“今月の”優先順位高めです【2025年6月号】

2025.06.01

6月です。もう2025年も半分終わろうとしています。6月といえば梅雨ですね。雨が多いと屋外で過ごすのはなかなか大変。そんな時は劇場に行きましょう。というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。

脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!

お世話になっております。
ローソンチケット演劇部の萩田頌豊与です。
6月になりまして、暖かくなって来ました。暖かい季節に皆様、どうお過ごしでしょうか?
暖かい季節にどう過ごしてるかは、日記なり、SNSなどで皆様自由に発信してみては如何でしょうか?
 
では、6月のおすすめ演劇です。
 
THE ROB CARLTON 19F『ENCOUNTERS with TOO MICHI』
以前、三鷹観てから虜です。言葉だけでねじ伏せる格好いいコメディです。これできたら気持ちいだろうなと言う言葉選び好きです。本気で言葉を作る人は友達だと思ってます。
 
日本のラジオ『シホウドウセキ』
新作です。日本のラジオでしか得れない空気感好きです。冷たく静かに人が死ぬ芝居も好きなので、その養分が欲しい人は是非に。おすすめです。
 
優しい劇団『北極星のがなりマイク』『暗黒提灯物語 ~娯楽町のさびしいお祭り~』
 
その場限り、当日に役者の皆様と作り上げる大恋愛シリーズ。作り手からテクニカルから、相当な技術がないと潰れちゃうのを、よくもまあこんなスパンでできるなと感心している。とても格好いいシリーズ。本公演とは別に強い武器を持っている。強く、面白い劇団です。
尾崎君は僕と体格が似ているので僕のあげたパーカーを着ている、それのイロチ持ってるから着る時は言って欲しい、兄弟だと思われちゃうから。
 
ニュー古典『死んダンス』
吉田有希の新劇団。
吉田君はゆるふ酒、ダダセンプチータを経て、新劇団を立ち上げた。ずっとナンセンス、不条理と渡り歩いている戦友なので、観に行ってください。
今回は古典落語を下敷きにしたシュールコメディ。是非におすすめです。
 
システム個人『廃グランドホテル・別館』
役者の皆様小劇場界隈で良くお見かけする方々が一斉に集い大暴れ。
本当に申し訳ないのですがまだ噂だけで観に行けてないのですが、お勧めさせていただきます。お勧めって確か観に行ってなくてもして良いんですよね?なので、お勧めだけ強くさせてください。
すいません。何も書いてないのと一緒なのに文字だけ多くて。是非に。
 
ネコ脱出『泣いてたまるか』
本当に申し訳ない。こちらも観たことないのですが、劇団名が可愛すぎたので、お勧めします。ネコ脱出。とても可愛くて、良い劇団名です。
お勧めです。
 
以上です。
本当に面白そうな芝居が沢山ありますね。ずっと面白い作品ってこれからも、あり続けるんでしょうね。本当に大変でワクワクする時代だとおもいます。皆様が自由に最高な観劇ライフを日々送れますように。
はい、まとまりました。あざます。そしたら8の手前でお馴染み7月にまた会いましょう。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

俳優・田代明の優先順位高め!

皆さんこんにちは田代明です!
己の舞台が一段落し、観劇熱をたぎらせている今日この頃。
そんな私が今月オススメしたいのはこちらの作品達。

One on One 36th note『呼吸する島』
作、演出、音楽、すべてを主宰の浅井さやかさんが担うという体制で、オリジナルミュージカルを上演するOne on One。
36回目の公演となる本作は、2006年に上演された14th note作品を大幅リメイクをしての公演となります。
チラシデータやキャスト扮装写真から漂う世界観が好きで公演を待ち望んでいたこちらの作品。あらすじを読んだ所、ファンタジー作品なのかな?と思いつつ、ただ、浅井さんが作る作品なので、きっとファンタジーの枠組みでは捉えきれないメッセージ性のある作品なんだろうなぁ、と。
今回ご出演される魅力的なキャストの皆様を、浅井さんが作られるOne on Oneの舞台で、世界観で、観れることがとても楽しみです。

