“今月の”優先順位高めです【2023年10月号】

2023.10.01

10月です。気づきました?今年も残すところあと3ヶ月ですって。年々早いですよね、月日が経つの。秋到来。食欲の秋、読書の秋ももちろんいいんですが、芸術の秋ってことで、今月も様々な舞台に触れていただけますように「今月の優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

少し肌寒くなってきた来ましたね?冬の準備を季節がしだしましたね?そういう季節です。
思えば、夏が過ぎ、暑かった毎日が少しだけ懐かしく、あんだけ暑くて嫌だったのに、いなくなると寂しい。どうですか?皆さんの周りにもそういう人いるんじゃないですか?すごく鬱陶しいけどいなくなると寂しい。僕はそういう人は周りにはいません。
では、ローソンチケット演劇部の部員たちがお送りする10月のおすすめ演劇たちを、僕たちローソンチケット演劇部部員が紹介するぜ!カモン!!

アル⭐︎カンパニー『POPPY!!』
可愛らしいタイトル。
ふざけ倒してる瞬間から急にドラマに引き込まれるその繋ぎが野田さんは本当に上手い。それが下手だと「お!ドラマ部分入ろうとしてるじゃん。」と僕は毎回にやけてしまうのだが、野田さんはその繋ぎ目がとにかく上手い。お客さんをずっと作品の中に集中させて居させてくれる。そういう技術、盗めるだけ盗ませていただきます。

ユトサトリ『いや、走ってよメロス』
これも、とても良いタイトルである。
タイトルは作品の顔とはよく言ったもので、やはり最初に見られて、それが良いだけで行ってしまう。とても良い顔である。
そもそも「走れメロス」って作品がとても良い。脚色の可能性しかない。絶対サボり気味になるメロスもいるだろうし、逃げるメロスもいる。
どんな作品なのか考えてしまう。

かわいいコンビニ店員飯田さん「悼むば尊し」
自殺をテーマにした話とあります。
僕は絶対にそれをテーマにできないのは、根っからのお調子者なので、軸がぶれやすく、自殺という重いテーマを支えるだけの軸を作れない。
その一貫した軸を作る技量が飯田さんにはあるので、物語にしても、まるでぶれずにテーマを叩き込める。
とてもおすすめである。

排気口『時に想像しあった人たち』
9月のおすすめにも書いたのですが、10月9日までやっておりますので紹介させていただきます。
最近エモーショナルの方向性に舵を切った排気口の新作公演。大学の同期なので、大学時代から知ってますが、当時は重苦しい作品ばかりやっていたけど、今はポップになりやがりました。絶対に今進んでる道で、あってると思います。
長い公演期間なので、どうか無事に終わることを祈ってます。

東京にこにこちゃん『テアトロコントVOL.65』
職権濫用させていただきますが、でます。
昔、「コントをやる」と発言した際「コントで芸人に勝てるわけないだろう。」と怒られたことがあり、その日からコントではなく、短編というようにしております。
コントで芸人さんに勝てるわけないので、自分の土俵で、全力やらせていただきます。

10月も終わり次は11月。数字も2桁に突入しました。いつも12月で終わってしまう月は、一生来ない13月を夢見てるのかもしれませんね?
さて、冬も差し迫ってきています。皆様、肌着を増やしてくださいね?
どうか皆様無事公演終われますように。この一文だけは本当の気持ちです。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

俳優・異儀田夏葉の優先順位高め!

もう言い逃れはできないわよ…
ぎんなんの匂いがぷんと香るし、
コンビニのお酒コーナーには秋味が、
スウィーツコーナーはさつまいも味だらけ!!
ねぇ、秋が来たんでしょ?!
 
というわけで、
まごうことなき秋ですねぇ
森下亮さんでお馴染みア・ラ・ポテトしかり、秋限定の商品ってたくさんありますよねー
わたしはおさつスナックが一生食べてたいくらい好きです
そんなことはどうでもいいんですよ!!
演劇人たるもの、さつまいもよりも演劇です!!今月の優先順位高めはこちら!!!
 
