©Tezuka Productions ©舞台「七色いんこ」製作委員会
日本漫画界の巨匠、手塚治虫の「七色いんこ」が 舞台化される。観客から盗みを働くのを劇場と劇団が見逃すことを条件に、どんな代役でも引き受けて見事に演じ切る天才役者にして泥棒、七色いんこ。彼を追う女刑事の千里万里子は、彼を捕らえたい一方で淡い恋心も抱いていた――。
この名作に挑むのは、乃木坂46の伊藤純奈と、けやき坂46の松田好花。この日初めて顔を合わせたという2人に話を聞いた。
――出演が決まった時のお気持ちは?
伊藤「初めての主演、それに加えて初めての男役。嬉しいとは思ったんですが、お話を頂いたときは、不安も大きかったです。男役の経験もないですしね。今は、前回の舞台で共演させていただいたキャストもいますし、同じ坂道シリーズのこのちゃん(松田好花)が居てくれて、とても心強い。主演ではありますが、引っ張っていく気持ちも大事ですが、独りよがりにならずに周りのみなさんに甘えられるところは甘えつつ、と一緒に頑張っていきたいと思います」
松田「私は、けやき坂46として初めての舞台『あゆみ』に出演したことをきっかけに、表現することが楽しい気持ちになっていたんです。そこから、また演技のお仕事をしてみたいと思っていたところだったので、とにかく嬉しかったです。『あゆみ』では、“犬”という人間じゃない役だったんですが、人間よりも犬を演じている方が楽しかったりもしました(笑)。もともと、頻繁にお芝居を観ていたわけじゃなくて、学校の行事などで観劇にいったことがあるくらいなんですが、実際に舞台に立つ経験をしたことで私は表現することが好きなんだな、と実感しました。お話をいただいてから『七色いんこ』を知ったんですが、そもそも設定が面白いですよね。代役でちゃんと演技をする代わりに、お客さんから金品を盗むなんて…」
伊藤「手塚治虫さんの作品というだけで、もうスゴイ作品だな、って思いますよね。私が演じるいんこは、舞台で代役をやるので、本当にいろいろな役を演じなければならない。難しい作品だな、とプレッシャーも感じています。でも単純に面白い作品なので、初めて知った方でも楽しんでいただけるはず」
――いんこを演じるにあたって、何かイメージされていることはありますか?
伊藤「やはり男役なので、佇まいから違うんですよ。これまでの私の知識の中にはまったくありませんでした。過去の作品には、女性が男性役をやっていた方が居たんですが、とてもナチュラルにやってらっしゃったので…こんなに難しいとは思いませんでした。これまで共演させていただいた先輩方にも相談したいと思っています。元宝塚の方もいらっしゃったので」
――初めての男役は、役作りも大変そうですね。松田さんはいんこを追う女刑事役ですが、役についてどんな印象をお持ちですか?
松田「元スケバンでちょっとやんちゃなところがあって、けっこう私自身とは違う感じの女性です。でも私も負けず嫌いなところはあるので、そこは近いかもしれません。万里子を演じることで、カッコいい私を観ていただけると思うので、新しい私の側面を知ってもらいたいですね。表情は研究したいなと思ってます。というのも、鳥アレルギーで、鳥を見ると体が縮むという設定があるんですけど、実際にはあり得ないじゃないですか(笑)。そういう部分も楽しみたいですね」
――今回、乃木坂46とけやき坂46という、坂道シリーズのグループの枠を超えた共演ということも話題になっています。そんな記念すべき初共演の2人に選ばれたお気持ちは?