ミュージカル『梨泰院クラス』
梨泰院クラスがミュージカルに!?と、初めて聞いた時はびっくり。映画やドラマで人気だった作品のミュージカル化は、歌やダンスがどのように入ってきたり、お芝居だけではない“ミュージカルしてる”シーンがどのように形作られているのかも楽しみの一つ。
物語は、主人公のパク・セロイが父を死に追いやった大手飲食チェーン「長家」会長一家への復讐を誓い、梨泰院の街で成功を目指して駆け上っていくというお話。Netflixで上がっているのでもしまだ見てない方はぜひ。
主人公のセロイをWEST.の小瀧望さんが務め、演出は読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞し、広く話題作を担当し注目を集める小山ゆうなさんが務めます。

舞台『W3 ワンダースリー』
手塚治虫が手がけたアニメ、漫画として知られる『W3』を、日本が世界に誇るクリエイター陣の皆様により舞台化。
戦争、温暖化、食糧危機、エネルギー不足など、私たちが今現在も直面している自然と共存する上での多くの課題を抱えた地球で、手塚治虫の目を通して“豊かさ”とは、“悪”とは、“正義”とは、を問いかける傑作。
SF作品という、舞台化した時にきっと映えるんだろうなぁというミーハー感覚的なワクワクと、作品を見終わった後に私達観客の心にはどんな感想が芽生えるんだろうという作品のメッセージ性へのワクワクと、色んなワクワクを抱えて劇場に向かいたいと思います。

梅雨入りもしてしまい、お出かけするのが億劫になってしまう季節ではありますが!
お家から劇場、屋内から屋内への、雨から逃げる導線で、エンタメを楽しみにいきましょう。

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

企画力があったり、公演の取り組みがユニークだったり、そんな若い劇団さんが増えてるなって思う最近です。色々思いつくなあって唸っています。
今月も観たい演劇がやっぱりたくさんあるけど稽古であんまり観に行けないって悔やまれる月になりそうです。6月の優先順位高めです。
 
劇団普通『秘密』三鷹市芸術文化センター 星のホール
再び星のホールで観れるのが嬉しいです。茨城弁で丁寧に描かれる静かで小さい物語が見る人の気持ちを遠くまで連れてってくれます。優先順位高めです。
 
優しい劇団の大恋愛『暗黒提灯物語~娯楽町のさびしいお祭り〜』浅草九劇
稽古期間1日とか手持ちの照明とかカンパ制とかすごいスタイルで東京で絶賛躍進中の「優しい劇団」。ぐっとくる美しいセリフが刺さるんです。でも1日しかやらないんです。『絵本町のオバケ屋敷 ~愛!いつまでも残るの怪!』面白かったのです。
 
ロロ いつ高シリーズ『いつだって窓際であたしたち』武蔵野芸能劇場 小劇場
武蔵野市民としては「ロロ」が三鷹にきてくれるのが嬉しい。多分みんな経験したであろう淡い青春を追体験しに三鷹まで行きましょう。フルキャストオーディションで選ばれた役者さんたちでの再演っていうのも見どころのひとつ。
 
システム個人『廃グランド・ホテル別館』小劇場楽園
みんなが楽しめるコメディーを丁寧に作っている「システム個人」。今回は幽霊とかたくさんの怪異たちが出てくるお話。怪異たちもそれぞれ事情を抱えて生活してるので、時にぶつかったり時に協力したりはたまた恋したり。愛嬌あるお化けたちが「楽園」に出没するので是非。
 
宝宝『 みどりの栞、挟んでおく』水性
長井健一さん主宰の演劇ユニット。1かいめの『おい!サイコーに愛なんだが涙』が大評判だった「宝宝」の2かいめです。企画も内容も面白そう。当事者だから描けるほんとうの言葉たちは随分と遠くまで飛んで行きます。すごいぞ長井くん。
 
小田尚稔の演劇『国/家』水性
共同体というのが今回のテーマのようで、僕もけっこうタイムリーに関心ある領域なので観に行きたいです。みんなが居心地いい場所って実現可能なのかなとか思いますよね。水性という自由度の高い会場をどう使うかも楽しみの一つ。
 
他にも、iaku『はぐらかしたり、もてなしたり』マチルダアパルトマン『フィッシュボウル』THE ROB CARLTON『ENCOUNTERS with TOO MICHI』コヒツジズ『隣の芝が青すぎる』などなど観たいものたくさん。是非皆様足繁く劇場に通ってください。よろしくお願い致します。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
エトエ主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
個人的な話ではあるのですが、今現在執筆シーズン真っ只中でして、誰かと会うことが全然ありません。生身の人間との接点が演劇だけです。
てなてなことで、6月の優先順位高めな作品はこちら!!

