STOMP(ストンプ) |櫻井多美衣×ジェイミー・ウェルチ×ジョン・ギャビン×ジャスミン・ジョイナー×アラン・アスンシオン インタビュー

写真左から)ジョン・ギャビン、ジェイミー・ウェルチ、櫻井多美衣、ジャスミン・ジョイナー、アラン・アスンシオン

イギリス発、世界で大旋風を巻き起こした「STOMP」が13年ぶりに日本で上演される。8人のパフォーマーがデッキブラシやバケツ、ビニール袋にごみの蓋といった、あらゆるものを使ってリズムを生み出し、体感型のパフォーマンスを繰り広げていくこの公演は、ニューヨークでは29年にもわたり上演されてきた。そこで、日本人パフォーマーの櫻井多美衣をはじめ、ジェイミー・ウェルチ、ジョン・ギャビン、ジャスミン・ジョイナー、アラン・アスンシオンの5人のパフォーマーに話を聞いた。

――13年ぶりの日本公演となりますが、公演への意気込みを聞かせてください

アラン 「STOMP」は国境を越えて誰しもが楽しめるショーなので、それを日本のみなさんと分かち合えるのがとても楽しみです!

櫻井 私にとっては初の凱旋公演なので、それだけでもう楽しみなんですが、東急シアターオーブという渋谷のシアターは大きな場所だと聞いているので、とても楽しみにしています。日本のお客さまはシャイだったりすると思うんですけども、そういう人たちが「フゥ!」と声を上げられるような、エネルギッシュでパワフルなショーをお見せしたいです!

ジョン 日本のお客さんがどんな反応をするのか楽しみです。私たちはオーディエンスの反応によって、臨機応変に対応していきたいと思っていて、特にユーモアやコメディの部分は、受ける拍手や歓声に合わせるところがありますから。いつもとは違う文化圏の中で、自分たちがどんな形のパフォーマンスをするのか、すごく楽しみです。

ジャスミン (自身は)アメリカ国外でパフォーマンスするのは初めてなので、すごくワクワクしています。日本のお客さんの反応を見るのが楽しみなのは、ジョンと同じ!あと、私の親友がいま日本に住んでいるので、彼女が応援に駆けつけてくれるのも個人的には楽しみです。

ジェイミー 実は今回のメンバーは、「STOMP」のヨーロッパを巡るメンバーとアメリカのメンバーを合体させたグループなんですよ。日本だけの特別なメンバーでパフォーマンスできることもすごく楽しみにしています。

――日本でのステイで楽しみにしていることはありますか?

アラン 東京タワーには昨日、行ってきました!とにかく日本の文化にどっぷりと浸りたい。日本の人たちとコミュニケーションも取りたいし、富士山や水族館、温泉も行きたいな。

櫻井 私は1年ぶりの日本。父は料理人でラーメン屋をやっていたので、まずは実家に帰って実家のご飯を食べたいです(笑)。昔からのお友達やニューヨークで出会ったアーティストの友達が日本に帰国して住んでいたりもするので、そういう人たちとの交流を楽しみたいですね。中には自分でコンサートを開いている友人もいるんですけど、今回は私もショーがあるんだよ!ってみんなに言えることを、すごく光栄に思っています。

ジョン 僕は京都に行ってみたいな。日本には独特の文化があって、この場所に来られるだけでも光栄です。こういう機会に恵まれることはめったにないので、ぜひ日本らしい環境を堪能したいと思います。

ジャスミン 私はファッションが大好きなので、日本のファッションを見て楽しんで、ショッピングしたいです!

ジェイミー 僕はとにかく高いところに登りたいんだよ。精神的にも、肉体的にもね。東京タワーは昨日登ったから、スカイツリーにも行きたいし、富士山にも登りたいと思っているよ。一緒に登りたいって言っている人も来ているから、団体で登れたらいいな。

――ピッタリ息のあったパフォーマンスがとても魅力的ですが、呼吸を合わせる工夫は?

