ガールズ&ボーイズ -Girls & Boys- 長澤まさみ インタビュー

女優生活20周年の長澤まさみが初の一人舞台に挑戦

 

この春、長澤まさみが初の一人舞台に挑戦する。

長澤「作品のオファーが来たとき、一人舞台ってすごく大変そうだし、自分にできるのかなと思いました。でも、できないと思ったらオファーはされないだろうと思って(笑)。じゃあやってみよう、と」


演じるのは、ロンドンにて2018年に英国アカデミー賞女優キャリー・マリガンによって初演された『ガールズ&ボーイズ』。現代人女性の、恋に落ち、結婚し、出産し、仕事に復帰し……という半生が、本人の口から語られるという内容だ。

長澤「台本を読んだとき、主人公の台詞を自分が話している姿が想像できました。この物語が好きだと思いましたし、作品のメッセージのようなものにも全てではないけど共感して、これを人に伝えたいと思いました」


恋した相手と結婚し、ふたりの子供に恵まれ、仕事でも活躍している順風満帆の女性の人生が、いつからか思わぬ方向に進んでいく。現代の働く女性は特に共感しやすいシーンが数多く描かれる。

長澤「この作品を観て何を受け止めるかは、人それぞれだと思います。家族の話、社会の話、男性と女性の話、様々なことが描かれているから。でも、それぞれが普段漠然と感じていることが、詰まっているような気がして。主人公の女性は、全て欲しかった人なのかなと思います。劇中に、自慢が気持ち良かった、というくだりがあるのですが、夫も頑張っていて、私も頑張っていて、子供も二人いて、イケてる私たち。そういう感じが心地よかったのかなって。でも、うまくいくことばかりではないですよね」


演出は蓬莱竜太。舞台を中心に幅広い作品を手掛ける気鋭の劇作家で演出家だが、その中でも『母と惑星について、および自転する女たちの記録』や『まほろば』など女性を描いた作品でも高い評価を得ている人物だ。

長澤「『母と惑星~』を拝見したときに、女性をよく理解している方なのかなという印象を受けました。男性が女性の気持ちをわかるってほぼないと思うんですけどね。すごい方なんだという話も聞いていたので、ご一緒してみたいと思っていました」


今年、女優生活20年を迎える長澤。なにか感慨はあるかと尋ねると
「ないですね。今はこの作品のことで頭がいっぱいです」と笑う。ただ、12歳でデビューして現在まで、テレビドラマ、映画、舞台と多くの作品に出演し続けるなかで、ひとつ、大切にするようになった気持ちがある。

長澤「人に『観てほしい』って心から思えるような仕事をしていきたい。そういう気持ちがあります。だから今携わっている作品は、自分が人に『これはいい作品なんだよ』と自信を持ってお勧めできるものばかりです」


嬉しいのは、観客が“作品”で盛り上がること。

長澤「今回の一人舞台もそうですが、それをやる自分がすごいんだという印象を残したいわけではなくて。作品そのものがちゃんとお客様の思い出に残ればいいと思っています」


インタビュー中、不安だ不安だと言いながらも、どこか楽しそうな表情だった長澤。

長澤「一人舞台はお客様と一緒に構築していくものだと聞きました。きっと、一人舞台をやるなんてどんな変わり者なんだと思われているかもしれないけど、そんな変わり者の一人舞台を観に来る方たちだって、どんな変わり者なんだと思うから(笑)。面白い舞台ができあがる気がしています」

 

インタビュー・文/中川實穂

 

※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載

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【プロフィール】
長澤まさみ
■ナガサワ マサミ 主演映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が5/1(金)より公開。『MOTHER マザー』が今夏公開予定。