劇団チョコレートケーキ『ガマ』
2022年に東京芸術劇場にて初演、今回吉祥寺シアターにて新演出での再演となる本作。沖縄戦の際に避難場所として使用された自然洞窟であるガマを舞台に、居合わせた老若男女の人間模様を描いた作品で、初演を観た後凄く考えさせられました。この作品を観るまでガマという場所をあまり詳しく知らず、どんなことがあった場所なのかこの作品をきっかけに自分で調べるようになりました。個人的には、自分と同じ若い世代にこそ観て欲しい一作です。6月に上演することにも凄く意味がある気もしています。

新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』
英国ロイヤルバレエで2011年に初演され、アジアでは唯一新国立劇場バレエ団だけが上演を許可されたプロダクションである本作。私事ではありますが、先月はじめてバレエの公演というものを観まして、とてもとても感動したのです。普段ストレートのお芝居を観ることが多かったのですが、それとはまた演出が全然違くて、何故今まで観てこなかったのかと後悔してました。不思議の国のアリスが題材ということもあり、自分と同じようにまだ観たことない方は凄く入りやすい作品なのでは、と思ってます。U25チケットもあるので、是非!

東京バレエ団『ザ・カブキ』
続いてこちらもバレエ公演。歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』を題材にした、東京バレエ団の代名詞ともいうべき大作である本作。昨年上演された際は連日のスタンディングオベーションだったとのことで、気になって舞台写真を見てみたら、とんでもなくカッコいい。それにびっくりして今楽しみ過ぎています。新国立劇場の屈指の舞台機構を使ってどんな演出のもと、あの人間ドラマが描かれるのか、注目です。今年の三月には歌舞伎座で『仮名手本忠臣蔵』は通し狂言で上演もされているので、歌舞伎ファンも必見です!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

6月!2025年上半期しめくくりの月。皆さま、いかがお過ごしですか。こちとらごとですが、年末に引っ越しを決めて、やっとやっと希望の物件に出逢え、いよいよ6月から新生活スタートとなりました。なのでうれしいたのしいだいすき中です。うきうきしながら、私的優先順位高めです!をお届けさせていただきます。ひゃっほい!
 
THE ROB CARLTON 19F『ENCOUNTERS with TOO MICHI』
今年2月のテアトロコント specialで、初めてTHE ROB CARLTONを観てから心待ちにしていました、新作本公演!「未知過ぎと遭遇した、何も判らない人々のコメディ」!?言葉だけじゃなく、共通のものが一切ない状態でのコミュニケーションが描かれるとのこと。村角ダイチさんが声のみの出演となり残念ですが、とてもとてもとても楽しみです!!
 
平凡パンチライン『Wife is miracle~世界で一番アツい嫁』
大人計画の池津祥子さん、伊勢志摩さん、宍戸美和公さん、猫背 椿さん、中井千聖さん、5人が創案し、脚本に宮藤官九郎さん、演出に木野花さん、そして、唯一の男性キャストにシソンヌのじろうさん…!じろうさんは、全ての妻の夫役に加えて、娘役もやるそうで…。楽しみすぎます!もちろんチケットは完売してしまっていますが、配信もあるそうなので、ぜひぜひ。
 
優しい劇団の浅草演劇祭「てんや篇」「わんや篇」
2日間日替わりの内容で、6月3日(火)の「てんや篇」は、優しい劇団尾崎優人一人芝居『北極星のがなりマイク』、6月4日(水)の「わんや篇」は、優しい劇団の大恋愛Volume九劇『暗黒提灯物語~娯楽町のさびしいお祭り~』が上演されるとのこと。フットワークが重くなりがちな演劇に希望を灯し続ける尾﨑さんの活動を、陰ながらいつまでも応援しています。
 
