10月です。今年もあと3ヶ月ですって。早いですね。ぴあ総研の発表によると、昨年のステージ市場規模は前年の1/4まで落ち込んだ、との事。舞台はお客様が観ることで完成すると言われます。可能な限り劇場に行きたい、そんな事を考えながら10月の「優先順位高めです」です。片桐美穂さん初登場です。
俳優・片桐美穂の優先順位高め!
初めまして。片桐美穂と申します。最近観劇すると、お話の内容関係なく突然泣く。という現象に陥ることがあります。この時期は特に込み上げてくるものが…ね…。
さて、そんな私が今月ぐっちゃぐちゃに泣くと決まっている作品は、ミュージカル「オリバー!」です!プロデューサーは「レ・ミゼラブル」等、数々の作品をヒットさせた、サー・キャメロン・マッキントッシュ。彼の凄さは語りきれませんが、ミュージカル俳優で彼の作品を目指さない人はいないんじゃないか、と片桐は勝手に思っています。今回、市村正親さんとWキャストを務める武田真治さんは、リモートオーディションで画面越しの彼を前に「何をやったか覚えていない。」との緊張ぶり!個人的には「何か」を出来ただけでもすげぇって感じです!キャメロン・マッキントッシュを初めとする最高峰のスタッフ、そして市村正親さん他、豪華なキャスト陣によって、再び命が吹き込まれる瞬間を、是非目の当たりにしたいです。
片桐美穂
役者。声が大きくて奔放な「女ジャイアン」的な役回りが得意で、小劇場を中心に活動してます。実際は、店員さんを呼び止められないくらい声が小さくて小心者です。お酒とクラシックバレエがとにかく大好き。12月音楽劇「海王星」(PARC O劇場)出演。
俳優・山岸門人の優先順位高め!
2021も残り三ヶ月ですって。
今、国立競技場の近くの日本青年館に通っていて、この辺りは至るところにTOKYO2020って書いてあるので、来年が2022年って言われると、なんか、タイムリープした感覚に陥ります。まぁまぁともあれ、10月も観劇チェック!演劇集団円「夏の夜の夢」が気になります。演出はスズカツこと鈴木勝秀さん。私の心の師。円とスズカツさんの作品は複数作品見ていますが、屈強な演技体を持つ円の方々とアバンギャルドな演出が最高で、いつも大興奮し、大拍手して劇場をルンルン気分で帰ります。余談ですが、高校生の頃に金田明夫さんのサインを頂いたこともあり、家に大切に飾っております。観たいですねえ。あとは、新納慎也さん初演出のミュージカル「HOPE」、ほろびて「ポロポロ、に」が気になっております。どうぞ皆様、10月も健やかに!
山岸門人
俳優。舞台「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」公演中。大阪公演10/8(金)からです!12月の音楽劇「海王星」チケット一般発売は10/9(土)。是非に。あと、LINEスタンプも発売中です。
Twitter:@yamagishimondo
俳優・田代明の優先順位高め!
韓国ミュージカルはやっぱり気になっちゃう!10/1に本多劇場で幕を開けるのは、韓国の大ヒットミュージカル「HOPE」。主人公はベストセラー作家の女性。強く生きる女性が主人公の話、大好きなんです。新納慎也さん初演出作品、とっても楽しみ。あとは「ニュージーズ」、「オリバー!」も気になります。どちらも、若い男の子達がめちゃめちゃ踊る作品!っていうイメージ!…雑ですね…笑 私の中でまだしっかりと確立した印象がなくて、でもとっても有名なこの二作品。どちらも日本版でどのような広がりになるのかとっても楽しみです。
田代明
女優。秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」劇団員。東京藝術大学声楽科卒業。「お芝居の素敵なミュージカル女優さん」と言われる為に、日々いろんな作品を勉強中。そしてシンプルな観劇オタク。
Twitter:@Akari4_50
演劇ジャーナリスト・徳永京子の優先順位高め!