櫻井 お互いの音を聞くことが大切ですね。

ジェイミー 時間をかけてちゃんと合わせることもね。ちゃんと準備が必要だね。

ジョン そして、信頼も必要なんだ。タイミング通り音が出ることを信頼すれば、自分も自分の音に専念できるから。そこに強い自己主張が入ってしまうとよくないんだよ。メンバーの中にコンダクター(曲の核となる役割)がいて、もし迷ったときにはその人に合わせるようにしているよ。

櫻井 コンダクターも1人に決まっているわけじゃなくて、ナンバーごとに異なったりしているんです。

ジャスミン 私もみんなと一緒。とにかく良く聴いて、信頼して合わせる。キーがずれていたり、タイミングがずれていたりして、それを今どうするのか?というのをきちんとアイコンタクトやボディランゲージを使って意思疎通を図る。

アラン 「核となる人よりも静かに音を出すようにする」とか、工夫もあるんだよ。

――激しいパフォーマンスに思えますが、すごく繊細なコントロールの上にあるんですね。今回の公演の中で、個人的なお気に入りの部分はどんなところ?

ジャスミン ショッピングカートを使うパートがあるんだけど、始めはすごく難しかったの。私はもともとダンサーで、こういう5拍子の曲が難しくて。そこが音楽的にわかるようになってから、体を動かすようにできるようになったのね。なかでもお気に入りなのが、ビートがガンガン鳴って盛り上がったあとにブレイクして、ダウンビートになるところ。見ている人も一緒に盛り上がってくれると思うので、すごく好きなところよ。

櫻井 そこは音楽的にリズムが変わるので、お客さんにも伝わりやすい部分なんですよ。カートの音だけだったのが、足のSTOMPでマーチが入ってきて、パワフルな時間になっていると思います。

アラン 僕は冒頭が好きなんだ。何が起こるか分からなくて、1人1人のキャラクターが舞台に登場してくる。お客さんもどんな風に反応するのかわからない、あのドキドキ感がすごくたまらないね。

ジェイミー 僕はサスペンションだね。舞台上の大きな壁にフライパンとかの小道具が吊るされていて、2人の演者がハーネスをつけて左右に揺られて、その壁にあるちょっとしたものを鳴らすんだ。これはこういう音だね、って分かる小道具もあれば、なんで?って思うようなものもあって、照明の感じもすごく面白くて。そこから一気に音を鳴らし始めると、みんながワーッと盛り上がれる瞬間が訪れる。そこがすごく好きだね。

櫻井 私はお気に入りが聞かれるたびに変わっちゃうんですけど(笑)。全体的にシンプルでわかりやすいものから始まって、一気に音楽的に厚みが出て盛り上がる瞬間があるんですよ。そこがパワーがあって面白いところだと思っていて、「スーツケース」っていう私たちにとって一番新しいナンバーもそう。スーツケースをパスして、静かになったと思ったら、ゆっくりなテンポに戻してからのサンバのリズムでブンブンブン♪とやる瞬間がすごく気に入ってます。

ジョン これはタブレット菓子のケースだけど(リズミカルにチャカチャカと鳴らして)、こういう小さな音は注意深く聴いていないといけない。そこからコメディもあるし、ダンスもあるし、いろいろなキャラクターが出てきてSTOMPらしさがすごく感じられる。こういうちょっとしたものでも音楽が奏でられる、そこからはじまっていくところがすごく好きだよ。

――それぞれ、ダンサーやドラマーなどバッググラウンドが違いますが、今のパフォーマンスに繋がるような子どもの頃の原風景はどのようなものでしょうか?