他にも、フルキャストオーディションで選ばれた多彩で多才な出演者で送る、ロロの新たないつ高シリーズ『いつだって窓際であたしたち』や、劇団ドラマティックゆうや『嘘の教育』、キングオブコント2023チャンピオンのサルゴリラさんのコント単独公演『カレー&ラーメン3』も観にいきたいです。
  
そして、こちとらごとですが、初めて、主宰でも企画でも出演者でもなく、制作のみで関わる公演が6月にございます。リトルビット『リトルサマー』!映像監督の長部洋平さんと俳優の前野朋哉さん、本多力さんの映像ユニット「リトルビット」が初の舞台化です。今までとはまた違った形での舞台公演への関わりにどきどきしながら、当日は劇場の受付にて皆さまのことお待ちしています!(お釣りが出ないよう小銭お持ち合わせの上、ご来場いただけたら大変喜びます)
  
以上、6月の【私的優先順位高め】でした。じめじめに負けないで過ごしましょうね。食品の常温保存には、くれぐれもお気をつけください。ご機嫌な下半期をお迎えできるよう、皆さまにとってのお気に入りに、たくさん出逢えますように…。

※尾崎優人の「崎」は「たつさき」が正式表記

佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。次回作品:劇団papercraft『旧体』 2025年8月29日(金)〜9月3日(水)  @KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
Lit.Link:https://lit.link/mayu221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

俳優・ 東野良平の優先順位高め!

先日、第69回岸田國士戯曲賞授賞式に出席してきました。
笠木泉さん『海まで100年』、安藤奎さん『歩かなくても棒に当たる』受賞本当におめでとうございます。
おふたりのスピーチから滲みでる人柄が、まさに作品そのものを体現していて、ああ、間違いなくこの人の血が通った戯曲なのだと感動しました。どちらも劇場で観れたことは自慢です。
6月はどんな演劇と出会えるでしょうか。

日本のラジオ『シホウドウセキ』
「さわやかな惨劇」を掲げ、演劇を上演する任意団体・日本のラジオ。
不穏で奇怪で仄暗い物語。演劇でありながら“読後感”とも言えるような、心に渦巻くざわめきを残してくれる文学性が魅力です。
2019年『ナイゲン(暴力団版)』の続編となる今作は、暴力団幹部が集い「話し合いで落とし前」をつける、正義と面子と打算が織り成すノワール会議劇。
大人気戯曲の設定を学園から裏社会に大胆リメイク(大胆すぎる!)した前作。ド直球タイトルに心奪われ、手練揃いの激渋俳優陣による、仁義と策謀の会話劇に度肝を抜れたことを鮮明に覚えています。
再演を心待ち(めちゃくちゃ出演したい)にしていたところ、まさかの続編。前作の各暴力団の設定は引き継ぎつつ、物語は主宰・屋代秀樹さんによるオリジナルのようなので、今作から観てもまったく問題ないでしょう。
公式Xでの、各キャストの暴力の匂いが漂うビジュアルも堪りません。

平凡パンチライン『Wife is miracle~世界で一番アツい嫁~』
大人計画の女優5名が創案した新ユニットによる企画公演。
各女優から「やりたい役」アンケートをとり、それらに基づいて宮藤官九郎さんがプロットを練ることで作品作りがスタートしたとのこと。
配役だけでなく、ユニット名、タイトル、チラシデザインに至るまで女優陣会議によって「やりたいこと、言いたいここと、いっぱい」アイデアを出し合ったそうで、まさに大人計画の層の厚さ、一人一人が熱をもった演劇人であるが故に成せる創作の新たなステージと言えるでしょう。
唯一の男性キャストはシソンヌ・じろうさん。こちらも女優陣のキャスティング会議で圧倒的支持を集めての起用とのこと。じろうさんが四兄弟を演じ、池津さん、伊勢さん、宍戸さん、猫背さんがそれぞれの“嫁”となるという、なんともワクワクする構図。大人計画女優に囲まれて七変化するじろうさん、絶対おもしろい。
演出は木野花さんで、2022年の舞台『阿修羅のごとく』で四人姉妹を活き活きと描いた木野さんが、四人の嫁を手掛けるとどうなるのか、こちらも注目です。
そしてタイトルにもあるように物語はある”奇跡(miracle)”に辿り着くようで…もう楽しみすぎる!

