
まだまだ暑いですけど、もう9月。暦の上ではもう秋です。とはいえまだまだ暑い。でももう秋です暦の上では。秋と言えば“芸術の秋”ですよね。総合芸術とも言える演劇で、秋を満喫いたしましょう!というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。
脚本家/演出家・海路の優先順位高め!
海路です。みろって読みます。
9月1日(月)現在、自分が作・演出を務める『旧体』絶賛公演期間中です。KAAT神奈川芸術劇場にて9月3日(水)までの上演なので、是非身にいらして下さい!
てなてなことで、9月の優先順位高めな作品はこちら!!
◯秀山祭九月大歌舞伎『菅原伝授手習鑑』
松竹創業130周年を記念して、今年三代名作を通しで上演する歌舞伎座での、『仮名手本忠臣蔵』に続く2作品目となる本作。「学問の神様」とされる菅原道真の大宰府流罪事件を題材に壮大な人間ドラマが描かれます。今回、A・Bプロそれぞれ配役が異なっていて、どちらも見逃せない!個人的には、市川染五郎さんが挑戦する武部源蔵は、歌舞伎座での過去興行において最年少とのことで、注目です!
◯道産子男闘呼倶楽部『きのう下田のハーバーライトで』
2023年に下北沢のOFF・OFFシアターで上演された、蓬莱竜太さん作・演出の本作が、待望の再演とのことで個人的注目の一つである公演。初演同様、犬飼淳司さんと津村知与支さんによる二人芝居なのですが、これが物凄く良い。初演時は、シンプルな舞台セットの中に二人が現れると物凄い勢いで時間と関係性が変化していく面白さ、そして切なさ。すり減らしていく人生と、滑稽な人間関係が、ずっと愛おしくもあって。確か、1時間ちょっとくらいの上演時間だったのですが、個人的に未だに忘れられないあのモーテルの光景が、時折浮かびます。劇場も今回浅草九劇とのことで、近い距離で見れる小劇場だからこその贅沢も味わえると思うので、是非!
◯『ここが海』
今最も勢いに乗っている劇作家・演出家の加藤拓也さんと、俳優の橋本淳さんがタッグを組み創作する企画の第2弾となる本作。YouTubeでも今現在見ることのできる前回作『もはやしずか』がとんでもない衝撃で、それ以来約3年ぶりの公演なので、物凄く楽しみなのです。出演者には、橋本淳さんの他、『もはやしずか』に続いての出演となる黒木華さん、映画『街の上で』『うみべの女の子』などに出演の中田青渚さんが名を連ねています。性別を変更したいと告げられた家族の物語とのことで、現代社会における課題を多く孕んだ作品となっているのでは、と思っております。また、個人的に美術に山本貴愛さんのお名前があり、近年読売演劇大賞優秀スタッフ賞を受賞するなど、今とても注目の美術家さんなので、どんな舞台美術が立ち上がるのか、それもとても楽しみです!
海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
俳優・佐久間麻由の優先順位高め!
9月!え?9月?今年ももうあと4ヶ月。驚きと共に色々なことがあったなと振り返りそうになってしまいますが、まだまだ今年を満喫したいと思います。今月のおすすめを並べたところ、いつも以上に私的度高めになりましたこと、ご勘弁ください。
というわけで、9月の私的優先順位高め、宜しければご覧くださいまし!
