“今月の”優先順位高めです【2023年7月号】

2023.07.01

7月です。今年の半分終わってしまいました。早いですね。また最近、公演中止のニュースを聞くことが増えてきた気がします。まだまだ油断はできませんね。公演の実施可否はご来場前にご確認いただけますと幸いです。というわけで、「今月の優先順位高めです」です。

俳優・ 高野ゆらこの優先順位高め!

今月は、これまでご一緒したことのある劇作家の舞台が3本もあります。
3人が描く「女」がわたしはとても好きです。
 
まず1本目は、タカハ劇団『おわたり』
わたしは、何度か出演させていただいた中でもとりわけ『ブスサーカス』という作品が心に残っています。人里離れた田舎町にある密室で、同じ男を好きになった女性6人が殺し合いに発展してしまう…こう書くと、なんだか恐ろしい話のようですがわたしにとっては純愛モノ、という記憶です。
高羽彩はおそらく20代の終わりにあの作品を書いたはずです、現在の彼女があの作品をリライトしたらどうなるんだろうなあ、と思います。40代バージョンの『ブスサーカス』は、もしかしたら女同士で殺し合うようなことにはならないかも知れません。
『おわたり』の主人公の名前「稔梨」は、奇しくも『ブスサーカス』で演じたわたしの役名と同じ。
高羽彩が描く、さまざまな世界にいる「稔梨」に会いに行かなきゃです。
 
2本目は、艶∞ポリスの新作公演。
艶∞ナイトポリスvol.1『生意気なからあげ』−目黒川のほとりで観る演劇−です。
わたしは過去に『飛んでる最高』という作品に出演しましたが、こちらもまた大好きな作品でした。
岸本鮎佳が描く女性たちは「負けても負けない」ところが良いのです。
観劇後に、あー面白かった!元気出た!明日からもブチ上げてこうぜ、という気分になれるのは間違いない気がしています。
なんとこちらの公演「『演劇観て、唐揚げがどれだけ売れるか?』という試みに挑戦します。」とのことです。
週末の夜、中目黒のカフェで女友達と揚げたての唐揚げを頬張りながらお酒を飲んで観劇する。
それ絶対楽しいやつじゃん!
 
そして最後に、明後日プロデュース『ピエタ』
小泉今日子さんがプロデューサーの明後日で、大島真寿美さん原作の「ピエタ」をブス会*主宰のペヤンヌマキさんによる脚本演出で舞台化されます。
ペヤンヌマキさん主宰のブス会*にも何度も出演させていただいていますが『女のみち』シリーズで演じた「カエデ」という役は、何度も演じていることもあって自分と一緒に歳を重ねてきた感覚があります。
18世紀のヴェネツィアに生きる女性たちのシスターフッドを描く今作は、これまでブス会*でペヤンヌマキさんが描いてきた「女」同様、たくましく前を向いた力強い作品になりそうです。
そしてこちらの作品に出演するため、上記2本のお芝居を観に行けるかどうかが心配なところ……。なんとか行けますように!
 
さて、今回で高野ゆらこの「“今月の”優先順位高めです」への寄稿はラストです。
来月、再来月とまだまだおすすめしたい舞台がたくさんありますので本当に名残惜しいですが、次の方へバトンを渡します。
劇場でお会いしましょう!それでは!

高野ゆらこ
俳優。次回出演→明後日プロデュース『ピエタ』7月27日(木)〜8月6日(日)@下北沢本多劇場 ほか地方公演あり/ニッポン放送×ノーミーツ 生配信&有観客イベント『あの夜であえたら』10月14日(土)〜10月15日(日)@東京国際フォーラム ホールA
Twitter:@yuracco

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

7月になりました。
6月の時は、もう6月かと思っていたのに、7月の時はもう7月かと思ってます。
もう〜か、そう思って人生を歩んできました。もう、小学生か。もう、中学生か、もう、高校生か、もう、大学生か。いくつもの、もう、〜かを繰り返して僕たちは大人になって、そして、これからも、僕たちはいくつもの、もう〜かを、繰り返して進んでいくんでしょうね?

