©葉鳥ビスコ・白泉社／歌劇 『桜蘭高校ホスト部』製作委員会

前作よりさらに深く環の成長を表現できたら

今年1月に上演されるや、原作ファンから圧倒的な支持を得た歌劇『桜蘭高校ホスト部』。ホスト部部長・須王環を演じた小松準弥にも「環そのもの！」と称賛の声が上がった。

小松「みんなを引っ張っていく明るさが環の魅力。最初は台詞の言い回しや動きのキレといった環らしさにいっぱいいっぱいになって、なかなか環のエネルギッシュさに追いつけなかったんです。それで、どうしたらいいんだろうと考えたときに、まず僕自身が楽しむことが大事なんじゃないかと思って。自信を持って環として生きることが、環の根っこにある人を引っ張る力につながっていく。そこを一つの指針にしてから、環という人間がスッと自分の中に入ってきた感覚がありました」

特に、里中将道演じる鳳鏡夜との関係性に魅せられたファンも多かった。

小松「初座長という気負いとプレッシャーを抱えていた僕に『1人で背負い込まなくても大丈夫だよ』と声をかけてくれたのが将道でした。将道がいてくれたから、僕も安心して環でいられた。ホスト部の歌のシーンでも、他の部員のところは見守るような感じだったのが、鏡夜のパートになったら『あとは俺が引き受けるから任せてくれ！楽しんでこい！』という気持ちで準備に入れた。そういうところで環と鏡夜の関係性を表現できたのは将道が鏡夜だったからだし、お互いが想い合っていることを観ている人に空気感から感じてもらえていたなら嬉しいですね」

歌劇と銘打たれている通り、バラエティ豊かな楽曲が彩りを添える。しかし、小松自身は歌にあまり自信がなかったのだとか。

小松「そんな僕を励ましてくれたのが、藤岡ハルヒ役の山内（優花）さんでした。僕の歌声や気持ちの込め方についていいところをたくさん挙げてくださって、『自信を持って大丈夫』と背中を押してくれた。その言葉で悩みも一気に吹っ飛びました。ハルヒとはデュエット曲が2曲あったんですけど、彼女の目を見て、ハルヒから出てきた感情を全部キャッチして、今度はそれを環がハルヒに返すというような表現ができた。僕の全部を受け止めてくれた山内さんには感謝しています」

第2弾公演では、埴之塚靖睦＆銛之塚悟の弟コンビに、モナール王国の第一王女・ミシェルなど新キャラクターも登場する。

小松「環としてはやっぱりミシェルが気になります。ミシェルが登場することで、環とハルヒの関係もまたひとつ変化しますし、ミシェルに母親の面影を感じるところは、環の人間らしさを出せるポイントでもある。熱量をパワーアップさせるのはもちろんのこと、前作よりさらに深く環の成長を表現できたらと思っています」

ちなみに、前作では孤独な王子を演じる環が雨（シャワー）に打たれる場面がそのまま再現され、笑いをさらった。

小松「気持ち良かったですね。まさか舞台上でシャワーを浴びる日が来るとは…という感じでしたけど（笑）。ずぶ濡れになっている環を見て、みんなが笑ってくれるじゃないですか。それがうれしくて、“もっと俺を見てくれ！”と環の中に眠るナルシストな部分が全面に出てしまいました（笑）」

きっと今回も観客の想像を上回る演出が待っているはず。本番の幕が上がるのを楽しみに待ちたい。

インタビュー・文／横川良明　

【プロフィール】

コマツ　ジュンヤ
■’93年生まれ。俳優、歌手として活躍。’21年9月から放送の「仮面ライダーリバイス」にて、門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ役としてドラマ初出演。

※構成／月刊ローチケ編集部　9月15日号より転載

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