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』
「ドン・キホーテ」をKERAさんが!ただただたのしみです。大倉孝二さんと咲妃みゆさんのタッグ!ただただたのしみです!この作品を観ることを楽しみに、この残暑を乗り越えたいとおもいます。
南極『ゆうがい地球ワンダーツアー』
南極の最新作!こどもからおとなまで楽しめる作品、ということで、そうか!たしかに!南極とこどもの相性は間違いなく抜群だよね!と深く納得。そしてわくわく!作品のテーマには「死」があり、観終わったこどもたちはどんな想いをいだくのだろう。
『ここが海』
た組の加藤拓也さんの最新作。性別を変更したいと告げられた家族の物語。公演HPや公開されているインタビューから、とても丁寧に作品が創られているのだろうなと伺えて、こういう作品が世の中でたくさん観られてゆきますようにと、勝手ながら願ってしまいます。
ロロ新作公演『まれな人』
人間横丁のおふたりが揃って出演するなんて、とっても楽しみです。内田紅多ちゃんが今年の1月に初舞台として「爍綽と」に出てくださって、言わずもがな最高でして。こんなにも早くまた舞台に立つ紅多ちゃんを観られるなんて、最々高です!そして山田さんも一緒だなんて!ロロの新たな取り組み「Podcast演劇」も面白そう!
パ萬第3回公演『(ハローワーク)・各地探訪』
なんと、公演場所がスリーピルバーグスの旗揚げ公演をした、永福町駅の屋上庭園 ふくにわなのです。てっぺいくんから「あの素敵な場所はどうやって借りるんですか?」とご連絡いただいた時、うれしかったです。そう、素敵なんですよ、ふくにわ!永福町のオアシス!パ萬の公演日程や上演時間、注意事項などなどから感じる馴染みのある情報の並びに、膨大な交渉の日々や、豪雨の中でも上演したあの日のことを鮮やかに思い出しました。パ萬の公演は、どうか晴れますように!
コンプソンズ大宮企画#3『猿のハイライト』
その名も通り、コンプソンズの大宮二郎さんの企画公演。素敵メンバーが揃っている今回もきっと面白いはず!ところで。大宮二郎さんって素敵な名前だなぁと思っいて。本名なのか否か、ずっと気になったまま誰にも聞けずにいます。
そして、私ごとで恐れ入りますが、9月3日(水)まで劇団papercraftさんの『旧体』に出演させていただきまして、9月19日(金)〜9月21日(日)には、劇団公演があります!スリーピルバーグス第3回野外公演inビーチ!『歌唱劇 パラダイスをくちずさむ』。公演タイトル通り、海で野外劇やります。歌唱劇を、野外で、しかも海で、残暑残る9月に、、と、やる方の必死さは折り紙付きですが、観てくださる皆さんには、美しい海を前に、どうかお酒やジュースなど片手にのんびりと贅沢に楽しんでいただきたいと思っております。
以上、9月分でした!残暑見舞い申し上げます!それではまた、秋と呼ばれる10月に!
佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。
出演作品:劇団papercraft『旧体』 2025年8月29日(金)〜9月3日(水) @KAAT神奈川芸劇劇場 大スタジオ、スリーピルバーグス『歌唱劇 パラダイスをくちずさむ』2025年9月19日(金)〜9月21日(日)@兵庫県豊岡市 竹野浜特設ステージ
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/
俳優・尾倉ケントの優先順位高め!
絶賛本番中の尾倉ケントです!
夏休みは稽古漬けの毎日でしたが、隙を見つけて子どもたちと大洗水族館(サメで有名!)や、日生劇場ファミリーフェスティヴァルに行ってきました。
夏休みの8月は子ども向け公演が多かったのですが、9月はぐっと減ってしまいます。そんな中でも子どもと一緒に安心して楽しめる“定番”があるので、今回はそれも含めてご紹介します!
● KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』@KAAT神奈川芸術劇場 ホール
ナイロン100℃のケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出する、新しい「ドン・キホーテ」。
主演のドン・キホーテ役は大倉孝二さんで、これはもうイメージ通り!KAATの大舞台で大暴れする姿を絶対に観たいです。
ちなみに、私が演劇を志したきっかけは高校生の時に観たナイロン100℃『東京のSF』。そのときも主演は大倉さんでした。あの出会いがなければ、今この記事を書いていることもなかったかもしれません。演劇って本当に一期一会ですね。
あと、KAATの公演は託児サービスのある回があるのも、子育て世代には嬉しいポイントです!
● ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーショーシリーズ第2弾「新たな戦士がGロッソで世直しだ! 救世主ゴジュウポーラー見参!!」@シアターGロッソ
9月は子ども向け公演が少なくなりますが、そんな時に頼れるのがシアターGロッソ!
1年中ヒーローショーを上演している、まさに“子ども連れの味方”です。
ここは“ヒーローショー準専用劇場”で、ワイヤーアクションやキャットウォークから奈落へ飛び降りるなど、Gロッソならではの大掛かりな仕掛けが満載。
さらに俳優目線で興味深いのは、セリフが録音の当て振りではなく、舞台上で実際に発声している点です。テレビ版とは別のキャストですが、キャラクターの特徴をしっかり捉えているので、違和感なく世界観に没入できます。
● ろりえ 2025年新作本公演『ろりえの暴力』@新宿シアタートップス
最後は、私が出演している劇団「ろりえ」の新作公演です。
暴力に支配された中学校を舞台にした、スーパーハイテンションなコメディ!
40歳の私も中学生役で暴れています(笑)。
ろりえは、ハチャメチャでハイパワーな笑いの中に、ときどき切なさを織り交ぜるのが持ち味。多種多様なギャルとギャル男達が青春と現実の狭間で全力でもがく姿を、ぜひ劇場でご覧ください!
尾倉ケント
俳優。小松台東、ポツドール、ブス会*、大河ドラマ「光る君へ」など。
★次回出演
・ろりえ「ろりえの暴力」2025年8月27日(水)〜9月7日(日) @新宿シアタートップス 公演中!
・ホエイ 新作「メヤグダ」2026年2月19日(木)~2月25日(水) @シアター風姿花伝
X(旧:Twitter):@0gura_kento
俳優・田代明の優先順位高め!
早いもので今年もあと4ヶ月。
今しか見られない、見逃し厳禁な作品たちをご紹介します。
ミュージカル『コーラスライン』日本特別公演
長年愛され続けるミュージカルの名作『コーラスライン』。1975年にオフ・ブロードウェイで初演されるやいなや好評を博し、その後15年もの間ブロードウェイで上演された作品です。
新演出版は2021年に上演され、オリジナル版へのリスペクトを大切にしつつ、より現代的な振り付けやオーケストレーションにブラッシュアップされているそう。さらに、オリジナル版では客席からの声掛けが主だった演出家・ザックが、新演出版では舞台上でダンサーたちと関わるようになり、ザックの人間性をより深く読み取ることができる演出に変わっています。
世界トップクラスのミュージカルプロダクションを日本で観られるチャンス、お見逃しなく!
あやめ十八番 草創記『金鶏 一番花』
以前あやめ十八番を観た時に、日本の文化芸術を舞台上に組み込んで昇華させるという事を、こんなにも素敵に行っている団体があるんだと感動した記憶があります。とてもナチュラルな感覚のまま、スっと心に入ってくるエンターテイメント。そんな印象でした。
草創記『金鶏 一番花』は、日本でのテレビジョン放送開始までの軌跡を描くシリーズの第二弾です。第一弾である音楽劇『金鶏 二番花』のプロモーション映像は公式HPで公開中。観たかったなぁと思いつつ、今作『金鶏 一番花』をさらに観たくなる映像になっているので、ぜひご覧になってみてください。
ノサカラボ 舞台『THE MOUSETRAP』
学生時代に見たアガサクリスティのマウストラップ。面白かったなぁという記憶からこちらの舞台を選ばせていただいたのですが、こちらの団体「ノサカラボ」は世界中にある名作ミステリーを舞台化・上演していく長期プロジェクトなんだそうです。始動は2021年。
今回の公演はもちろん、次回はどんな作品を取り上げるのか、とても気になるのでこれからも注目していきたいです。
今月も!