まあまあ、さて、文字を無駄にしたので、そろそろ7月の優先度高めに行きましょう。
僕は、文字は書けば書くほどいいと思ってます。
以下7月の優先度高め。いっけー。

ムシラセ『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』
傑作2本立てということで、最高ですね。
今回の僕のお隣様です。
たまたま稽古場で初めて保坂さんとお会いしました。とても丁寧な挨拶をしていただきま
した。僕の悪癖なのですが、初対面の方に何か印象を与えないといけないという、謎のプレッシャーが勝手にかかって、多分余計なことを何か言ったような気がします。
193センチの時点で十分だと言うことを毎回忘れてしまう。
フライヤー毎回とても素敵です。ぜひ皆様。駅前劇場ですので。
あと、保坂さんと俺のタイトル作りの構造似てませんか?

B子『精神明晰サバナに没す』
去年の2月から、毎回公演をやるたびに折込チラシがあって、手書きで、奇妙なサイズのチラシで、それが僕の公演にほぼ毎回挟まっていて、まだ観にいけてはないのですが、とても気になっております。
大学時分に地蔵のチラシが挟まっていて、下級生のイタズラだと思い、怒り狂って観に行ったら面白すぎて半べそかいて帰って来たのを思い出しました。
どういう何なのかはまるでわからないですが、是非に。B子さん。

セツコの豪遊『授業』
主宰の宮村さんはお会いしたことないのですが、尊敬してまして。
1人芝居やったりスタンダップコメディ出てたりと、1人で空間を作れる人はすごいと思う。
常々何かを1人ではできないので憧れてしまう。
宮村さんから生まれる物語にはいつか触れてみたい。本当にごめんなさい。今回はどうやら僕が本番みたいで、行けないのです。申し訳ございません。この場を借りて。

モミジノハナ『⼀貫性ガン無視ガール』
南京豆NAMENAMEとポーラは嘘をついたとモミジノハナの3劇団のコラボ公演。
僕はコラボ公演が好きで、というか、僕はアベンジャーズが好きなので、面白い劇団が手を組んで何かするというのに、大変興奮してしまう。
ものすごい開き直って、ストロングスタイルでお勧めしますが、ポーラは嘘をついたとモミジノハナを観たことがないので、軽々しく何も言えないのですが、面白そうだなと思ったのでお勧めします。タイトルとか素敵だなと思ったので、あと南京豆は観たことありますが、面白いです。要するに面白そうだなと思います。

東京にこにこちゃん『シュガシュガ・YAYA』7月12日(水)〜7月19日(木)
僕は恥ずかしいという感覚がないので、こうやって⼀番最後に、自分の作品の宣伝を大きい声でするし、自分のだけ日付書いちゃうし、自分の作品が世で⼀番面白いと顔色⼀つ変えず言えるし、東京にこにこちゃんという、日本語で⼀番恥ずかしい言葉の集合体の劇団名ぶら下げて活動してるのですが、それでもこれは恥ずかしいと思うのは、自分が大学生だった頃の日々で、何から何まで恥ずかしいことしかなく、全ての羞恥をひけらかしながら生きてた時間で、それは本当に楽しくて仕方なくて、ずっと続いて欲しいと思っていた日々でした。
今作は大学の演劇研究会を舞台にした物語です。
誰にでもある「ずっと居たかった場所」の話。
ハッピーエンドです。90分で終わります。
これは、出て行けなくなったあの子の話。
OFF・OFFシアターにて、お待ちしております。

あと
立川がじら独演会〜入門10周年記念〜7月22日(土)が、あります。よくよく考えたら毎月やってるから毎月書かなきゃ行けなくなるので、もう書きませんので、皆様独自で今後は調べていっていただけたらと思います。でも落語は最高です。

こんな書いてないのと同じような文章、いつまで続くかはわからないですが、もしここで首を切られても、自分の劇団を無理やり差し込めて良かった。
そしたら、太陽に恋をしてるのかあの子に恋をしているのか、その時の俺はまるでわからなかったんだ。でお馴染みの8月という季節にまたお会いできたら、またお会いできましたねと思ってください。

YEAH!日本語で書くと、ヤー!

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
7月12日(水)~7月19日(水)下北沢OFF・OFFシアターで「シュガシュガ・YAYA」公演。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
Twitter::@CollinesBar

俳優・田代明の優先順位高め!