東京芸術祭 2023 芸劇オータムセレクション 太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)
「金夢島 L’ÎLE D’OR Kanemu-Jim」


 わたしは不勉強で知らなかったおフランスのこの劇団。わたしの敬愛する俳優、池谷のぶえ先輩に教えてもらいました。
なかなか日本にはやってこないそうで、これは観といたほうがいい!!と、オススメしてもらいました。はい、オススメをオススメするというオススメの横流しです。
フランスで観ようとおもったら大変なんで、こんなチャンス逃したら、せっかく秋におさつスナック食べないようなもんです。絶対食べます。いや、観ます。
 
モボ・モガプロデュース 舞台「多重露光」
 
お世話になってるiaku横山拓也さんが脚本、演出は眞鍋卓嗣さん。横山さんの脚本は、演出、出演者がかわると、本当にいろんな顔を見せてくれます。それだけ懐の大きなすごい脚本を書かれてるんだと思います。横山さんのいろんな作品やってみたいもんなー。
俳優座での眞鍋さんと横山さんとのタッグはもうお馴染みですが、今回はプロデュース公演。横山作品でお馴染み橋爪未萠里ちゃんやiaku「フタマツヅキ」で素敵だった杉田雷麟さん、そしてそして主演がスター稲垣吾郎さん!!
秋のスイーツでいうところのさつまいもと栗とかぼちゃのマリアージュ、えーい、イチジクものせちゃえ!みたいなスイーツ、果たしてどうなるのぉー!?めちゃくちゃ楽しみです!!
  
他にも、秋は注目作が多くて困っちゃうんですが、ケラさんのケムリ研究室no.3 「眠くなっちゃった」も観たい。
ノルウェーからオイノさんという演出家を招いてカフカ作品を上演する糸あやつり人形一糸座『猟師グラフス』、全く予想がつかなくて観たい。
そして、面白そうだなぁとおもった試みが、実際の劇場で昨今の話題になった演劇作品を大スクリーンで上映するという「EPAD Re LIVE THEATER in Tokyo〜時を越える舞台映像の世界〜」という企画。NTLB(ナショナルシアターライブバカ)としては、観ておかないとなぁと思っております。
映画館でなく、劇場で観るってのがいいですよね。
日本でも、演劇が地方や海外にも広がることにつながったら、それで演劇が元気になったら、それはとても素敵だっ!!!

異儀田夏葉
俳優。広島生まれの埼玉育ち。早稲田大学卒業後OL時代やKAKUTA劇団員を経てフリーの俳優へ。タカハ劇団「ヒトラーを画家にする話」本日10月1日(日)千穐楽です。ありがとうございます!
韓国かぶれ。韓国ドラマ「ペントハウス」にハマり中。
X(旧:Twitter):@igitas
Instagram:igitas

俳優・田代明の優先順位高め!

すっかり秋めいてきましたね!
本格的に芸術の秋、攻めていきましょう!!

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』
言わずと知れた名作が、ミュージカルとなって帝国劇場で日本初演を迎えます。主人公のチャーリー・ウォンカ役を演じるのは堂本光一さん。堂本さんのビジュアルポスター…とっても素敵ですよね…特にメイクに関してはご本人も、慣れないことが多すぎて疲れたと仰るほどのこだわり。日本版翻訳・演出は、東京2020パラリンピック開会式の演出を手掛けるなど多方面で活躍するウォーリー木下さん。日本版のクリエイティブスタッフもキャストも豪華なメンバー勢揃いの今作に目が離せません。

『レイディマクベス
私が尊敬してやまない天海祐希さんがレイディマクベス、そして『Singin’in the Rain 〜雨に唄えば』での好演が記憶に新しいアダム・クーパーさんがその伴侶であるマクベスを演じます。シェイクスピアの有名な戯曲「マクベス」の登場人物であるマクベス夫人。名前を与えられていない彼女の存在は強烈なキャラクターであるのに「〜夫人」という不思議な立場で表現されています。彼女は本当に幸せだったのか、彼女が本当に手に入れたかったものはなんだったのか、新たな視点からこの新作は誕生します。

劇団四季 ミュージカル『ウィキッド』
「1番好きなミュージカルはなんですか?」の質問、いつも困って何個か言ってしまうのですが、その中でも殿堂入りしている作品がこちら。オズの魔法使いに登場する”良い魔女”、”悪い魔女”が実は友達だったなら…という世界中が知ってる童話を少し違った視点から捉えたミュージカル。愛、友情、家族、国家、たくさんの関係性の中で、正義とは、悪とは、美しさとは、醜さとは、そんな問いを私達に投げかけます。ポップで華やかですがメッセージ性も強い今作、老若男女、そしてミュージカルに慣れていない方、どなたにでもおすすめできる名作です。
さすが芸術の秋ですね…なんだか色んなジャンルの作品が幅広く上演されている印象があります…!

