ダイワハウスSpecial地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15 『ZEROTOPIA』囲み取材&ゲネプロレポート

2018.04.09

4/9(月)東京公演開幕。新たな大エンタテインメントが出来上がった!
「常に最新作が代表作」の気持ちは15作目も変わらない!

 

4/9(月)TBS赤坂ACTシアターを皮切りに、東京、愛知、新潟、福岡、広島、大阪をめぐる約3カ月半(約4カ月間)のロングラン公演のスタートを切ったダイワハウスSpecial地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』。そのゲネプロが報道陣に公開された。上演に先立ち、柚希礼音、西川貴教、新田真剣佑、宮澤佐江・花澤香菜(Wキャスト)、岸谷五朗、寺脇康文の7名がフォトセッションと囲み取材に対応し、熱い意気込みを語った。

 

岸谷五朗
「地球ゴージャス15作目の新作を約4カ月間打てることに幸せを感じています。多くのお客様に感動していただけるよう、キャスト総勢35名一丸となってがんばります」

寺脇康文
「稽古は約2カ月。当初は、それこそタイトル通りゼロだった作品が、いま『ZEROTOPIA』なりの木を育て花を咲かせることができました。この花を見に来ていただきたいと思います」

柚希礼音
「初めての経験がたくさんあり、岸谷さん、寺脇さんに教えていただきながら稽古してきたことを、思い切りのびのびと演じたいと思います」

西川貴教
「カンパニー全体が物語を紡ぐに欠かせない一人ひとりであり、僕もその一人になれて非常にうれしく思います。いまのタイミングにしかできない物語を全員でがんばります、応援よろしくお願いいたします」

新田真剣佑
「毎回が全力投球です。みんなで最後までがんばります」

宮澤佐江
「4年前とはまた違う役柄です。地球ゴージャス初の試みであるWキャストに参加できて非常にうれしく、この喜びをみなさまにお伝えできるようにがんばります」

花澤香菜
「いまだにここにいるのが夢みたいな気持ちです。(寺脇がつねる!)……あ、夢じゃない(笑)。声優なので声のお芝居はやっていますが、素晴らしい全身表現をさせるみなさんとご一緒できて刺激を受けています。精いっぱいがんばります」

 

物語の舞台は、いずことも知れない色彩の無い島。沈むはずのない豪華客船の沈没により、この島に打ち上げられた男たち、女たち。彼らはそれぞれに残酷な過去を抱えている身であった。そうした物語設定にからめて岸谷が本作の魅力を語った。

岸谷「特別な過去を背負った人々がある無人島に集められる話なのですが、今回キャストも全員が違う過去を持つ最高のエンターテイナーです。柚希さんは宝塚トップスター、西川くんは音楽界、アメリカで演技を学んできた真剣佑、アイドル界から宮澤さん、声優界から花澤さん。本作にぴったりの配役がかない、地球ゴージャスらしい顔ぶれになりました。全員がすこしでも自分を高めようという人ばかり。過去も個性も身長も違う人々ですが(笑)、このバランスの悪さがとてもいいバランスになっているんです(笑)」と記者団を沸かせた。

ところで、制作発表時点から話題になっていたことが一つある。西川の「カッパ役です」という爆弾発言だ。「実際にカッパですか?」と質問された西川は、「ちょ、ちょっとわからないですね。どんな形になっているかぜひ劇場で確かめてほしいです」と歯切れの悪い?微妙な返答。その答えも、舞台が始まると明らかに――!!

2カ月間の稽古が濃密だったか、すっかり家族のような面々。「お兄ちゃんお姉ちゃんに会いに行くような稽古でした」とは新田。この言葉にも実は本作へのヒントが隠されていた。前列に立つ西川にちょっかいを出しまくる新田に注目が集まると、西川が「だいたい一緒にいるので見つけやすいんです。どっちかがいればもう一人もいる」とフォロー。2人のじゃれ合いはいつものことのようで、このバディ感が舞台上で発揮される瞬間も見逃せない。

宝塚退団後、舞台回数を増すごとに“女度が上がる”柚希は、「地球ゴージャスに出させていただくなら戦う強い女性役を想像していましたが、あえて、一番女性らしい役に五朗さんが書いてくださり、寺脇さんがアドバイスをくださいました。一歩一歩の精進です」とコメント。期待が募る中、ゲネプロの幕が上がった。

いきなり西川のシャウトと歌からスタート。迫力の声量に圧倒される。そして、柚希、新田、花澤(ゲネプロのWキャストは花澤が演じた)らが打ち上げられた島で出会っていく。自分がどうして沈没船から生き残れたのか、だれにもわからない。わからないだらけの中、次第に、自らの捨てきれなかった夢や残酷な過去の記憶が明るみになっていき……。

どの過去も壮絶ながら、そこは地球ゴージャス。一級品の音楽と歌、ダンスパフォーマンスで一大エンタテインメントがめくるめく。宝塚で培った華麗な身のこなしを生かしつつ女性らしさを加えていっそう美しく踊る柚希、不思議な世界観をまとう花澤。囲み取材で岸谷は「真剣佑には特別な身体能力がある。舞台の板の上で生の力を見てほしい。発声法やストレッチなど演劇の基礎をみっちり訓練してぐんぐん伸びました」と太鼓判を押していたが、果たして言葉通りのアクションパフォーマンスを披露する新田。そして、西川は歌やパフォーマンスだけでなく、作り上げるキャラクターそのものがギャップ萌えしそうなほど独特!

藤林美沙、原田 薫、大村俊介(SHUN)、水田航生、植原卓也、アンサンブルらの活躍も素晴らしい。鍛えられた本物の舞台を繰り広げる。また、山本寛斎事務所チームが手掛ける衣装も一見の価値あり。「色彩のない島の設定なので、舞台美術は衣装やヘアスタイルまで難しかった」と岸谷は言っていたが、苦労のかいあっての見ごたえある美術が仕上がっている。

 

岸谷と寺脇は出会って34年、地球ゴージャス結成からは23年という長きを経て来たが、「いまでも演劇を始めて2、3年目のワクワクした気持ち」と岸谷。本作は色彩の無い世界の話だが、地球ゴージャスの新鮮度は決して色あせないのだ。また、「毎回、最新作が代表作という気持ちに変わりはない。2018年のいましかできない作品を届けたい」(岸谷)と言うように、本作には現代ならではの深いテーマが込められている。なぜ島に色彩がないのか、どうして彼らが集められたのか――。楽しく心躍るエンタテインメントをたっぷり味わいつつ、根底に流れるテーマに向き合い、“地球ゴージャス”だからこそのメッセージを受け取ってほしい。

 

取材・記事/丸古玲子