さぁ!夏がやってきます!観劇の夏!!

asatte produce「ピエタ」
小泉今日子さんがプロデュースし、直木賞作家・大島真寿美さんの同名小説の舞台化である今作。原作は18世紀のヴェネツィアを舞台に作曲家ヴィヴァルディを取り巻く女性たちの姿を描き、2012年本屋大賞3位に選ばれています。孤児、貴族、高級娼婦という身分や立場の違う女性たちが導かれ絆を深めていくという女達の物語を、本多劇場でしっかり堪能したいです。

ミュージカル「カラフル」
こちらも直木賞作家の森絵都さんによるベストセラー小説が原作。私も小さい時に読んだ事があり、印象深い作品です。今回は演出が小林香さんということで、私の思い描くカラフルの世界観と、私が思う小林さんの演出の雰囲気がとってもピッタリで、どのような形でミュージカルとして創り出されるのかワクワクです。『生きることが面倒になってもそれでも選択を続けながら生きていくこと』この物語はそんなメッセージをミュージカルの魔法でポジティブに届けてくれます。

「After Life」
「たった1つの思い出だけを持って永遠の時間を過ごすとしたら、あなたは何を選びますか?」公式HPに大きく書かれた文章になんだかドキッとさせられました。是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』を、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の脚本を手掛けたジャック・ソーンが舞台化。2021年6月にロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで初演を迎え話題を呼んだ今作。演出の河原雅彦さんは「これまで扱ってきた題材の中で1番深淵なテーマな気が…」とコメントしています。深淵な今作にどっぷり浸かってみるのはいかがでしょうか。

そして!私事ですが7月13日(木)~7月17日(月・祝)まで水戸市民会館中ホールにて「ファンファーレ!!~響き続けた吹奏楽部の物語~」に出演致します!コロナに負けずに活動し続けた吹奏楽少女達の物語です。こけら落とし公演という事で気合いが入っております。水戸近いよ〜という方、ぜひお待ちしてます!

田代明
女優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。
Twitter:@akkarindays

脚本家/演出家・ 海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
夏ですね。暑いのは嫌いです、インドア人間なので。でも熱い作品は大好きです。涼みながら熱くなれる月になったらいいなって思います。
てなてなことで、7月の優先順位高めな作品はこちら!!
 
劇団チョコレートケーキ『ブラウン管より愛をこめて -宇宙人と異邦人-』
昨年読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した劇チョコ新作公演。
今まで観てきた作品は舞台が全部戦前だったのですが、今回は1990年のバブル景気に沸く日本とのことで、また今までと少し違う角度から観れるのかな、とワクワクしてます。そういう意味で、特撮ヒーローものという歴史の中でも自分が触れたことのない題材なので、楽しみがましましです!
 
アンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』
蓬莱竜太さんがプロデュースされているユニットの第2回公演。総勢27人での群像劇とのことでこれまた大所帯。中学生1クラスの1年間を描くとのことで、どんな人間模様が描かれるのか。
蓬莱さんの作品だと昨年1月の「だからビリーは東京で」が一番記憶に新しく、それがドンピシャで刺さりまくった人間なので、期待大で観劇まで待てないです!
 
燐光群創立40周年記念公演 第1弾『ストレイト・ライン・クレイジー』
折り込みで知った本公演。脚本をデイヴイッド・ヘア、演出を坂手洋二さんが務めるこちらは、昨年ナショナルシアターライブでも上映されていて、日本では初演とのことで、とても気になっている作品です。「民主主義」の味方とも、傲慢な野心家とも称されるロバート・モーゼスという人物の半生を描いたとのことで、スズナリでどんな光景を目撃するのか、ぜひ!

海路
脚本家。演出家。劇団papercraft主宰。1999年7月20日生まれ。
最近は映像監督もしてたりします。
主な作品『人二人』『檸檬』『殻』などなど。
Twitter:@nonde_miro

ライター・中川實穗の優先順位高め!

7月だ!夏だ!誕生月なのでテンション上がります!

