もう2月になりました。皆さんの観劇はじめはいかがでしたでしょうか?素敵な作品に出会えますように、少しでも参考になれば幸いです。というわけで、今月の「優先順位高めです」です。片桐美穂さん、久々の登場です。おかえりなさい。
俳優・片桐美穂の優先順位高め!
皆さま、お久しぶりでございます。片桐美穂でございます。
約2年の時を経て帰って参りました。
改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。
2月、観に行きたいものがすでに13個あります!
楽しませてくれるじゃねぇか!2月!
●KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト 第二弾『箱根山の美女と野獣』『三浦半島の人魚姫』
私は今、菅原永二さんに夢中。
企画が魅力的過ぎるし、生・菅原永二さんが観られるなんて、んもう、絶対行く。
●人×歌×写真で創る集団「詩(Sí)」『あひる』
今回行きたいと思った決め手はテーマ、「日常」。
「日常」について考える今日この頃。いろんな角度から考えられるきっかけになりそう。
●名取事務所公演『509号室-迷宮の設計者』
眞鍋さん演出の舞台は、会話に嘘がなく、「真摯に誠実に」がいかに大切か痛感します。
●ヨーロッパ企画 イエティ#15『逆張ヶ浜に夕陽が落ちる』
「逆張りアドベンチャーコメディ」。なにそれ、もう絶対おもろいやんけ。
ううぅ!もっと書きたい!さて、私は何作観られるのでしょうか。
2月も皆様が楽しい観劇ライフを送れる日々でありますように…!
片桐美穂
役者。ブルーノ・マーズ、藤井風、バレエ、猫をこよなく愛する29歳。
次回出演▶ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』(原作:万城目学 脚本・演出:上田誠(ヨーロッパ企画))
東京公演:2024/4/12(金)~4/29(月・祝)・大阪公演:5/3(金・祝)~5/4(土)
X:@____obese
Instagram:@katagiri_miho
俳優・佐久間麻由の優先順位高め!
さて、もう2月ですねぇ!これを書いているのは1月末。個人的には、舞台『ジャズ大名』の大千秋楽を終えて数日…、といった感じです。公演の最終地が大阪府高槻市だったこともあり、大千穐楽後に思い付きで京都へ向かい、1泊。1年ちょっと大切に持ち歩いていた、お寺と神社のお守りたちを持って、それぞれお礼参りに行って来ました。新年に、ゆっくり時間をかけてお礼をしてまわるというのは、なかなかいいものでした。そうそう、途中、立ち寄ったうどん屋さんがロームシアター京都の近くだったのですが、大変美味しゅうございましたので、ご観劇のお供にぜひ。山元麺蔵さんの玉子とじうどん、絶品でした!(ちなみに次回は、隣接するうどん屋、岡北さんに行きたい)
では、2月も連ねます。
KERA CROSS 第五弾『骨と軽蔑』
作・演出|ケラリーノ・サンドロヴィッチ
ケラさんの過去戯曲を毎回異なる味わいで新たに創り上げる連続上演シリーズ「KERACROSS」。シリーズラストとなる今作は、ケラさんが新作を書き下ろし、自ら演出!こんなアベンジャーズのようなキャスティングが実現してしまうなんて…、神様ありがとうございます。チラシも最高です!そんな素敵なチラシに掲載されたケラさんのコメントの締めくくりには、「今回は派手な仕掛けは使わないつもり。彼女たちの芝居が仕掛けだ」とあって、期待で胸が張り裂けそうです。初日が2月23日(金)、、あと3週間ちょっと、、、非常に切実に待ち遠しいです。
ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラット』
原作|荒木飛呂彦
演出・振付|長谷川寧
脚本・歌詞|元吉庸泰
シリーズ累計発行部数1億2000万部という大人気コミックシリーズ、『ジョジョの奇妙な冒険』。作品の全ての始まりとなる「第1部 ファントムブラッド」をベースに、世界初となるミュージカル化!昨年、音楽劇『浅草キッド』で拝見した松下優也さんが素晴らしすぎて、観劇直後からこの作品の開幕を大変楽しみにしておりました。松下さんが演じるジョナサン・ジョースター、想像しただけで痺れます…。建て替え前の帝国劇場であと何作観劇できるだろう、なんて想いも馳せながら、行って参りたいと思います。
第34回下北沢演劇祭参加作品「天才バカボンのパパなのだ」
脚本|別役実
演出|玉田真也
別役実さんの戯曲「天才バカボンのパパなのだ」を、玉田企画の玉田真也さんが演出する今作。情報解禁時には、もうそのまんま、「別役さんの『天才 バカボンのパパなのだ』を、玉田さんが演出!!?」と衝撃を受けた次第です。出演者には、芸人さんと俳優さんが入り混じり、演劇作品では初めて拝見する男性ブランコの浦井のりひろさんも楽しみですし、演劇界から参戦の市川しんぺーさんに川面千晶さん、浅野千鶴さん、西出結さん…と、大好きな俳優さんがぞろりと!そして、日替わり出演にメトロンズって…、豪華すぎやしませんか!
はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場 ワークショップから生まれた演劇『マクベス』
原作|W.シェイクスピア
翻訳|松岡和子
上演台本・演出|ノゾエ征爾
本作上演のきっかけとなった2022年春開催の、ノゾエさん×彩の国さいたま芸術劇場による『マクベス』を題材としたワークショップ。このワークショップでは「演劇を見慣れていない若者に演劇の魅力を知ってもらおう」という目標が掲げられていて…。お会いしたことのある人はご存知かと思いますが、赤外線ヒーターのようにその場にいる人たちの心身の芯まで温たたかくしてくださるノゾエさんの優しさに包まれたこのワークショップを経て上演されるノゾエさん版『マクベス』は、初めて演劇を観る方にも自信を持ってお勧めできる一品です。そして、いつもどの作品でも最高な川上友里さんですが、ノゾエさんの作品で出逢える川上さん、私は見逃したくないです。
舞台「笑わせんな」
脚本|福谷圭祐
演出|オクイシュージ
2019年に観劇した、ミュージカル『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』で、主人公のクリスチャン・グレイを演じていた浜中文一さんが最っっ高で、それ以来、次はどんな作品に出演するのだろうと楽しみにしています。オクイシュージさんの生み出す世界で躍動する浜中さん、楽しみです。
東京にこにこちゃん「ネバーエンディング・コミックス」
作・演出|萩田頌豊与
@下北沢 駅前劇場
昨年の夏に観劇した、『シュガシュガ・YAYA』が大変面白く、未だ興奮冷めやまずなのですが、その興奮を抱えたまま下北沢に向かいたいと思います。この一言に尽きます。あぁぁぁ楽しみ!!!
今月は、まだまだありまして…!
鄭義信さん演出の『欲望という名の電車』や、片桐はいりさんと安藤玉恵さんがWキャストで出演されるKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『スプーンフェイス・スタインバーグ』。カムカムミニキーナ本公演vol.73『かむやらい』、長塚圭史さん作・演出のKAATカナガワ・ツアー・プロジェクト 第二弾『箱根山の美女と野獣』『三浦半島の人魚姫』、 ほろびて 芸劇eyes『センの夢見る』 。
すべて行きたいのです。おねがいです、時間とお金を神様よ!
佐久間麻由
俳優・企画制作者。
劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。
次回出演作品:スリーピルバーグス第2回〝今度も野外〟公演『タイトル未定』作・演出:福原充則 2024年晩夏
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/
脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!
あっという間に2月になりました。1の次は2だというのに。
暖かくなるのが待ち遠しいですね。今年も薄着が着れる季節が来ることを心から望んでおります。
今年も何卒よろしくお願い致します。私ごとですが、ちょうどさっき岸田國士戯曲賞の最終候補発表があり、友人のコンプソンズが残っておりました。
まあ友人としては嬉しいですが、ちゃんと悔しいので精進いたします。
おめでとう金子君。安藤さん。
さあて以下、2月のおすすめ演劇を発表します。
・コヒツジズ『弱者の行進』
タイトルが格好いいですよね。コヒツジズさん。
最近良く目にするので、面白いのだと思います。
群像劇とあるので、群像劇お好きな人はどうぞ。
雰囲気面白そうなのでおすすめです!いっけー!
・はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場 ワークショップから生まれた演劇マクベス
はえぎわのマクベス!
めちゃくちゃ気になりますね!?僕は気になります!皆さんも気になりますか?
