1991年に米・ニューヨークの路上パフォーマンスからスタートし、仮面をはぎ取った人間の本質の象徴である”ブルーマン”によるパフォーマンスで世界中を魅了してきた「ブルーマングループ」。ちょうど生誕30周年を迎えた2022年、そのワールドツアーがここ日本を皮切りに開催されることが決定した。日本では2007年より4年間で延べ80万人を動員し、2019年にはワールドツアーとして再上陸。東京・名古屋・大阪で全59公演開催され、東京の全42公演が完売と高い人気を誇っている。
この日の会見には”歌舞伎界のブルーマン”として、髪色を青く染めた歌舞伎俳優の松本幸四郎が登壇。冒頭のあいさつでは「初めて見たのは11年前。それ自体、ちょっと驚きのような感じがします。もちろん興奮しましたし、子どもの頃に遊んでいたような気持ちを思い出して、懐かしい感じもしました。ブルーマンがやっていることを家でやると、怒られるんですよ(笑)。でも、それをやっちゃいたいな、と思った気持ちを、大人になってから思い出させてくれた。そういう嬉しさや懐かしさを感じました」と、ブルーマンの印象を語っていた。
会見には、ブルーマングループのミュージックディレクターであるバイロン・エステップ、The Musicianのマッケンナ・トルファ、パフォーマーのパトリック・ニュートンと中継を繋ぎ、世界初公開となるドレスリハーサル映像などが公開された。トークセッションでは、松本が同じ演者としての気持ちなどを質問する場面もあった。
パトリックは事前に歌舞伎の映像を観たそうで「本当に素晴らしく、大切な芸術の形。ブルーマンとして親しみを感じる」とコメント。それを受けて松本は「歌舞伎もどれだけ人を驚かせるか、喜ばせるか、刺激を与えるか、というものとして誕生しています。現在では歴史ができ、芸術として存在していますが、見ている方々に感動していただくということを目指しているのは変わらない。歌舞伎には「かぶく」という言葉がありますが、それは言ってみればパンクのような、信念のある…ワルというような。それが歌舞伎の根本にある。生きた演劇、パフォーマンスとして、共通するものがあると思いますね」と、歌舞伎とブルーマンの想いの近さを感じていた。
また、歌舞伎では各地で公演する中での地域ごとの空気や反応の違いを感じることがあるという松本から、パトリックに「世界中で公演しているブルーマンは、土地ごとに気持ちやパフォーマンスに違いはありますか」と質問。パトリックは「もちろん、場所や時間によって観客の反応は違いますね。反応をみて、こちらも反応を変えますし、対話ベースでショーを変えていくので、日によって変化していきます。それがブルーマンのショーの美しくて素晴らしいポイントですね」と答え、笑顔を見せた。だからこそ、毎回新鮮な気持ちでショーを続けられるし、観客も何度も足を運んでくれるはずだとコメントした。松本は「僕が観に行った時は、僕だけのブルーマンがいるということですよね。違う日にはまた違うブルーマンに出会える」と、何度も見たくなるのは、毎回違うブルーマンに会えるからだと納得していた。MCから「幸四郎さんがブルーマンに、パトリックさんが歌舞伎に、ということがあるかも」と話しを向けられると、パトリックは「とても光栄です! ワクワクします」と目を輝かせた。
終盤では、松本に対し、「歌舞伎界のブルーマン」認定証が贈られるサプライズがあった。松本は、「歌舞伎は日本で400年以上前に生まれたエンターテイメントで、伝統芸能としても存在しています。「昔の人がこんなものを作ったよ」と紹介する役目ではないと断言するのは言い過ぎかもしれませんが、目指すのは役者としてお客さまに感動していただくこと。この在り方はブルーマンとも同じだと思うんです。“ブルーマン”というブランドの中で、伝統を継承しつつ新しいパフォーマンスを生み出していく、進化していくエンターテインメントだと思っています。歌舞伎ファンにもぜひ観ていただき、興奮していただきたいですね」と歌舞伎ファンにもアピールした。
「ブルーマングループ ワールドツアー IN JAPAN 2022」は4月2日より仙台、東京、名古屋、大阪、福岡にて開催される。 松本以外の各人のコメントは以下の通り。
バイロン・エステップ (ミュージックディレクター)コメント
「日本は、ブルーマングループの歴史の中で非常に特別で、心に残っている場所です。2007年に六本木で長期公演をさせていただき、多くのファンの方や友人に出会うことができました。歌舞伎や和太鼓の「鼓童」とのコラボは、ブルーマンに大きな影響を与えてくださいました。2019年にはツアーと言う形で、東京、大阪、名古屋で7万人の方にショーをご覧いただきましたし、2022年に戻れるのをとても楽しみにしています。日本ツアーの後は、韓国、インド、中東の数か国を経てヨーロッパを回ります。本当の意味でのワールドツアーとなっています」
マッケンナ・トルファ(ザ・ミュージシャン)コメント
「今回のワールドツアーにだけ登場するキャラクターが誕生しました。私が演じるThe Musicianは、また新たな形としてバンドを表すマルチな奏者です。ほとんどのシーンでブルーマンの上部に立っていますが、ショーが進むにつれてインタラクティブになっていき、ブルーマンや観客のみなさんとやりとりをすることになります。ブルーマンとの分離がなくなり、ショーの一部として大きなアクションを取れる役割を演じることができて、嬉しく思っていますし、光栄です。」
パトリック・ニュートン(ブルーマン)コメント
「ブルーマンは歴史があり、キャラクターのパーツなどもそろっていて、それを基本に作り上げていきます。ですが、舞台に立つとそんなことは考えずにキャラクターそのままのブルーマンになってしまうんです。文化の壁があっても、伝えたいストーリーが明確に伝わるので、非言語的なコミュニケーションがこのショーのカギだと思います。」
取材・文/宮崎新之
衣装協力:ラルフ ローレン パープル レーベル/ラルフ ローレン(0120-3274-20)