東野良平
俳優。劇団「地蔵中毒」所属。
X(旧:Twitter):@lycoris1210

ライター・中川實穗の優先順位高め!

福岡からこんにちは!
 
6月の福岡、まずは博多座の『六月博多座大歌舞伎』が欠かせません。中村勘九郎さん、中村七之助さんをはじめとする出演者の方々も魅力的で、【昼の部】では「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」、「お祭り」、「福叶神恋噺(ふくかなうかみのこいばな)」、【夜の部】では「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」、「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」と演目も魅力的。「怪談乳房榎」の勘九郎さん、「福叶神恋噺」の七之助さん、太宰府天満宮のある福岡で上演される「菅原伝授手習鑑」など、楽しみなことが多いです。
 
そして今月はギンギラ太陽’sの公演もあります!劇団「ギンギラ太陽’s」は、福岡市で暮らす人なら8~9割の人がどこかで目にしたことがある存在。今回上演されるのは、代表作『天神開拓史』の最新版だそうです。「現在パート」と「過去パート」の2部構成で、「現在パート」は2025年の最新街ネタで天神の新スポット「ワンビル」も登場するというから楽しみ。そして「過去パート」のクライマックスは、昭和20年6月19日の福岡大空襲とのこと。6月19日(木)は公演初日ですから、時空を超えて、同じ日、同じ場所で、体験する公演……特別なものになりそうです。
 
福岡ろう劇団博多第13回自主公演『ドロシーと星の道しるべ』は、“きこえないひとも きこえにくいひとも きこえるひとも 楽しめるミュージカル”。どんな風に「オズの魔法使い」が表現されるのかがとっても楽しみです。劇場で体験することでわかるようなことも多いだろうなと思っていて、すごく期待しています。
 
パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』は東京公演がちょうど終わったところですが、作品の舞台と同じ「かつて栄えた炭鉱町」がある福岡で観る、というのも優先順位高めな気持ちです。

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

今月はちょっと少なめですみません。1本目は、いくつになっても少女の頃の気持ちが蘇ってくる名著が原作のミュージカル。
 
ミュージカル『魔女の宅急便』
児童文学作家・角野栄子さん原作の世界的に有名な児童書。スタジオジブリの宮崎駿監督のアニメーション映画でもお馴染み、13歳の魔女キキの心温まる成長物語です。大好きなお話なのですが舞台では観たことがないので、あの世界観がミュージカルでどのように描かれるのか楽しみです。
 
そして、今月おススメの2.5次元作品はこちらの2本です。
 
『W3 ワンダースリー』
手塚治虫さんが60年前に描いだ漫画『W3(ワンダースリー)』の舞台化作品です。地球の調査にやってきた3人の宇宙人と、地球人の少年が、さまざまな悪と戦うSF活劇。演出は東京2020パラリンピック開会式の演出でも知られるウォーリー木下さん。どこかエッジの効いた演出にいつも引き込まれます。キャストも平間壮一さん、相葉裕樹さん、成河さんなど、実力派舞台俳優が顔をそろえていて期待度が上がってます。
 
ミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇
『薄ミュ』シリーズ18作目。「殺陣×ダンス×歌」で新選組を表現する斬新な演出が人気の2.5次元を代表する作品です。主人公の新選組隊士が変わることで、基本のストーリーを別角度で楽しめるのが『薄ミュ』の魅力。今作の主人公・藤堂平助 役は樋口裕太さん。2018年から演じている当たり役で、必ず感動させてくれるはずです!

井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者を経て、フリーライター&編集者に。観劇の入口は中学生のときの宝塚で、それから観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。

ライター・吉永美和子の優先順位高め!

