『稲川淳二の怪談ナイト』公演迫る!稲川淳二にリモートで直撃!!

28年連続公演!“稲川怪談”が今年も全国を駆け巡る!!

1993年から今年で28年連続公演を果たす『稲川淳二の怪談ナイト』が、今年も7月から秋にかけて全国各地で開催される。今年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本のみならず世界中で外出自粛要請などが発令されていた中、ローチケ演劇部では6月某日に稲川淳二氏へリモートでの取材を行い、自粛期間中の生活から今度の公演の見どころなどを語ってもらった。

今年の8月で73歳になる稲川淳二への取材ということもあり、この時期、一番最初に気になったのは自粛期間中の生活と体調のこと。電話での取材ということもあり、本人の顔を見ながら…といかないため様子が伺えなかったが、電話口での第一声は「どうもどうも~!こんにちは~」と、明るく元気な声に安堵しつつ取材を進めた。

 

まずは、緊急事態宣言下での生活はどう過ごしていたのか気になるところだが…

「工房にいて作業をする時は好きな音楽を流しながら作業しますが、東京にいる時は家にこもりっきり。穴倉生活みたいな感じなんです(笑)。それが、今回は…3月に自宅前の歯医者さんへ3回行っただけだったし、4月は定期健診に病院へ…。5月は自分の工房と仕事で外に出たくらいかな?あとはずっと家に篭っていましたね。今、うちのマンションは外装工事中でシートを被せてあるし、工事の方が作業されるので窓も閉めてブラインドカーテンしたままで外が見えないから、昼か夜かも分からず過ごしています。隣町に住んでいる女房や子供の顔も忘れちゃったな~(笑)。ご飯もね、スタッフが買ってきてくれるから、ほんとに東京の街を歩いていないんですよねぇ。でも、よく考えたら、普段とあまり変わらない生活かもしれないですね。もちろん、普段は心霊探訪にも出ますけども…。今回の自粛生活中は工事のこともあって部屋に陽があたらないと部屋の植物も枯れちゃいますよねぇ。でも、私は枯れませんねぇ(笑)」

 

と、おもしろおかしく自粛期間中の生活について話してくれたが、篭っている中でもやはり公演の準備は進めていたそうで。

 

「心霊写真や怖い話をまとめたりしていましたが、今年はすごく怖い写真が届いたんです!先日、103歳で亡くなったお婆さんが昭和10年頃に撮られた写真を持って来られた方がいまして…。その写真を紹介しますが、実はその写真、私の手元に届いた時から写真の中身に変化が起きているんです」

 

『怪談ナイト』といえば、お話の他に心霊写真を紹介するコーナーも楽しみの1つだが、そこで毎年紹介される1枚の写真が有名だ。沼から顔を出している男性が写っている写真だが、年々その顔が少しずつ動いているというもの。ただ、そちらにも変化が起きているようで…

 

「毎年写真に変化が出ている写真を1枚紹介していますが、最初の頃はとても怖かったんですけど、最近その姿が薄れていっているようでね。情のようなものが湧いているからか、少し寂しいんですよねぇ。でも、今回のお婆さんの写真は結構怖いので、期待していてください」

心霊写真はもちろん、『怪談ナイト』で披露される作品は、やはり怖いものが大半だが、その中には、子どもの頃に田舎へ遊びに行ってお爺さんに話をしてもらう…どこか懐かしい感覚に陥るような空間が広がると稲川氏はよく語っているが…

 

「去年の公演でのお話がとても評判よかったから、今年はどうかな~?そんなにいい話が集まるかな?と思っていたんですけど、去年の83.5倍くらい(笑)いい話がそろいました。今までに話をしてきた中で、気に入っている作品というのはいくつかありますが、今回の話の中にも気に入っている作品があります。もちろん怖いんですよ?でも、どこか懐かしくもあり、他人事には思えないような話なんです。以前、プロデューサーから『座長、このお話いつやるんですか?』って言われていた作品なんですが、自分としては『60代では出来ないね。欲がなくなったような時に…70歳過ぎてからかな~?』と言っていたんですよ。それを今年、披露させてもらいます。今年は特にテーマを掲げてはいませんが、あえて言うならば、“人の思い”があるというかな?『そうだよねぇ…。そうだよねぇ』って共感出来るというのかな?そんなお話が集まっています」

 

そんな話を聞いていると、今年の『怪談ナイト』にも期待は高まるが、ファンが一番気になるのは、公演の実施についてだろう。

 

「ファンの皆さんがね、私の生死を(笑)心配してくださってねぇ(笑)。ほんとにありがたいですねぇ。今回のような事態になる前に売り出したチケットは完売しているところも多いんです。この自粛生活期間で家に居る時間が長いと、“通常”時に家にいた時とはリズムが変わってきますよね。どこかへ誰かと遊びに行くわけでもなく、一人でずっと部屋にいるというのは大変なこと。私の公演を開催する会場で地方自治体が管轄しているところなんかだと、やはり公演ができなかったりもして残念なんですが、今の気持ちとしては、家にいるよりも大好きな皆さんと時間を共有したい!だから、1日に何回公演してもいいと思っていますよ。“話”はするけど、お客さんのことは“離し”ませんよ~!今年は、稲川淳“爺(ジイ)”となって怪談の世界へ皆さんを誘いますので(笑)、皆さんとお会いできることを楽しみにしています」

 

終始元気に明るく、茶目っ気たっぷりに語ってくれた稲川淳二。1公演でも多く、たくさんのファンが再び稲川怪談の世界に触れることが出来ることを願わずにいられない。