皆さんもこれを機に、今まで触れてこなかったジャンルの作品にも挑戦してみてはいかがでしょうか。

田代明
女優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。
X(旧:Twitter):@akkarindays

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
少し涼しくなってきたなぁ、と感じる今日この頃。スウェット好きなので着ようかなと思うけど、結局まだ半袖着ちゃう日々でした、最近は。
てなてなことで、10月の優先順位高めな作品はこちら!!

道産子男闘呼倶楽部『きのう下田のハーバーライトで』
インタビューによると、元々北海道出身の人達で北海道での話をやろう、と飲み会からユニットを立ち上げ、純粋に面白いものをと兵庫出身の蓬莱さんを作・演出に迎え入れ、下田の話になったという本作。
失敗した人生とどう向き合うのか、なんてことを朝が来るまで毎夜話す二人芝居とのことで、これはザワつかされそうな予感がしてます。蓬莱さんの作品は、個人的にいつも優しくじっとり抉ってくるので、今回もとっても楽しみです。しかもOFF・OFF。はぁー、楽しみ。

こまばアゴラ劇場国際演劇交流プロジェクト『KOTATSU』
以前青年団の公演を観に行った時に折り込みで見つけた時から、ずっと気になっていたこちらの公演。平田オリザさんと、フランスの劇作家・演出家のパスカル・ランベールさんの協働プロジェクトで、2021年に一度上演するも、コロナによって極めて限定的になっていた本作の、再チャレンジとのこと。「こたつ」を囲む静かで穏やかな時間が、SNSによって侵食されていく話としか前情報が見当たらず、こちらもまた観る前からザワザワさせられてます。「こたつ」そろそろシーズンですね。これを観て家帰って「こたつ」を出し始める家庭もあるのではでは。なんて、思いました。「こたつ」への感じ方変わるかもなぁ。

可児市文化創造センター ala Collection シリーズ vol.14 『フートボールの時間』
岐阜県可児市に約1か月半滞在しながら作品を創作し、岐阜から東京、そして全国へ、という企画の本作。作・演出を瀬戸山美咲さん、先日のアンカルでお芝居拝見して勝手にファンになっちゃった堺小春さん、いつもお世話になってます井上向日葵さんなどご出演されるとのことで、凄く楽しみにしてる作品です。男尊女卑が当たり前の大正時代に、ボールを蹴る女子学生達の話とのことで、時代は違えど凄くタイムリーにも捉えられることのできる作品なのでは、なんて思ってます。あと余談なのですが、自分小中高サッカー部だったので、より楽しめるのでは、なんてウキウキしてます。余談ですみません。
他にも猫のホテルの千葉雅子さん、櫻井健人くん等ご出演のTAAC『狂人なおもて往生をとぐ』なども要チェックや!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。主な作品『人二人』『檸檬』『殻』などなど。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

ライター・中川實穗の優先順位高め!

10月、インボイスとかあって個人的には鬱々とした気持ちはありますが、そういうときこそ演劇です。視点を変えに劇場に行きます。

今とにかく楽しみにしているのは、ケムリ研究室no.3「眠くなっちゃった」。前作も前々作もとてもおもしろかったですし、今回KERAさん、緒川たまきさん、水野美紀さん、野間口徹さんにインタビュー(https://engekisengen.com/genre/play/60320/)をさせてもらったとき、緒川さんの「ラクじゃない状態が楽しいと思い始めているKERAさんもわかるし、そんなKERAさんを見るのが新鮮っていうみんなの(ワクワク)が渦になって結実するといいなって。だから『ケムリ研究室』は“実験”とか“研究”とかの言葉が似合うなと思います」というコメントにとても納得しました(ぜひ記事、読んでください!)。そういうところから生まれるもののおもしろさは、自分の人生にも影響してくるのを知っているので、存分に味わいたいです。

カンテレ開局65周年記念公演 音楽劇『浅草キッド』も楽しみ~! わたしはテレビでばりばりビートたけしを見ていた世代なので、「ビートたけし」と言えばタケちゃんマンとか着ぐるみ的なもので登場とかBIG3とかが思い浮かぶし、それは林遣都さんとは全然結び付かないイメージなんですけど、たけしを林遣都さんが演じるって聞いたときになぜかものすごく合点がいった感覚がありまして。その感覚はどこから来たのか知りたい、そのたけしをこの目で観たい!というのが強い動機です。

