『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』吉田仁人(M!LK)×武藤潤(原因は自分にある。)インタビュー

写真左より 吉田仁人(M!LK)・武藤潤(原因は自分にある。)


ファンタジーの世界で描かれる人間ドラマ

 

大ヒット配信RPGゲーム原作とした舞台『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS幻影戦争 THE STAGE』(FFBE幻影戦争)が2024年2月に幕を開ける。列強に囲まれたリオニスという小国を舞台に、リオニスの王子・モントと双子のシュテルの対立と、親子・仲間との絆を描く本作。モントを演じる吉田仁人(M!LK)とシュテル役の武藤潤(原因は自分にある。)に公演への意気込みや役作りについてなどを聞いた。

 

――『ファイナルファンタジー』というゲームはご存じでしたか?

吉田 有名な作品なのでタイトルはもちろん知っていましたが、あまりゲームをする習慣がなかったので、今回、お話をいただいてすぐにプレイさせていただきました。それが初プレイでした。


――初プレイはいかがでしたか?

吉田 台本をいただいた後にプレイしたので、また普通のプレイとは違うと思いますが…とにかくモントを自分の分身のように強化しまくって、攻撃力を最大にして、パーティーのリーダーにして遊んでます。

武藤 僕もシュテルをめちゃくちゃ強くしてます(笑)。

吉田 そうなるよね(笑)。


――武藤さんは、ゲームをプレイしたことはありましたか?

武藤 僕も普段はあまりゲーム自体しないのですが、『ファイナルファンタジー』に登場するキャラクターのようなビジュアルに憧れていて。髪が白くて長髪で、センター分けにしているセフィロスみたいになりたいと思っていました(笑)。なので、まさか本当に『ファイナルファンタジー』が舞台化されて、その作品に僕が出演できるなんて驚きでした。

吉田 本当に驚いたし、嬉しかったよね。


――では、台本を読んだ率直な感想を教えてください。

吉田 ファンタジーな要素がたくさんある物語ですが、ゲーム自体は戦国時代をモチーフにしているそうです。それを聞いて、なるほどな、やっぱりそうかと。国盗りの話やそれぞれの思惑が交錯する様子が歴史物の雰囲気を感じていたので、すごく合点がいきました。僕は歴史物が大好きなので、演じるのが改めて楽しみになりました。

武藤 ファンタジーの世界を描いていますが、人間ドラマでもあると思います。一人ひとりに戦う理由がきちんとあるんですよ。先の展開が読めないということもあり、読み始めたら止まらなかったです。


――吉田さんは双子の兄で王子のモント、武藤さんは弟のシュテルを演じます。それぞれの役柄について、今現在はどのように感じていますか?

吉田 モントはまっすぐな人間です。ただ、物語の最初と最後では全然雰囲気が違うんですよ。最初はどこにでもいるような普通の兄ですが、様々な出来事を経験し、国を守る王子になっていく。この作品は、そうした成長の物語でもあると思うので、モントに感情移入しながら(台本を)読みました。

武藤 シュテルはモントと対立する、いわゆる悪役です。ですが、彼には彼なりの正義があり、過酷な運命に立ち向かっていきます。難しい選択を迫られ、どうにもならない運命を背負って前に進んでいく姿は、この作品の見どころの一つだと思うので、悪役ではありますが、彼の想いが観てくださる方に伝わったらいいなと思います。

 


――ご自身と似ていると思うところはありますか?

吉田 僕は、争いごとが好きじゃないので、そこは似ているところだと思います。あとは、周りのサポートなしでは生きていけないところ。モントは周りの人たちの支えがあるから自分がそこにいられることを分かっているし、周りを頼りながらも守っていこうと思っています。そうした気持ちはすごく共感できます。僕もM!LKというグループのリーダーをしているので、似たような境遇にあるのかなと思いました。そういう意味では、モントは演じやすいキャラクターだと思いますが、今回はきっとアクションが過酷だと思うので、そう簡単にはいかないだろうなと。皆さんのお力を借りながら、役を作っていけたらと思います。

武藤 僕が似ていると思うのは、赤色が似合うところかな。

吉田 意外なところからきたね(笑)。

武藤 それくらいしかない気がします(笑)。あとは…シュテルは剣術に長けているのですが、僕も幼稚園の頃は、木の棒を振り回して遊んでいたので、そんなところは似ているのかもしれません(笑)。


――演じる上では、原作のゲームを意識して役を作っていく予定ですか?

吉田 もちろんビジュアルの面ではそうしたいと思いますが、内面的なものは僕たちが生で演じることで伝わるものもあるのではないかと考えています。台本をただなぞるだけではなく、それぞれの場面でモントがどんな心の動きをしているのかを考えながら演じたいと思っています。

武藤 僕は、この作品に出演できると決まって、まずゲームをプレイしたんですよ。なので、プレイをして感じたことやその時の心の動きを忘れずに演じたいと思っています。お客さまが僕と同じ心の動きができるように、稽古を通して役を作り上げていけたらと思います。


――ビジュアル撮影で実際の衣裳を着用したことも役作りの手助けになるのではないかと思いますが、衣裳を着用した感想を教えてください。

吉田 モニターで見た自分は僕ではありませんでした(笑)。メイクも服も鎧もまさに原作通りのクオリティーで驚きましたし、モントをしっかり演じ、この作品の世界観を表現しなければと改めて思いました。

武藤 (シュテルの衣裳を着用したら)とにかく強そうに見えました。僕はこれまで殺陣をやったことがないので、強そうに見えるように稽古しなくてはと引き締まる思いでした。でも、すごく素敵な衣裳だったので、この公演が終わったらもらえないか相談しようかなと(笑)。

吉田 再演したいから、あげないよ(笑)。でも、もし、もらったら着るの?

