2022年31年目を迎える「ラヴ・レターズ」はこの2組から!
2020年2月、新生PARCO劇場のこけら落とし公演で500回目の上演を行い、8月には30周年を迎えた朗読劇「ラヴ・レターズ」。2021年も2月から3月にかけてオープニングシリーズとして「ラヴ・レターズ」が上演された。
2022年2月には「ラヴ・レターズ」31周年記念として上演する。
2月3日(木)に、舞台のみならず、映画「大河への道」(22年5月公開予定)への出演ほか、活動の幅を広げる注目の若手俳優・溝口琢矢&2017年~2019年に宝塚歌劇団花組トップ娘役を務め、退団後もミュージカルを中心に活躍中の仙名彩世の出演が決定!フレッシュかつ繊細に愛の物語を紡ぐ。
岡本健一&奈良岡朋子、2人が交わす最後の「ラヴ・レターズ」
2月7日(月)に、岡本健一&奈良岡朋子の出演が決定!
2011年に上演した組み合わせで、11年越しの再演にして、このカップルでの上演は最後となる。奈良岡の演技に岡本が感銘を受け、劇団民藝で二人芝居を上演するなど、師弟関係ともいえるような強いきずなで結ばれた二人。92歳の奈良岡が、1994年に愛川欽也と初めて出演して以来出演を重ねた本作への出演は今回が最後と語っており、万感の想いを込める。
手紙で綴られる2時間のドラマがあなたを感動で包みます。
舞台にはテーブルと二脚の椅子。並んで座った男と女が、手にした台本を読み上げるだけの2時間。
大掛かりな仕掛けも、目をひく照明や音響もない、このシンプルな舞台が、これほど見るものをとらえてはなさないと、誰が想像できただろうか。
俳優によって、観客によって、同じ作品とは思えないほど全く新しく生まれ変わる舞台。世代、年代、個性に応じて全く新しい「ラヴ・レターズ」が誕生する。俳優が身体的演技を行なわないゆえに、一層その声と姿に彼等の演技を超えた真情がほとばしるのを目の当たりにし、観客は新鮮な感動を分かち合う。
「ラヴ・レターズ」は1989年ニューヨークで初演されるやいなや、全世界で上演され静かなブームを巻き起こした。PARCO劇場でも1990年8月19日に幕を開けて以来30年間、この一つの台本を、年齢も個性も異なった様々な延べ507組のカップルが読み続けている。
残念なことに2017年9月、26年間、本作品の翻訳・演出家として469回の「ラヴ・レターズ」と共にあった青井陽治が天に旅立った。青井陽治の「ラヴ・レターズ」に対する強い思いをしっかり受け取り、演出家として後を継いだのは、藤田俊太郎。
今最も注目を集める演出家である藤田俊太郎は、青井の演出を大切にしながらも、「ラヴ・レターズ」の新たなページを紡いでいる。
コメント
演出:藤田俊太郎
これまでの上演の中で、402回目に登場したのが岡本健一さんと奈良岡朋子さんです。’同年代の2人が出演する’という慣習となっていた上演の在り方を塗り替え、レジェンドとなったお二人が再び「ラヴ・レターズ」に挑戦します。またフレッシュで気鋭の溝口琢矢さん、仙名彩世さんカップルと共に、31シーズン目の新たな1ページを演出していきたいと思います。観客の皆様にはいつの時代も変わらない手紙のやりとりの愛や慈しみを感じていただけたら幸いです。
溝口琢矢
過去500組以上のカップルによって読み続けられてきた「ラヴ・レターズ」。この度お声をかけて頂けたことに感謝すると同時に、ご一緒させて頂く仙名彩世さんと共に、素敵なラヴ・レターズを紡ぎたいと思います。
仙名彩世
長く愛され続けるこの作品に携われること、ただただ嬉しく思います。
「手紙」って、私にとって特別なもので…元気がほしい時に読み返すこともあるんですよね。
大切に物語を紡いでいきたいです。
一度だけの舞台、とても楽しみにしています。
岡本健一
2011年の2月に念願が叶って初めての奈良岡さんと共演。一回しかない本読み稽古の時、私は舞台役者の神髄を知りました。目の前で体感しました。
その声、それはそれは見事でした。
冒頭から、当時80歳を過ぎた奈良岡さんが幼馴染みの無邪気な女の子にしか聞こえなかったのです。
そこから物語が進み、時代が過ぎて行く全ての情景、不思議なことに成長していくメリッサの姿までが、頭の中、心に浮かび上がっていました。