心置きなく心の栄養を貯めていきましょう。
田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
★次回出演
REAL TRAUM THEATRE『メリー・ウィドウ』2025年10月13日(月)〜10月15日(水)@三越劇場
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays
脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!
今月は多分あんまり観に行けないけど、応援するつもりで観たいなって公演をばーっと書かせて頂きます。
コンプソンズ 大宮企画『猿のハイライト』
演劇人のコントはお笑い芸人さんのコントに劣るみたいな言説を時々聞いたりしますがぼくは全然そうでもない気がしてます。型にはまらない自由さが演劇の方々のコントにはある気がします。観たい公演です。
南極『ゆうがい地球ワンダーツアー』
躍動感あふれる公演ビジュアルに団体の勢いが表れてるようです。まだ拝見したことないのですがもうほんとみんないいって言ってる。HPのデザインのセンスのよさ。東京でやる時は絶対観に行くぞと言う気持ちです。
なかないで、毒きのこちゃん『かこちゃんの後悔』
すごいペースで公演してる「なかないで、毒きのこちゃん」。2023年に中止になってしまった演目をここで満を持してスズナリで上演。可愛さとロマンチックさが好きです。
劇団スポーツ『CONSTELLATIONS』
こちらもまだ拝見したことないのですが、信頼できる方からおもろいから見たほうがいいぜって言われてます。海外戯曲の翻訳上演だそうです。実験的な試みっていいですよね。
ロロ『まれな人』
まれな人たちによる復讐劇、それだけでも興味深々ですが、事前にポッドキャストで音声配信があるとのことで取り組みが面白い。詳しくは特設サイトへ。
作:ヨン・フォッセ/演出:佐々木敦『だれか、来る』
評論家の佐々木敦さんが演出するという、こちらも非常にまれな公演。演劇の教養に自信ないので原作読んでから観に行きたいと思ってます。出演は飴屋法水さん伊東沙保さん矢野昌幸さん。
エトエ『人々』
新しい方々と一緒にコントを創作しています。人が出てきてなんかする予定です。わりとミニマムな公演ですのでもしご興味ありましたら早めにご予約頂けたら。よろしくお願い致します。
Nanori『Mix tape』
いま最も興味がある団体さん。コントはすきですが、ボケツッコミのいわゆるよくあるコント以外のおもしろを欲している自分がおります。優先順位高めです。
滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/
脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!
ローソンチケット演劇部が9月の小劇場おすすめを紹介いたします。
9月ということで、夏もそろそろ最終局面ですね。夏は終わりが一番美しい。各々の夏の思い出を残し切ってくださいね?
そしたら9月のお勧め演劇を。
・メトロンズ『No Sing,No End!』
メトロンズ最新作。面白いは確実に保証してくれた上で、物語も紡ぐ最高の劇団。
更には今回福井夏さん、川上友里さん出演で強度増し増しです。迷ったらメトロンズで。
・ザ☆夕方カレー『悲しみよ コニャニャチハ!』
放送作家の秋葉さん率いる劇団の数年ぶりの復活公演。
お馴染みの瞬間メタルさんと米田さん吉川さんと言うメンツに、小説家の道尾さんと異色の役者さんたちの織りなす物語。楽しみです。
・なかないで、毒きのこちゃん『かこちゃんの後悔』
2年前中止になった公演のリベンジとなる今作。はちゃめちゃに面白い毒きのこちゃんが、その熱量が重なってもっと爆発的に面白くなります。一度悔しさが乗った作品は絶対失敗しない。お勧めです。
・パ萬『(ハローワーク)・各地探訪』
今作は川上さわさんが作演で参加。
とても可愛くキュートな3人ユニットの最新作。可愛いとキュートは限りなく同じ意味の言葉です。GO!
