“今月の”優先順位高めです【2024年11月号】

2024.11.01

11月になりました。今年も残すところあと2ヶ月。そろそろ「今年観た中でよかったのは~」なんて考え始めてしまう時期ですね。とはいえ残り2ヶ月の公演も激アツな公演多数あります。今年のベストを探しに劇場へ行きましょう~。というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。

俳優・田代明の優先順位高め!

毎月のように暑い暑いと言っておりましたが、やっと涼しくなってきまして、大好きだけど短い秋を堪能しております。田代明です。

タクフェス第12弾『夕-ゆう-』
大っ好きなタクフェス!そしてその中でも1番大っっっすきな『夕』!!公演のお知らせをみてテンション爆上がりでした…!
2014年の初演から10年の月日を経ての再演。タクフェス主宰の宅間孝行さんが演じられていた元弥役をLeadの古屋敬多さん、夕役を矢島舞美さんが務めます。
笑えて泣けるタクフェスの仲でも再演の要望が多かったという人気の今作を、ぜひ劇場で。

ミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』
私は確かテレビ放送を見たのが、この作品との出会いだった気がします。
ミュージカルでは珍しい、東北地方”南部弁”が台詞や歌詞の至る所に散りばめられているのがこの作品の魅力の一つ。まず南部弁をマスターしてからでないと作品に取り組めないと思うと、役者の皆様本当に並々ならぬ努力をしていらっしゃるんだろうなぁと…。
日本的で親しみやすい雰囲気と音楽、そしてそれだけでは終わらない激しいダンスナンバー、長きにわたり上演され続けている今作は、友情と成長を軸に普遍的なメッセージを私達に届けてくれます。

『ロボット』
1920年に書かれた今作。ロボット文化が発達し、人間がどんどんと労働をしなくてもよい環境になっていった世界のお話…って、え、現代??めちゃくちゃ今の現代社会とロボットやAIとの関係に似ております。これが約100年前に書かれた戯曲だなんて驚きです。
ロボットだけの世界に取り残されたたった1人の人間アルキストは、最後に何を選択するのか。現代に生きる我々を、きっと深い思考の海へといざなってくれる作品です。

舞台や映画などの物語は、お話にするからこそ伝えられるメッセージが沢山あります。

11月8日(金)から銀河劇場にて開幕します、ミュージカル『No.6』もそんな作品の一つ。
私も出演しますこちらの作品は、あさのあつこさん原作の小説として沢山の人に愛されてきましたが、今回、浅井さやかさんの音楽と演出により、No.6の世界が舞台上に出現いたします。
今だからこそ皆様に観ていただきたいセンテンスの詰まった作品、カンパニー一丸となって物凄い熱量で創り上げておりますので、ぜひ劇場でお待ちしております。

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。7月24日(水)~8月31日(土)ミュージカル「ピーター・パン」出演予定。
X(旧:Twitter):@akkarindays

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

なんと、11月!?寒さの深みが一層増し、2024年の終わりを実感しちゃってすこし焦りながらも、お正月の街がだいすきなのですでにわくわくしながら過ごしています。短い秋の日々のお供に、演劇公演に加えて、お祭りのようなイベントを11月の優先順位高めとしてお届けできればと思っております。よいしょ〜。

テアトロコント special 寸劇の庭
テニスコートに、劇団アンパサンド、そして、近現代不条理集合3人(いい名前…)、最強3組による中・短編上演会!前回の『寸劇の館』(超面白かったです!)とは、またひと味違った公演になりそうですが、今回もたのしみ!

ニッポン放送開局70周年記念公演「138億年未満」
福原充則さんが高校生たちの物語を描くのは、『墓場、女子高生』以来でしょうか?高校時代とその4年後の物語。HPには「酸っぱくて苦い青春」との文字が…。「福原充則×青春」は、そりゃ期待値爆高!個人的には、長編舞台初挑戦の蛙亭・中野さんのお芝居を観るのもたのしみ!

果てとチーク『害悪』
果てとチーク、ついこの間(8月)、公演を打ったばかりなのに、11月にも!そして、2025年1月にも公演を予定しているとのことで…。すごすぎます。ユニット史上最大規模での再々演となる『害悪』、果てとチーク初めにはぴったりなのでは。宣伝ビジュアルもクセになるかわいさ!

Mirai Moriyama & Hitoshi One presents『PARCO文化祭』
秋!文化祭の季節!渋谷のPARCO劇場でも面白そうな文化祭やります。プレゼンターに森山未來さんと大根仁さんを迎えた特別企画!ダンス、話芸・漫才・コント、ライブ、トークとてんこ盛り。ニューヨークさんにダウ90000さんに、神田伯山さん、カネコアヤノさん…。くぅぅ、いい!

溜口スーパーPARCOショー
こちらは池袋PARCOでの素敵な催し!池袋PARCOの55周年を記念して、雑誌「OWARAI NYLON」とコラボして行われる企画。なんと池袋PARCOの屋上でラブレターズ・溜口さんのスーパーショーが観られるです!空に響き渡る溜口スーパーショー、最高!キングオブコント、おめでとうございます!