6月は台湾旅行に行くことになっている吉永です。旬真っ盛りのマンゴーと生のライチを飽きるほど食べて、死ぬ前の悔いを大幅に減らす予定です。でもちゃんと芝居も観ますよ。

劇団壱劇屋『DEATH WONDERLAND』
関西切ってのフィジカル集団・劇団壱劇屋ですが、ファン感謝祭的なイベントで披露して、ファンすらも騒然とさせた怪作が、長編作品となって上演されます。「生きる意味を見失った男が、死者の国をさまようことで、生きる意味を見つけ出す」と、プロットだけを見ると実にまともというか、まとも過ぎてありがちに思えるけど、役者たちがあられもない格好で繰り広げる様々なアクロバティックシーンと、めちゃくちゃ巻き込まれた感のある客いじりに翻弄させられた記憶があります。まさに文字通り「体を張った」と言えるあの作品が、長編となってどれだけパワーアップするのか、楽しみでもあり恐怖でもあります。

THE ROB CARLTON『ENCOUNTERS with TOO MICHI』
今回の作品は東京で先に上演されるようですが、彼らをいち早くマスメディアに紹介したライターの意地にかけて(笑)紹介します。未知の宇宙生物の襲来によって、各方面のお偉いさんたちがてんやわんやの騒動を繰り広げる本作。先日NTLで、核戦争の危機をテーマにしたブラックコメディ『博士の異常な愛情』が上映されてましたが、あれからブラックな要素をまるっと抜いた、いい意味で「バカしかいねえのか! ここは!!」という舞台になりそうです。そしてこれを書いてる最中に、村角ダイチさんが事情により、声のみの出演になることが発表されましたが、きっとそれを逆利用したアイディアを出してくれると信じてます!

名取事務所『燃える花嫁』
関西発というと、どうも笑いの多いエンターテインメントを期待されがちですが、今もっともそのイメージをぶち壊す活躍を見せているのが「ももちの世界」の劇作家・演出家のピンク地底人3号。LGBTや障がい者など、社会的マイノリティの抱えている苦悩を繊細にすくい取りながらも、日常会話にも笑いをはさまずにいられない関西人ならではの会話と、最後に必ずなんらかの希望を提示していくその世界は、観劇後に重さと同時にほのかな救いを感じさせます。今回は、クルド人のフェイクニュース問題など、近年大きくスポットが当たっている「移民」がテーマ。パレスチナの演劇上演シリーズなど、社会派作品の演出が光る生田みゆきがどのように立体化するのか。その相性も注目したいところです。

吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

あっという間に2025年上半期が過ぎようとしております、、、(驚愕)。もうすでに1年分の舞台を観たんじゃないかと思うくらいに充実している気がしますが、今月も、新作ミュージカルが誕生します。

ミュージカル『梨泰院クラス』は、世界中で大ヒットを記録した、韓国のチョ・グァンジン氏の原作(韓国・カカオウェブトゥーン配信)を基に、日本・韓国・アメリカのクリエイターが集結し世界初ミュージカル化されます。主演でセロイを演じるは小瀧望さん。演劇界ミュージカル界に彗星のように現れて、その瑞々しく豊かな感性と実力を発揮されています。ヒロイン、チョ・イソを演じるのは、和希そらさんとsaraさんのダブルキャスト。確かな芝居と実力を持つおふたりと、小瀧さんがどんな化学変化を起こすのか、どんなミュージカル作品になるのか、お三方を中心としたカンパニーの皆さんが作る新たな『梨泰院クラス』に期待しています。

そして、こちらも新作ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』。イギリスの人気小説家アレックス・シアラー氏のファンタジー小説を、高橋亜子さん脚本・作詞、石丸さち子さん演出でミュージカル化されます。『北斗の拳』を傑作ミュージカルに作り上げたコンビによる新作ミュージカルです。選挙に行かなかったら、チョコレートが禁止された、、、ファンタジーどころか、今の世界はいつ似たようなことがおきてもおかしくないなと思わされる今日です。少年たちが起こす革命がどんなミュージカルになるのか楽しみです。

その他、シアタークリエで上演される2作品も楽しみ。座組みの並びを見ても、何が飛び出すのかわからない『Nostalgic Cabaret』。どんなエンターテインメントに仕上げてくるのか期待が高まる、海宝直人さんの30thコンサート『“ever” Naoto Kaiho Stage Entertainment Activities 30th Concert』。梅雨の湿気を吹き飛ばすような作品たちを期待しています!

