トム・クルーズ主演で映画も大ヒットした傑作法廷サスペンスが、7人の役者のみという濃密な空間のなか、台本・演出を手掛ける鈴木勝秀による大胆な演出で舞台化!
今の私たち日本人に考えるべきテーマを提示する、
まさに現代の大人たちが必要とし求める魅力を持った作品が天王洲・銀河劇場にて開演!
ジャック・ロス大尉役を演じる小西遼生さんに今作への想いを伺いました。
―ローチケ演劇宣言!の募集企画で「インタビューをして欲しい!質問して欲しい!」という声が一番多かったのが小西さんでした。今日はみなさんからの要望に応えて待望のインタビューです。
小西「ホントですか?それは光栄です。僕にはどんな質問が多かったですか?」
―質問のジャンルも多岐に渡っていて、「いつもどんな風に役作りをされるんですか?」と演技に関することから「好きな食べ物は何ですか?」という基本の基本の質問まで幅が広いんです。
小西「なるほど~。何だかわかるような気がします(笑)。僕はあまりプライベートなことやパーソナルなことを取材の際に話さないタイプかもしれません。好きな食べ物とか、普通はプロフィールにありそうですけども、僕のところには載ってないですからね(笑)。」
―でも小西さんは話しをするのが苦手じゃない方、という印象がありますが。
小西「そうなんです、話すのは嫌いじゃないんです。いろんなこと話したくなってしまうタイプだし、逆に話し過ぎてしまうことが多いかも。自分にとって人と話すのは貴重なインプットの時間だと思っていて、話しながら相手の方の考えていることを知っていくのが好きなんですよね。自分のことを話すより好きかも(笑)。」
―それでしたら今回はいろんな質問に答えて頂けるんでしょうか!?
小西「そういうパーソナルな部分を見せてしまったら逆に淋しくありませんか?役者としてはちょっと謎めいていた部分があったほうがお互いにとっていいこともありますよね(笑)。それはまた別の機会にしましょう。」
―そうやって上手く話をそらされてしまいましたが(笑)、では先日まで出演されていた『十二夜』はとても評判が良く、素晴らしい舞台でしたね。
小西「上質で品のある、素敵な作品でした。大阪公演まで無事に終わって安心しました。素晴らしい演出家と素晴らしいキャストに囲まれて本当に充実した時間を過ごしました。」
―ミュージカルはもちろん今後も出演作が続きますが、役作りの方法や役に向かう時の心構えなど、今の小西さんはどんな風に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。
小西「昔と比べて変わったか?と聞かれたら変わってないかもしれませんね。常に変化はしていると思いますが、過ごした時間の分だけ知識も経験も増えているのは間違いないので、だんだん自分の中にたくさんの情報とか大切なものが溜まってきている分、昔に比べたら早く答えが出せるようになっているし、悩む時間が短くなったり、オンオフができるようになったり。そういう変化はあると思います。最初は役作りの仕方そのものがわからなくて、「役作りってどうやればいいの?何からすればいいの?」というところから始まってますからね。だからと言って今も余裕があるわけではないですが、昔にくらべたら進歩はしていると思います。それにやっぱり“出会い”だと思うんです。」
―出会い?
小西「もちろん作品そのものもそうですが、演者の方々はもちろん、演出家をはじめスタッフのみなさん、そこで接点を持つお客様も含めて新たな出会いによって磨かれる感性があるんだと思います。そういう素敵な“出会い”が個人としても役者としても大きく作用してくれていて、昔に比べたら役を理解する幅も広がって、より深くその役を理解しようとしています。それに演じることがどんどん好きになっていってますから、今は自分が持っている時間をフルに使って作品に注げるようになっていると思うんです。」
―役作りの際、心がけていることはどんなことですか?
小西「自分自身の心を頑なにせず、柔軟にいろんな意見や環境を受け入れていくことでしょうか。そうすることで結果的に自分のキャパシティや感覚が広がっていく経験を何度もしましたし、いろんな考え方ができるようになったので、柔軟であることはとても大切にしています。」
―稽古が始まってからその役を形にしていく、という方も多いですが小西さんは事前にどんな準備をされるんですか?
小西「稽古まで時間がある場合はずっと台本を持ち歩いたり家の机の上にずっと出しておくと、ふと気分が乗ってスイッチが入ったみたいにその瞬間にグッとイメージが湧いてくる時があるんです。いつも脚本に向き合って読んでいるというより、カフェに入った時にふと目を通していたらイメージがどんどん湧いてくる、みたいな時があって。それから自分なりに調べたり、いろんな資料をみたりしてイメージを膨らませていくんですが・・・」
―事前準備をしっかりされるんですね。
小西「でも実際はある程度イメージを作っていったとしても、稽古場に入るとそれが全くもって崩れてしまうことが多々あります(笑)。事前にいろいろ想像していきますが、自分でイメージしていったことが稽古に入って整合性が取れるなんていうことはほとんどないです。やっぱり意外な方向に進んでいくことが多いんですよね。それが楽しいところでもあって、稽古場に完成形を探しに行く感じですね。もっと人生経験を積んでいれば感覚も捉え方も違うんでしょうが、今の自分の感覚でしか対応できませんからね。20代前半の頃に比べたら今の方が少しはできることも増えてきているだろうけど、常にその場でバラバラに崩して新しいものを作る。その繰り返しです。」
―先ほどまで今作『ア・フュー・グッドメン』のメインビジュアルの撮影をされていましたが、どういうイメージで表情を作られていたんですか?