内村文化祭’24 還暦『内村後夜祭 ~ネタフェス~』
もつひとつ文化祭をご紹介!今回で8回目となる、内村光良のコントライブ『内村文化祭』は、内村さん還暦記念!コント、歌、ダンス、楽器、芝居など、今、やりたいことをすべてやりきる大祭り!後夜祭も合わせて楽しそうです。そしてここにもダウ90000さんのお名前が…!

師走の訪れの前に、すてきな秋の日々を過ごせますように…。

佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。次回出演作品→爍綽とvol.2『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』作・演出:萩田頌豊与(東京にこにこちゃん) @浅草九劇 2025年1月末
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
季節的に秋刀魚を最近よく食べてるのですが、内臓まで食べる人が結構いることに驚愕しました。というか、食べれたんですね内臓。
てなてなことで、11月の優先順位高めな作品はこちら!!

ゴジゲン第19回公演『雲のふち』
こちらゴジゲン2年半ぶりの本公演。ゴジゲンを率いるのは映画『ちょっと思い出しただけ』『くれなずめ』などで監督・脚本も務めた松居大悟さんで、実は演劇での松居さんの作品はまだ観たことがなかったので、今回とても楽しみです。上手く言語化できない、けど心地良いあの見終わった後の余韻にまた浸れるのかな、なんてウキウキしてます。

十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ
11月の歌舞伎座公演。今月は設備工事の関係で元々予定されていた演目から変更しての上演になるのですが、普段見ることのできない歌舞伎座の裏側などを映像で楽しめる企画も用意されているという、歌舞伎をあまり観たことのない方々が魅力を知れるようなラインナップになってます。あと演目の中に、先日木ノ下歌舞伎で題材になった『三人吉三』の大川端庚申塚の場があるので、キノカブファンは是非!

国立能楽堂11月企画公演 箏組歌・箏曲・空蝉
こちら国立能楽堂での下半期注目の企画公演。そもそも今年が源氏年で、あらゆるところで源氏物語に関する企画が行われているのですが、この『空蝉』はその中に登場する、光源氏と一度結ばれながらもその後自省し愛を拒み続けた空蝉の心情を描いた演目で、大正時代に一度廃曲になるも2008年に復曲上演されて以来、2度目の上演になります。これを逃すとまた次いつ観られるのか分かりません!ので是非!!

その他にも、シアタートラムで上演のスペースノットブランク『光の中のアリス』などなど、オススメ公演目白押しです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

今日もケンタッキーで脚本を書こうとして書けない日々です。滑川です。やっと秋らしくなったと思ったら残り2ヶ月で年を越すんですね。年末にかけてまた観たいお芝居が増えそうな予感がすごいので今から計画を練る必要があるかもしれません。では11月の優先順位です。

テアトロコント special 寸劇の庭
ナンセンスがお好きな方はこの並びに痺れたのではないでしょうか。きっとお勧めする人も多いはず。僕も案の定優先順位高めになってしまいました。今こんな公演を実現できるのはテアトロコントしかないのではないでしょうか。現在のナンセンスの最前線が観れるのではと心躍りますね。

ワワフラミンゴ『たずね先』
だいぶ久しぶり(芸術劇場ぶり?)の本公演でとても楽しみにしています。そして役者さんの顔ぶれが楽しみすぎるのは僕だけじゃないはずです。今回鳥山さんワールドが堪能できるのはプーク人形劇場。秋の人形劇場でっていうのもいいですよね。チラシも可愛いです。

入江雅人のグレート二人芝居『演劇部のキャリー』
随分前に野口かおるさんとオクイシュージさんバージョンを観てすごく面白かったのを覚えています。あの脚本のあのお芝居が今度は入江雅人さんと桑原裕子さんのコンビで観られます。現在チケットが完売でキャンセルが出次第予約可能だそうです。気になる方は入江さんのXをチェック。

市川興業「よせばいいのに」
市川しんぺーさんが立ち上げた団体の第1回公演。どんな公演になるのかとても興味しんしん。「よせばいいのに」ってタイトルもこの公演自体のこと言ってるのかなんなのか。第2回があるのかは今回次第とのことなので観に行って是非2回目に繋げて頂きたいという気持ちです。SCOOLで観れるのもとっても嬉しい。

エトエと自己批判ショーの合同コント公演 「コント合衆国」
またしても図々しく自分関係の公演を書かせていただきました。茨城を拠点に活動しているコント集団「自己批判ショー」さんとの合同公演です。ただコントを持ち寄って一緒にやるというシンプルな公演です。「近所でやってる祭りにちょっと行ってみる」くらいの軽い気持ちで遊びに来てください。もとプラネタリウムという変わった場所で行います。

他にも、海ねこ症候群『世迷いファンファーレ』鮭スペアレ『すってんテンペスト』(入場無料だそうです)、プテラノドン『青春にはまだはやい』なども面白そうなので是非チェックしてみてください。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
自称武蔵野市代表コントユニット「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

脚本家・演出家・俳優・野田慈伸の優先順位高め!

