“今月の”優先順位高めです【2023年11月号】

2023.11.01

さて11月です。だいぶ肌寒くなってきましたね。今年も残すところ2ヶ月ということで、振り返りをしたくなる時期ではありますが、まだまだ新たに劇場に行っていろんな作品に触れたいものですね。というわけで、今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。

俳優・田代明の優先順位高め!

秋の空気も空も大好きな田代明です。先月までは個人的に歌をいっぱい歌ってたからなのか、今月はこんな感じのラインナップになりました。
 
『ロスメルスホルム』
イプセンってノルウェーの方だったんですね、知らなかった…お恥ずかしい…。数々の名作を世に残し、「近代演劇の父」と呼ばれる劇作家イプセンの作品。主演を森田剛さん、ヒロインを三浦透子さんが演じます。三浦さんは「ドライブ・マイ・カー」や最近(?)観たドラマ「ブラッシュアップライフ」で本当に好きになり、今回こちらで初めて舞台でのお芝居を観劇できることがすごく楽しみです。演出は日本演劇界の巨匠・栗山民也。奥深い人間ドラマをじっくり集中して観劇したい作品です。
 
『ねじまき鳥クロニクル』
2020年に初演された村上春樹の小説原作の舞台が遂に再演。私も初演に行けなかったので、今回の再演とっても嬉しいです…!言葉や会話と同じくらい、ともすればそれ以上にフィジカルが担う役割がとても大きい作品。共に主人公を演じる、成河さんと渡辺大知さんの対話からも、ダンス、特に人と人とが触れ合うことで生まれる何か…”神秘さ”という言い方もされていました…このコロナ禍、ハラスメントへの問題意識、そんな中で生まれた人と人との距離感。理解も警戒も全てが必要だけれど、私たちは何か大切な物を失ってしまったのではないか。本当の意味での信頼を得るために必要なことってなんなのでしょうね。…なんだか書いてて何が書きたいのかわからなくなりましたが、すごいものが絶対観れるんだろうなと、お二人の対談記事を読んで思いました。みなさん、行きましょう。…笑
 
オーストラ・マコンドー『応答せよ、魂深く』
オーストラ・マコンドーさんの「ありがたみをわかりながら死ね」を観て、その空間で行われることの濃密さに衝撃を受けたことを今でもはっきり覚えています。今回の作品はフリーライターの武田砂鉄さんのエッセイをもとに武田さんから影響を受けて作ったオリジナル作品なんだそう。マコンドーさん、お芝居に寄り添った生演奏もとっても素敵なんですよね、ほんと好きです。今回の作品もどんな世界感なのかとても楽しみです。
 
個人的に思う演劇!って感じの強い作品を観に行きたい気持ちみたいです、11月。思考と集中力をちゃんと使って、しっかりがっつり攻めたい月でした…!

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。12/7〜12/13堀江貴文プロデュースミュージカル「クリススマスキャロル2023」出演
X(旧:Twitter):@akkarindays

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
気づけばこちらで毎月書かせて頂いて1年経つという、びっくりに、びっくりしながら、いつも通りにご紹介してこうと思います。いつもありがとうございます。
てなてなことで、11月の優先順位高めな作品はこちら!!

『無駄な抵抗』
イキウメの前川知大さんが作・演出を務めるこちらの作品。凄く私事なのですが、ここ最近シアタートラムには行くのですが、世田谷パブリックシアターの方は全然行っていなくて、久々にまずあの劇場空間に足を運べるということで、ワクワクが止まらないのです。キャストにはお馴染みのイキウメメンバーに加えて、松雪泰子さん、池谷のぶえさん、渡邊圭祐さん、清水葉月さん、穂志もえかさんと、これでもかという豪華な面々で楽しみでしかないです。

iaku『モモンバのくくり罠』
こちら、最近だと舞台『多重露光』の脚本を手掛けた、横山拓也さん主宰のiaku新作公演。昨年スズナリでの『あつい胸さわぎ』以来の参加で主演の枝元萌さん、お芝居大好きなんです、ただのファン。こちらも最近だと山田洋次監督作『こんにちは、母さん』などでの存在感たるや。場所はまたも最近何かとよく行くシアタートラムで、観劇が待ち遠しいです!