僕はマクベスを知らないので、知ってた方が楽しめると思います。
おすすめです。
・第34回下北沢演劇祭参加作品「天才バカボンのパパなのだ」
別役実さん脚本で玉田真也さんの演出です。
イラストがとても可愛らしく、出てる役者さんも最高です。
このメンバーで不条理演劇がどうなるのかとても気になります。
おすすめです。
・guizillen『ファンタスティックベイビーズ』
まっすぐな芝居が好きなら超絶おすすめです。
突き抜ける爽快感。演劇の面白さ詰まってます。
おすすめです。鉄板焼き屋も行ってみたい。
常日頃そう思っております。
・大統領師匠『ノーザンライツvsメキシカンギャング』
きっと馬鹿馬鹿しいコメディなんだと思います。面白そう。
本当に申し訳ございません。拝見したことないのですが、面白そうなのでお勧めです。タイトル面白くないですか?最高です。
・B子『ナオト・イン・パラディズム』
1日だけ公演。攻めてる。
ほぼ毎月公演やってるアグレッシブさもすごいですし。
最近Twitterも始めたみたいです。
・ゆうめい『養生』
申し訳ございません。拝見したことないのですが、ここは面白そうだと思った劇団はなんでもかんでも勧めちゃって構わないと、お聞きしてますので、観たことないですが面白そうなので、お勧めです!
・東京にこにこちゃん『ネバーエンディング・コミックス』
僕のです。僕がつけた劇団名です。そしてタイトル。全部僕のもの。
漫画の話です。
面白いです!最高傑作にします!
全力で行きます。宜しくお願いいたします。
以上、お勧めです。
次は3月です。ようやく春の訪れを暖かさになることを信じてます。
またお会いしましょう。
それでは皆様、最高の演劇ライフを。萩田頌豊与でした。
萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト
俳優・田代明の優先順位高め!
皆さん、2024年にはもう慣れましたか?
私はまだ慣れません!
早く2023年から脱却すべく、目の覚めるような作品達を今月も紹介していきます!
「テラヤマキャバレー」Inspired by Shuji Terayama
没後40年を迎える寺山修司の生涯と、残された言葉からインスパイアされた作品。時は1983年5月3日、まもなくその生涯を終えようとしている寺山修司の元に”死”がやってくる。”死”は彼に、過去や未来へ自由に飛べるマッチ3本と少しの生きる時間を与える代わりに、感動する芝居を見せてくれと残す…
主演の香取慎吾さんが寺山修司その人を演じます。他、魅力的なキャストの皆様が名を連ねているのですが、役名がね、ちょっと変わってるんです。実在した人物も多く登場し、寺山修司の詩による多くの名曲を織り交ぜた音楽劇が、新進気鋭の作家・池田亮さんの脚本とデヴィッド・ルヴォーの演出で誕生します。
音楽劇『不思議な国のエロス』~アリストパネス「女の平和」より~
こちらも!寺山修司関連作品でございます。私は寺山修司に関して全く詳しくないのですが、たまたま気になる作品が2つとも関連作品だったことにより、没後40周年記念認定事業として様々な劇場や団体が寺山修司に関する作品を取り上げている事を知りました。
本作は1965年に浅利慶太が寺山修司に以来して作られた戯曲。あらすじを読んだのですが、いや、もう、これは、見たい。1965年に書かれたとは思えないくらい今の社会を風刺したかのような作品。そもそもこのお話のベースとなった「女の平和」は紀元前のギリシャで創作されました。最近、ギリシャの人々の性事情について学んだのですが、目が飛び出るくらい今の我々との価値観の差を感じました。が、性差、戦争、国家など、人間が集まれば起きる問題は時代も人種も変われど同じなのだなと。
寺山修司の作品が現代に何を訴えかけるのか、必見です。
欲望という名の電車
主演のブランチ役は、本作が舞台初出演にして初主演となる沢尻エリカさん。芸能活動再開後初の出演作となる事もあり、チケットは一般発売開始と同時に即完売。この作品の注目度の高さを物語っています。
アメリカ演劇を代表する劇作家テネシー・ウィリアムズの代表作、演出は鄭義信さんが務めます。
1947年にブロードウェイで初演され、ピューリッツァー賞を含むブロードウェイ3大賞を同時受賞。1951年にはヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドで映画化されアカデミー賞を受賞。映画史に残る名作となった本作は、今年、どんな化学反応を見せてくれるのでしょうか。
いまだにお正月ボケしている私ですが、劇場で心動かして、しっかりと目覚めてこようと思います!