さて、たのしみにしているのはasatte produce「ピエタ」
大島真寿美さんの小説を原作にした舞台で、ペヤンヌマキさんが脚本・演出、出演者は小泉今日子さん、石田ひかりさん、峯村リエさんをはじめとする方々。インタビュー記事でタイトルにも書きましたが、「まさに今の作品」で、いまだからまっすぐに響くこと、それはフェミニズムやシスターフッドや世界の描かれ方も含め、そういうものが静かに存在する作品だなと思います。それを小泉今日子さんプロデュースで、ペヤンヌマキさん演出でつくられること、わたしは「安心して観に行けるな」と思っています。うれしいです。

なにやるのなにやるのー!?と思っているのは、『Why don’t you SWING BY ?』。出演者はシソンヌさん、三浦宏規さん、原田優一さん、鈴木拡樹さん。企画は「シソンヌ&みうらひろき」、演出・脚本は菅野こうめいさん、共同脚本はシソンヌじろうさんです。わたしは、この方々が合わさってどうなるのかがもう全然まったく想像がついておりません。わからぬままにチケット購入済みなので、大人しく待ってます。

タカハ劇団 第19回公演『おわたり』もたのしみ。去年『ヒトラーを画家にする話』が中止になって(この作品もこの秋上演されますね)以来、ずーっと「観たかったな……」という気持ちでいたので、待ってました!みたいな感覚です。サイトのあらすじの最後の一文「死者と生者が混在するひと夜。 海は闇に溶け出し、人の秘密があふれ出す。」にすごく惹かれます。夜の海、しばらく行ってないので、劇場で見たいです。

ふぉ~ゆ~の『SHOW BOY』もたのしみ。どのくらいたのしみにしてるかっていうと、20代のときに働いていた会社の今でもお世話になっている上司を誘いましたからね。この信頼度たるや。歌あり、ダンスあり、マジックあり、というだけでも「元気になる」って感じですが、再再演にしてさらにおもしろくなってそうな空気が(いろんな方のSNSから)漂っているので、この夏で一番楽しい時間になるやもしれぬと期待しています!

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
Twitter:@miho_sgt

ライター・古内かほの優先順位高め!

先月末にプレビュー公演が開幕し、観た方々の熱い感想に触れて益々期待が高まっている『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。まるっと作品世界に塗り替えられた帝国劇場の内装やゴージャスな舞台セットは、入った瞬間に非現実の世界へ連れて行ってくれそう。耳馴染みのある洋楽が詰まった魅力的な劇中ナンバーを、実力とスター性を持ち合わせたキャスト陣の歌声で聴けるのがとても楽しみです。そしてもちろんダンサー陣のパフォーマンスも!ローチケ貸切りデーも含め、いろんな組み合わせの回を観に行く予定です。客席からも熱気と共にノリノリで楽しみたいと思います!
 
プロデューサーと主演を務める小泉今日子さんが長年企画をあたためていたという、ペヤンヌマキさん作・演出 asatte produce「ピエタ」(原作:大島真寿美「ピエタ」)の上演も楽しみです。舞台は18世紀のヴェネツィア。史実を基に紡がれた、女性たちの交流と絆を描いた物語は、今の日本社会で生きる私たちにも響くものがありそうです。そして魅力に溢れた女性キャスト陣にも注目。このコーナーにも寄稿されている高野ゆらこさんのご出演(以前にもペヤンヌさんとタッグを組まれた『女のみち2020〜アンダーコロナの女たち〜』もとてもよかった…!)も楽しみです。
 
昨年、トライアウト公演の短縮版として日本初上演された『シュレック・ザ・ミュージカル』が、今年はオーケストラによる生演奏でフルバージョンとして上演。トライアウト公演を観て、とにかくシュレック役のspiさん、フィオナ役の福田えりさんがすばらしくハマり役で、一筋縄ではいかない、なんともユニークで愛らしいカップルにとても魅了されました。随所に笑いがあり子供も大人も楽しめる作品なので、夏休み映画のような感じでふらっとご家族で観に行くのにもおすすめです。
 
音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』は、取材を通して興味を持った作品。なかなか題材として取り上げられてこなかったロレンツォ・ダ・ポンテという破天荒な天才詩人の人生がどのように描かれるのか、また、これまでとは一味違うタイプの役を海宝直人さんがどのように表現するのかも気になります。そして運命の出会いを果たすモーツァルトを演じる、平間壮一さんとのタッグも。オリジナル作品ならではの脚本、音楽にも注目したいです。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はミュージカルのZINEを制作してみたいと思っています。
Twitter:@kahonfuu

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

夏本番を迎える前にすでに暑さにやられ気味です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

7月の優先順位高め1本目「条件の演劇祭」は若手劇団が主体の新しい演劇祭。vol.1となる今回のテーマは「Kabuki」。人間の条件、抗原劇場、ぺぺぺの会、ほしぷろという4つの劇団が歌舞伎をもとにした作品を上演する。未知の劇団と出会うためのショーケースとしても期待したい。