□字ック第十五回本公演『剥愛』
本作は、またまたしてもシアタートラムにて上演される、劇団□字ックの新作公演。実は山田佳奈さん作品をまだ観たことがなくて、本多劇場で上演していた『タイトル、拒絶』を見逃して以来、待ちに待った本公演とあって、とっても楽しみな作品です。瀬戸さおりさんの他、ゲスの極み乙女のメンバーでもある、さとうほなみさんなど、超魅力的な面々が揃われているので、是非。

劇団papercraft番外公演『ミタココロ』
そして最後に自分が主宰を務めております、劇団papercraftの新作番外公演を11月29日(水)から上演します!
木場公園近くのギャラリーカフェでやる、「私」と「ミタさん」の10年間を1時間くらいでやる話です。とっても良い空間なので、是非いらして下さい。ちなみに世田谷パブリックシアターでもシアタートラムでも、こちらはありません。

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。主な作品『人二人』『檸檬』『殻』などなど。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

俳優・ 異儀田夏葉の優先順位高め!

夏は涼しく冬は外より寒いんじゃないか?っていう家に住んでいるので、冬が怖くてたまりません。
11月にしてこたつも冬用の布団も全部出してもうすでに防寒対策MAXの状態です。
私は、冬、、、越せるのでしょうか、、、?
どうもこんにちは。異儀田です。
家の気温は低いけど、今月の優先順位高めなのはこちら!!

iaku「モモンバのくくり罠」
作・演出 横山拓也
先月にも稲垣吾郎さん主演の新作「多重露光」が上演されたばかりなのに、今度は自劇団で新作ですよ横山拓也さん。
どうかしてる!!モモンバって何?!変なタイトル!!おもろそ!!
出演はいつものiaku常連メンバーに、私の大大大好きな映画「サマーフィルムにのって」のブルーハワイ、祷キララさんが!!はー!とても楽しみです。
横山作品の何が好きって、日常の何でもなさそうな軽快な会話から、いつの間にかとんでもないところに連れてかれるところ。
そしてiakuの作品は舞台美術がおもろい!!
私が出演した「逢いにいくの、雨だけど」は蒲田行進曲ばりの高い階段で、高所恐怖症の私はどうしたろかいと思いましたが、あの美術だからこその芝居になったと思うので、今回もまた柴田隆弘さんの暴れ馬のごとき舞台美術を横山さんの演出で俳優たちがどう乗りこなすのか、楽しみです!!

北九州芸術劇場クリエイション・シリーズ「イエ系」
作・演出 松井周(サンプル)
私の心のふるさと北九州…。
こちらは劇場とアーティストがタッグを組み、2年間かけて北九州の役者たちと新作を作るという企画。
北九州芸術劇場は、どうしても企画が東京に集中しやすい演劇業界の中で、
独自色や地域色を出しながら、本当に面白い演劇創作の取り組みをされています。
私も以前に北九州での滞在制作に参加したことがあります。
そのため知り合いも多いので、北九州で作ったものを東京で数日だけでもやってくれる時は毎回観に行くのですが、まー本当にお世辞抜きで面白い。
劇場が、長い年月をかけて北九州の演劇の地盤や表現者たちを育ててるなー、と思うのです。みんなとんでもなく芝居うまいです。そして個々がとても自立しています。いつも勉強させられるのです。というわけで今回も勉強させていただきます。
サンプル松井さんの脚本、演出もたのしみ!!

世田谷パブリックシアター『無駄な抵抗』
作・演出 前川知大
俳優としても人としても大尊敬かつ大好き池谷のぶえさんが出演!!もう、観ないという選択肢がありません。
EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」で共演し、のぶえさんは後輩の私にたくさんのことを、背中で伝えてくださいました。まさか背中で伝えてるとはのぶえさん自身は全く思っていないでしょうが、本当にたくさんのことを学ばせていただき、私、完全に懐いています。
今回のぶえさんはどんなことに挑んでいるのかなあ、大変そうだけど大丈夫かなぁ。本当に余計なお世話でしょうが、タイトル通り「無駄な抵抗」をされているのかどうか、目撃しに行きます。
前川さんの脚本は、
こんなに頭のいい方が世の中にいらっしゃるのでつか…?
と頭の悪そうな感想が真っ先に口を出てしまうくらいいつも舌をまくストーリーで、
かつ、俳優陣が見事でリアリティがあるんだよなぁ。
毎回観たあとヘトヘトになる印象です笑。
今回はギリシャ悲劇を扱っているということ。ふう~、覚悟してまいります!!たのしみ!!