梅棒の遠山晶司さんによる「遠山ドラマティア」の第2弾、遠山ドラマティア『C’est Promis』(セ プロミ)も、どんな作品になるのかなと楽しみにしている公演です。台詞なしの梅棒スタイルでやるのかと思っていたら、今回は台詞もたくさんあるのだそうです。もちろんJ-POPとダンスでの表現もしっかりありながら、です。それってどんな感じなんだろう!というのがとにかく興味深々。先日ローチケの取材で稽古場にもおじゃましたときは、YOUさんの振付をキャストが練習しているタイミングで、踊り、めちゃめちゃ素敵でした。とっても期待しています。

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

今月は見逃せない2.5次元舞台が2作品あります。

2015年の初演から8年。シリーズがついに完結する
「ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~忍の生きる道~」
前評判が高く、どんな演出になるのかワクワクしながら観た初演は、期待以上の素晴らしい舞台でくぎづけになりました。完成度の高いキャラクタービジュアルと世界観で繰り広げられる、激しいアクションシーンはもちろん、毎回人間ドラマにも感動します。
初演からサスケを演じている佐藤流司さんは、他は考えられないハマり役なので、
今作で見納めなのはかなり寂しいですが、舞台上で成長してきた、うずまきナルトとうちはサスケの最終決戦はぜひ見届けたいです。

もう1本は、
「舞台『刀剣乱舞』山姥切国広 単独行 -日本刀史-」
荒牧慶彦さん演じる山姥切国広による舞台『刀剣乱舞』初の単独公演で、これはかなり楽しみです。荒牧さんにインタビューさせていただいたところ、事前に明かせることがほとんどないということで、さらに観たい度が増しています。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ チョコレートドーナツ
東山紀之さん最後の舞台ということでも話題ですが、原作の映画『チョコレートドーナツ』を観て感動して、観たいと思っていた舞台です。ストーリーは、歌手を夢見るショーパブのダンサーと検察官のゲイカップルと、育児放棄されたダウン症のある少年が、家族になることを望んで差別と偏見に立ち向かい、愛と自由を求める人間ドラマ。シリアスなだけじゃなく、物語の舞台である70年代アメリカのヒットナンバーを散りばめたショーシーンも見どころ。ダンサー役の東山さんの舞台ならではの華やかな姿を期待しています。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ライター・河野桃子の優先順位高め!

今月は9月から引き続き、各地でフェスティバル開催中。
東京芸術祭では、キャラクタープロフィールから立ち上がる企画の可能性にわくわくするロロ『オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)』、22年ぶり2度目の来日となる太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)『金夢島 L’ÎLE D’OR Kanemu-Jima』、様々に注目されてきた舞台8作が大画面で上映される「EPAD Re LIVE THEATER in Tokyo
〜時を越える舞台映像の世界〜」
などのラインナップが10月いっぱいまで続いていて、芸術の秋という感じ。KYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭)も10月後半まで!

注目の公演は、まず、翻訳者の方々による上演、トランスレーション・マターズ上演プロジェクト2023「エミリア・ガロッティ/折薔薇」。言葉の選び方ひとつで、伝わる世界はガラリと変わる。翻訳は「森鴎外+トランスレーション・マターズ」とのことで、明治22年の森鴎外訳と現代訳の”言葉”に耳を澄ませつつ、目の前で起こる今ここの舞台を楽しみたい一作。

畑澤聖悟さん作の文学座『逃げろ!芥川』は、パンデミック(スペイン風邪)から逃げる芥川龍之介らの話。SNSに親密な時間が侵食されていく、こまばアゴラ劇場国際演劇交流プロジェクト『KOTATSU』など、現代の身近に迫るそらおそろしさのようなものを取り上げた作品も気になります。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

風に秋の気配はあれどまだまだ暑い10月。しかし芸術の秋はすでに真っ盛りです。

10月の優先順位高め1本目はKYOTO EXPERIMENTからバック・トゥ・バック・シアター『影の獲物になる狩人』。今年もKEXのプログラムはどれも面白そうですが、人工知能の危険性に警鐘を鳴らすべく市民集会に参加した障害のある活動家3人による対話が展開されるという本作は通り一遍の「正しさ」をこそ撃つものになりそう。