9月も公演が多かったけれど今月はそれ以上ではないだろうか。多ければ良いということではないけれど、好きな劇団、とても重要だと認識している団体、久しぶりに観られるのがうれしい人達の公演が目白押しなのは確か。というわけで、絞ったけれど多くなってしまった。優先順位高めが本数多めの10月。
ロロの新作『フランケンシュタイン』は、三浦直之のこれまでの世界観と「フランケンシュタイン」がすぐに結びつかないだけに、新境地への第一歩になるのか、得意の世界観に原作を引き付けるのか、それとも全く異なるアプローチを見せてくれるのか、いずれにしても楽しみしかない。振付に岩渕貞太が参加するのも大きなトピック。
妖精大図鑑の久々の公演『YOKOHAMA Ammonite Night』は、アフタートークにお邪魔する忖度ではなく、チラシにグッと来ている。一瞬、映画『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングを思わせる帽子に、フェルトでつくられた可愛らしい横浜の名所たち。ダンスと演劇、真剣とおとぼけ、生活と空想を行き来してきた妖精大図鑑とは違う表情が観られるかもしれないと期待が募っている。
基本的に暗い話が好きなのだけれど、そのわりによく芝居の冒頭で「ああ、これからこの人達は大きな苦しみに見舞われる。観ているのがつらいから帰りたい。つまらなかったということではないので帰ってもいいですか」と本気で考えている。ほろびては、つらいと言うか酷いというか、そういう展開が待っているのはほぼ確実なのに、いつも油断させられて、気が付くと引き返せないところまで連れて行かれる。なのでまた懲りずに『ポロポロ、に』に行く。
岩松了の作品が好きだと度々書いたり言ったりしているが、岩松の手によるものなら何でも肯定というわけでは当然ない。そもそも岩松は、中年男性の日常もの、青春群像劇、真意が見えない女性が主人公のもの、戦争や沖縄問題など社会的な題材を扱ったものなど幅広い。その中に、男同士の奇妙な繋がりを描いたジャンルがあって、M&Oplaysプロデュース『いのち知らず』はそれではないかと予想する。私はその系統との相性が良くないのだが、仲野太賀が久々に岩松作品の中に出演することに期待せずにはいられない。
パンデミックが収束しなくても景気が悪化し続けても演劇はなくならない。けれども演劇という言葉が指す中身は変わっていく。当然、今、かなりのスピードで変化していて、削り取られるものや振り落とされる人は少なくない。カゲヤマ気象台が率いる円盤に乗る派は、そんな中で演劇がサバイブするための方法を、非常に積極的に形にしている。アウトプットが多過ぎて全活動をフォローしきれていないのが私の現状だけれども、頼もしい人達としてその姿を見失いたくない。『ウォーターフォールを追いかけて』も見逃せない。
よく知られた作品をレベルの高い新演出で上演している「全国共同制作オペラ」が、日本で最も上演回数の多い『夕鶴』の演出に岡田利規を抜擢した。機会があってワークショップを見学したのだが、これが期待の高まる体験だった。「つるの恩返し」を原作にした木下順二の名作は、純真無垢な与ひょうと鶴の化身のつうの間に、お金という概念が入り込んで生まれる悲劇だが、これを岡田は、与ひょうのみならずつうまでも資本主義によって変わってしまった存在にして描くという。その理由は「そのほうが今のお客さんに刺さるから」。オペラにしては料金が低め設定なのもお勧めのポイント。
公社流体力学─再々延期公演決定─【朗読見世物】『よる色の瞳をした少女、或いは、夢屋敷の殺人』。一昨年、グランプリを受賞したせんがわ劇場演劇コンクールの記念公演がコロナによって2度の延期を余儀なくされ、ようやく実施になった上演形態がかなり変則的かつ意欲的。10月末から来年2月にかけての土日祝の夜、計7回の公演を行うそうで、忙しい人でも1日ぐらいは行ける日があるのでは?演目は同じだが毎回、公社本人によるアフタートークと日替わり短編の朗読も付くという公社流体力学漬けの夜をどうぞ。
徳永京子
ひとつの作品についてだらだら考えるのは悪くないと最近は思っていて、上演期間が終わった公演でも感想をつぶやくことに前向きです。
Twitter:@k_tokunaga
ライター・横川良明の優先順位高め!
