――ビジュアル撮影を終えた感想は。
日本版の台本もまだいただいておらず稽古にも入っていないので、なかなか実感がなかったのですが、今日この撮影現場で韓国の俳優の先輩方にお会いし、そして中川晃教さん、日本のスタッフさんにお会いして、本当に日本で公演をするんだという実感がわいてきました。
――日本のカンパニーから『DEVIL』への出演オファーがあった時はどう思われましたか。
長い間「日本で公演をする」ということに対して特別な思いがありました。それはずっと抱いていた僕の希望です。でもそれが『DEVIL』で実現するとは夢にも思いませんでした。『DEVIL』は韓国発のミュージカル。それが日本で、日本語で上演される。そこに自分が参加する。そう聞いた時に驚いたし、とても面白そうだと思いました。今、かなり期待を抱いていますし、ワクワクしています。
――なぜ日本で公演をすることが夢だったのですか? チュンジュさん、日本語もお上手ですが……。
僕は日本で生まれたんですよ。日本にいたのは4歳までで、日本語は全部忘れてしまったのですが、実は今、日本語の先生に(改めて)習いにいっているところです。それもあり、日本は僕にとって特別な国。これまでコンサートは何度かやっていますが、ミュージカルはまだ。だから、ミュージカルを日本でやりたかったんです。(※このお答えは日本語で話してくれました)
――本当に日本語がお上手ですね……! ちなみに『DEVIL』は、これまで何度ご出演されていますか。
韓国で3度出演しましたので、日本では4度目ですね。韓国では初演から出演し、Xに関わる役はすべてやりました。初演ではX役を。そのあとXはX-BlackとX-Whiteに分かれたのですが、再演ではX-Blackを演じました。そして3回目はX-BlackとX- Whiteの両方を演じました。
――X-Blackという役の面白さはどんなところにありますか。
X-Blackはジョンを苦しめ、破滅させる役割です。この役を悪役と言っていいのかはわかりませんが……どんな作品においても、悪役というのはとても魅力的ですよね。そして個人的にはX-Blackの曲が大好きなんです。韓国でもこの役の楽曲を歌うのがとても楽しかったのですが、日本語で、日本の舞台でうまく表現できるかがとても大切になってきますので、皆さんが楽しんでいただけるよう努力していきたいです。
――今回、日本語での歌唱に挑戦するとのこと。このチャレンジを決めた理由は。
日本で公演するというオファーをいただいて、俳優として日本の観客と日本語でコミュニケーションするのは当然だと思います。今回の作品において、韓国の俳優がゲスト出演、特別出演みたいな印象を与えたくありません。日本の俳優さん同様に、きちんと演じ切りたいです。
――最後に、長期での日本公演になります。日本滞在で楽しみにしていることは。
これまで個人的にも日本には何度か旅行に行っていますし、仕事でもコンサートで短期の滞在はしています。その都度、食べることとか、楽しみを考えて過ごしていました。今回は稽古含め、1ヵ月半の滞在になるのですが……正直なところ“楽しみ”を思い浮かべる余裕がありません。日本に行ったら稽古場に入りますし、公演のことで頭がいっぱいになりそう。正直、緊張しています。日本の俳優さん、スタッフさんと一緒に作品を作り、この公演をしっかりやりたい。まずは最初の大阪の公演が成功に導けるように、きちんと自分の役割を果たすことが一番の目的ですね。大阪公演が上手くいったら……道頓堀に飛び込もうかな(笑)。というのは冗談ですが、大阪公演が成功したら、美味しいものを食べに道頓堀に行きたいです。
取材・文/平野祥恵