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

今年から始まった、漫才とコント両方で戦う賞レース『ダブルインパクト』。1回戦から予選を観ていますが、「次に登場するのが漫才かコントかわからない」のはかなりワクワクします。『ダブルインパクト』がいい賞レースに育つことを祈りつつ、6月のお笑いをいくつか紹介します。
 
THE SECONDライブツアー2025〜今、全盛期の漫才師達〜
賞レース後、ファイナリストが集うライブが開催されるようになったのは案外最近のことです。結成15年以上のコンビを対象とする漫才賞レース『THE SECOND』もツアーを開催。ベテラン漫才師たちが集う『THE SECOND』今年のグランプリファイナル(決勝のことです)では、たいへん見応えのある試合が繰り広げられました。なんといっても結成54年のザ・ぼんちの漫才! 73歳の繰り広げる葬式ネタ。二人のパッション。まさに命をかけた漫才を見せつけられました。また、M-1グランプリ初年度からMCを務め続けてきた、M-1最大の功労者であるはりけ〜んずの漫才も見事でした。「誰よりも賞レースの現場にいて、誰よりも賞レースに出たことのない」二人の漫才、お笑いファンでも観たことのある人は少ないのではないでしょうか。演劇同様、お笑いも生で観るほうが面白いのはもちろんなのですが、中でもより「生で観るべき」人たちが、ここに名前を連ねるベテラン勢だと思います。
 
Aマッソ加納単独ライブ『H15』 
ホラー味あふれるフェイクドキュメンタリーを得意とするテレビ東京のプロデューサー・大森時生さんとタッグを組んだ番組やライブ、ミュージシャンとのツーマンライブなど、独自の道を切り開き続けているコンビ、Aマッソ。そのブレーンである加納さんによる単独ライブ『H15』が開催。2019年にも彼女だけの単独ライブ「Aマッソ加納第0回公演『コンナンモ』」が行われています。そこではお笑いと関係ない人とのコントや即興で観客から集めたアンケートに反応していく時間など、普段に増して実験的な要素が強い演目が繰り広げられました。中でもここで初披露された「映像漫才」は唯一無二の、Aマッソの代表作だと思います。あれから6年。今回はいったいどんな新しさを見せてくれるのでしょう。客席完売なので配信で!
 
他に、「スーパーイリュージョン」で寄席では相変わらずの人気のハイキングウォーキングが久しぶりに漫才に向き合う『ハイキング漫才ウォーキング』いとうあさこさんの毎年恒例の単独ライブ「いとうあさこお誕生日会『ゴジュウゴーイングマイウェイ〜55〜』」なども気になります。演劇では、なんといってもSF・ミーツ・ディスコミュニケーションのTHE ROB CARLTON『ENCOUNTERS with TOO MICHI』)、いつも圧倒的な”生活”を目の前で繰り広げてくれる劇団普通『秘密』、宮藤官九郎脚本×木野花演出という組み合わせの平凡パンチライン『Wife is miracle〜世界で一番アツい嫁〜』も見逃したくありません。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・河野桃子の優先順位高め!

私の5月は、このコーナーでの予告どおり、GWの「SHIZUOKAせかい演劇祭2025」のストレンジシードで幕を開けました。劇場のなかでひしめき合う演劇も大好きですが、商店街で踊り狂い、公園の芝生で枕投げをして、静岡の街を歩きながら過去現在未来の風景を演じるたくさんのパフォーマーに出会う演劇も心地よい時間でした。

今月はですね……どうにも絞り切れなかったのでわーっと書き出します。それでもなんとか7つにまでピックアップしました。一言コメントとともにどうぞ!

(公演順)
バストリオ『セザンヌによろしく!』
第14回せんがわ劇場演劇コンクール グランプリ・オーディエンス賞受賞公演。

優しい劇団の浅草演劇祭
一人芝居54役と、出演者の顔合わせ~本番まで1日で行うシリーズをおこなう、2日間のイベント。

名取事務所『燃える花嫁』
京都のピンク地底人3号さんが在日について書下ろし、文学座の生田みゆきさんが演出。

新国立劇場『不思議の国のアリス』
アリスのワンダーな世界、ひとまず過去公演の写真を見てみて…!