ダウ90000 単独ライブ「20000」も行きたかったけどチケットもうないのな!!
ほんとうに素晴らしいことだけど観たかったよ。
当日券か…。
気温は低くなってきたけれど、我が家よりマシかもしれないからチャレンジしようかな…。

異儀田夏葉
俳優。広島生まれの埼玉育ち。OL、劇団員時代を経てフリーの俳優へ。韓国沼。次回出演→艶∞ナイトポリスvol.2「角刈りのカリスマ」~美容室で観る演劇~
X(旧:Twitter):@igitas
Instagram:igitas

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

先月のこの欄でご紹介した『金属バットvs東京ダイナマイトワンマッチ興行』、行ってきたのですが本当によかったです。お笑いで生きている人たちの覚悟と愛が見えました。配信が11月5日(日)12:00まで購入できますので、興味のある方はぜひ。(見逃し視聴は11月5日(日)19:00まで)
『M-1グランプリ』もいよいよ佳境に入ってきました。11月の1か月の間に3回戦と準々決勝が開催され、例年11月末〜12月頭に準決勝が行われ、決勝メンバーが出揃います。今年も楽しみです。
 
医者とおばあちゃん初単独ライブ『訪問診療』 
76歳で芸歴5年目の「おばあちゃん」(という芸名のおばあちゃんの芸人さん)。『激レアさんを連れてきた』(テレビ朝日)でも紹介されたおばあちゃん、一度インタビューしたことがありますが、波乱の半生を送って来られたたいへんバイタリティ溢れる方です。そんなおばあちゃんと、現役医師でもあるお笑い芸人しゅんしゅんクリニックPとのユニットのライブ。かつておばあちゃんのお友達の80代の方がこの二人のライブを見に来たことがあるそうですが、「何かあってもお医者さんだから安心」となったそう。なんとこの二人、M-1グランプリを現在勝ち抜いております。3回戦を目前に控えた勝負漫才が見られることでしょう。以前見たネタは、“医者とおばあちゃんあるある”のわかりやすさと、おばあちゃんがリズムに乗るパートがある意外性の混じった、また見たくなるものでした。
 
行列の先頭 in 日本青年館ホール 
「お笑いって何から見たらいいかわからない」という人に自信を持って勧められるのが、この「行列の先頭」というライブ。K-PROというライブ制作団体が手掛ける年間数百にのぼるライブの中でいちばん大きな看板公演です。出演者も昨年のM-1グランプリ王者であるウエストランドをはじめ、さらば青春の光やアルコ&ピースなど、人気と実力を兼ね備えた面々。先日行われたコント日本一決定戦『キングオブコント2023』出演の5組もラインナップされています。さらには真空ジェシカやストレッチーズをはじめとした、今年のM-1決勝進出を狙う人たちも見られます。「いまの東京のお笑い詰め合わせ」とも言うべきライブです。
 
東京演劇道場『ワーク・イン・プログレス/Dojo WIP』
東京芸術劇場の芸術監督を務める野田秀樹さんのもとに集った役者たちの修業の場、「東京演劇道場」。昨年の東京演劇道場公演『わが町』はそれはすばらしいものでした。ソントン・ワイルダーが描いたアメリカの小さな町の物語が、演出の柴幸男さんと道場メンバーたちの手によって、いつの間にかわたしたちが住む東京の町に重なってゆくのです。今回は道場メンバーによるワーク・イン・プログレス公演。メンバーが立ち上げた8つの企画が上演されます。東京デスロックの俳優、李そじんさんが、デスロックの名作『再生』を新たに作り替えてみたり、遊園地再生事業団の上村聡さんが絲山秋子さんの小説を朗読劇にしたり。なかでも特筆すべきは、藤井千帆/鈴木麻美企画の別役実『淋しいおさかな』に出演者として児玉智洋さんがいること。『キングオブコント2023』で優勝を果たした、サルゴリラの児玉さんです。オーディションに受かった道場メンバーの一人として参加するんですよ。前々から児玉さんの演技はいいなあと思っていましたが、別役作品を演じる姿が見られるなんて!すごく楽しみです。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・河野桃子の優先順位高め!