小西「最初はある程度自分なりのイメージで臨むんですが、いざ撮影が始まってみるとデザイナーさんはもちろん、現場スタッフのみなさん、カメラマンさんからの意見もあって、この作品をどういうビジュアルで表現するか、その方向性はスゴくハッキリとしているので僕はスタッフのみなさんの話を聞いてだんだんそこに近づけていく感じです。「今のイイ感じ」と言われたら、「あ、こういう感じか」と理解する。数枚の写真のために何百枚と撮影してイメージに近いものが選ばれますから、僕は実際どの時の写真が使われたのか正直わかってないかも(笑)。完成したビジュアルイメージからまたヒントをもらったりしますね。」
―小西さんが思う今作『ア・フュー・グッドメン』の魅力は?
小西「僕がこの作品に出演を決めた理由のひとつに、演出家の鈴木勝秀さんとお仕事がしたかったというのがありました。鈴木さんとは以前朗読劇を一緒にやらせて頂いているんですが、舞台でご一緒したいと心から思っていたので今回お声掛け頂いて本当に嬉しかったです。鈴木さんが舞台を作っていく過程に自分も参加したかった、というのが大きな理由でした。」
―鈴木演出のどんな部分に惹かれたんでしょうか?
小西「以前アトリエに3人芝居を見に行ったことがあって、それがめちゃくちゃオモシロかったんです。生身の人間だからこそ表現できる究極を探求しているというか、役者というより人間が表現する面白さをまざまざと見せつけられました。衣装やカツラやセットを作って作品の世界観を表現するのも途方もない大変な作業ですが、そういった装飾がない状態で人間の力だけで表現することを探求する姿勢にとても惹かれました。」
―それはかなり役者としての力量が問われる演出、ということでしょうか。
小西「もちろんどんな作品でも、どんな役だったとしても演じる人物の細かい心の動きや感情の機微を自分なりに探して演じるように心がけていますが、鈴木さんの舞台を拝見したとき、ますますそういう部分にチャレンジしたい、と思ったのは大きいですね。」
―トムクルーズ主演で映画化されている作品ではありますが、今作をあえて舞台で表現する面白さはどこにあると思いますか?
小西「法廷を舞台にした会話劇なので、言葉はもちろんですが相手との緊迫した心理戦や気持ちの動きを生の舞台でどう表現するか。これまで自分が演じたことのないタイプの作品ですし、共演の淵上泰史さんや平埜生成さんも初めてご一緒させて頂くので、どんな空間を作り出せるのか僕自身とても楽しみにしています。役者同士がぶつかり合う姿をお見せ出来たらと思っています。」
―小西さんが思う“舞台の面白さ”とはどんなところにあると思いますか?
小西「まったく舞台をご覧になったことがない方に観劇を勧めするというのはなかなかハードルが高いですよね。僕も舞台を観るときには好きな劇団の作品を選んで行ったり、好きな役者さんが出演されているのを拝見させて頂くこともありますが、観る前よりも実際に舞台を観てから好きになることの方が圧倒的に多いですよね。例えば舞台を観た友達がいつも「あの作品はオモシロかったよ」とか「あの役者さんが良かったよ」と言っているのを聞いていたら、何となく自然と「そんなに言うなら一度観てみようかな」と腰を上げてくれるんじゃないかと思うんです。だから舞台を観た皆さんが面白いと思ったことを友達にたくさん話してくれるのが一番かもしれませんね(笑)。きっかけは何でもいいと思います。僕の作品をいつも観てくださる方も、僕がこういうタイプの作品に出演するのもめずらしいので、いつもとは違った世界観でいつもとは違う部分を見て頂けると思います。それが皆さんの興味に繋がってくれたら嬉しいですけどね(笑)。舞台『ア・フュー・グッドメン』を見てくださった方が「スゴく面白かった、スゴく良かった」と言って頂けるように頑張ります!」
―では読者の方へメッセージをお願いいたします。
小西「舞台『ア・フュー・グッドメン』は脚本がとても面白くて、僕は読んでいてぐいぐい引き込まれました。個々のキャラクターもそれぞれ際立っていて、深く描かれています。鈴木さんの演出によって映画では逆に表現できない緊迫した空気や人が放つエネルギーを劇場で感じてもらえると思います。ぜひ劇場でお楽しみください。お待ちしております。」
以前インタビューをした時に、「将来どういう役者になりたいですか?」と聞いたことがありました。今回も同じ質問をしてみたところ、「あの時から基本的には変わってないですが、年取っても、死ぬまで役者として仕事ができるような俳優でありたい。年を取ってからが一番のピークになるような役者目指して邁進中です」とのこと。ブレない芯を持ちながら、柔軟でしなやかな精神を持つ役者・小西遼生。劇場で新たな一面を見せる小西遼生にぜひ注目です!
【公演情報】
舞台『ア・フュー・グッドメン』
日程:2015/06/19(金)~28(日)
劇場:天王洲 銀河劇場
出演:淵上泰史、瀬奈じゅん、小西遼生、菅原永二、阿部丈二、平埜生成/田口トモロヲ(敬称略)
料金:8,500円(税込) ※全席指定
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