武藤 いや、飾っておきたいです(笑)。

 


――再演のために衣裳は取っておきましょう(笑)。そして、今、お言葉にもあった通り、本作はやはりアクションシーンも見どころの一つだと思います。お二人とも殺陣は初めての挑戦と聞いていますが、今、準備していることはありますか?

吉田 殺陣は初めてですが、合気道を習っていた時に、剣術も合わせて習っていたので、その動きや型を思い出してできたらと思っています。合気道の基礎を応用したのが剣術なんですよ。なので、きっと役に立つのではないかなと。それから、ダンスがアクションに生きたらいいなとは思っています。でも、本当に日頃からの体力づくりが大切ですよね。魅せられるカッコいい型で、かつそこにエネルギーを感じられるように、毎公演、フルパワーでいけたらいいなと思います。

武藤 僕は空手を10年くらい習っていました。空手の型が生きるのかは分かりませんが、殺陣も空手も相手とのコミュニケーションだというのは共通するところだと思うので、しっかり相手と息を合わせることを心がけて臨めたらと思っています。


――今作はゲームが原作ということもあり、映像を駆使したアクションになるのではないかと期待してますが。

吉田 そうなんですよ。僕たちもまだどうなるのか分かりませんが、セットはもちろん、映像にもこだわった作品になると聞いているので、すごく楽しみです。その分、芝居の難易度は高そうですが(苦笑)。

武藤 大きな羽が生えているキャラクターもいるので、それをどう再現するのかも個人的にはすごく気になります。


――ところで、お二人は事務所の先輩・後輩という間柄で、昔からのお知り合いですよね。初めて会ったのはいつ頃なんですか?

吉田 かなり前ですね。5年前くらいかな?。

武藤 だと思います。

吉田 お互いに学生服を着てました。

武藤 懐かしい!


――お互いの印象は?

吉田 とにかく明るくて、にこやかで、ずっと変わらない、大好きな後輩です。ずっとこの感じなので、楽しい稽古場になりそうだなと思っています。

武藤 “兄貴”です。グループの中でもリーダー的な立ち位置をされているので、今回も引っ張っていってくれるのではないかなと思います。あと、声がカッコいい。先輩でいてくれて、嬉しいです。


――今回、吉田さんは主演という立場になりますが、座長としてこの座組みをどのように引っ張っていきたいと考えていますか?

吉田 初めて主演をさせていただくので、本当にどうしたらいいか分からないんですよ。主演の方は、カッコよくて、背中で見せるタイプの方が多いように思うので、そうなれるよう頑張りながらも、誰よりもひたむきに、誰よりも一生懸命に、皆さんから応援してもらいたくなるような主演でいられたらといいなと。とにかく一生懸命やるしかないですね。


――グループのリーダーとはまた違いますか?

吉田 違います。グループは(自分以外のメンバーは)4人だけですし、みんながそれぞれ役割を担っていますから。リーダーといえど、みんなが同じ土俵に立って頑張っている。ですが、舞台の座長はキャリアが長い方も多いですし、自分にはまとめるというのは無理だと思います。なので、愛される座長でありたいです。


――武藤さんから見た、吉田さんの座長っぷりはいかがですか?

武藤 仁人さんの好きなようにやってくれれば、僕は嬉しいです。それでいいです(笑)。

吉田 でも、無理をしたってボロが出るだけだと思うので、分からないときは分からないと素直に質問していこうと思います。

 


――ところで、今作は兄弟の愛や確執を描いていますが、お二人はご兄弟はいらっしゃいますか?

武藤 僕は一人っ子です。なので、ずっとお兄ちゃんやお姉ちゃんが欲しかったです。話す相手がいたら楽しいだろうなと思いましたし、服やオモチャをお下がりでもらうことに憧れてました。

吉田 僕は6歳下に弟がいますが、年が離れているので、甥っ子のような感覚です(笑)。きっと弟も僕のことをお兄ちゃんではなく、身近な大人だと思っていると思います。なので、全然兄弟感がないと思います。欲しいものがある時だけ、弟感を出してくる(笑)。僕自身もあまり兄っぽいことはしていないように思います。仕事ばっかりしてきたので。最近になってようやく弟はライブにも来るようになりましたが。


――でも、弟さんから見たら、実は憧れのお兄ちゃんなのでは?

吉田 だといいんですが。悩み相談もたまにされますが、甥っ子と叔父さんという感じが自分ではあります(笑)。

武藤 いいですね。そういう話を聞くとうらやましい。


――一人っ子とはいえ、武藤さんは末っ子感がありますよね。

吉田 うん、あるある。

武藤 ありがとうございます(笑)。

吉田 人から愛されるキャラですよね。だから、この業界にお兄ちゃんをいっぱい作ればいいんだよ。兄貴肌の人も多いんだから。

武藤 そうですね。お兄ちゃん、作ります!


――ありがとうございました! 最後に公演への意気込みをお願いします。

吉田 素晴らしいスタッフの方々、キャストの方々が集まっている作品です。初主演を言い訳にせず、しっかりと役と向き合いながら、演じたいと思います。何度も観たいと言っていただけるような、皆さんの記憶に残る良い作品にするために、これから稽古も頑張っていきますので、ぜひ劇場に足をお運びください。お待ちしております!

武藤 『FFBE幻影戦争』の世界観を表現した舞台ですが、ゲームをプレイしたことがある方もない方も楽しめる物語になっています。ファンタジーの世界が舞台上に広がります。観たことを後悔しない作品にしたいと思っているので、頑張ります。