シアターコクーン・オンレパートリー2018『ニンゲン御破算』 阿部サダヲ インタビュー

松尾スズキ唯一の時代劇が15年ぶりに生まれ変わる


松尾スズキ初の時代劇『ニンゲン御破産(ごはさん)』が、『ニンゲン御破算(ごわさん)』とタイトルを改め、15年ぶりに再演。そこで十八代目中村勘三郎(当時・勘九郎)が演じた加瀬実之介役を任されたのが、初演で灰次役を務めた阿部サダヲだ。

阿部「前回はやっぱり、勘三郎さんの舞台に出たっていう印象が強いですよね。まさか共演出来るとは思っていなかったので。ただ今回、僕が勘三郎さんの真似をしてもしょうがないですし、そもそも出来ない。15年も経っているわけですし、また全然違うものになるんじゃないかと思います」

 

舞台は幕末。狂言作者を志す実之介は、売れっ子作家のふたりに弟子入りを志願する。だが「あなたの話の方が面白そうだ」と言われた実之介は、自らの人生を語り出し……。

阿部「実之介はいわゆる歌舞伎オタク。だからお客さんにとっても、意外と馴染みやすい人って感じにつくれたらいいのかなと。ただどこか狂っているところもあると思うので、そこはうまく出していけたらいいなと思います。また松尾さんの世界でしか出来ない動きとかもあるので、それをやれるのはやはり楽しみです」

キャスト陣には岡田将生、多部未華子のほか、大人計画の劇団員を中心に納得の顔ぶれがそろった。

阿部「楽しみですね。多部ちゃんって歌も歌えるし踊りも踊れる。なんか不思議な魅力がある、すごくいい女優さんだなって。岡田くんは『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』(’16年)の時に、松尾さんの演出にひたすら向かっていく、その姿にすごく好感がもてたんです。でもたまに諦めたりして。そこに僕らお兄さんたちは、キュンとするんです(笑)」

 

水を使った大胆な演出など、前作のよさは受け継ぎつつ、“御破算”のタイトル通り、初演からの“リセット”が松尾の狙いでもある。それを踏まえ、阿部が掲げる課題とは?

阿部「まずは絶対に勘三郎さんに似せないこと。ガラッと印象を変えたいですし、お客さんにもまったく違うイメージで観に来てもらいたいです。初演を焼き直すのではなく、新しいものをつくり出すつもりなので。また松尾さん唯一の時代劇という点でも、貴重な一作になると思います」

 

インタビュー・文/野上瑠美子
Photo/倉田貴志

 

※構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
阿部サダヲ
■アベ サダヲ ’70年生まれ。’92年より大人計画に参加。舞台、ドラマ、映画と幅広く活躍中。昨年は、劇団☆新感線『「髑髏城の七人」Season鳥』に捨之介役で出演。