櫻井 私はおじいちゃんです(櫻井の祖父は、トランペッター・タップダンサーの日野敏)。祖父の家に遊びに行くと、ベランダでいつもタップダンスしていたんですよね。当時80代だったと思うんですけど、タップ靴を履いて、こんな小さな動きでこんないろんな音が出るんだ!っていう驚き。ダンスってビジュアルだけじゃなく、音を鳴らすこともできる。そこに私は1番影響を受けていて、今に繋がっていると思います。

ジェイミー 父がロックのCDをいつもかけていたんだ。兄弟のみんなはあまり興味を示さなかったけど、僕だけは興味津々で。そのアーティストは…メタリカだね。あんなにラウドで怒りのような音楽に惹かれたのが、僕にとっての原風景かな。

ジャスミン 私は母もダンサーだったの。ミュージカルにも出ていて、ダンススクールもやっていた。私はいつも母にくっついていたから、ずっとそれを観ていて、絶対にこのパフォーマンスをしてみたいと思っていたの。そこがはじまりね。

ジョン 子どもの頃、親が自分を寝かしつけるためにギターを弾いてくれていたんだ。エリック・クラプトンとかをね。音楽に対する情熱は、そこからもう生まれていた気がするね。叔父もプロのドラマーだったから、ステージの脇からドラムを叩く姿を見ていたんだ。すごく激しく叩く人だったから、それはお手本になったね。

アラン 小さいときは、お鍋やカバンを並べて叩いて音を出して遊ぶような子だったんだよ。兄弟はみんなピアノを習っていたんだけど、友達のお兄さんがドラムを習っていて、教えてもらうようになったんだ。その感覚を覚えたときから、ずっとこれをやり続けたいと思ったんだよね。13~14歳くらいの頃だったと思うよ。

――それぞれ違った原風景があって興味深いですね。ちなみに、メンバーから見た櫻井さんってどんな人?

ジェイミー タミイは部屋を出ておいた方がいいんじゃない?(笑)。

ジャスミン 彼女はなんだかお母さんみたいなのよ。ニューヨークで一緒にやっていた時も、みんなを引っ張ってくれるし、母性を感じる。努力も惜しまないし、みんなを助けてくれる存在ね。

ジョン ちゃんと周りで何が起きているか把握できていて、細かいところもにもちゃんと目を配っている。何かわからないことがあったら、彼女に聞けばわかるんだよね。すごく自分に厳しい人だね。そして、ショーの合間に編み物をしているよ。彼女は編み物が好きなんだ。

ジェイミー 編み物って言おうと思っていたんだけど、言われちゃったな(笑)。本当に一緒に居て楽しいし、ステージに上がるとすごく存在感があるんだよね。

アラン タップダンスをしているときはまるでビーストだよ。彼女は謙遜しているけどね。

櫻井 本当にぜんぜんすごくないです。STOMPはアンサンブルでチームワークなので、凱旋公演ということで私にフォーカスを当てていただけることはすごく嬉しいんですけど、ステージ上でみんなで奏でる音楽、アンサンブルとしてのインターアクション、コミュニケーション、リアクション、そういう部分も楽しんでいただきたいと思っています。最高のメンバーでやっているので!

――最後に、公演を楽しみにしている日本のオーディエンスにメッセージをお願いします!

ジェイミー これまでに見たことの無い、どれとも違うパフォーマンスを期待してください!

ジャスミン 私自身、とても楽しみにしています。応援してくれてありがとう!ぜひ観に来てくださいね。

ジョン 僕たちのパフォーマンスや表現を楽しみにしてくれていてうれしいです。それぞれの個性を出すので、期待してください!

櫻井 子どもから大人まで楽しめるショーになっています。音楽が好きな方も、喜劇やミュージカルが好きな方も、お笑いが好きな方にも、みんなが楽しんでいただけるように、少しずつエッセンスを入れてありますので、ぜひ足を運んでいただけたらと思います!

アラン 僕からは…”Have Fun!”とにかく楽しんでください!

――期待しています!本日はありがとうございました!

インタビュー・文/宮崎新之
写真/taro