・コンプソンズ大宮企画#3『猿のハイライト』
タイトルおしゃれ。面白いです。前の2公演観てて面白いので、3回目も絶対面白いです。
3まで出てて面白くない映画なんてこの世に一個もないですよね?答えが出たなら、行ってください。
・高円寺K`sスタジオ×ヤバイ芝居『ヤバイ芝居の大迷惑』
観劇おじさんのヤバイ芝居が行う1日だけの演劇イベント。
優しい劇団や、盛夏火などが名を連ねてます。どんなイベントになるんでしょうね?
以上!夏と一緒に9月のおすすめも終わり!!
次は10月にお会いしましょう!せーの!
萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト
ライター・中川實穗の優先順位高め!
福岡から中川實穗です、こんにちは。
9月、福岡の演劇公演はソールドアウトかソールドアウト間際のものだらけで、私はけっこうチケットを取り逃しております。
キャナルシティ劇場で上演される劇団四季『オペラ座の怪人』も年内はソールドアウト気味。福岡では21年ぶりの上演ですしね。みんなが同じ作品を観ている、という状況が起きやすいのは福岡の規模感ならでは。「観た?」「観た!」って言い合いたいです。来年4月まで!
そして今月は、小倉北区にある「cafe causa」で上演される作品がすべて気になっています。
北九州の劇団「C4」による、レトロスペクティブ第2弾リーディング公演『どんと・すとっぷ・みー・なう!!』。2014年初演の作品で、「ホームドラマ+サスペンス+カーアクション」と説明されているのですが、リーディングでカーアクション……?と楽しみ。
次の週に上演されるのは、北九州の劇団「夢の工場」に所属していた一角弓歌さん、松島元子さん、近藤紀子さんが30余年の時を経て再集結したスペシャルユニット「弓元紀」の公演。
短編3本連続上演で、『カザシモの金魚』(脚本:大塚恵美子(大猫座))、『3人の魔女ちゃんねる』(脚本:泊 篤志(飛ぶ劇場)&弓元紀)、『ミアキス パキケタス』(脚本:近藤紀子)と堪能できるものが多そう。
その翌週は、演劇ユニット「きみどなり」のリーディング公演『えんげきのとなり vol.1』。こちらはJ:COM北九州芸術劇場が主催し、地域の舞台芸術を担う次世代の表現者を育成する「キタゲキスクール」出身者が中心の公演。
三者三様の魅力が味わえそうで、とても注目しています。
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt
ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!
残暑厳しく秋はまだ遠いようですが、芸術の秋です。
今月も見逃せない舞台がございますよ☆
シス・カンパニー公演「ライフ・イン・ザ・シアター」
堤真一さんと中村倫也さんが、1対1で向き合う二人芝居。舞台は、「劇場」そのもの。堤さん演じる大御所俳優と中村さん演じる若手俳優が、舞台上や舞台袖、楽屋や廊下など、さまざまな劇場空間で対峙します。時間の経過と共に変化していく二人の心理的なパワーバランスを、ユーモラスに時に辛辣に描く名作。2009年に二人が初共演したシス・カンパニーの舞台、「バンデラスと憂鬱な珈琲」を観ている筆者としても、見逃せません。
2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演
チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪 THUNDERSTRUCK』
新感線創立45周年記念の秋冬公演が、いよいよ松本で開幕。その後、10月に大阪、11月~12月に東京で上演されます。江戸時代を舞台に、歌舞伎の大名作『忠臣蔵』を上演するために愚かしいほどに芝居作りに情熱を傾け奔走する演劇人を描く本作には、45年分の作品をごった煮したセルフパロディ・セルフオマージュの要素も詰め込まれるとのこと。劇団の看板俳優、古田新太さん、高田聖子さん、粟根まことさんに加え、久々に橋本じゅんさん、羽野晶紀さん、橋本さとしさんも出演。さらにゲストは常連の小池栄子さん、早乙女太一さん、向井理さんと超豪華。これはもう、楽しくないわけがありません!
