6/27(火)にIHIステージアラウンド東京にて開幕する、『髑髏城の七人』Season鳥で、狸穴二郎衛門役を演じるのは梶原善。
劇団☆新感線にはなんと6回目の出演で、『髑髏城~』には2004年版『アカドクロ』バージョンの贋鉄斎役として出演経験がある。劇団公演に複数回出演すると“準劇団員”と呼ばれるのが恒例の新感線だが、梶原だけでなく池田成志(12回目)、阿部サダヲ、森山未來、早乙女太一、松雪泰子(この4名はいずれも4回目)ら、この“鳥”には筋金入りの“準劇団員”が顔を揃えている。
梶原「今回はキャストが本当に馴染みの深い人たちばかり。ここまで気の合ったメンバーが、ひとつの演劇作品でキャスティングされることってなかなかないですよね。といっても、(森山)未來とかは彼が10代の頃から知っているのに、実は舞台で共演するのは初めてなんです。そういえば映像も含めて今回が初共演ですね。10代の頃から知っているというのは(早乙女)太一もそうだけど。また一緒にやりたいなーって言っていたので、この豪華キャストを揃えていただいて、本当にありがたい話です」
──そんなお馴染みの面々が揃ったとはいえ、いざ劇場入りすると新感線の舞台の場合は独特のルーティーンで準備作業をしなければならなくなるため、本番がスタートするとすっかり慣れっこの梶原でも「最近は共演者とムダグチをきいている時間もあまりないんですよ」とちょっぴりボヤキモード。
梶原「劇場に入ると身体をほぐして、時間が来たらメイクを始めて、マイクをつけて、かつらをつけて、衣裳をつけて、本番をやって。2回公演の場合は、これをもう一度繰り返すわけで、おしゃべりする間もなく、ずっと準備、準備なんです。ま、僕がわりとそういう性分だということもあるんだろうけど。本番前に慌てたくないんですよね。その上、わりと僕ってヒゲをつけているキャラクターを演じることが多くて。あれ、結構面倒くさいんですよ、ちゃんと左右バランスよくつけるのが。人としゃべったりしながらなんて、無理。そうやって、舞台に立っていない時間も精神を集中させながら、裏ではいろいろと準備しているんです。出ハケも大変だし、小道具もいっぱいあるし。ホント、新感線ってやることが多い劇団なんですよ」。
──狸穴二郎衛門役ということは……やはり今回もヒゲありということになりそうだ。その狸穴役を、梶原はどう演じようと思っているのだろう。
梶原「本番になってみないとまだわからないところもありますが、ただ一癖二癖あるというような軽いものではなくて、実はものすごく癖の強いやつなんだけど、それが演技ではなく、本質にあるような人物のように演じられたらいいなあとは思っています。だって、この役の場合はそれが見えちゃったら、そこで終わりですから。でもそれを天魔王なり、なんなりが見ると「ん?アイツもしかして…?」って気づくわけですよ」。
──6月上旬まで上演されていた “Season花”と味わいがかなり異なるのはもちろんのこと、1990年の初演以来何度も繰り返し上演されてきたこれまでの『髑髏城~』とも、今回の “鳥”はイメージがだいぶ変わってきている様子。
梶原「台本を一読した時点で、すごく濃くなっている感じがしました。天魔王も以前より言葉巧みになっているような気もしたし。それはやっぱり、(脚本の中島)かずきさんのこれまでの経験が改めて台本ににじみ出てきているような気がしましたね。さらに前回より、立ち回りの手数がものすごく増えているし。本当に年々、というか日々成長する作品なんですよ、『髑髏城~』って。そういえば僕、前回の『アカドクロ』で贋鉄斎をやった時には両ひざを毎晩アイシングしたりして、大変だったんですよね。今回僕は立ち回り部門ではないので、たぶんそんなことにはならないはずですけども。だって狸穴に関しては、それほど殺陣は必要ないでしょう。だいたい、これだけアクションや殺陣が達者なメンバーが揃っているんですから、太一と未來がやればいいんですよ。僕は僕で、違う場面でがんばりますよ!」。
──そう言いつつも「結局どんな役をやろうと、どっちに転ぼうと、一切ラクはできないのが新感線の舞台なんですけどね」と気を引き締める。
梶原「あれだけの舞台装置であれだけのスタッフを揃えた中で芝居ができるというのは、新感線の舞台ならではの贅沢ですからね。新しい劇場で裏側は動線とかかなり複雑なことになっていそうですけど……。でもこんなに気心知れたやつらが大勢集まって、実に楽しくやっていますので。せっかくの機会ですから、ぜひとも見逃さないでほしいです。みなさん、 “Season鳥”バージョンも、どうぞよろしくお願いします!」
■プロフィール■
梶原善 カジハラゼン
1966年2月25日生まれ。岡山県出身。1985年三谷幸喜主宰の東京サンシャインボーイズに入団。1994年、劇団の充電期間突入まで主要メンバーとして活躍後は、舞台に映像にと幅広く活躍。劇団☆新感線には6作目の出演となる。
インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