2本目はお布団『ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス』(作・演出:得地弘基)。『ハムレット』や『アンティゴネ』など古典のSF的翻案で他者と対峙する倫理を問い続けてきたお布団の新作は「SF虚言対話演劇」。ある医療施設で働く派遣社員の「私」の物語は生、労働、尊厳と価値をめぐって現在と切り結ぶものになるはず。

3本目は劇団印象-indian elephant-『犬と独裁者』(作・演出:鈴木アツト)。芸術家と国家の関係を描いた一連の作品で注目を集める劇団が今作で描くのは『巨匠とマルガリータ』で有名な作家ミハイル・ブルガーコフ。独裁者スターリンの評伝劇を依頼された作家の姿は多くの評伝劇を手がけてきた鈴木自身の姿にも重なってくるだろう。今作の戯曲は出版も決定している。前作『カレル・チャペック〜水の足音〜』も7月10日(月)まで配信中(販売は7月9日(日)まで)。

5月に上演され好評を集めたルサンチカ『殺意(ストリップショウ)』(作:三好十郎、演出:河井朗)の早くもの再演も楽しみ。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
Twitter: @yamakenta

ライター・河野桃子の優先順位高め!

7月は、夏休みを目前にして親子向け・子ども向けプログラムが増える季節ですね。“子ども向け”といわれる舞台も、会場の子どもたちより驚いたり楽しんだりすることもよくあります。そんな、年齢関係なく楽しめそうなプログラムを今回はピックアップしました。

KAATキッズ・プログラム2023のうち『さかさまの世界』は、おさなごころを持つ4歳から150歳向けダンス作品として、ダンサー・振付家の伊藤郁女による新作ダンスです。フランスや日本で集めたこどもたちの「ひみつ」の数々や想像力からうまれた作品とのこと。子どもの発想ってそれだけで面白いのに、「さかさまになっちゃった世界をもとに戻せるの!?」という物語のなかでどんなイマジネーションの冒険を見せるのか、すでに想像力が刺激されます!

同プログラムからもうひとつ、松井周さん作・演出、白石加代子さんら出演の『さいごの1つ前』の再演ツアーも楽しみです。

せたがやこどもプロジェクト2023≪ステージ編≫からは、3Dメガネをかけて感激する『エアー~不思議な空の旅~』がわくわく心をそそりますね。スペインのダンスカンパニー、ラルンベ・ダンサによるダンス×3D映像シリーズ。衣装も美術も映像のイラストも可愛くて、でも環境問題がテーマのひとつでもあって、親子観劇なら終演後に子どもといろんな話ができそうです。

同プロジェクトで上演される新作ミュージカル『カラフル』(出演:鈴木福ほか)は、森絵都さんの人気小説の舞台化。中学生にぜひおすすめ。私もその歳の頃に何度も何度も大切に読みました……!

そのほか舞台は、THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ COCOON PRODUCTION 2023「少女都市からの呼び声」(出演:安田章大ほか)、松本での野外劇『テンペスト』What’s SAMBASO-古典芸能の可能性、茂山千之丞「三番三」篇での上演+木ノ下裕一さん(木ノ下歌舞伎)と杉原邦生さん(KUNIO)らのレクチャー&クロストークも気になります。

ではでは、よい夏を!

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
Twitter:@momo_com

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

今月は一択です。東京にこにこちゃん『シュガシュガ・YAYA』。一択です。
昨年7月『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』という作品で東京にこにこちゃんに出会いました。

冒頭のシーンから笑い、笑い、最後に怒涛の盛り上がりを見せ、最後の終わり方まで、わたしの好みにドンピシャはまりました。
これはちょっとすごいもの観ちゃったぞと思い、各所で「今オススメは東京にこにこちゃんだよ」と言い続けてきました。
12月公演『ゲラゲラのゲラによろしく』を観てその自信を確信に変え、ついに今回ローチケでもチケットを販売し、広く多くの人に知ってもらうべく、劇評掲載シリーズなどをやっています。(この後もいくつか記事アップ予定です)

東京にこにこちゃんは「日本一チケットの取れる劇団」と自称しています。
いやでもこの作風はみんな好きなはず!と自信を確信に変えてオススメしたい。
というわけで、今月は一択です。東京にこにこちゃん『シュガシュガ・YAYA』。一択です。よろしくどうぞ。