松田「私が引っ張っていく、というようなことも全然イメージには無いんですが…でも、選んでいただいたからにはしっかりと結果を残したい。私をきっかけにけやき坂46をもっと知っていただければ嬉しいです」
伊藤「欅坂46はデビュー曲のサイレントマジョリティーの前夜祭に遊びに行っていたりもしたんですが、けやき坂46は握手会の会場で一緒になったときにご挨拶したことがあるくらい。お話する機会もほとんどなかったので、このちゃんとの共演をきっかけにけやき坂46とももっとたくさんお仕事できるようになったら、もっと楽しいはず。今回の共演が、いいきっかけになればいいな」
――お2人は今日初めて会ったそうですが、お互いの印象はいかがですか
伊藤「このちゃんは本当にめちゃくちゃかわいくて、色も白くてはんなりしたイメージ。お話もしやすくて、仲良くなれそうな気がします」
松田「伊藤さんとお会いするのは今日が初めてなんですが、すごく大人なイメージがあります。学年で言うと1つ上ですが、今は19歳で同い年。なのに、とても大人っぽいんです。オーラもすごくて…。舞台経験も豊富なので、とにかく学びたい。伊藤さんからたくさん吸収して、足をひっぱらないように頑張らないと、と思います」
伊藤「私、身長も高いし見た目はちょっとツンケンしてるように見られることもあるので(笑)、ちょっと年齢が上にみられがちなんですよね。でも、兄弟が上に2人居て、メンバーにも年上が多いので実は末っ子体質。甘えたい方なんです。このちゃんのタイプはまだわからないけど、私が甘えるようになったら面白いかも?(笑)」
松田「私は、メンバーとか周りの人から見ると、意外とサバサバしているところもあるみたいです(笑)。確かに、メンバーの反応が可愛くてつい、ハイハイ…みたいな感じになることもあるので…」
――これはイメージと違った意外な関係になるかもですね(笑)。とはいえ、松田さんはデビューしてから、今回でまだ舞台2作目。せっかくなので、何か伊藤さんに聞いてみたいこととかはありますか?
松田「あの…すごく基本的なんですけど、セリフってどうやって覚えているんですか? 『あゆみ』の時は、犬役で吠えたりするだけでしたし、動きで表現することが多くて、こんなにたくさんのセリフは初めてなんです…」
伊藤「えー、このちゃんカワイイ…(笑)。私は、お風呂とかに入りながら詰め込むタイプですね。どうしても覚えられない時は、自分でセリフを言ったものを録音して、ずーっと聞いてます。乃木坂46の活動もあって稽古に行けない時は、申し訳ないけどメンバーに台本を渡して相手をやってもらって掛け合いのセリフを練習したりもしています。今回は、掛け合いが多いので、絶対に誰かとやったほうがいいんじゃないかな?」
松田「頑張ってみます! 舞台のこと以外でも、伊藤さんとは年齢が近いので、趣味とか好きなこととか、プライベートのお話もたくさんできたらいいな」
伊藤「稽古は朝から晩までみんなと一緒にいるので、仲良くなれるはず! 今日初めて会って、お互いに何て呼べばいい?ってお話して。それで私は“このちゃん”って呼ぶことにして、私自身は後輩からもさん付けより“純ちゃん”って呼んでほしいんですが…」
松田「いや、やっぱり先輩なので、なかなか…」
伊藤「なので、これから呼び方が“純ちゃん”に変わる瞬間を楽しみにしてるんです(笑)」
――稽古を重ねてどんどん仲良くなる2人が力を合わせて作り上げる舞台、楽しみにしています! 最後に公演を楽しみにしている方にメッセージをお願いします!
伊藤「初主演ということで、ファンの方は大きな期待をしてくださっていると思います。その期待に応えられるように、精いっぱい努力していきたいですね。私たちはアイドルだけれど、舞台上ではアイドルの枠を超えて、“どの子がアイドル?”って思われるものをみせたい。共演のみなさんも大好きな方ばかりだし、演出の三浦香さんもとても大好きな方なんです。大好きなものだらけなので、羽を伸ばして、良い舞台にできると思います!」
松田「乃木坂46やけやき坂46のファンの方にも来ていただきたいと思うんですが、『七色いんこ』という作品がお好きな方もいらっしゃると思うんです。来ていただいたすべての方に、この作品ってこんなに面白いんだ!と好きになっていただけるように頑張ります!」
インタビュー・文/宮崎新之