すでに北九州では上演されている『イエ系』が、東京へ。劇場とアーティストが2年間タッグを組み、1年目の交流期間を経て、2年目に作品創作するシリーズとして、今回は松井周さんが作・演出。北九州芸術劇場が主催するクリエイションは、北九州の土地の色・味・匂いが感じられるものが多く、いつも劇場で旅をしている気分になります。

さいたま国際芸術祭2023にて、倉田翠さん演出・構成『指揮者が出てきたら拍手をしてください』と村川拓也さん演出・構成『仕事と働くことを演じる2』。いずれもテーマごとに出演者を公募し、その実体験をもって作品を構成していくとのことで(過去作品もほぼ同様)、どのように舞台公演と現実が関わっていくのか気になるところです。

東宝が、注目の演出家との新作ミュージカルをプロデュースする『TOHO MUSICAL LAB.』の第二弾として、タカハ劇団の高羽彩さんと、ゆうめいの池田亮さんがミュージカルに初挑戦します。出演者もミュージカルの大きな舞台で活動する方々が集まる、なんとも奇跡のような夢のようなカンパニーが成立することにワクワク!ちなみに第一弾は根本宗子さん作品に生田絵梨花さんや海宝直人さんが、三浦直之さん作品に木村達成さんや田村芽実さんや妃海風さんらが出演しました。

ほか、日生劇場で上演されるNISSAY OPERA2023にて、同劇場が53年ぶりに巨匠ヴェルディのオペラを新制作する『マクベス』、原作:三島由紀夫、演出:宮本亞門による『午後の曳航』。世田谷パブリックシアターにて前川知大さんの『無駄な抵抗』、2つの作家性・作風がタッグを組む小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクによる『松井周と私たち』。こちらも注目しています!

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・中川實穗の優先順位高め!

11月の思い出ってありますか?昨年11月のカレンダーを見たら、観劇と仕事以外の予定がありませんでした。今年もそういう感じでいきます。

まず楽しみにしているのは、前川知大×世田谷パブリックシアターのタッグ5作目『無駄な抵抗』。私は、前川知大さん作・演出作品を観るときはなんの予習もネタバレもせずに劇場に行き、驚くのが大好きなのですが、生きていく中で「無駄な抵抗をするか・しないか」はずっと結論が出ないので、どんな内容かとても気になっています。

KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ『外地の三人姉妹』も楽しみです。KAATと演出家・多田淳之介さんが主宰する「東京デスロック」との共同制作で2020年に初演された日韓合同作品の再演で、翻案・脚本は韓国の劇団「第12言語演劇スタジオ」芸術監督ソン・ギウンさんが手がけます。チェーホフの『三人姉妹』をもとに、舞台を1930年代の朝鮮北部に置き換え、日本軍の亡くなった将校の娘たち三姉妹が、モスクワではなく、生まれ育った東京へ望郷の想いを募らせる、という作品。多田さんとソンさんはチェーホフの『かもめ』を日本統治下の朝鮮を舞台に翻案した作品もつくられています。

コロナ禍に生まれた『TOHO MUSICAL LAB.』の再始動もうれしいです。まず座組の時点で楽しそう。『わたしを、褒めて』は脚本・演出をタカハ劇団の高羽彩さん、出演は有澤樟太郎さん、美弥るりかさん、エリアンナさん、屋比久知奈さん、『DESK』の脚本・演出はゆうめいの池田亮さん、出演は東啓介さん、豊原江理佳さん、山崎大輝さん、壮一帆さん。どんなミュージカルが生まれるのか、観客としての私もワクワクしています。

そしてめちゃめちゃ気になっているのがインドミュージカル『ムンバイ☆スター』。生ボリウッド、観たすぎる……!

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

今年もあと2ヶ月になりましたが、まだまだ新作が誕生しますね。

いよいよお目見えの新作、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』を楽しみにしています。小説「怪盗ルパン」に詳しいわけではないのですが、キャラクターが大集結でエンタメ度が高そうなオリジナル作品とのこと。小池修一郎さんによる作演出、古川雄大さんのルパン、柚希礼音さん、真風涼帆さんのカリオストロ伯爵夫人など、豪華キャストの共演も、ドーヴ・アチアさんの新曲が聴けることにもテンションが上がっています。ルパンとカリオストロ伯爵夫人の男女を入れ替えた対決、これはワクワクしかない。

そして、平間壮一さん、植原卓也さん、水田航生さんによるユニット3LDKが初めてミュージカルを上演する、ミュージカル『ミア・ファミリア』。こちらは韓国発のミュージカルコメディで、出演者は3人のみ。日本初上演作品ですが、お三方ならではの阿吽の呼吸がそこかしこに溢れていそう。

再演作品では、『ねじまき鳥クロニクル』ミュージカル『天使にラブソングを〜シスター・アクト〜』も楽しみにしています。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・古内かほの優先順位高め!