Jaen Paul GAULTIER’S FASHION FREAK SHOW『ファッションフリークショー』
ファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエが自ら作・演出・衣装を務め、自身の幼少期からトップデザイナーとして躍進していく激動の半生と創造の軌跡を、音楽・ダンス・ファッションを融合させ舞台芸術として描いたエンターテインメントショー。彼が手掛けた200着以上のオートクチュール身に着けて繰り広げる、世界的パフォーマーたちのパーフォーマンスは唯一無二です。ファッション好きの方には特におススメしたい。
そして、今月のおススメ2.5次元作品はこの2本です。
ミュージカル「黒執事」~緑の魔女と人狼の森~
柩やな氏原作の漫画『黒執事』を舞台化した人気シリーズの第10弾。19世紀後半、ヴィクトリア朝時代の英国を舞台に、名門貴族の若き当主シエル・ファントムハイヴと、彼に仕える全てにおいて完璧な執事セバスチャン・ミカエリスが、“女王の番犬”として裏社会の事件を解決する物語。舞台版は、ゴシック調の豪華なビジュアルと、ミステリー、アクション、ギャグをふんだんに盛り込んだ世界観の再現度の高さで、人気を博している。第10弾では、アニメ『黒執事 -緑の魔女編-』でも描かれている、原作屈指の人気エピソードが描かれます。立石俊樹さん演じるセバスチャンの美しさは必見!
Bloody Love 歌劇『ババンババンバンバンパイア』
奥嶋ひろまさ氏原作の漫画、アニメ、実写版映画と、大ヒットを続ける『ババンババンバンバンパイア』の初舞台化。老舗銭湯“こいの湯”で住み込みバイトをする吸血鬼の森蘭丸が、究極の味わいである“18歳童貞の血”を求めて、銭湯の一人息子・立野李仁の純潔を守るため奮闘する姿を描いた“BL(ブラッディ・ラブ)コメディ”。舞台でどう弾けさせてくれるのか、とても楽しみです。
井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者を経て、フリーライター&編集者に。観劇の入口は中学生のときの宝塚で、それから観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。
ライター・吉永美和子の優先順位高め!
7月まで旅行にお金使いすぎたことと、9月にまたしても狂気の観劇ツアーが控えているため、8月は近場のスーパー銭湯に行く程度で大人しくしていた吉永です。観劇までちょっと控えめになってしまってた感があるのが反省。
○9月10日(水)~9月14日(日) メイシアター開館40周年記念『MOTHER-君わらひたまふことなかれ』@吹田市文化会館メイシアター
「南河内万歳一座」「劇団M.O.P.」「売名行為」と聞いて胸が踊る人、ベテランの関西小劇場ウォッチャーですね。大阪府吹田市の劇場「メイシアター」の、開館40周年プロデュース公演で、マキノノゾミ作×内藤裕敬演出×キムラ緑子・升毅W主演という、当時の俺たちに聞かせてやりたい豪華な組み合わせの舞台が実現。与謝野晶子&鉄幹夫婦の家に集う、いろんな作家や社会運動家たちの人間関係の変化を、5年間のロングスパンで描いていく、マキノお得意のワンシチュエーションの会話劇です。一方内藤といえば、バカバカしさと切なさが紙一重の肉体芸をポンポン見せていくという、対極の舞台を得意とする演出家。まさに水と油の戯曲と演出を、キムラや升や関西演劇界のイキのいい俳優たちが、どう混じり合わせていくのかに注目です。
○9月21日(日)・9月22日(月) 王嘉明×タニノクロウ『誠實浴池 せいじつよくじょう』
@城崎国際アートセンター ほか