田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。
3/17(日)神楽坂The Gleeにて「THE GLEE SPECIAL CONCERT」出演。お問い合わせは神楽坂The Gleeまで。
X(旧:Twitter):@akkarindays
脚本家/演出家・海路の優先順位高め!
海路です。みろって読みます。
最近肌寒い日々が続いておりますね。とっても寒いです。とってもとってもとってもとってもとってもとっても大好きよ。バレンタインもありますのでね。
てなてなことで、2月の優先順位高めな作品はこちら!!
○『う蝕』
iakuの横山拓也さん作、瀬戸山美咲さん演出による、6人芝居不条理劇。横山さんはつい先日『モモンバのくくり罠』で鶴屋南北戯曲賞を受賞され、それ以降では初の新作。ただ、今回カフカやベケット、別役作品などをモチーフの参考にされているとのことで、普段のiakuとはまた違うテイストになっているのかも、と期待が広がります。瀬戸山さんも、ala Collectionシリーズvol.14『フートボールの時間』『ある都市の死』など、異なるテイストの作品が続いていて、次は不条理劇か!とどんなものが観れるのか、ワクワクです。
○マームとジプシー『equal』
藤田貴大さん主宰のマームとジプシー新作公演。実は映像では観ているけど、生での観劇はまだ叶っていないマームとジプシー。正直映像を通してだけなのに、あんなにブッ刺さってるので、生観劇したら情緒一体どうなることやら。「あの頃見ていたものの輪郭が少しずつ鮮明になり、そして、世界が大きく変容していく中で見える『今』の景色とは。」(公式サイトより引用)なんや!!観たいー!!!
○第34回下北沢演劇祭参加作品「天才バカボンのパパなのだ」
本多劇場にて上演のこちらの公演。バカボン役をジェラードンのかみちぃさん、パパ役を市川しんぺーさんなど、もう面白い。脚本は別役実さんとのことで、どう別役エッセンスがバカボンに入ってくるのか、とても楽しみです。そしてその演出を玉田企画の玉田真也さんと、もう絶対面白いじゃないか、という布陣で、個人的見逃せない公演です。日替わり出演者も豪華で待ち遠しいです。
あとは座・高円寺で上演される、カムカムミニキーナ本公演vol.73『かむやらい』なども、個人的要チェックです!!
海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
批評家・山﨑健太の優先順位高め!
2月の優先順位高め、1本目はほろびて『センの夢見る』。
「次世代の演劇界を牽引する若い才能を紹介する芸劇eyesシリーズ」として上演される作品だ。作・演出の細川洋平は本作で「夢や、夢見る人々を描こう」と思ったのだと言う。夢見る人々を外側から見るという行為は「夢を見ていたのに、現実を見ざるをえなくなった人を見ること」であり、それは「演劇で繰り返し行われてきたこと」だとも。あらすじには1945年にオーストリアの村レヒニッツで起きたユダヤ人虐殺事件を思わせる言葉が並ぶ。「現実を見ざるをえなくなった人を見る」観客である私たちの姿勢こそが問われる作品になるのではないだろうか。
2本目はロロ・三浦直之が初めてパルコ・プロデュース作品で作・演出を手がけるパルコ・プロデュース 2024『最高の家出』。
ももいろクローバーZの高城れにを主演に迎えて紡がれるのは二つの家出が交差するところからはじまる物語。結婚生活に疑問を感じて家出した女が見つけた仕事は、失踪した男の代わりに舞台上で「夫」役を演じることで——。「家出」という言葉が示すように既存の家族観の外へと軽やかに出ていくような作品になる、というのはこちらの勝手な願望だが、凝り固まった現実を解きほぐす作用がフィクションにあることは間違いない。ロロメンバーがたくさん出演するのもうれしく楽しみ。
3本目は『インヘリタンス -継承-』。
2015年から18年のニューヨークを舞台に、60代・30代・20代の三つの世代のゲイ・コミュニティを描く6時間半の大作。近年、演劇界ではクィアな人々を描いた作品の上演が増えている印象があるが、その多くは海外の劇作家の作品であり、日本のクィアを取り巻く状況に対する姿勢も見えないプロダクションが多い。戯曲の上演は遠く隔たった時空間の物語を「今ここ」へと接続することができる。それが演劇の面白さだ。だからこそ、2024年の日本でその戯曲をなぜ・どのように上演するのかが問われて然るべきだろう。観客がどのように作品を受け取るかはもちろん大事なことだが、それ以前に、プロダクション側がどのような姿勢でこの作品に臨むのか。大作・傑作としてクィアの物語を消費するのでなく、現実のクィアと向き合った上演を期待したい。
山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
ライター・中川實穗の優先順位高め!
