ブロードウェイミュージカル『ONCE ダブリンの街角で』コンサートバージョンが8月4日(金)より東京・東急シアターオーブにて開幕!公開ゲネプロのレポートが到着!

ブロードウェイミュージカル『ONCE ダブリンの街角で』イン コンサートが8月4日(金)より東京・東急シアターオーブにて開幕。

トニー賞8部門を受賞した大ヒットブロードウェイミュージカル『ONCE ダブリンの街角で』は、アイルランド・ダブリンの街角で出会ったストリート・ミュージシャンの男性とピアノを愛するチェコ移民の女性が、音楽を通して互いにひかれ合っていく姿を描いた心温まるラブストーリー。2006年の映画公開から始まった本作は、2012年にミュージカル化されブロードウェイにて上演、トニー賞8部門を受賞。2014年には来日公演が開催された。そして今年3月にロンドンで上演されたコンサート版が早くも日本に初上陸した。開幕に先駆け行われた公開ゲネプロのレポートをお届けする。

人間と音楽が愛おしくなる。
コンサートを超えた、完璧なドラマ

観終わった後は胸を鷲掴みにされたようで、しばらく動けなかった。人間って面白いし素晴らしいものだなぁと素直に感じ入った。何より音楽が、楽器が改めて愛おしくなる。ああ、人も音楽も最高だ!

『ONCE』はこれまで映画でも舞台でも観てきた。ミュージカル版同様、今回も俳優たちが楽器を弾き、歌い、演じる(時には振付もある)。これを初めて観たときは、俳優って楽器まで弾けないといけないの?それも弾き語り!?とめちゃくちゃ驚いたのが懐かしい。
今回のプロダクションが素晴らしいのは、ダブリンの人々の心のドラマが、実にきめ細かく、同時にイキイキと描かれていることだ。“コンサート版”とされているのが不思議なくらい、演劇としても成立している。構成の上手さに舌を巻いたが、このプロダクションの元が今年3月にロンドン・パラディアムで上演された一日だけの特別コンサートだと知って、腑に落ちた。プロデューサーはジェイミー・ランバート。ヴォーカル・ユニットのコラブロのメンバーとして知られる彼、音楽をいかに活かすかをよく知っている。

物語はアイルランドの首都ダブリンが舞台。ストリートミュージシャンの男(Guy)とチェコ移民の女(Girl)が出会う。音楽が好きという共通項がある二人、それぞれに愛する人がいるが、事情を抱え、その愛は停滞したままだ。女は男の作る音楽に感銘し、CDを作って音楽で成功しようと提案する。資金と仲間を集めて、いざレコーディングを始めるが…。

淡々と続く日常、そこで起きる花火のような奇跡の一瞬。象徴的なデュエット「Falling Slowly」は名曲で歌だけを聴いても感動するが、こうして物語に織り込まれることで、より想像力が掻き立てられる。「Gold」は究極のラブソング、愛が燃え上がる気持ち、そう愛するってこういうことだよね…とうっとり。他にもポップスやバラード、ケルト系サウンドなどがたっぷり味わえる。それも先に書いた通り、伴奏は俳優たち自身。ギター、マンドリン、チェロ、ウクレレなどの弦楽器が中心で、曲によってピアノやアコーディオン、ドラムなどが入ったり。もちろん、男はギター、女はピアノの弾き語りでも聞かせてくれる。

このプロダクションが充実しているのは、個性豊かで力のある俳優たちがガッツリ揃ったことにもあるだろう。男役のデイヴィッド・ハンターはルックスも声もイメージぴったりで、ダイナミックな歌声が心に染みる。そしてキャシディ・ジャンソンは真の実力派。人物のバックストーリーをあれこれ想像したくなる、味わい深い女となっている。楽器店のビリー、銀行の支店長、女の母バルシュカや同居人レザなど、周りの人々もキャラクターが際立っているので、群像劇として見ても楽しめるはずだ。
本音で言おう。とにかく観てほしい!心にほっこり、希望みたいなものが灯ること請け合いだ。

撮影/清水隆行
文/三浦真紀