ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3 Produced by TBS イベントレポート

2018.10.18

10月初旬、東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にもほど近いららぽーと豊洲にて、新感線☆RS『メタルマクベス』disc3のスペシャルトークイベントが開催された。会場には抽選に当たった参加者だけでなく多くの一般の立ち見客も駆けつけ、ランダムスター/マクベス浦井役の浦井健治、レスポールJr./元きよし役の高杉真宙、グレコ/マクダフ柳下役の柳下大が登場すると、客席のあちこちから黄色い声が飛び交った。

まずは舞台上に置かれたモニターで、IHIステージアラウンド東京ならではの観客席が360°回転するという劇場機構や、ストーリーを紹介。浦井は「2218年と1980年代という時代を行ったり来たりしながら、一人二役をやらせていただきます。先輩たちからはとにかく大変な舞台で体力勝負だと聞いていますので、我々も肉を食べながら頑張っていこうと思います!」と宣言。

ここで「歌声も聞きたいですよね?」との、司会を務めるTBSアナウンサー・日比麻音子の前振りに応えるように劇中曲『明けない夜は長い』のイントロが流れ、「手拍子お願いします!」と立ち上がる浦井の姿に会場が一気にヒートアップ!……と、思いきや「明けない夜は長い!」のワンフレーズのみで終了! 「短い!」「え~!!」などの声が響くと、再度イントロが流れ、今度は浦井が高杉を促しデュエットでまたもやワンフレーズをおまけで歌った。実はこの曲、浦井ではなく高杉演じるレスポールJr.が歌う楽曲で、今回のイベントのためにサプライズとして浦井が披露したもの。突然のアドリブに巻き込まれ、「めっちゃ緊張した~!」と苦笑する高杉。

そこに、3人へエールを送りたいスペシャルゲストということで、まさに劇場で上演中の『メタルマクベス』disc2より尾上松也が、ランダムスターのいでたちのままモニターに登場! ちょうど一幕終了直後、幕間の舞台裏からの生中継となり、そのハードさを訴える松也と友人関係でもある浦井との仲の良いやりとりに、会場は爆笑。松也は「稽古場だとわからないことだらけだと思いますが、イメージをふくらませながら、いのうえさんを一生懸命笑わせてあげてください。いのうえさんが楽しんでできると芝居も面白くなるので!」と、同じ演目を一足早く上演している先輩らしく3人へアドバイスを送っていた。このあとの“自撮りPHOTOトーク”コーナーでは3人に撮ってきてもらった稽古場での様子として、まずは高杉がパンフレット撮影用のメイク、衣裳姿の写真を紹介し「鼻ピアスまで本番でつけるかどうかはわかりませんが。ここまでヘヴィメタっぽい激しいロックな格好をしたことは、過去になかったです。でもこういうイメージの世界観なんだとパンフレット撮影で改めて認識できて、背筋が伸びる瞬間でした」と、撮影日の気持ちを打ち明けた。柳下は、劇団員の粟根まことから借りているベースで自宅でも熱心に練習しているとのことで、「どのくらいの長さになるかはまだわかりませんけど、本当に舞台上で実際に弾くんですよ。楽器の経験もほとんどないので、舞台上で生演奏するのはこれが初めてです。それで練習用に粟根さんが貸してくださったんですが、実はこのベース、初演の北村有起哉さんが粟根さんから借りたまま10年以上保管していたらしいんですよ」と、意外な事実までがここで暴露された。
浦井は、ランダムスター夫人役の長澤まさみとのツーショット写真を公開し「長澤さんは芝居もうまくてすごいけど、鬼嫁っぷりもすごくて、尻に敷かれるってこういうことなんだなって思いました」と告白。「でも優しくて、ちょっと頭がボーっとしてきた時には糖分を取りなさいってクッキーをくれるんです」とも。稽古場全体の雰囲気もかなり良いようで「稽古場隣の控室がすっかり憩いの場になっていて、みんな和気あいあいと楽しくやっています」と語った。

続く“僕のゲン担ぎはこれだ!”コーナーでは、各自の“ゲン担ぎグッズ”として、浦井の“海苔の味噌汁”、高杉の“生姜片(チップス)”、柳下の“五円玉”を、ひとつずつTBSの公式キャラクター、BooBoがステージに運び、健康に気遣いつつ楽屋や本番前にいつも食べているものや、稽古前や本番前に神社にお参りするためにお財布に貯めているなどといったエピソードとともに紹介した。そして最後には、それぞれが意気込みをアツく語った。

浦井「観客席が回る劇場というのは、日本でここだけです。『髑髏城の七人』から始まって約2年弱、上演してきた新感線の舞台も、この『メタルマクベス』シリーズのdisc3がいよいよラストということになるので、自分たちにはかなり負荷がかかっております(笑)。ですが、お客様の力を借りてしっかりと60公演完走を目指し、disc1の(橋本)さとし兄さん、そしてdisc2の松也からのタスキを我々も受け継いで、拳や指を突き上げながらガンガンに盛り上がりたいと思います!」高杉「僕は今回ずっと緊張しながら稽古している状態で、きっと本番も緊張するんだろうと思いますが、大先輩のみなさんにいろいろと教えていただきつつしっかりと臨んでいきたいです。disc3は12/31までやっていますのでそこまで気を抜くことなく、みんなで最後まで舞台上に立って『メタルマクベス』の世界を演じ切りたいと思っています!」

柳下「この劇場でしか観られないステージだと思いますので、既にご覧になった方も、まだ観ていない方も、知り合いの方をたくさん誘って来てください。年内いっぱいやっていますから、今年の締めくくりにもピッタリの舞台になると思います。ぜひ劇場に足を運んでください、よろしくお願いします!」2017年、2018年とIHIステージアラウンド東京にて疾走し続けた劇団☆新感線の前代未聞の挑戦も、いよいよこの『メタルマクベス』disc3で有終の美を飾ることとなる。演劇史に残る伝説を目撃しに、ぜひとも劇場へ!

 

取材・文/田中里津子