉シリーズ」や『掟上今日子の備忘録』で知られる西尾維新による小説「美少年シリーズ」。これまでコミカライズやアニメ化はあったが舞台化されるのは今回がはじめて。学校内で起きる特殊なトラブルを非公式非公開非営利に解決していく“美少年探偵団”の活躍を描く爽快青春ミステリーだ。団員を演じる阿久津仁愛、立花裕大、永田聖一朗に話を聞いた。

「ふざけているかと思いきやそれぞれ“美”に対しての哲学は持っているんです。」（永田）

――出演が決まったときのお気持ちは？

永田　純粋に「うわ～楽しみ！」と思いました。

阿久津　そうだね！

永田　まずキャスト表を見たとき、知った顔が多かったんです。ミュージカル『テニスの王子様』で（阿久津）仁愛とは一緒だったし、（立花）裕大くんもミュージカル『刀剣乱舞』ー東京心覚ーで一緒にやってる。演出家の三浦 香さんや振り付けの當間里美さんやメイクチームも知った顔で、好きな人たちが集まっているぞと。

立花　僕は（永田）聖ちゃんしか知らなかったんですけど、みんな優しいし絡みやすいのでいいチームになっていきそうだなって思っています。

阿久津　仲のいいスタッフ＆キャストのみなさんと作れるので、自分が思ったことや気持ちも伝えやすいです。これから稽古が本格化しますが、どんどんアイデアを出していけたらと思っていますね。

永田　いい意味で気を使わないというか、関係性が出来ているからこそ言いたいことが言えるんです。

――原作は西尾維新さんの小説です。

立花　西尾維新さんの作品が好きだったので出演が決まったときは本当に嬉しかったです。まず、思ったのは言葉遊びがスゴいんだろうなと。

阿久津　僕はアニメを拝見していました。テンポが良くて、世界観も独特でキラキラしている。でも、舞台になったら原作に登場しているヘリなど大掛かりなセットをどうするんだろう？とも気になりました。

――「美少年探偵団」というタイトルもインパクトがあります。

阿久津　まあ……僕ら美少年なんで！

永田　仕方ないよね、必然というか（笑）。

立花　本気で言ってると思われちゃうぞ！

阿久津　冗談です！でも、最初はどういう話なんだろう？とは思いました。

――設定は、私立指輪学園に通う中学生（＆小学生）たちですよね？

永田　そうです。実年齢よりかなり若いっていうか……中学生って設定ですからね。

阿久津　僕に関しては小学校5年生ですからね。最初、タイトルを聞いたときはゴリゴリのミステリかと思ったんですけど、そんなこともなく、中学生らしい探偵というのかな？遊びの延長のような感じですよね。

立花　想像よりぶっ飛んだ方向だったから、こっちの方向なんだって（笑）。

――普通の探偵ものだと思っていたら、びっくりしちゃいますよね。ちなみにみなさんのなかでの探偵といえば？

永田　シャーロック・ホームズ。ガチのミステリですけど、探偵といえばホームズかなと。

立花　僕はコナンくんと金田一少年。二大探偵でしょう。

阿久津　僕もコナンくんですね。少年だし。

永田　美少年探偵団は、各々の“美”を持っているので、それを武器に事件を解決していくのがホームズとは違う方法論で面白いです。ふざけているかと思いきや“美”に対しての哲学があるという。

阿久津　ひとりひとりにこだわりがあるのがカッコいいよね。

「世にあるほとんどの音楽ジャンルが盛り込まれているんじゃないかと思うくらいのステージになると思います。」（立花）

――探偵団のメンバーはそれぞれ個性的です。実際に演じるにあたって、お互いのイメージを教えてください。

永田　仁愛は無邪気さがあるというか、ユーモアを兼ね揃えているので、（双頭院）学役にぴったりです。仁愛の隙あらばボケてくる感じとか、そういう部分が学役にいきるんじゃないかなと思います。リーダーだからといって無理に引っ張ろうとしないし、俺たちが逆に学の立ち振舞いを見て、ついていこうって思えるという。素敵なことだなと思います。