独り芝居『三島由紀夫 招魂の賦』
三島由紀夫を演じる本作、全国さまざまなところでツアー中。6月は長野にて。

ハラサオリ『プレイ・モデュロール』
振付家・ダンサー・パフォーマーのハラさんの新作ソロ公演をトラムで。

宝宝『みどりの栞、挟んでおく』
多方向からの託児系のサービスの充実がすごい!

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

6月の優先順位高め、1本目はハラサオリ『プレイ・モデュロール』
これまでの作品でも明確なコンセプトからクレバーなパフォーマンスを立ち上げてきたハラがシアタートラムで上演する新作はなんとレクチャーパフォマンス。「人体寸法と黄金比を基にした建築尺度」を意味する「モデュロール」という言葉をキーワードに「アフォーダンス、ポケモン・ショック、ネットミーム、盆踊り──といった共同体的な知覚の事象を振付の視点から紐解」くような作品になるらしい。「実存を測り直す」というキャッチコピーも気になるところ。

2本目は宝宝(2かいめ)『みどりの栞、挟んでおく』
宝宝は俳優・長井健一が主宰する演劇ユニット。長井が自身と同性パートナーのことを「フィクションに包んで」上演した1作目『おい!サイコーに愛なんだが涙』がサイコーに素晴らしかった(演出はかるがも団地の藤田恭輔、脚本は藤田と長井の共同名義)宝宝の2作目はシングルマザーとゲイ男性の友情を描く作品になるのだという。脚本・演出はいいへんじの中島梓織。ゲイ男性をきちんとフィクションに登場させ続ける(=いないことにしない)姿勢もさることながら、前作を受けての長井の言葉がグッとくる。「私は私のセクシャリティを題材に劇を作りたいと思っていたけど、そうではない人が私のことについて真剣に向き合っていることが、とても嬉しかったのです。そして、今度作品を作るのなら、私は私ではない他の人のことについて作品を作りたいと思いました」。

3本目はロロ『いつだって窓際であたしたち』
2015年から2021年にかけて10作品を上演し完結した「いつ高」シリーズが新たな俳優を迎えて再演!となれば見逃すわけにはいかない。いま注目の若手俳優が並ぶキャストに期待も高まります。およそ10年の時を経ての「いつ高」1作目が今、どのように上演されるのか、そして今の自分にどのように感じられるのかも楽しみ。7月には2作目『校舎、ナイトクルージング』の上演も。

6月末にはオランダ・アムステルダムで開催されるHolland Festivalの視察に行ってきます。アリ・スミスの季節四部作を演劇化した7時間の大作をはじめ1週間で15本(!)を観劇予定。未知との遭遇を楽しみにしています。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

6月です。早い!いろいろあって観劇本数が減っております。そんな中でも今月のわたしの「優先順位高めです」な公演はこちらです。

THE ROB CARLTON 19F「ENCOUNTERS with TOO MICHI」
その緻密に計算された会話で観るものをグイグイ引き込むロブカールトン。わたしもいつもグイグイ引き込まれて終演後はしばらく抜け出せず余韻に浸っています。今回は、ダイチさんが降板してしまい悲しいですが、それでも兄弟の力を見せつけてくれるはずです。楽しみ。

優しい劇団の大恋愛Volume九劇『暗黒提灯物語 ~娯楽町のさびしいお祭り~』
前回公演『絵本町のオバケ屋敷 ~愛!いつまでも残るの怪!~』を当日予約で初めてみたんです、優しい劇団。その日に会った俳優がその場で合わせて1日ぽっきりの公演を行う。とても刹那的。作品はとてもロマンティックでした。今回はどうなのかな?チケットは既に予約済み。楽しみ。

劇団普通『秘密』
先月末から始まっていますが、わたしが観るのは今月。全編茨城弁の会話劇。淡々とした会話の中に、人が持つ面白みが詰まっています。初演は未見なので楽しみ。

他、バストリオ『セザンヌによろしく!』、チラシを見てから気になって仕方ないニュー古典『死んダンス』などを観る予定です。