2月、まず楽しみにしているのはKAATカナガワ・ツアー・プロジェクト 第二弾『箱根山の美女と野獣』『三浦半島の人魚姫』です。このプロジェクトは、KAATが「ひらかれた劇場」を目指し、(KAATの所在地である)神奈川県の方に向けたものなので、地域ネタも満載で、東京在住の私より神奈川在住の方のほうが圧倒的に楽しいだろうなと思うのですが、2022年に上演された第一弾『冒険者たち』の時の心躍る感覚が今も残っています。公式サイトに「“演劇はちょっと敷居が高いかも”と思っているお客さまにも、観劇体験の入り口にしていただけるような、気楽な娯楽作品」と書かれていて、前回もそういうコンセプトだったと記憶しているのですが、演劇に敷居の高さを感じているわけではない私にとっても、改めて演劇に初めて触れたような、そんな気持ちになり感激しました。今回は『美女と野獣』と『人魚姫』をもとにした作品になるということで、どんな内容なのかなと期待しています。
舞台『笑わせんな』も楽しみ。匿名劇壇の福谷圭祐さんが脚本、オクイシュージさんが演出を手がける、浜中文一さん主演の作品。取材のために脚本を読ませてもらい、お稽古も見学させてもらったのですが、どの瞬間も「これ早く劇場で観たい」という期待がグルグルしておりました。胸がヒュッとしながらも笑ってしまうブラックユーモア。出演者がみなさんもれなく魅力的なのでワクワクしております。
2月1日(木)開幕のカムカムミニキーナ本公演vol.73『かむやらい』、2月6日(火)開幕のミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』、チケット完売していますがKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『スプーンフェイス・スタインバーグ』もすごく楽しみです。
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt
ライター・河野桃子の優先順位高め!
2月は「下北沢演劇祭2024」と「シアターコモンズ’24」がスタート。
どちらもさまざまな演目があるなかでひとつずつ挙げてみると、下北沢演劇祭のゆうめい『養生』は、チケット購入の参加になれば……と、作品アイデアのきっかけにもなる作・演出の池田亮さんの学生時代の作品やエピソードが公開されているサイトがもうそれだけでも面白いです。
シアターコモンズでは、ナスタラン・ラザヴィ・ホラーサーニ(イラン/オランダ)の『Songs for No One – 誰のためでもない歌』に注目しています。ドイツの世界演劇祭の評判を目にしていると、イラン在住のティーンエイジャーに海を超えて触れられるような、そんな期待をしています。
ほか上演順に、いつも背筋から迫るような恐ろしさを演劇的に感じるほろびての芸劇eyes『センの夢見る』、10月に逝去された綿貫凛さんの企画によるオフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』、コロナ禍でうまれた3部作を一挙上演する捩子ぴじんさんのneji&co.『コロナリポート』、演出家・大河内直子さんの前作にはやられましたunrato #11『月の岬』、ついに自分とクロスする?!ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの新作 KERA CROSS 第五弾『骨と軽蔑』も。
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com
ライター・釣木文恵の優先順位高め!
