この2年間『ダイヤのA』 The MUSICAL への気持ちは途切れなかった
2020年の公演がコロナ禍により中止となった『ダイヤのA』The MUSICALが、2年の時を経て9~10月に上演される。寺嶋裕二が描く高校野球漫画を初のミュージカル化する注目作だ。主人公・沢村栄純を演じる糸川耀士郎はーー
糸川「中止になって一度は落ち込みましたけど、いつか再始動できるときに鈍った体でいたくないと思って、家
の近くの公園で左投げの栄純のフォームを練習したりしていました。この2年間『ダイヤのA』The MUSICALへ
の気持ちは途切れなかったので、公演が決まったときはすごく嬉しかったです」
と、喜びを口にした。
稽古前におこなわれた野球ワークショップでは自主練習の成果があった様子。
糸川「2年前のビジュアル撮影では球の持ち方から指導していただいたのですが、今回のワークショップで
はスタッフの皆さんからも“安心しました”って言われました(笑)。これからもっと練習して、野球ファンや
『ダイヤのA』のファンの方が見ても納得できるようなフォームを作っていけたらと思います」
キャラクターの再現度を期待される2.5次元作品で、野球経験がほとんど無い自分が主人公を演じていいのかという不安もあったが、「栄純だから挑戦しようと思った」と明かす。
糸川「栄純って、どん底からいろいろな技術を身につけて、周りに刺激されながら、すごい負けん気で這い上
がっていくキャラクターなんですよね。彼の明るさや自分を信じて疑わない力に自分をリンクさせること
ができたので、栄純と一緒に成長していけたらいいなと思えたんです」
他にもスポーツを題材にした舞台の特別な魅力についても教えてくれた。
糸川「座組自体が部活みたいな感覚になるのがすごく好きなんです。全員でひとつのチームになって、お互
いが絶対誰にも負けたくないし、僕が一番努力して一番輝いてやるって感じ。たとえば、誰かがダンスを
自主練して、昨日できなかったところを完璧に仕上げてくると、僕も負けてられないと思う。そういう連
鎖が部活に似ていると思います。男たちのぶつかり合いみたいな感覚で初日までにひとつにまとまっ
ていって、最後は円陣して舞台上にみんなが出ていく。その感じがすごく好きです」
白熱の試合展開などがミュージカルでどう表現されるのかも期待の高まるところ。
糸川「マウンドを舞台の上でどう表現するのか、歌やダンスがどういうタイミングで入ってくるのか…未知数
だから、僕自身もすごく楽しみです」
『ダイヤのA』の原作を読んで強く感じたことは「リアル」だと話す。
糸川「必ずしも勝てるわけではないし、一軍のメンバーがずっと一軍にいられるわけではない。努力だけでは
どうにもならないことがあるということも、リアルに描いている作品だなって思います。でも、その中で頑張る栄純がめちゃめちゃ好きなんですけど、彼のまっすぐさや何も恐れずに突き進んでいく姿勢とかを見て、勇気をもらえるんです。皆さんの心に届くように全身全霊で演じますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。千秋楽には、この先もずっと栄純を続けて演じていきたいと思えるぐらい、自分のレベルを高められていたらいいなと思っています」
俳優・糸川耀士郎の2年越しのチャレンジに期待したい。
インタビュー・文/井ノ口裕子
Photo/篠塚ようこ
ヘアメイク/望月光
スタイリスト/MASAYA
衣装協力/TEKI
〈衣装〉
・ジャケット ¥35,200
・コート ¥32,000
・パンツ ¥31,900
以上3点ともに(TEKI)
その他スタイリスト私物
〈お問い合わせ〉
・TEKI (sunlady2@bp.iij4u.or.jp)
※構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載
※写真は誌面と異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
イトカワ ヨウジロウ
■’93年生まれ。劇団番町ボーイズ☆のメンバー。主な出演作は、舞台「黒子のバスケ」、ミュージカル『刀剣乱舞』、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.5-など。