1992年にケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演で世界中で大ヒットを遂げた映画『ボディガード』を舞台化。グラミー賞受賞曲「I Will Always Love You」をはじめ映画の楽曲をふんだんに使ったこの大型ミュージカルは「英国ローレンス・オリヴィエ賞」で、最優秀作品賞を含む4部門にノミネートされ、18か月の英国&アイルランドツアーは完売しウェストエンドへ凱旋。オランダ、ドイツ、韓国、カナダ、イタリア、オーストラリア、スペイン、フランス、オーストリア、米国等世界中で上演され、日本では、2019年9月に本場英国キャストによる初の来日公演を果たした。
2020年春に新演出にて日本キャスト版の初演を東京・大阪にて予定していたが、コロナ禍の影響で政府からの要請に基づき、東阪で予定の33回公演の内、大阪公演5回のみの上演となり、殆どの公演回が中止となった。2022年1月に大阪・梅田芸術劇場メインホール、2月に東京・東京国際フォーラム ホールCにて、ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版の再演が決定!
マネージャーのビル・デヴァニー役で出演する内場勝則の取材会の様子が到着した。
「前回はコロナの影響で5回だけの上演で終わってしまい、今度こそ最後まで走り切れるように頑張りたいなと思います。
ぜひたくさんの方に来ていただきたいと思います。」
――最初に再演が決まったときのお気持ちをお伺いできますでしょうか?
「ヤッタ-!!
ミュージカルやお芝居など生の舞台は、その期間でしか集まれないキャストの方もいらっしゃるので、また同じメンバーが集まることはあまりなく、今回こうして再演できるというのはすごい絆というか縁を感じます。」
――前回公演がミュージカル初出演でしたが、お稽古や実際に舞台に立たれて、特に印象に残ることはあられましたか?
「やっぱり違う世界にいるような感じがして。自分が演じていても、夢の世界にいるような。
新喜劇は動物園みたいな世界なので、、、
周りを見ても、景色が違う。予算が違う。空気が違う。匂いが違う。
共演者の方も、スタイルもすごいし、ダンスもすごいし、歌も上手いし、ホントに、自分がここに立っていることがなんか不思議な感じがしました。」
――内場さんが演じられるのはスターのレイチェルを支えるマネージャーという役どころですが、初演ではどんなところを意識して演じられていましたでしょうか。
「映画ではビジネス中心の役でしたけど、僕が演じる時は、年齢も離れてますし、父親目線のような感じで、ちょっと包み込むような。
レイチェルは商品なんで、彼女を売り出さないといけないんですけど、やっぱりまず彼女のこと大事に考えている。父親のような感じで演じられたらと思いながらやっておりました。」
――今回の再演で新たに役として挑戦したいことはありますか?
「どうですかね。
また今回稽古を重ねて、もっと僕らしい、ちょっと味がある、僕が出ている意味があるような部分を作れたらいいなとは思っています。」
――ミュージカル界の名だたる女優さんが出演されていましたが、プレッシャーは感じていらっしゃいましたか?
「プレッシャーしかなかったです。プレッシャーだけですよ。
標準語でお芝居をするのも初めてですし、いつもと劇場も違いますし、周りも初めてご一緒する方ばかりなので。
僕が演じる役が外国人の名前なので、なかなか慣れなくて・・・。
最後にダンスを踊らせていただいて、その頃には少しホッとしていましたが、やっぱりいろんなプレッシャーがありましたね。
初めてのミュージカルがうまくいくのか、世の中の情勢も大変でしたし、不安ばっかりだったんですけど、初日が明けたときには、本当に涙が出そうなくらい嬉しいかったです。」
――ダンスはご自身のアドリブでされたんですか?
「演出家のジョシュア・ベルガッセさんが「ここでみんな自由に踊って欲しい」と言われて、どうなるんだろうと思っていたら、キャストの方がこうしたらと振りを提案してくれて。尚且つ、演出の方からもアドバイスを貰い、振りが決まりました。」
――出来栄えはいかがでしたか?