「バクマン。」THE STAGE
漫画の世界に踏み出した夢見る少年のドラマを描いた大人気コミック「バクマン。」。その内容の面白さは、これまで展開されてきた多彩なメディアミックスがすでに証明済み。となると、あとはもう“漫画を描く”という画的には地味と言える作業をどのように舞台の上で表現するのか、その演出力に期待するのみ。そこを買って出るのが、東京パラリンピックの開会式でも話題を呼んだウォーリー木下です。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」でデジタルテクノロジーと人間のフィジカルを見事にミックスさせてバレーボールを表現したように、きっと今回もウォーリー木下マジックで、“漫画を描く”という作業を魅せてくれるはず!ワクワクしながら劇場へ向かいたいと思います。
iaku『フタマツヅキ』
いい芝居を見たい。というシンプルな想いに、毎回誠実に応えてくれるのがiakuの作品です。人の心の奥底にしまった引き出しをそっと開けるような横山拓也の内面描写、それを確かな力で演じあげるキャスト陣には信頼のひと言。今回の主人公となるのは、父と息子。狭い市営団地の二間続きの部屋で繰り広げられる、ダメな父親と、夢を見ることもできない息子の物語です。些細な会話を積み重ねていくうちに、心の震えが止まらなくなる横山ワールドを今回もたっぷり堪能したいと思います。
横川良明
ライター。演劇・映像を問わず幅広く取材。演劇集団キャラメルボックスと惑星ピスタチオに魅せられて演劇の世界へ。観る人に情熱と希望を与えてくれるようなお芝居が好きです。
Twitter:@fudge_2002
ライター・中川實穗の優先順位高め!
最速で申し込んだのは、劇団た組の新作「ぽに」。作・演出の加藤拓也さんのつくるものには毎回「いったいどうやってこの作品が生まれるのですか!」と驚かされ、そこに爽快感を感じます。今作は“鬼ごっこ”が大きな要素のようですが、毎回のことながら「観ないと(もっと言えば最後まで観ないと)わからないだろうし」という気持ちです。松本穂香さん、藤原季節さんをはじめとする皆さんのお芝居も、た組だからこそのものが観られるはず。前のめりで開幕を待っています。NAPPOS PRODUCE 舞台「トリツカレ男」も楽しみ。梅棒の公演を観ていると、野田裕貴さんに目を持っていかれることが多いのですが、昨年上演された「成井豊と梅棒のマリアージュ」で、成井豊さん演出の野田さんを初めて拝見し、「うわ!よい!」と思ったので、そのタッグがまた観られるのが嬉しい。そして、とりつかれたように人を好きになる人を、今とても観たいです。そしてMusical『HOPE』。作品そのものも気になりますが、やっぱり新納慎也初演出というところで観たい。新納さんがなにを大切に物語を届けるのか、本多劇場でどんな『HOPE』が広がるのか、とても期待しています。
相変わらず先が見えない日々ですが、わたしの観劇予定で今一番遠いのは12月30日。予定ができると、その日まではなんとかがんばらないとと思えるのが良いなとしみじみ思います。
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
Twitter:@miho_sgt
ライター・河野桃子の優先順位高め!
今月はこの2作に注目したい!
