新作ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』福尾誠インタビュー

A.A.ミルンの原作やクラシカルなディズニーの長編アニメーションの流れを汲んだ新作ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』が、2024年4月から東京を皮切りに全国10都市にて上演される。2021年にニューヨークで世界初演を迎え、以後、シカゴ公演、全米ツアー、全英ツアー、オーストラリア、オランダ、ベルギーと世界各国で上演されてきた本作。ディズニーの大人気キャラクター、くまのプーさんやその仲間たちが、100エーカーの森を舞台に四季をめぐる風変わりな冒険を繰り広げる物語で、日本人キャストがパペットを巧みに操作してキャラクターを演じ、歌い上げていく。本作の公演アンバサダーを務めることになったのは、第12代体操のお兄さんとして活躍した福尾誠。彼に本作の魅力やプーさんとの思い出など、たっぷりと語ってもらった。


――公演アンバサダーに就任と聞いたときはどんなお気持ちになられましたか?

とにかく嬉しかったです! ディズニーが大好きですし、もちろんくまのプーさんも大好き。自分の口から自分の言葉で、大好きな作品の魅力を伝えることができるアンバサダーの活動ができることを、本当に嬉しく思っていますし、感謝しています。くまのプーさんは、本当に記憶にないくらいの小さい頃から身近にいてくれた存在でした。親が好きだったのか、家にはディズニーの絵やパズル、ぬいぐるみがたくさん飾ってあったんです。プーさんのぬいぐるみもあって、僕も小さい頃大好きでした。だから、いつプーさんの存在を知ったのか自分でもわからないんです。


――まさにプーさんは、ほぼ産まれたときからの友だちのような存在なんですね。プーさんの物語の世界観に触れたのはいつごろだったか覚えていますか?

幼稚園や小学校に入ったくらいの時には絵本があったように思います。アニメーション作品も目にしたような気がしますが、当時はストーリーを追うというよりも、ただただキャラクターがカワイイなとか、面白いな、癒されるな、という感覚でしたね。今回、公演アンバサダーをさせていただくにあたって、ストーリーに改めて触れたんですが、こういう意味だったのか!と発見するところも多くて。もちろん、だいたいのお話は知っていたんですけど、子どもの時とは違う楽しみ方ができました。


――くまのプーさんの作品の中で、個人的に好きなキャラクターは誰ですか?

それはもう、ダントツでプーさん!それは間違いないです。でも、ピグレットを肩に乗せてお散歩もしてみたいし、ティガーと一緒にジャンプ対決もしてみたいし、イーヨーとなんでもない時間をゆっくりまったりと過ごしてみたいし…。それぞれのキャラクターとやってみたいことが浮かんでくるし、みんなすごく大好きです。


――「くまのプーさん」をはじめ、ディズニー作品の魅力はどんなところでしょうか。

やっぱり夢の世界だということですね。でも、日常と隣り合わせでもあるんです。非日常の中にある日常のようなものも感じられて、そこが心に刺さるようなところも多いんですよね。夢の世界なんだけど、自分もその物語、世界に入っていけるような共感があることがとても魅力的なところだと思います。


――今回は「くまのプーさん」の物語がミュージカルになっています。ミュージカルになることで、どんな魅力を感じられそうでしょうか。

きっと、みなさんは100エーカーの森に行ったことが無いと思うんです。でも、今回のミュージカルで、遊びに行くことができるんですよ!プーさんやその仲間たちと一緒に遊ぶことができますし、お馴染みの歌もあります。生の迫力や没入感があって、この空間を一緒に体感できる。それが一番の魅力だと思います。絵本やアニメーションでも触れることはできますが、生の臨場感の中で味わえるのは、このミュージカルだけ。プーさんは世界中の人気者で、ものすごく忙しいと思うので、日本でこうやって一緒に遊んでくれる機会っていうのは、今のところ今回しかありません。この貴重なタイミングで、できるだけ多くの人に100エーカーの森にお出かけしてもらいたいです。