今月は新作、日本初上演のミュージカル作品が楽しみな月間です。
まず話題作といえば、演出家・小池修一郎さんと、『1789 -バスティーユの恋人たち-』『キングアーサー』などで知られるフランスの人気作曲家ドーヴ・アチアさんのタッグによる新作ミュージカル『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』。モーリス・ルブランの「怪盗ルパン」シリーズを下敷きに、有名なキャラクターたちが登場する冒険活劇ロマン、とのこと。フレンチミュージカルの色合いが濃いのかなと想像しているので、劇中のダンスやアクションシーンも見どころになっていそうで期待しています。そして個人的には「ルパンとカリオストロ伯爵夫人による男女を入替えた対決」という部分に倒錯的な美を感じ、どんな場面が見られるのか今からワクワクしています(笑)。
 
韓国発の人気ミュージカルで、日本初演となるミュージカル『ミア・ファミリア』も気になる作品です。1930年代、大恐慌のニューヨークで、イタリア労働者たちが集う「アポロニアイン&バー」を舞台に繰り広げるミュージカルコメディ。出演はユニットでも活動している、植原卓也さん、平間壮一さん、水田航生さんのお三方。ダンス巧者の皆さんなので、こちらもダンスシーンがとても楽しみです。韓国ではカーテンコールがライブさながらの盛り上がりを見せるそうですが、日本版ではいかに?
 
高羽彩さん(タカハ劇団)と池田亮さん(ゆうめい)が東宝ミュージカルに!?という意外な抜擢にそそられる『TOHO MUSICALLAB.』。前回は無観客での配信でしたが、第二弾となる今回はリアル上演ということで、ぜひとも客席で体感したいところ。公演日はわずか二日間ですが、30分の短編ミュージカル×2本、それぞれの世界観をじっくり味わい、ミュージカルの新しい可能性を感じられたらと思います。
 
他にも、観れば必ず元気をもらえるミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』、10年ぶりの上演になる『シェルブールの雨傘』などの再演ものも楽しみです。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はミュージカルのZINEを制作してみたいと思っています。
X(旧:Twitter):@kahonfuu

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

もう今年も残すところ後、2ヶ月。早いものでもう来年がこっちをみてる。少し肌寒くなってきたので、皆様長袖を羽織ってる頃と思います。絶対その方がいいと思います。寒いときは肌を布で覆いましょう。
では、11月のお勧め。
 
『オルギア視聴覚室vol.6』 11月18日(土)・19日(日)
闇鍋演劇祭こと、オルギア視聴覚室の6弾がついに、2日間開催。
もちろん全劇団、全出演者お勧めですが、今日はその中からお勧めを挙げていきたいと思います。
 
『コンプソンズ』18日(土)
何を隠そうコンプソンズは第1回からのレギュラーメンバーで、全オルギアに出てる。
コンプソンズ無くして、オルギアなし。間違いないものを見せてくれるでしょう。
今回も堂々の貫禄を見せてくれると思います。
 
『日本のラジオ』18日(土)
第2回オルギアでは、セーラー服を着たおじさんが日記を読むコミカルな作品だと思っていたのに、一転して絶望に変わった。笑いが一気に引き攣り。誰も笑わなくなった空気に耐えきれず、僕は笑ってしまって隣にいた日本のラジオの主宰の屋代さんも笑った。
笑いは常に狂気と表裏一体だと思った作品。今回もどんな作品なのか楽しみ。

『優しい劇団』18日(土)
名古屋から遂に登場。
ずっと会いたかった劇団の一つです。本当に楽しみ。空気を自分のものにできる人たちです。引っ掻き回してくれる。
 
『春とヒコーキ』18日(土)
最高ですよね。僕は全コント漫才好きだし。土岡さんもぐんぴぃも天才だと思ってます。
「頌豊与さんの笑いは中途半端だ」といってくれたことも忘れないし。本当に頭の良い人だなと思います。
 
