TEAM NACS SOLO PROJECT 戸次重幸『MONSTER MATES』 戸次重幸 インタビュー

戸次重幸のソロプロジェクトは男5人によるサスペンス・コメディ

 

TEAMNACS ・戸次重幸のソロプロジェクトが5年ぶりに始動する!
2019年2月から3月にかけて行われる『MONSTER MATES』は、戸次自らが脚本を書き下ろし演出もする、男ばかり5人によるワンシチュエーションのサスペンス・コメディだ。

戸次「舞台を作ることがもともと好きなものですから、常に『次の舞台はいつできるだろうか』という想いで日々過ごしてはいるんです。でも、TEAMNACSの本公演や、客演させていただく舞台もあったりして、そうこうしている間に5年も空いてしまいました」

 

その間にも準備だけは進め、台本はすでに何年も前に書き上げていたんだそう。

戸次「本公演の『悪童』(’15年)のとき、古沢良太さんが素晴らしい台本を書いてくださって。それで、自分が男5人のワンシチュエーションで書いてみたらどうなるだろうと考えたのが、今回の舞台のスタートになったわけです。といっても、古沢さんには及びませんが、それでも僕なりの世界観のもの、どこかファンタジックな要素のなかに少しだけ生々しさも含ませつつ、わかりやすく言うとマンガ的な、サスペンス・コメディになるかと思います」

 

2016年には男児が誕生した戸次。子供が生まれたことで改めて“死生観”について考え、その経験が物語を紡ぐ原動力になったとも言う。

戸次「決して後ろ向きな話ではないんですけど、大切な人という存在は自分が生きていく上で、いずれは必ずいなくなるものじゃないですか。それは親だったり、家族だったり、恋人だったり。そのいなくなる人に対して、あなたはどういう想いで毎日接していますか?ということを問いかける内容になっています。たとえば自分の子供にとって、順番通りであれば僕は先にいなくなるんでしょうし、逆に、これは考えたくもないけど子供の方が先にいなくなってしまう可能性だってある。誰にだって、大切な人は何人もいるはずだと思うんですけど、その人がいなくなるかもしれない前提でつきあっているか、いることが当たり前になってはいないか、ということですね」

そして「ダメ元で理想の方々にオファーしたらみんな快諾してくれた。キャスティングに関してはありがたい以外のなにものでもないです」と語る、本郷奏多、青柳翔、前野朋哉、吉沢悠という出演陣の新鮮な顔合わせも、この作品の大きな魅力となっている。各自の役どころを聞いてみた。

戸次「本郷くんに演じてもらうのは、昔事故に遭ったことで身体に少し障がいが残り、会社も辞めてしまって30代半ばでニートのような生活をしている男。実際には本郷くんは28歳なので、ちょっと年上の設定になりますね。その彼が居候しているのが、ある病院の跡取り息子でもある精神科医が住むマンションなんです。その精神科医が青柳くんの役で、この二人は中学時代の同級生なんです。また、そのマンションの別の階に住んでいるのが、前野くん演じる、魚屋を経営している男。その魚屋さんが借金をしていて、その取り立てにやってくるヤクザを僕がやらせてもらいます。そして彼らが集まるマンションの一室に、最後にやってくる謎の男“Q”というのが、吉沢くんですね」

 

その“Q”が本郷演じる“三波”に対し突然「あなたは不老不死になりました」と告げることで、物語は展開していくのだが……。台本を書いているときに自分がやるとは想定していなかったヤクザ役を演じることになり、妙なプレッシャーを感じているとも。

戸次「いわゆるインテリヤクザならやったことありますが、こういう強面の役、バリバリの開襟シャツにスーツ、首にはチェーンみたいな、わかりやすいヤクザ役は初めてで。いっそ、僕の役に関してはみんなに演出してもらおうかな(笑)」

 

そう語りつつも、演出家・戸次としては「自分ほど役者の気持ちが分かる演出家は他にいないと自負しています」と胸を張る。

戸次「稽古場では、演出家と役者の垣根のない和やかな雰囲気づくりをしたい。これまでの経験を活かして、役者にとってノンストレスな演出家になるつもりです。もちろんそれは役者の言うことに全部OKを出すイエスマンになるという意味ではなく、役者が嫌がることをしない演出家ということです。例をあげると下手に短い5分の休憩時間はとらない、とかですかね(笑)」

 

2019年はこの舞台で燃え尽きてもいいくらいに、力を入れて取り組む!とアツく語る戸次。

戸次「早くも確信していることがあって。絶対に面白い稽古になるはずなので、さらにみなさんにご覧いただく本番はもっと充実するはず。劇場ではもしかしたらお客さん以上に、役者が楽しんでいるステージになるかもしれません。ですからぜひともみなさんも、僕らに負けじと全力で、この舞台を楽しんでいただきたいです!」

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo/篠塚ようこ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

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【プロフィール】
戸次重幸
■トツギシゲユキ ’73年、北海道出身。大学在学中に大泉洋らとTEAMNACSを結成。映像に舞台にとジャンルを越えて活躍中。