同時に自分の下手くそさと伝わらなさを感じました。奈良岡さんには「あなた何にも出来てないわよ」と言われ、私は「すみません。ちゃんとした舞台役者になりたいんです!今までもやってきて、それなりに評価もあったから自分勝手に自信を持っていて、今に至ると思っていたのですが、奈良岡さんと本読みをして、ハッキリと自分は基本が出来ていない、これは駄目だ、舞台役者でもなんでもないことに気付きました。舞台役者になるために必要な事を教えて下さい!お願いします!そして『ラヴ・レターズ』の本番では、ちゃんと存在します」なんて思いを伝えました。有り難いことに奈良岡さんは受け止めてくれて、短時間で基礎を叩き込まれ、自主稽古をして1週間後に本番に挑みました。
40歳の歳の差カップルの私達の公演は、後になって伝説になっていることを演劇関係者に聞きました。
自分でもそうだと思うというくらいに、アンディーとメリッサでした。
今回、奈良岡さんの「10年を経た私達で、『ラヴ・レターズ』をやらない?やってみたいのよ!」という言葉を聞き、驚きと喜びが溢れ、是非ともお願いします!と今に至ります。心から感謝します。
10年を経た私達はどんな二人になるのか、この哀しみに満ちた愛の物語は、何処へ行くのだろうかという未知の世界に、気持ちが上昇して行きます。
みなさま、是非とも劇場で二人の肉声に耳を傾けて下さい。
奈良岡朋子
岡本さんと会うと芝居の話が尽きません。どうしても舞台から離れられない二人のようです。11年ぶりの「ラヴ・レターズ」でどんな世界が描けるのか、2月7日が今から楽しみです。
Story
そこに激しい愛の言葉はない。
時には交錯しながらもそれぞれの道を歩く男と女が
折にふれて交わしたなにげない手紙。
しかし、50年綴られたその手紙は、まさしくラヴレターなのだ。
アメリカの典型的WASP(ホワイト アングロサクソン プロテスタント・・・・アメリカのエリート人種)の裕福な家庭に生まれ育ったアンドルー・メイクピース・ラッドIII世とメリッサ・ガードナー。
幼馴染の二人が小学校二年生の時、メリッサのお誕生日会の招待状にアンディーが返事を書いた手紙から物語は始まる。穏やかで、内省的、口よりも文章で自分を表現するのが得意なアンディー。自由奔放で、束縛を嫌う芸術家肌のメリッサ。対照的な二人だが、折に触れ、手紙を交換し合い、交流を続けていく。
思春期を迎え、それぞれ別の寄宿学校に送られて離れ離れで過ごす二人。会えるのは休暇で親元に戻った時だけ。伝統的な暖かい家庭に守られているアンディー。メリッサはアンディーより裕福だが、離婚と結婚を繰り返す母親のもとで孤独を噛みしめ、その思いを芸術へと向けていく。お互いを異性として充分意識する二人だが、ぎごちなく気持ちは行き違う。遠回りをしながらようやく結ばれるチャンスが巡ってきた夜、二人は生身のお互いではなく手紙の中でしか知り合えていなかった自分達を発見し、それ以上の関係を結ぶことができなかった。
大学を出た二人はいよいよ別々の道を歩き始める。メリッサは画家としての修行を積むため、ヨーロッパへ単身旅立つ。アンディーは海軍に入り、地中海、インド洋を経て日本へ赴任。母親からの話で赴任先で日本人の恋人と同棲していること、彼はその彼女との結婚を望んでいること等がメリッサに伝えられる。真偽を確かめたいメリッサの手紙にアンディーが返事をすることはなかった。メリッサはアンディーへの複雑な愛情を抱えながら当てつけのように結婚してしまう。一方アンディーは、日本での恋に破れ単身帰国し、弁護士として再出発する。結婚後二人の娘を儲けたメリッサだったが、家庭はうまくいかず、離婚を決意、その足でアンディ―に会いに行くことを手紙で知らせるが、その手紙への返事に書かれていたのはアンディーが結婚するという内容だった。
男女としてすれ違いながら、家庭も充実し、政治家として成功の道を歩むアンディー。メリッサは画家として評価は得たものの、離婚後、子供から引き離され、アルコールに頼る日々を送る。
あまりにも違う環境に身を置く二人だったが、アンディーが政治家としてN.Y.で開催されるパーティーに出席した夜、メリッサのアトリエで二人は久し振りに再会を果たした。二人は遂に結ばれる。遅すぎた、しかしこうならずにはいられなかった激しい一瞬の交錯があった。しかしすでに上院議員として地位も面目もあるアンディーはスキャンダルを恐れるあまり、二人の関係を続けることを拒む。アンディ―に拒絶されたメリッサは再びアルコールに溺れ精神のバランスを崩していく。まもなく、アンディーのもとに届いた手紙は、メリッサの訃報だった。自分にとっていかにメリッサが大切な存在だったかにようやく気付くアンディー。その思いをメリッサの母親宛の手紙に認める。アンディーの気持ちを受け取り、幸せな気持ちでメリッサは天国へと旅立った。