――今回のストーリーの中で、福尾さんにとっての新しい発見や、心が動いたところなどがありましたら教えてください。

今回のお話は100エーカーの森の四季を体験できるものなんです。4つの季節があるので4回遊べて楽しめます。プーさんと四季を一緒に感じながら過ごせるのがまず魅力的ですね。そして、100エーカーの森で起きる日常は、彼らの冒険だったり、遊びだったりして、ちょっとふざけた日常なところがあるんです。例えばティガーとルーの関係だと、ルーはティガーをヒーローのように思っているんですよね。それでティガーはジャンプが大好きで、みんなにジャンプを教えているんですけど、大人になってよく考えてみると、カンガルーのルーとか、ウサギのラビットの方が、本来はジャンプって飛べそうじゃないですか?でも、ティガーがジャンプを教えているんです。そういうちょっとした「?」の発見があるんですよ。でも、子どもはそんなことを考えずに楽しく遊ぶことが大好きだよね、と、そのことをただただ受け入れているんですよね。その気持ちの大切さも大人になって感じるところです。


――稽古場もご覧になったそうですが、いかがでしたか?

今回のような手法って、なかなか見る機会がない表現だと思うんですよね。きっと初めてご覧になる方が多いんじゃないかな。僕もそうなんですが、写真などで見ていたときは、実際にどんな動きをするんだろう?と、想像がつかなかったんですよ。でも稽古場で見てみると、こんなにカワイく動くんだ!とか、こんな細かい動きをするんだ、と本当に想像以上のパフォーマンスだったんです。それぞれの動きにすごく性格が出ているんですよ。プーさんはハチミツを探すのにも焦らずのんびりで、ティガーはものすごく元気いっぱいでエネルギッシュ。本当に元気を貰えるので、ぜひ実際に見て、1人1人の動きの違いを感じてほしいです。それに、稽古場のみんなが本当に仲良しで、100エーカーの森でみなさんに会えるのを本当に楽しみにしていました。すごく楽しんでパフォーマンスしていましたね。


――ミュージカル作品なので、音楽も大きな魅力のひとつかと思いますが、いかがでしょうか。

プーさんを知らない人はほとんどいないと思うんですけど、プーさんを知らなくても音楽はきっと耳に残ってるんじゃないかな。それくらい、とても耳に残る音楽ばかりだと思います。これはくまのプーさんだけじゃなく、ディズニー作品全般に言えることかもしれないですが、本当に心に響く音楽ばかりなんですよ。耳にすると心がワクワクしてきますし、エネルギッシュな曲になったら体を動かしたくもなってきます。心のバランスやいろいろなことを整えてくれるような楽曲が、ディズニー作品の魅力ですね。

©︎Disney


――今回の作品はお子さまもたくさん観に来てくれそうですね。

もしかしたら今回、ミュージカルを初めて観るようなお子さんも多いかもしれません。でも構えずに、遊びに行くような感覚で来てもらえると嬉しいですね。100エーカーの森でプーさんやそのほかの仲間たちが待っている。そんなふうに思ってもらった方が、きっと楽しみ方も増えるんじゃないかと思います。


――取材の前に、プーさんにもお会いになったそうですが、いかがでしたか?

もう、とにかくカワイイ!思っているよりも大きい気もしたし、思っているよりも小さい気もして、不思議なサイズ感でした。本当に嬉しかったのが、世界で活躍しているプーさんが、僕の名前を呼んでくれたこと!小さい頃からプーさんを知っているので、僕は初めましての感覚じゃないんですが、それでもプーさんに名前を呼んでもらえて、一緒に遊んでくれたのは最高に楽しい瞬間でした。また一緒にハチミツを食べる約束をしたんですよ。世界のプーさんに名前を呼んでもらったことを、人生の宝、大きな自慢として生きていきます!


――最後に、公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!

とにかく、こんな貴重な体験はなかなかできないので、ぜひ観に来ていただきたいというのが最大の願いです。ご家族でご覧になられると、子どもたちが受け取ったストーリーと、大人が受け取ったストーリーって、きっと受け止め方が違うと思うんですよ。そういうことを、ぜひ家族でお話してもらって、そんな捉え方があったんだ!とか、会話の中で新しい発見をしてほしいです。子どもだけでなく、大人も楽しめる…もしかしたら、大人の方が楽しめる作品かも知れません。本当に楽しめる、癒される作品になっているので、足を運んでみてくださいね。

 

インタビュー・文/宮崎新之
ヘアメイク:KEIKO(Sublimation)
スタイリスト:山﨑厚見
衣裳協力:JUN OKAMOTO