1月のこの欄でご紹介した「no寄席」シリーズ、劇場では1公演、配信で8公演観ました。芸人さんはもちろんそれぞれが唯一無二なわけですが、所属する事務所ごとにもなんとなーく色があって、その色が混じってひとつのライブになるのはなんとも面白いものだなあ、これからもそういうライブをたくさん観たいものだなあ、と思います。
野音漫才選集―真冬の野外で漫才をやれなかった漫才師に捧ぐ おそらく最後の野音漫才―
野外劇が好きです。たぶん上演する方は大変なことが多いのだと思いますが、観る側としては野外劇というだけで期待値がぐっと上がります。維新派の公演が今でも恋しいですし、最近ならば東京駅で上演されたSPACの『マハーバーラタ』がそれはもう最高でした。
さて、お笑いにも野外という環境があります。たとえば学園祭の特設ステージ。さまざまな営業。そして2022年まで、漫才師にとって人生をかける野外の舞台といえばM-1グランプリの敗者復活戦でした。昨年から、敗者復活戦の会場は屋内になりました。その代わりということなのか、なぜか最も寒い2月に、日比谷野外大音楽堂で、漫才師が集結するライブが行われます。寒いんだから屋内でやればいい。それはそうなのですが、やっぱりなんだか野外は妙にテンションが上がります。かつて毛布を持って敗者復活戦を観に行った思い出を反芻しながら、防寒対策をして観に行きたいと思います。
RGがあるある歌い続けウエストランドがあるなしクイズし続ける会inなかのZERO
レイザーラモンRGさんといえば「あるある」。お題を募り、それに合わせて選んだ曲を1コーラス(ときには1曲フルのことも)を歌い、最後に「あるある」を披露するという芸です。実際に観ると歌詞の絶妙なアレンジ、歌のうまさ、そして「あるある」の見事さと、楽しさが密に詰まっています。RGさんはさまざまなゲストを招いて、その人の芸と「あるある」とをブレンドさせることも得意としています。昨年10月、ウエストランドがゲストの「あるあるライブ」で、ツッコミの井口浩之さんがひたすらお題に対する悪口を言い続ける時間が生まれました。汲めども尽きぬその悪口はバックで流れる尾崎豊の音楽もあいまって魂の叫びに聞こえ、客席は盛り上がり。SNSに「伝説のライブ」という感想が溢れました。その反響を受けて大会場で再び開催されるあるあるライブ。今度はどんな叫びが聞けるでしょう。
第34回下北沢演劇祭参加作品「天才バカボンのパパなのだ」
作:別役実
演出:玉田真也
2/21(水)〜3/3(日) 東京・本多劇場
別役実の戯曲を、玉田企画の玉田真也が演出する。それだけでもう楽しみです。玉田さんといえば芸人さんたちと「弱い人たち」というユニットを組み、コント公演を重ねた経験がありますから、キャストにずらりと並ぶ芸人さんたちの演出もきっとお手の物のはず。男性ブランコ浦井さん、うるとらブギーズ佐々木さん、ジェラードンかみちぃさん、エルフはるさん、日替わり出演のメトロンズ(しずる、ライス、サルゴリラ)。コントでの演技を得意とする皆さんは、今回不条理劇でどのような顔を見せてくれるでしょう。いつどこに出ていてもこの人がいればきっと大丈夫と思える市川しんぺーさんと川面千晶さん、芸人さんとの共演経験も豊富な浅野千鶴さん、『デンジャラス・ドア』での快演が記憶に新しい西出結さんと、演劇畑のキャストもすてきな人たちが揃っています。演劇はすべからく一期一会ですが、今作は作品といいキャストといい、きっとこんな機会はもうないだろうと強く思えて、それだけで観ておきたい一作です。
釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie
ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!
早くも2月。舞台を観られる日常は、本当にありがたいことですね。
スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内 ヤマトタケル
久しぶりに歌舞伎を観ます。主演のヤマトタケル役は、中村隼人さんと市川團子さんのWキャスト(私が観るのは團子さん)。兄橘姫と弟橘姫の二役を美しすぎる女方の中村米吉さんが演じます。遥か昔、三代目市川猿之助の主演で観た『ヤマトタケル』を、今をときめく若手歌舞伎役者がどんなふうに観せてくれるのかワクワクしています。
舞台『エウリディケ』
アメリカの人気劇作家サラ・ルールによる戯曲『エウリディケ』の日本初演。演出は読売演劇大賞優秀演出家賞をはじめ数多くの賞を受賞し、世田谷パブリックシアターの芸術監督でもある白井晃氏。切なくも美しいギリシャ神話のラブストーリーのヒロインは斉藤由貴さんの長女としても注目の水嶋凛さん、その夫を和田雅成さん、その二人に割って入る悪役を崎山つばささんが演じる。個人的には2.5次元舞台で見続けてきた和田さんと崎山さんが、白井作品でどんな芝居を観せてくれるのかとても楽しみです。
今月注目している2.5次元は、ザ・2.5次元舞台という感じ2作品。
舞台「桃源暗鬼」
『週刊少年チャンピオン』で連載中の同名漫画が原作で初の舞台化。桃太郎を題材に、主人公の一ノ瀬四季が、自らが鬼の子孫であることを知ったところから現代に続く、鬼と桃太郎の子孫同士の戦を鬼側の視点で描いたダークヒーロー時代劇。2.5次元と相性のいい鬼ものです。キャストも主演の一ノ瀬役は7ORDERのメンバーで俳優の阿部顕嵐さんほか、立花裕大さん、廣野亮大さん、北村諒さんなど、2.5次元の人気俳優が多数出演します。2.5次元舞台を数多く手掛け、シェイクスピア劇にも造詣が深い松崎史也氏の演出にも期待。
明治モダン歌劇「恋花幕明る録~前日譚~」
こちらも2.5次元と相性のよい幕末もので、恋愛ゲーム『恋花幕明録』が原作。舞台では、ゲームで彼らが生きる時代に至るまでの“前日譚”を描いているそう。斎藤一、土方歳三など、歴史上の人物たちが死闘を繰り広げた激動の幕末、戊辰戦争の中での出来事をドラマチックに仕上げた歌劇。泣ける王道な予感です。
井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。
ライター・古内かほの優先順位高め!