なぜなら、とても良かった8月のさいたまネクスト・シアター最終公演『雨花のけもの』の演出・岩松了さんと、脚本・細川洋平さんのそれぞれ新作公演だからです。
『いのち知らず』(作・演出・出演:岩松了)
死んだ人間を生き返らせる研究をしている、らしい……?。二人の男(勝地涼、仲野太賀)の友情にかかわる「いのち」についての舞台。岩松さんの演劇はいつも、ほかのどの舞台とも違う感覚に全身が飲み込まれます。じわじわと何者かに肌を舐められているような。なにが起こったかわからないのに、強烈なワンシーンに「ああ…わかる」としか思えない感情に突き動かされる。言葉にならないからこそ、劇場に足を運びたくなる。岩松さんの劇世界にほれ込む勝地さん、仲野さんと、岩松さんが信頼する光石研さん、新名基浩さんとの5人芝居です。10月22日から東京、仙台、大阪、島根、山口、熊本、広島、名古屋にて。
ほろびて『ポロポロ、に』(作・演出: 細川洋平 )
いつもどおりだったはずの毎日。けれどもそこにポンとなにかが現れた瞬間、崩壊する。大切だったはずの人との関係や、「こうだ」と思っていた自分自身が、変わっていく。「もうやめてくれー」と目を覆いたくなるほど恐ろしいけれど目が離せない。なぜならそれは、たしかに世界のどこかにある感情だから。ほろびての作品は、誠実なまでに辛らつに、広い世界と身近な日常をえぐってくる。
今回の新作がどうなるかはわからないけれど、岩松了さんという戯曲の魔術師のような劇作家と作品をともにした次に、どんな舞台がうまれるのかとても気になります。10月27日(水)~11月1日(月)北千住・BUoYにて。
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
Twitter:@momo_com
ライター・古内かほの優先順位高め!
10月はたのしみにしているミュージカルがたくさんあります。
『オリバー!』はオリバー役の皆さんに取材させていただき、各々の個性と魅力が発揮されるのだろうなあ、と期待が高まりました。素敵なナンバーも多いので、今からワクワクしています。『マドモアゼル・モーツァルト』は、「モーツァルトが実は女性だったら?」という着想で描かれた漫画原作を元にミュージカル化された作品。女性がまだ音楽家として活躍することが許されなかった時代の話なので、おそらくジェンダー的な視点での葛藤も描かれるはず。元トップコンビの明日海りおさんと華優希さんの共演、そしてミュージカルで再び古屋敬多さんが拝見できるのもたのしみです。昨年コロナ禍で全公演中止になってしまった『ニュージーズ』がいよいよ今月開幕というのもうれしい限り。(でもチケット争奪戦に敗れてまだ観れる保証はありません!なんとか観たいッ!)
バレエからは、新国立劇場バレエ研修所公演『バレエ・オータムコンサート2021』を。カィェターノ・ソトさん振付の作品をはじめ、研修生、予科生の皆さんのフレッシュなステージを堪能したいです。
宝塚は月組の『川霧の橋/Dream Chaser』を観劇予定。新トップコンビの月城かなとさん、海乃美月さんのプレお披露目公演でもあり、和物で博多座での上演、とたのしみが詰まった公演。急に個人的な話になりますが(笑)、福岡に住む姉の宝塚観劇デビューのアテンドも兼ねた観劇予定なので、どんな感想が聞けるのかも今からとってもたのしみです!
古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はダンス公演も積極的に観に行きたいです!
Twitter:@kahonfuu
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
なかなか情報収集ができなくなってます。そんな時はみなさんの優先順位高め公演をチェックして、気になるものを見つけてます。そんなわたしの今月優先順位が一番高い公演、た組「ぽに」。加藤拓也さんの物語は作品ごとに世界観が違って毎回驚きなんです。今回はどんな形で驚かせてくれるのか、とても楽しみです。まだご覧になった事無い方、ぜひに!
先月書いたけど実は10月に観る予定でした劇団☆新感線、ミュージカル「オリバー」も。「バクマン。」THE STAGEも観たいなぁ。あと、心臓丸のイベントにも行きます。頑張れ心臓丸。