「どうなんでしょう(笑)
出来るだけ可愛くごまかそうと思ったんですけど。」
――プレッシャーしかないとおっしゃっていましたが、吉本新喜劇でやってきたことで強みになったことは?
「そうですね、やっぱり舞台慣れですかね。足が震えないとか。迷惑かけないぐらいのことなんですけど。
お客さんの前で生で見せるのは、同じ舞台なので。やっぱりこの場所が一番自分には向いているんだなとすごく感じました。
やる内容は全然違いますけども、エンターテイメントとしてお客さんにお伝えすることは同じだなっていう。僕は僕のキャパの中でしか演技ができないので、この体の中でできることだけを考えてやっています。」
――奥様の未知やすえさんや、他の新喜劇メンバーの方は舞台をご覧になりどんな感想をおっしゃっていましたか?
「楽しかった、言うてましたね。
でも、観られた方が少なくて。観ていただく予定だった方も中止になったので、感想も聞けないまま。いろいろ聞きたかったんですけどね。僕も全てが初めてのことだったので。」
――先ほど「僕が出る意味があるようにしたい」というお話しがありました。具体的にどういったことを考えていらっしゃいますか?
「やっぱり僕は新喜劇に出ているので、笑いのエッセンスがちょっとでも出せれば。
かなりきちっと芝居なので、緊張と緩和で、ちょっと緩和があれば、すごいものになると思います。
もっと重厚な役者さんもいらっしゃる中で僕を選んでいただいたのは何かプロデューサーさんの期待もあるのかなと。それには応えたいので、爪痕を残せれば。
でも、どうなるかわからないですけど。心から楽しめてやれればいいかなとも思います。」
――原作映画が舞台に立ち上がったのをご覧になりどのように感じましたか。
「舞台上からほぼお客さんになって見てましたけどね。でも、それも込みで楽しいんですよ。
お客さんには申し訳ないですけど、やる側が楽しくなかったら本当に伝わらないと思うので。ずっとそれを維持してやっていこうかな思います。」
――吉本新喜劇とは違うミュージカルならではの演じ甲斐みたいなものがもしあればお伺いできますか?
「演じること、芝居をすること自体はそんなに変わらないです。
ただ標準語、というのが本当に気持ちを入れるのが難しくて。1回大阪弁に書き直して、気持ちを入れてもう一回やる、みたいに作っていきました。こういう感じかなっていう。
少々間違っても、新喜劇やったらごまかせるんですけどね。ミュージカルは、決めたところはきちんと稽古した通りやらないといけないですね。」
――カーテンコールは盛り上がりましたね。
「スタンディングオベーション!すごいことをやり遂げたなと。スタンディングオベーションが起こるとは思いもしなかったです。最後は(舞台も客席も)一体でしたね。」
――今回レイチェル役にMay J.さんが加わって、トリプルキャストになります。マネージャーとしての喜びなどはありますか?
「それぞれ個性があって、柚希さんと新妻さんも2人とも全然違うレイチェルを演じられていたので、May J.さんはどう演じるのかな楽しみです。
それぞれ違うと、周りもちょっと違う感じの芝居になるんですよ。ただ3倍稽古せなあかんがなと。新喜劇やと3時間ぐらいやのにね。その分3倍楽しみたいです。」
――柚希さんと新妻さんが演じるレイチェルは、どんな風に違いましたか?
「柚希さんはダイナミックなダンスと、「ザ・宝塚」ですよね。男役をされていた力強さと、色気もあわせもつ。
新妻さんは圧倒的な歌唱力です。あの体のどこから声が出てるんだろうと思うぐらい。稽古の段階からすごかったですね。
個性がそれぞれに違う。
今度は3人ですから、楽しみですよね。」
――最後に皆様にメッセージを。
「今までずっと自粛自粛で、外にも出られなかったので、生の舞台を見に来ていただいて、エンディングには一緒に踊って、楽しんでもらえたらいいなと思います。
今回はトリプルキャストなので、3回、それぞれのレイチェルを見ていただけたらと思います。楽しい舞台になりますので、ぜひぜひ生の舞台をご覧ください。
お待ちしております。」