2月の上演作で妙に気になってしょうがないのが、明治座創業150周年ファイナル公演 舞台「メイジ・ザ・キャッツアイ」。明治時代でキャッツアイ…?なんだかよくわからないけど、“明治座150周年の集大成” “時は明治。キャッツ♥アイに不可能はなくてよ?”という煽りに、観に行かなくてはという気持ちにさせられております。キャッツアイの三姉妹を演じるお三方に加え、上山竜治さん、美弥るりかさんといった魅力的な舞台人の参戦も気になるところ。近年、挑戦的で面白い演目を発信し続けている明治座ならではの一作になっているのでは、と期待しています。
2年ぶりの上演になるミュージカル『ボディガード』は、未見の方にはぜひおすすめしたい作品です。元の同名映画は有名ですが、観ていなくても存分に楽しめるのでご安心を。サスペンスを孕んだスリリングなストーリーと大人のほろ苦い恋愛が上質なエンターテインメントで描かれ、見どころ、聴きどころも豊富です。カーテンコールはコンサートさながらの盛り上がりと一体感があり(ダンスも楽しい!)、ステージからもらったパワーに身も心も温まるはず。あの有名な“エンダーー!”も聴けますよ!
KERA CROSS 第五弾『骨と軽蔑』は、こんな豪華な女性俳優7人(宮沢りえさん、鈴木杏さん、 犬山イヌコさん、堀内敬子さん、水川あさみさん、峯村リエさん、小池栄子さん)がシアタークリエに集結するなんて!濃密すぎる…!と公演情報を知ったときにとてもワクワクしました。現時点では「辛辣なコメディで、会話劇」ということしか明かされていませんが、とにかく観に行かねばならない座組であることは確かです。KERAさんの最新作はどんな世界が描かれるのか、今から楽しみです。
他にも、朝ドラ『ブギウギ』で注目度急上昇中のOSK歌劇団が届ける歴史エンタメ作品『へぼ侍~西南戦争物語~』、東京芸術劇場と演出家・熊林弘高さんがタッグを組んだクィア作品、『インヘリタンス-継承-』にも注目しています。
古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルを中心に観劇しています。
X(旧:Twitter):@kahonfuu
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
「あけましておめでとうございます。」なんて言ってたかと思ったら、もう2月です。早いものです。
今月の優先順位高めな公演です。いろいろあるのですが、やっぱり熱く書かせてください。
東京にこにこちゃん「ネバーエンディング・コミックス」です。
昨年から「これでもか!」というくらいにプッシュプッシュしています。いろんなところで「東京にこにこちゃん!」と連呼しまくってまして、もうこれ、ぜひ観て欲しい。
まずね、笑えるんです。怒涛のボケ数なんていうワードも出てますが、ナンセンスギャグをこれでもかと詰め込みつつ、観ている僕らを笑わせながら、キャスト個々それぞれに感情移入をさせていくんです。そして、そして!最大のポイントはラスト5分(だいたい)。ここでのグワーッという盛り上がりで、なんかもう笑ってたはずなのに、涙がでてきて、感情がぐちゃぐちゃになるの。マジおすすめです。
他には、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『スプーンフェイス・スタインバーグ』、パルコ・プロデュース2024「最高の家出」、第34回下北沢演劇祭参加作品「天才バカボンのパパなのだ」などを観たいなって思っています!