2本目は東京芸術祭からロロ『オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)』 。50名以上の登場人物のプロフィールから立ち上げられるオムニバスストーリーは今後も各地での展開が予定されている群像劇シリーズの東京芸術祭バージョンとのこと。「いつ高」シリーズで素晴らしい作品を次々と生み出したロロの新たな長期プロジェクトのはじまりに期待。

3本目も同じく東京芸術祭から「『マライの虎』(テアター・エカマトラ/2018)を巡るトーク」。オンラインでの映像配信とトークがセットになったこのプログラム。配信される『マライの虎』は同タイトルの戦時中のプロパガンダ映画をシンガポールと日本の俳優が舞台上で演じ直した作品。歴史改変や当事者性など、考えるべきトピックが無数にありそうな作品について、たっぷり言葉が交わされる場が用意されているのもうれしいところ。映像配信(なんと無料!)はすでにはじまっているので是非チェックを。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter): @yamakenta

ライター・古内かほの優先順位高め!

長かった夏がようやく終わり、芸術の秋の到来です。個人的には運動の秋にもしたいです。
 
座組の豪華さにざわめいた『レイディマクベス』(ウィル・タケット演出)がいよいよ上演。シェイクスピアの『マクベス』の登場人物で、「悪女」として描かれたマクベス夫人を主人公に新たな設定で書きおろした新作舞台、どんな物語なのか期待が高まります。現代に響くさまざまなエッセンスが盛り込まれていそうですし、何より天海祐希さんとアダム・クーパーさんが共演する舞台なんてそうそう観られないので、この機会、逃すまじ…!!という気持ちです。
 
オリジナルミュージカルの傑作である音楽座ミュージカル『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』も楽しみな一作です。ちょうどコロナ禍に入る前に上演された東宝製作バージョンを観て本作を知り、総合芸術としての質の高さにまずとても驚きました。物語、音楽、ステージング、どれを取っても見応えしかなく、今回本家の音楽座で観られるのがうれしいです。ヒロインの“お佳代”の人生があまりにも過酷で、観ていて本当に心がひりひりして辛くなるのですが、最後は壮大なあたたかなもので心を満たしてくれる、スケールの大きな作品です。
 
インタビュー取材(https://engekisengen.com/genre/play/65620/)を通してより観たくなったのは、舞台『多重露光』。劇作家・横山拓也さんの描く魅力的な会話劇が楽しめそうですし、主演の稲垣吾郎さんや相手役の真飛聖さんそれぞれ、これまでにない一面が垣間見られそうな役柄なのも興味がそそられます。“大人の思春期”のような、登場人物たちのねじれたりこじれたりした心理描写にも注目したいです。
 
宝塚で楽しみなのは、月組公演のショー。期待の演出家・栗田優香さんが手掛ける東京詞華集(トウキョウアンソロジー)『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』は、“東京”をテーマに、江戸時代~現代までのさまざまな景色を盛り込んだ芝居仕立てのショーになっているそうなので、宝塚ならではの艶やかな“東京史”をぜひ劇場で堪能したいと思います。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はミュージカルのZINEを制作してみたいと思っています。
X(旧:Twitter):@kahonfuu

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

ずいぶん過ごしやすくなってきました。
お笑い的には賞レースの本格シーズン到来です。
『M-1グランプリ』は10月下旬に2回戦が開催されます。
『キングオブコント2023』は決勝進出者10組が発表され、10月21日(土)に決勝放送。
かつて拙者ムニエルに所属していた溜口佑太朗さんと、最近東葛スポーツやシベリア少女鉄道に参加している塚本直毅さんからなるラブレターズ、ユニットで演劇公演を重ねているサルゴリラといった演劇にゆかりの深いコンビに注目しています。

金属バットvs東京ダイナマイト ワンマッチ興行
芸歴16年目の大阪の漫才師・金属バットと、20年を軽く超える東京のベテラン漫才師・東京ダイナマイト。彼らは今年初めて開催された芸歴15年以上を対象とする賞レース『THE SECOND』の決勝進出をかけ、一対一で戦う予定でした。しかし、東京ダイナマイトのハチミツ二郎さんが体調を崩し、金属バットは不戦勝に。幻の対戦をここで実現しようと計画されたのがこのライブです。当初8月の予定だったこのライブは、ハチミツさんの再びの体調不良で延期の結果、10月開催となりました。今度こそと祈る思いで公演を待っています。