実はこれ、台湾でワールドプレミアを観たのが私の自慢の一つ。自然に半分帰りかけた公衆浴場の跡地という舞台美術からまず持っていかれるし、そこに出入りする男たちの陰惨の極みのような独白には心がキリキリさせられるし、そんな男たちを慰撫するために行われる「いや、なんでやねん!」という所業の数々に苦笑するという。なんともシュールでユーモラスで、そして生と死や、ノーマルとアブノーマルを区切るものはなんだろう? という哲学的な問いかけも浮かび上がってくるという、独特の観劇体験でした。その怪作が「豊岡演劇祭2025」で日本初上陸。富山や東京でも上演されますが、できれば城崎にて、温泉に入る前or入った後に観たい作品かもしれないです。
○9月26日(金)~9月28日(日) くじら企画 シン・クジラ計画III『屋上のペーパームーン』
ゴッホとか宮沢賢治とか、死後になってからその仕事が評価されたアーティストは数多いけど、「くじら企画」主宰だった大竹野正典も、その一人かもしれません。16年前に彼が事故で亡くなった時、職業を「会社員」と書かれたことに、多くの関係者や観客はショックを受けました。しかしその後、くじら企画メンバーは大竹野の戯曲を上演し続け、東京でも大竹野作品のプロデュース公演が相次いだことで、彼の名は生前よりも(特に東京方面で)浸透したように思います。今回上演される『屋上のペーパームーン』は、1973年に大阪で実際に起きた未解決事件「ニセ夜間金庫事件」をベースにした群像劇。決して痛快ではないけれど、どこか自分ごとのように胸に染みるピカレスクを、今回も見せてくれるはずです。
吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a
批評家・山﨑健太の優先順位高め!
まだまだ暑い今日この頃。しかし舞台芸術界隈は芸術の秋に向かってますます熱くなっていきます。まずは国際芸術祭あいち2025と豊岡演劇祭がスタート。今年はどれだけ観て回れるかしらん、と予定を眺めつつの9月です。
9月の優先順位高め1本目は劇団スポーツの新シリーズNOWHERE #1 『CONSTELLATIONS』。「「物語の中で起こること」と「舞台上で実際に起こること」その両方を楽しめる演劇の創作を目指して」きたという劇団スポーツが「その探究をさらに広げる」ために選んだのはなんとイギリスの劇作家ニック・ペインによる戯曲の上演。日本では『星ノ数ホド』のタイトルで小川絵梨子演出で上演もされた戯曲に劇団スポーツはどう挑むのか。ifの世界を繰り返し描いてきた劇団スポーツとは意外に相性もいい戯曲な気がするので楽しみ。
2本目はた組の加藤拓也が作・演出を担う『ここが海』。「性別を変更したいと告げられた家族の物語」を描くという本作は「2023年春の初稿完成以降、シスジェンダーとトランスジェンダーのメンバーが対話を重ね、デベロップメントを行」ってきたものだという。性的マイノリティに対するフェアな扱いもその適切な表象も十分になされているとは言えない日本の舞台芸術界に一石を投じる作品になってほしい。
3本目はロロ『まれな人』。6・7月でフルキャストオーディションによるいつ高シリーズリブートを上演したかと思えば8月の頭には1週間で作った短編作品を上演、そして9月には新作本公演とまさかの4ヶ月連続公演となるロロ。今回の新作は「Podcast演劇」とのことで、劇場での公演に先駆けて音声ドラマが配信されるそう。私はもちろん両方チェックするつもりですが、どちらかだけでも楽しめる作品なるようなので、遠方の方もぜひチェックを。
山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
ライター・河野桃子の優先順位高め!
