ミュージカル『DEVIL』X-Black役 ハン・ジサン インタビュー


――ビジュアル撮影を終えた感想は。

韓国で私がミュージカル『DEVIL』に出演したのが10年前。とても久しぶりの出演になりますが、この撮影現場に来て、作品世界の雰囲気を作っていただいたので、当時の感覚が蘇ってきました。ワクワクしています。


――日本のカンパニーから『DEVIL』への出演オファーがあった時はどう思われましたか。

率直に「それは面白い」と思いました。これまで僕はこの作品を韓国で、韓国語で上演し、その中で観客との意志疎通に成功してきました。果たしてそのキャッチボールが日本で、日本語で僕が演じる時にきちんと生まれるのか。また、どのように伝わっていくのか。それが未知数であり、だからこそとても興味深く、面白いなと感じました。


――日本でコンサートはこれまでに何度かやっていらっしゃいますが、日本の観客の印象は。

日本でコンサートは4回ほどやっています。日本のお客さんは大人しいとよく言われますが、僕のコンサートではそんなことはないかな。最初の方は皆さん、集中してコンサートを観てくださるのですが、その後、誰しもが心の中に持っている“ノリ”を、僕が引き出しました(笑)。そして皆さんと一緒に盛り上がった、というような感想です。それこそがロックンロール! ですよね。


――ありがとうございます。『DEVIL』に話を戻しまして、ジサンさんとこの作品との関わりを教えてください。

僕の出演経験は10年前の初演だけです。初演はXがBlackとWhiteに分かれる前。正直なところX- Blackでオファーが来た時、「X- Blackの歌ってどの曲……?」という戸惑いから始まりました(笑)。初演は、X- Blackが歌う曲もX- Whiteが歌う曲も、全部一人で歌っていました。最初は優しい感じで歌い上げ、いきなりロックにシャウトする。その間、バックステージではダッシュし着替えて、天使にもなり悪魔にもなる……という役柄でした。X- BlackとX- Whiteに分かれてからの『DEVIL』に出演するのは僕は初めての経験で、新鮮です。


――初挑戦となるX-Blackという役の面白さはどんなところにありそうですか?

あってはならないことですが、人が何か悪いものに操られてしまいそうな状況というものがあります。それが舞台では劇的に表現されていて、そこが観客として観るのは楽しいところなのですが、反面、現実の世界では自分はあのようになってはいけない、という思いを観る方に抱いてもらえれば、と思います。


――今回、ジサンさんは日本語での歌唱に挑戦するとのこと。このチャレンジを決めた理由は。

日本に行き、日本のカンパニーの一員として公演をする。ならば日本語でやるのが摂理だと思います。そこに疑問は特に抱きませんでした。


――ちなみにジサンさん、知っている日本語は……?

コンサートなどですごく気分が高揚したら「めっちゃ好きやねん!」と言います。それしか知らないです(笑)。


――『DEVIL』は大阪公演からスタートしますので、ぴったりかと(笑)。最後に、長期での日本公演になります。日本滞在で楽しみにしていることは。

まずはこのミュージカル『DEVIL』日本公演を成功に導けるように頑張ること。その中で、私が舞台に立つ時のパワーの源、原動力は食べることです。食事で力を得る人間ですので、美味しいものを食べることは楽しみにしたいです! まずは公演に力を尽くしつつ、うまい具合に楽しく過ごしていきたいですね。

 

取材・文/平野祥恵