立花　今回、はじめて仁愛と共演させて貰っているけど、テンションが凄くいいって思う。歌うときも空気に飲まれずにちゃんと双頭院 学として入ってくるし。

永田　役柄と凄くリンクしてる。

阿久津　おお、嬉しい～。聖ちゃんが演じる“袋井 満”は一匹狼の不良なんだけど、料理作ってくれるし。悪い不良じゃない。うん？悪くない不良？ってなに？

永田　なんとなくわかるけど（笑）。

阿久津　これまでクールな役をやるのは見てきたけど、袋井役は普段の聖ちゃんとイメージが違うから新鮮ですね。

立花　ツッコミ役も担っているし。

永田　そうそう。ツッコミ多いかも。「普通だったらこうするだろ？」って“普通感”をいちばん持ってるのが僕の演じる満ですね。不良なのに……。

立花　アドリブでツッコミをいれるシーンもあるしね。

永田　あるね～。今、ネタを探してニュースをめっちゃ見ていますね（笑）。毎回、変わるんでどうなるか…今から怖いです（笑）。

阿久津　僕は裕大くんと共演するのがはじめてですけど、読み合わせのときから“咲口 長広”だってめっちゃ思いました。シルエットというか、ステージ上での立ち姿とか。紳士らしく立っている姿がカッコいいんですよね。

永田　長広は紳士的なキャラだけど、裕大くんが本来持っているポップでハッピーなオーラによって少年心を持った長広になるんだよね。クールだけど浮かないし、みんなとのバランスも良いと思う。

――今回の舞台は“迷宮歌劇”と銘打たれています。どんな楽曲が披露されるのでしょうか？

永田　一曲、一曲でいろんなジャンルを楽しめるようになっています。今回の舞台は大晦日からスタートするので、（演出家の）香さんが「紅白にも負けないような」と言われていましたので、それくらい楽しめると思っています。

立花　世にあるほとんどの音楽ジャンルが盛り込まれているんじゃないかと思うくらいのステージになると思います。

阿久津　歌だけじゃなくてラップもあるし。

永田　ディスコも、サンバも昭和歌謡的なのも。

――印象に残りそうな一曲は？

阿久津　“美少年探偵団のテーマ”のような曲があるんですけど、めっちゃカッコいいです。

立花　一回聴いたら耳に残りますね。これからはじまるワクワク感もあるし。

阿久津　振りがついているところはカッコよく、遊べるところはキャラクターを出しつつ。聴き応えがある曲です。

――テーマとして“美”があると思いますが、みなさんがこだわる“美”の部分は？

立花　所作をキレイにしたいと思っています。普段の生活が適当なので、立ち姿とか細部にまで気をつけたいですね。

永田　細部は大事だよね。料理が得意な役だから、包丁とか皿を大事にしたり、お茶の注ぎ方や食器の触り方にもこだわっていけたらいいと思います。

阿久津　僕は発想力ですね。空気感というか、周りから“学、来た！”みたいな。そういう部分も“美”だと思うんですよね。台本にはない発想力も出せていけたらいいなと思います。

「来てくださったみなさんが、楽しかった！美しかった！って感想を言って貰えるような舞台にしたい。」（阿久津）

――西尾維新さん原作の舞台化ということで演出もクセが強そうです。

立花　やはり言葉をどう表現するか？ですよね。まだ稽古に入ったばかりで具体的なことは言えませんが、舞台ならではの西尾維新さんの世界観が見られると思います。僕は舞台で言葉を表現するってこういう方法があるんだ！って感動しましたから。

阿久津　セットもめちゃくちゃ凄いんですよ。

永田　もはや迷路（笑）。

立花　ギミックも凄いし、オレ、本番中に迷子になって帰ってこれないんじゃないかと今から心配になってる。

阿久津　裕大くんは迷子になると思う（笑）。僕らもまだ全貌を知らないですから。

永田　舞台の隅々まで計算され尽くされているので、ステージのどこを見ても見応えがあると思います。

阿久津　それでいて僕らが引き立つセットの色合いになってるし。ステージに立つのを想像するだけで嬉しい気分になっています。

――大晦日から2022年にかけて素晴らしい舞台が見られるわけですね。

阿久津　本来ならば大晦日は家で過ごすと思うんですけど、今年は大晦日も僕らと一緒に過ごしましょう。来てくださったみなさんには120％、「楽しかった！」、「美しかった！」って感想を言って貰えるような舞台にしたいと思っています。

永田　「美少年探偵団」ということで、子ども心を思い出させてくれる作品です。子どもっていい意味で世間知らずで無鉄砲な部分が美学としてあるので、やっている僕らも、見ている人たちもワクワクできる作品にできたらいいなと思っていますのでぜひ見に来てください。

立花　2021年もいろいろあったと思いますけど、我々と一緒に有終の“美”を飾っていただいて、2022年、元旦から共にロケットスタートで楽しんでいただけたらと思っております。

――ありがとうございました。

ライター：高畠正人
写真：村上宗一郎
ヘアメイク：新田彩加