音楽劇「プラネタリウムのふたご」
永田崇人×阿久津仁愛 インタビュー

いしいしんじ原作の同名小説(講談社文庫)が舞台作品として6月から7月にかけて愛知、東京、大阪の3都市で上演される。5年前に上演された音楽劇『麦ふみクーツェ』でいしいしんじ作品を手がけたウォーリー木下が脚本・演出を、トクマルシューゴが音楽を担当。主演は永田崇人と阿久津仁愛。星の見えない村のプラネタリウムで拾われたふたご役を演じる。彗星にちなんで名付けられたふたごは、星の語り部の男に育てられ、ひとりは手品師に、ひとりは星の語り部になった。おのおのの運命に従い彼らが果たした役割とは?永田崇人と阿久津仁愛の2人に今作にかける意気込みを聞いた。


――今回この作品に出演が決まった感想をお聞かせ下さい。

永田「嬉しかったです。僕は、いしいしんじさん原作の舞台、つながる音楽劇『麦踏みクーツェ』を拝見していて、好きな世界観として心に残っていました。そしてその演出をされたウォーリー木下さんとは沢山の舞台をご一緒させて頂いていますし、ミュージカル『リューン~風の魔法と滅びの剣~』でご一緒した作詞の森雪之丞さんや共演の春風ひとみさん、大澄賢也さん、安田カナさんとまたご一緒させて頂ける喜びもあります。そして、田鍋謙一郎さんは事務所の先輩であり、阿久津仁愛くんと一緒に受けた演技レッスンの先生でもあるので、やっとご一緒できるのが嬉しいです。」

阿久津「僕は、初舞台が「ミュージカル『テニスの王子様』」で、今回も音楽劇に出演させて頂けるのは嬉しいです。あと、崇人くんとは、一緒に演技レッスンを受けていた時期があり、僕らお互い「似てるね」と言い合ったことがあって、今回ふたごの役が出来るのがとても楽しみです。」

永田「実際は、7つ違うんですけどね(笑)。」


――作品、そしてそれぞれの役の印象をお聞かせ下さい。

永田「ウォーリーさんの創る世界観は、いしいさんの創る世界とも近しいものがあると感じます。ウォーリーさんの作品は、僕の頭の中では、絵の具を水に垂らした時のフワーってなるようなパステルなイメージ、美しくて可愛いという印象があります。この作品には「騙されることは決して悪いことだけではなくて、幸せになることもある」というメッセージが芯にあって、僕らの仕事も、舞台が好きな方々が騙されに来て下さる、という言い方も出来て、そういう意味では通じる部分があるんじゃないかと思います。劇中ではマジックもあるし、存分に騙されに来て頂けたらと思います。原作の、“兄貴”が手品をするシーンでは久々に泣きました。「ああ泣きそう」みたいなことは最近もあったんですけど、ちゃんと泣いたのは久しぶりでした。」

阿久津「僕は、原作の、“例え”の表現が独特で凄いなと思いました。あと単純に、僕は田舎出身で星を見るのが好きなので、星座についての知識が得られるのも良いなと思いました。あとは…、タットルが優しくて落ち着いていて、自分とは違うなと思いました(笑)。」

永田「僕は最初から、「タットルは仁愛だ」と思って読んでいるから、すごく合っていると思うけど。」

阿久津「テンペルとタットルを僕ら二人が演じるとしたら、やっぱりテンペルを崇人くんが演じると魅力的だな、と思います。そういう意味ではどちらかと言えば僕はタットルですよね。」

永田「僕はテンペルに、「大人になっても忘れない童心を常に持っている」というイメージを持っています。あと、凄く優しいと思います。」

阿久津「タットルは、活発なテンペルと比べると少し引いた印象もあるかもしれませんが、心の中では同じことを思っている気がするんです。でも色々な思いを心に秘めてしまって、素直に出せないところもあるけど、“人を愛すること”が上手な子なのかなと思いました。」


――ビジュアル撮影で、扮装をしてみて如何ですか?

阿久津「僕は今まで、役ではずっと帽子姿だったので、髪を染めたことがないし、ウィッグも初めてで。「誰だ?」と自分で思いました。意外と長髪が似合うんだなって(笑)。無いと思っていたので。」

永田「“男ふたごの力強さ”というよりは、中性的で可愛らしいイメージですね。」


――阿久津さんは、ウォーリーさんとはもうお会いしましたか?

阿久津「今日初めてお会いしたんです。「テニミュ」を観に来て下さっていて、その時の話などはしましたが、今回の役についてのお話は、まだしていません。」

永田「ウォーリーさんは、その人自身がどういう人なんだろう、というのを凄く大事にする方だと思うですが、仁愛の事をよく知りたかったんじゃないかな。」

阿久津「もっと知って頂きたいので、もっとお話したいです。(笑)」


――キャストの皆さんの印象を聞かせて下さい。

永田「まず仁愛は、出会った中学生の頃は、ちょっと喋るだけで「俺なんか悪い事してる?」と思うくらい純粋な感じで、それが本当に可愛いかったんです。でも今は、あの「テニミュ」の大所帯を引っ張っていかなきゃいけなくて、それを何年もやって来た人なので、僕よりも真ん中に立つ責任とか強さみたいなものは沢山知っているんじゃないかと思います。どんどん変化していて、素敵だと思います。」

阿久津「「テニミュ」以外の、他の舞台の経験が無いので、早く知って、学べる所をどんどん吸収していきたいです。今回初めてご一緒する方ばかりですが、多分この舞台を踏んだら、考え方が色々変わると思うので、それが楽しみです。様々な経験をして、成長できたらと思います。」

永田「僕としては、音楽劇「リューン」でご一緒した方が何人かいらっしゃいますが、あの時より少しでも成長した姿をお見せする事が出来たらと思っています。「ハイキュー!!」でご一緒している冨森ジャスティン君も、舞台の上で凄く集中力を発揮する俳優さんなので、またご一緒できるのが嬉しいです。そして、熱望していた田鍋さんとの共演。やっぱり僕の演技の基礎を作ってくださった“先生”なので、ご一緒できるのがすごく嬉しいです。と、ご本人にお話をしたら、「すごいプレッシャーだなー」と言われました(笑)。本当にキャストの皆さんが豪華で、まだご一緒するという事に想像がつかなくて。ウォーリーさんの演出で、贅沢で、僕は、楽しみでしょうがないです。」