『ダダルズ』18日(土)
大石恵美さん率いるカンパニー。
お一人でやられているカンパニーを見ると本当に仲間意識が芽生える。めちゃくちゃお勧めです。
 
『不条理コントユニットMELT』18日(土)
スタイリッシュなコントで。バランスも最高に良い。
超格好いいです。観てて気持ち良いです。MELTって名前もオシャレで好きです。
 
『ふらぐめんつ』18日(土)
ハードボイルドなコントを軸に作り上げる。珍しいタイプのコントなのですが見やすく面白いです。お勧めです。
 
『盛夏火』18日(土)・19日(日)
前回はエモい作品をぶつけてきたので、今回も楽しみである。オルギアの中であのエモは大いに清涼剤である。
 
『公社流体力学』19日(日)
前回は1人の美少女の死を語っていました。割とポップに猟奇的に語る彼のリアリティある語り部は妙にクセになります。今回もそんな感じのだと嬉しいな個人的には。
 
『劇団ジェット花子』19日(日)
解散したんですが今回一度きりの復活。わかりやすい物語と笑いを追求してる。グミ沢さんの描く作品を是非堪能してください。
 
『大宮企画』19日(日)
コンプソンズの第2の頭脳大宮が、立ち上げたユニット。
最高に面白いです最高に面白い。そんな言葉だけで十分です。
 
『かきあげ団』19日(日)
一切キャラもぶれず、ずっと島崎和歌子さんを応援してる。
不思議な人たちだなって出会った瞬間から今もずっと思ってる。
 
『東京にこにこちゃん』19日(日)
僕も出ます。頑張ります。
 
『どくさいスイッチ企画』19日(日)
社会人落語ですが最高に面白いです。
こんなに新作落語ってすごくて面白いのかと、瞬時にわかります。超お勧め。
 
『立川がじら』19日(日)
落語です。唯一無二の落語ですので。是非聞いてほしいです。
 
『宇宙論講座』19日(日)
何しでかすか分からない感ありますが、本当に五十部さんは優しい方ですが、作風的には一番闇鍋感あると思います。
超楽しみ。何が起きるんだろう。
 
どこを切り取っても楽しいお祭りだと思います。まだみれていないとこは紹介できてませんが、他も最高です。
音楽、落語、いろんなものもごちゃ混ぜ。
フェスみたいなものになればいいなと思います。僕はこのお祭りのおかげで、コンプソンズに出会えたので、最高のお祭りです。
本当に地蔵中毒が今回いないのマジで納得いってないですが。まあ良いでしょう。
 
特集みたいになってしまいましたが。
是非に11月18日(土)・19日(日)は 『オルギア視聴覚室vol.6』 に足を運んでみては如何でしょうか?
 
それでは、最後の月。12月にてお会いしましょう。ありがとうございました。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

私が編集長を務める演劇批評誌『紙背』(「しはい」と読みます)の5年ぶりの新刊が11月11日(土)に発売になります。スヌーヌー、コンプソンズ、果てとチークの戯曲と劇評を収録。是非チェックしてみてください。

編集作業に追われていて気づけば11月。

優先順位高め、まずはさいたま国際芸術祭から。
舞台芸術としては公募によって集まった「かつてバレエをやっていた」(つまり今はやめている)人々が出演する倉田翠演出・構成『指揮者が出てきたら拍手をしてください』と埼玉県在住・在勤のさまざまな仕事に就く人々による村川拓也演出・構成『仕事と働くことを演じる2』の2本が上演される。ともに現実をベースに作品を立ち上げる2人の作品はいわゆるドキュメンタリーとはまた違った方法で私たちの生を照らしてみせるものになるはず。

続いては関田育子『雁渡』イエデイヌ企画『エリカによろしく』
関田とイエデイヌ企画の福井歩はいずれもマレビトの会の松田正隆の教え子。師の提唱する「出来事の演劇」的な手法をベースにしながらそれぞれ独自の探求を行なっていて頼もしい作り手だ。
関田は3月に上演した『micro wave』でかながわ短編演劇アワード2023の演劇コンペティション大賞・観客賞を受賞後初の公演。前作『イマジナリーピーポー イン トーキョー』で音のキュビズムとでも呼ぶべき手法を見せたイエデイヌ企画は3年ぶりの公演で何を見せてくれるのか。
関田・福井の2人も(倉田・村川とはまた異なる視点から)現実へのまなざしを問う点にそのユニークさがある。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter): @yamakenta

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

今月も見逃せない2.5次元舞台が2本あります!
 