ULTRA JET JAM 3 in 後楽園ホール
お笑いを見たいと思ったとき、一番簡単なのは吉本興業が持つ劇場に行くこと。でも、東京には吉本以外のお笑い事務所もたくさんあります。吉本以外のさまざまなお笑いを見たいと思ったら、まずここを目指せば間違いない。それがライブ主催団体「K-PRO」です。日々様々な事務所の芸人さんがK-PRO主催のライブでしのぎを削り、賞レースでも次々と結果を出しています。『ULTRA JET JAM 3』は後楽園ホールを借りて行われるライブ。リングもそのまま、つまり、リング上で漫才やコントが披露されるそうです。出演者にはM-1チャンピオン・錦鯉から、や団やクロコップ、ジグザグジギーといった、プロレスや格闘技に造詣の深いコント師もラインナップされています。普段と違う場で見るお笑いはどんなものになるのでしょう。

カンテレ開局65周年記念公演 音楽劇『浅草キッド』
明治座で『浅草キッド』を上演すると最初に聞いたときには不安と期待が入り混じっていました。けれども脚本・演出が福原充則さんと聞いて期待が心を埋め尽くしました。『俺節』や『衛生〜リズム&バキューム〜』など、これまで福原さんのつくる音楽劇、ミュージカルに何度も胸打たれてきた経験があります。そして、福原さんの描く作品にはいつもいろんな「愛」が垣間見えます。これまでいくつもの福原作品を見てきて、福原さんであれば『浅草キッド』で描かれるであろう師弟愛を、泥くさく、それでいて恥ずかしくなく、表現してくれるはずという信頼があります。林遣都さん✕山本耕史さんの師弟はもちろんのこと、キャストに福原作品の常連・今野浩喜さんが入っているのも楽しみです。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

ようやく秋めいてきた10月ですが、今月楽しみにしているのは『レイディマクベス』とミュージカル『ME AND MY GIRL』です。

天海祐希さんがアダム・クーパーさんとタッグを組んで新作を生み出す。これだけでもそそられる作品ですが、シェイクスピアが描いた『マクベス』の登場人物であるマクベス夫人を新たに描くとのこと。日英クリエーターによって、どんな女性がそこに存在するのだろうかと期待が高まります。東京公演はよみうり大手町ホールで上演と知り、大劇場じゃないんだと!驚きワクワクしました。

ミュージカル『ME AND MY GIRL』は、専科の水美舞斗さん、星組の暁千星さん、舞空瞳さんによる、星組公演として博多座で上演されます。水美舞斗さんと暁千星さんが、ビルとジョン卿を役替わりする2バージョンがあり、どちらも楽しみです。宝塚で代々上演されてきたミュージカル『ME AND MY GIRL』ですが、私が初めて観劇したのは天海祐希さんの宝塚退団公演でした。個人的エモさのある10月です。

他には、あの“のだめ”のミュージカル化、ミュージカル『のだめカンタービレ』、シェイクスピア二作のダークコメディ交互上演、新国立劇場の演劇『尺には尺を/終わりよければすべてよし』も楽しみにしています。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

10月です。早いですね、1ヶ月が。1年が。
先月は観たい公演いっぱいあったのに、体調を崩してしまいいくつか観られませんでした。皆様も体調には気を付けましょう。
というわけで体調を万全にして臨みたい優先順位高めな公演はこちら。
 
まずは、テアトロコントvol.65
演劇枠で東京にこにこちゃんが登場です!これは見逃せません。全力で笑い、全力で泣くためにも体調を万全にしておきましょう。わたしは萩田頌豊与さんの作品が大好きなんです。しかもね、キャストがまた魅力的なんですよ。これで面白くないわけなくない?絶対面白いっしょ。と皆のハードルをあげつつも、きっとそのハードルすら越えてくれるであろう、東京にこにこちゃんワールドをぜひみなさんと一緒に楽しみたいです。
 
続きまして、KERAさんと緒川たまきさんのユニット、ケムリ研究室no.3『眠くなっちゃった』
KERAさんの作品は、いつだって面白い。気づいたら「わ、こんな時間!」みたいに時があっという間に経ってます。作風も様々で、いつもワクワクするわけですが、インタビューによると、今作は近未来SFですって。でもきっと、わたしなんかが想像しえない近未来SFが描かれていることでしょう。きっとまたあっという間に時が経つでしょうから、こちらも体調は万全で臨みたいと思います。
 
他、オススメされて気になっている、妖精大図鑑『無関係のジョバンニ』や、もう始まっている排気口『時に想像しあった人たち』などを観たいなと思っています。