5/31(木)まで、東京は豊洲のIHIステージアラウンド東京にて絶賛上演中の劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』。1年3ヵ月かけてロングランしている『髑髏城~』シリーズのファイナルを飾るにふさわしい、ひときわ華やかなステージを展開しているこの作品で、華麗とはまるで反対といえる唯一のキャラクター<ぜん三>役に扮しているのが梶原善だ。劇団☆新感線にはこれが7回目の参加となる“準劇団員”の梶原、『髑髏城~』はこれまでに2004年の『アカドクロ』で<贋鉄斎>を、2017年のステージアラウンド版“Season鳥”で<狸穴二郎衛門>を演じている。
――IHIステージアラウンド東京シアターでは“花・鳥・風・月”とやってきた『髑髏城~』も、いよいよ“Season極”ですが。脚本の中島かずきさんが“完全新作”とおっしゃっているくらい、かなり印象の違う物語になりましたね。
梶原「なかなか面白いことになりましたよね。お客様もきっと、すごく新鮮な気持ちで観られるんじゃないですか。勝手知ったる『髑髏城~』なんだけど、でもガラッと違う流れになるし、でも要所要所で戻るようなところもあったりして。アナザーストーリーでも、スピンオフでもないしねえ」
――<捨之介>も<蘭兵衛>もいませんし。そうやって全然違うのに、でもやっぱり『髑髏城~』だという。
梶原「そうですよね。この中で、一番変わってないのはたぶん<ぜん三>くらいなんじゃないですか。セリフに関しては、ほとんどこれまでと変わらない気がします」
――そうかもしれません。他のキャラクターは、まったく別のセリフを言ったりしていますけど。
梶原「特に今回の<狸穴>さんなんて、“鳥”の時と全然違って、すごく忙しそうじゃないですか。おしゃべりですし。(山本)亨さん、きっと大変だろうな(笑)」
――天海祐希さん、古田新太さんとこの作品で共演することに関してはいかがですか。
梶原「ま、古田さんもきっと、また相手が天海さんだから違う味わいで、本気出してくるんじゃないですかねえ(笑)。“花”でやっていた<贋鉄斎>と違って、今回は<天魔王>役ですし。そして、天海さんはきっとすごくドキドキしていると思います。“鳥”を観に劇場に来られた時、「あそこは気をつけたほうがいい」「ここはこうしたほうがいい」って、いろいろみんなで脅しちゃったんで(笑)。だけど今回も相当いいメンバーが揃いましたから、楽しんでやれると思いますよ。天海さんがあの劇場でどういう風に見得を切って、バシッと決めてくれるのかというのは共演者としてもすごく楽しみです。いのうえさんが、あの天海さんをまた広大に見せるでしょうからね。お客様にもおそらく、とても喜んでいただけると思います。何と言っても、この劇場でのシリーズはこれが最後ですからね」
――もし、またやるとしても7年後ですかね。
梶原「その時はもう俺たちでなく、若いピチピチした人でやるのかもしれないし。だけど、こうして同じ芝居で違う役を3つやることなんて、もうないだろうな。不思議な気持ちですよ、そしてありがたいなーとも思います。よく「この役は譲れない!」みたいなことをおっしゃる方もいるじゃないですか。「その役は私の役だから!」なんて(笑)。そんなことを言うヒマなく、どんどんキャストが入れ替わっていくのが『髑髏城~』ですから」
――確かに(笑)。
梶原「そんなこと言ったら、ずっと1年中出続けるのか!みたいなことになっちゃう。そんなこと、絶対に誰も言わないだろうな(笑)」
――では改めて、お客様に向けてお誘いのメッセージをいただけますか。
梶原「いや、でもみなさん観たいとおっしゃってくださっているので難しいんだと思いますが、そこをなんとかがんばってチケットを確保して来ていただければと思います。僕、実家が岡山で、“鳥”が終わったあと帰ってきたんですけど、よく行くお店の店員さんが「ライブビューイングに行きました」って言っていて。それも「やっとなんとか一枚だけチケットが取れて、観れたんですよ」っておっしゃっていたんですよね。東京以外の方々もそうやって観て楽しんでくださっているんだとわかって、感激しました。さすが、いい企画立てますねえ。『修羅天魔』でも、足を運んでいただけたらうれしいです(笑)」
インタビュー・文/田中里津子
Photo/村上宗一郎
【プロフィール】
梶原善
■カジハラゼン 1966年2月25日生まれ、岡山県出身。1985年に三谷幸喜主宰の東京サンシャインボーイズに入団し、1994年に劇団が充電期間に突入するまで主要メンバーとして活動する。それ以降はさまざまなジャンルの作品に、独特の個性と持ち前のセンスを生かして活躍。近年の主な出演作に映画『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』『後妻業の女』(2016年)、ドラマ『相棒16 正月SP』(2018年)、舞台『~崩壊シリーズ~リメンバーミー』、『お勢登場』(2017年)など。IHIステージアラウンド東京での『髑髏城の七人』には、“Season鳥”に続く2回目の出演。劇団☆新感線の公演には、本作で7回目の出演となる。