ミュージカル『刀剣乱舞』 千子村正 蜻蛉切 双騎出陣 ~万(よろず)の華うつす鏡~

太田基裕さん演じる千子村正とspiさん演じる蜻蛉切の2振りによる舞台。刀ミュはどの作品もまず外しがなく、原作を全く知らなくても楽しめる2.5次元舞台のひとつ。特に今作は、演出をキャストの太田さんとspiさんが担当するので、どんな新しさが加わるのか注目しています。さらに、劇場が客席が360度回転するIHIステージアラウンド東京というのもワクワクする要素。『ヒプステ』シリーズの演出などで活躍する植木豪氏がクリエイティブディレクションで参加するド派手な演出にも期待しています。
 
舞台「鬼滅の刃」其ノ肆 遊郭潜入

ほとんど原作の内容を知らなかった2020年の初演を観たらあまりに面白くて、それでアニメを見るようになったほどです。キャストが役にハマっていたのもポイントが高かった。シリーズ4作目の今作から、炭治郎 役は阪本奨悟さんに変わりますが、善逸 役の植田圭輔さん、伊之助 役の佐藤祐吾さん、無惨 役の佐々木喜英さんなどは続投とのこと。「遊郭編」の注目キャラクター、鬼の兄妹、堕姫 役と妓夫太郎 役でミュージカル俳優の佐竹莉奈さんと遠山裕介さんが出演するのも注目。インタビューでも二人とも半端なく気合が入っていて、観たい度が増しました。2作目と3作目を見逃しているので、この4作目は絶対に観たいと思っています。


2.5次元舞台以外でも、おススメが2本。
 
『ねじまき鳥クロニクル』

2020年の初演を見逃したので、再演を待ち望んでいた舞台です。村上春樹の物語の世界観を、イスラエルの演出家のインバル・ピントとアミール・クリガーがどんな表現で観せてくれるのか、期待しかありません。主人公の岡田トオルを成河さんと渡辺大知さんが二人で一人の人間を演じ分け、ヒロインの女子高生・笠原メイを門脇麦さんが演じるほか、圧倒的な悪として存在する綿谷ノボル役は大貫勇輔さんとバレエダンサー・首藤康之さんのダブルキャスト。贅沢な時間になりそうです☆

舞台『OUT OF ORDER』

中村倫也さんの舞台は常に期待を裏切りません。今作は、ロンドンのウェストミンスター・ホテルのスイートルームで、保守党の副大臣リチャード(ユースケ・サンタマリア)と秘書のリチャード(中村)が、次々と巻き起こるピンチの連続に奮闘するコメディ。シニカルな英国喜劇で繰り広げられる、中村さんとユースケさんの丁々発止が目に浮かびますね。大笑いしに行きたいと思います。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

11月。徐々に寒くなってきましたね。個人的な話ですが10月はトータル17本観劇しました。芸術の秋を満喫しています。
さてそんな11月の優先順位高めな公演は、、、
 
まずはダウ90000 単独ライブ「20000」。ダウ90000の勢いすごいですよね。ここ最近なんとかチケット確保できていますが、今後さらなる激戦が予想されます。それを噛みしめて観たいと思います。しかもスズナリっていうのがいいではないですか!終わった後は下北沢で「アレ、よかったね~」なんて言いながらお酒飲みたいです。
 
そしてエトエ『スキルアップ!』。昨年3月にエトエに出会いまして、そこからなんだかんだと皆勤賞です。滑川さんの創る笑いは、個人的には大好き(好み)なんですよ。ずっとクスクス笑ってしまうんです。次も楽しみです。
 
最後に、初体験で何が起こるのやら今からドキドキなのが『オルギア視聴覚室vol.6』。すごいメンバーじゃないですか。注釈をコピペします。「※途中入場可※再入場可※飲食可(持ち込み不可)※写真撮影可※動画撮影不可 ◎全席自由席 ◎カラオケ大会有◎入浴別売」。入浴別売!合間にちょっとサウナで整うのもありですね。楽しみです。
 
以上です。ここのところずっと笑いを求めております。おすすめ公演教えてください。観に行きます。(自薦・他薦問わず)