ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日本キャスト版 Season2 村上虹郎 インタビュー

全身全霊でトニーとマリアに集中して観ていただきたいです

 

初演から60年以上世界中で愛されてきたミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」。360度回転劇場「IHIステージアラウンド東京」の舞台で、来日公演に続き日本キャスト版Season1も多くの観客を感動の渦に巻き込んでいる。2月からは日本キャスト版Season2が開幕。主役のトニーを演じる村上虹郎に、ミュージカル初挑戦の心境などを聞いた。

村上「未経験のミュージカルで主役なんて、まだちょっと早いんじゃないかと不安はありましたが、役者を始めてまだ5年という早い段階で、『ウエスト・サイド・ストーリー』という作品に出会えたことはすごく光栄だと思っています。今までミュージカルというものがあまり身近でなく、以前にロンドンで『レ・ミゼラブル』を観たことがあるくらいなので、これからもっといろいろな作品を見たいなと思っているところです」


トニー役に臨むにあたっては「素直であること」を大事にしたいという。

村上「Season1のパンフレットに、トニーとマリアという役に関していちばん大事なことは“素直であること”だと、演出家のデイヴィッド・セイントさんの言葉が書かれていました。まだ稽古が始まっていないですし、トニーというものが自分の身体にまったく馴染んでいなくて、想像すらしきれていない部分がたくさんあります。もちろんそこから、自分が知らない自分を見つけ出したり、頑張ることもするんだろうけど、無理をするより素直な気持ちで、真摯にひたむきにただやればいいのかなって。そこが自分の強みなのかなと思いました。物語の舞台であるNYだったり、人種問題だったり、宗教だったり…そういう背景をしっかり理解した上で、あとは自分がトニーとしてそこにいられればいいかなと思っています」


来日公演版も日本キャスト版Season1も観劇して、多くの刺激を受けた様子。

村上「来日版はダンスアートを見ているようでかっこ良すぎて、自分が今から取り組むものと同じものに見えなかったというのが正直な感想でした。歌やダンスの完成度やお芝居の綿密さ、肉体的な違いに、これから同じ作品に参加する人間の気持ちとしては、絶望に近い気分だったんです(笑)。でもそのあとにSeason1を見たときにすごく楽しめて。それぞれ魅力の出し方がぜんぜん違うので比べることはできないですが、日本キャスト版のほうが見やすいというのが単純にあって、これなら楽しんでもらえると思えました」


初ミュージカルでどんな歌声を披露してくれるのかも期待の集まるところ。

村上「昨日、初めてボイトレで全曲歌ってみたんですけど、楽しかったです。でも、とにかく村上虹郎がミュージカルで歌ったときにどうなるのか、自分でもまったく想像がつかないので楽しみです」


最後に読者へメッセージをお願いします!

村上「IHIステージアラウンド東京という広大な劇場で上演する舞台には、ダイナミズムが常に降りかかってくるような感覚を楽しみに観にいらっしゃると思うんです。でも、この作品の場合は、トニーとマリアの2人の距離のラブストーリーというすごくミクロな話なので、お客様には全身全霊で2人に集中して観ていただきたいです。そこに何回かダイナミックでかっこいいダンスシーンが登場して、圧倒的なエネルギーが降り注いでくる。トニーとマリアに集中する見方をしていただけたら、よりすごい感じ方ができるはずです」

 

インタビュー・文/井ノ口裕子

 

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載
※記事は2019年取材時となります。

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【プロフィール】
村上虹郎
■ムラカミ ニジロウ ’14年、映画『2つ目の窓』で俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台で幅広く活躍。主演映画『ソワレ』が’20年公開予定。