ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』│加藤諒 インタビュー

面白くて怖くて感動的。いろいろな気持ちにさせてくれる作品

トニー賞8部門受賞をはじめ数々の演劇賞を受賞してきた、名匠ソンドハイムの代表作ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』。
宮本亞門演出による市村正親と大竹しのぶのゴールデンコンビの名舞台が、2024年3月に5度目の再演。18世紀末のロンドンを舞台に、妻に横恋慕する悪徳判事により無実の罪で流刑にされた男が、15年後“スウィーニー・トッド(市村)”と名前を変えて、昔なじみのミセス・ラヴェット(大竹)と共におこなう復讐劇は必見だ。本作でグランドミュージカル初挑戦、ラヴェットを慕う孤児のトバイアスを演じる加藤諒に意気込みを聞いた。

「『スウィーニー・トッド』との出会いは、17歳の頃。当時通っていたミュージカルスタジオで、演出家の青井陽治先生にブロードウェイの初演の映像を見せていただいたのが最初です。すごく面白くて怖くて、ダークなんだけど感動的なところもあったりして、いろんな気持ちにさせられた舞台で、すごく好きな作品だなと思いました。そのとき一緒に映像を見ていた子の一人から、『トバイアス役、諒くんやったほうがいいよ。絶対諒くんで見てみたい』って言われたんです。それから意識するようになって、ティム・バートン監督の映画も観たりして」

そこから時が流れ、運命の出会いが待っていた。

「宮本亞門さんが、バラエティ番組でご一緒したときに、『いつか僕の舞台に出てください』と言ってくださって。社交辞令かもしれないと思いつつも、すごく嬉しかったので素直に受け止めました。しばらくして今年の春くらいに、亞門さんが『スウィーニー・トッド』のトバイアス役のキャスティングで僕の名前をあげてくださっていると聞いて、『え!本当に!?』とビックリしました。運命を感じて鳥肌が立ちましたね。実際に出演することが決まって、今すごくドキドキしています」

トバイアス役は2007年の亞門版初演から演じている武田真治とのWキャスト。

「僕はWキャストが初めてなので、武田さんにアドバイスをいただきながらやっていけたらなと思います。グランドミュージカル自体が初めてだから、生演奏で歌うとかどんな感じなんだろう?って(笑)、もう緊張感はすごくあります」

役作りは「武田さんが作り上げられたトバイアスのコピーにはなりたくないという気持ちはあります。自分らしさというのも出せたらいいなと思います」と話す。

主演の市村正親と大竹しのぶとの共演は「役者として本当に光栄ですし、なかなかないチャンスですから、それを棒にふるようなことにはしたくないです」と決意を見せた。

最後に公演を楽しみにしている方へ、メッセージをもらった。

「残酷ではありますけど、僕はこの作品の愛の描き方がすごく切なくて好きだし、魅力だと思います。亞門さんが今回はどう演出されるのか、未知の世界で、楽しみなのは僕もお客様と同じ気持ちです。僕がミュージカル『スウィーニー・トッド』を初めて観たときのように、好きになってもらえるように頑張りますので、ぜひ観にいらしてください!」

インタビュー&文/井ノ口裕子
Photo/植田真紗美

※構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】

加藤諒
■カトウ リョウ
数多くのドラマ、映画、バラエティ番組に出演。映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』が公開中。