忘れられないフェスティバルがある。
香川県高松市の国重要文化財のなかで全国津々浦々の劇団が同時上演される「マエカブ演劇フェスティバル(通称:カブフェス)」。今年もこの季節がやってきた。
大正6年に完成した旧高松城主の別邸「披雲閣」は玉藻公園(史跡高松城跡)内にあって、つまりどでかい和風の家のため、たくさんの和室が障子で隔てられている。当然のように、ほかの部屋でやっている演劇の声も聞こえる。俳優たちのむこうに青空が見える。上演中でも子どもは廊下を走り、ときには鳩が乱入する。
さながら文化祭のような熱気と風通しとごった煮のなかで、北海道から九州までいろんな劇団が入り乱れるようすに、はじめて訪れた数年前には「こんな芝居の空間にはいりたかった~」とわくわくが止まらなかった。
今年で開催も13回目。
「〇の間」と名のついた6部屋で、9月13日(土)・9月14日(日)と26団体が上演。場所は高松駅前なので、観光がてらぜひどうぞ。もし訪れた方は連絡ください。一緒に讃岐うどんを食べましょう。
ほか、ウンゲツィーファ『旅の支度』、チーム・クレセント『わたしのこえがきこえますか』(2022年第29回OMS戯曲賞 大賞作品)、劇団スポーツ『CONSTELLATIONS』、名取事務所『砂漠のノーマ・ジーン』も気になってます。
(公演日順)
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com
ライター・岩村美佳の優先順位高め!
9月も残暑とは言えない暑い日々がまだまだ続きそうですね、、、辛。
今月は遅い夏休みをとる気持ちでゆっくりするつもりなので、観劇も控えめなのですが、楽しみにしているのは先月に続いてのミュージカル『ジャージー・ボーイズ』と、ミュージカル『SPY×FAMILY』、ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!です。
ミュージカル『SPY×FAMILY』は2023年初演以来の再演になりますが、オリジナルキャストの皆さんに、新キャストの皆さんが加わります。特に、新キャストのロイド・フォージャー役の平方元基さん、ヨル・フォージャー役の和希そらさんが加わって、芝居上手なお二人が、あの独特な世界観の中で、どう魅せてくださるのか楽しみです。
ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!は、2023年に初めてミュージカル版が上演されましたが、実写版レジェンドキャストでもある、のだめ役・上野樹里さん、シュトレーゼマン役・竹中直人さん、さらにミュージカル版で千秋真一役を演じた三浦宏規さんらが再集結。新キャストも加わります。さらに、東京フィルの皆さんが、原作でも象徴的に使用されたクラシック音楽の名曲の数々を演奏されるとのこと。多角的に楽しめそうなシンフォニックコンサート版に期待しています。
岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
突然なんですけど、9月の1週目ってヤバくないですか?しかもわたしその週末土日が仕事なんですよ。これは参りました。そんな中でも合間を縫って行ければなと思っています。
その個人的ホットな9月1週目に観るのは…。
コンプソンズ大宮企画『猿のハイライト』
好きなんですよね、大宮二郎。俳優としてはもちろん最高なんですけど、彼の書くネタがこれまた面白いんです。いろんな人にオススメしてる。みんなも行くといいと思います。
南極『ゆうがい地球ワンダーツアー』
勢いありますよね、南極。しかも彩の国の小ホール。この空間と南極って結構相性よさげに感じます。楽しみ。みんなも行くといいと思います。
ザ☆夕方カレー『悲しみよ コニャニャチハ!』
わたしがチケット営業やり始めたころにちょっと担当していたザ☆夕方カレー7年ぶりの公演。東京にこにこちゃんでお馴染みキャストがたくさん。みんなも行くといいと思います。
ウンゲツィーファ『旅の支度』
前回公演で初めて観ましてね、次も絶対観る!って思ったウンゲツィーファ。カフェムリウイは3度目。ここも素敵なスペースです。みんなも行くといいと思います。
パ萬『(ハローワーク)・各地探訪』
江原パジャマ、てっぺい右利き、細井じゅんの個性派3人によるユニット。面白くないわけない。しかもね、土日だけなんですけど夜やってくれるんです。これなら行ける!みんなも行くといいと思います。
それ以降では、やっぱりKERAさんの作品は欠かせない『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』、これも外せない加藤拓也さんの新作『ここが海』、劇団スポーツの《 NOWHERE 》#1『CONSTELLATIONS』、ロロ『まれな人』、多摩美シアタープロジェクト びびび vol.1 『アートマーザー』、などなどなど…。
あれ?今月時間足りなくない?