11月です。優先順位を高めに設定していたって、だから面白いとは限りません。
ご飯屋さんだってそうじゃないですか?ここ美味しそうだなと思って行った店だって、期待していたほどの味じゃなかったって思う事よくあります。でも期待以上の味だった時、とても嬉しい。演劇やライブの場合、期待以上だった場合、めっちゃ嬉しくなる気がします。そんな期待を込めまして、僭越ですが紹介させてもらいます。

入江雅人のグレート二人芝居『演劇部のキャリー』
桑原裕子さんと入江雅人さんの二人芝居。あらすじには高校演劇部のお話と書いてあります。最近、高校演劇に関わらせてもらっていて、高校演劇は演劇の中でもまたひとつ独自の世界だなと思いました。その題材にも興味が沸くし、何より演劇化け物のお二人の二人芝居、とっても面白そうです。

市川興業「よせばいいのに」
こちらも二人芝居。市川しんぺーさんと青年団の永井秀樹さんが出演されます。
市川しんぺーさんは言わずもがなみんな大好き面白すぎオジサマですが、青年団の永井さんもこれまた滅茶苦茶面白くて、ホントに信じられないくらい凄い演技をされる方で、僕なんかが何かを言える人では全くありません。でも気さくで優しい大阪のおじさん。
しかも、市川しんぺーさんが作演出に初挑戦!されるとのこと。見たすぎます。

プテラノドン『青春にはまだはやい』
作・演出はやみ・あがりシアターの笠浦静花さん。
こちらは見たことない団体なんですが、気になっているので見に行こうと思っています。
瓜生さんとか水野さんとか柿丸さんとか、見たことある面白い人たちがいっぱい出てる!ので選びました。チラシやタイトルからはどうやら学生モノっぽいですが、おじさんやおばさんが学生服来てはしゃぐお芝居って大体寒々しくうつってだだ滑りしているイメージですけどど、そうじゃないものを見たい。面白い人たちがたくさんいるからそうじゃないんじゃないかと思っています。はしゃいでいても面白いかもしれない!楽しみです!

今月は少なめにさせてもらいました。

他には
宮藤官九郎さんのウーマンリブvol.16「主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本」、ノゾエ征爾さんの『ロボット』、あと、やしゃご『アリはフリスクを食べない』の再演、テアトロコント special 寸劇の庭などがあります。

やっと秋らしくなってきて、気づけば冬になり、すぐ来年になり、いつか人は死にます。
死ぬ前に後悔しないよう、ちょっとでも気になったら見に行きましょう!

野田慈伸
脚本家、演出家、俳優。演劇団体『桃尻犬』主宰。
映像作品の脚本やお笑い芸人へのコント演出などいろいろ活動中。
X(旧:Twitter):@naraduke7

脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!

遂に11月。
僕がローソンチケット演劇部に入部して1年が過ぎました。
演劇の良さや、面白さを自分なんかが烏滸がましいと思い、恐る恐る活動した1年でしたが、少しでも皆様の観劇のお手伝いになりましたら、幸とさせていただきます。
来年も宜しくお願い致します。
では、以下11月のおすすめ。

蒸気倶楽部『第一回蒸気展覧会』
日本のラジオ屋代さんのユニットの新作公演、短編集なのか、日本のラジオの短編の際に使用される「〜にて」を冠したタイトルがあり、ワクワクします。
〜にて。って良いですよね。
FFⅩザナルカンドにて。を彷彿とします。

テアトロコントspecial『寸劇の庭』
最高だった寸劇の館。
その2弾なんだから面白いに決まってる。ブルーさん。大好きです。
皆様も是非に。

劇26.25団『振り向け!』
20周年、本当におめでとうございます。面識はまるで無いですが、20年戦い続けられた先輩として尊敬しております。
20年続ける覚悟は俺には無いし、その中で書き続ける覚悟に感服します。

立川がじら『第5回(ほぼ)月例会』
時間が空いていたり、なんか心を埋めたい時、立川がじらの落語を聴いてください。最高です。
僕も11月のおすすめが3団体なのはなんか申し訳なくて、埋めるために入れました。
おすすめの気持ちは本当です。
以上です。

11月は最高の月です。クライマックスに向かう1番ドキドキする気持ちを作ってくれるから。
さあ、今年も残り僅か、楽しみましょう。やー!
コンテキスト メニューあり

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

私としては珍しく月の半分を出張先で過ごしていたらいつの間にか10月が終わっていました。そしてまだ暑いなと思っているうちに秋も終わりかけている気配。

11月の優先順位高め1本目は野村眞人『吉日再会』。利賀演劇人コンクール 2018で優秀演出家賞を受賞した演出家であり庭劇団ペニノや村川拓也作品などに出演する俳優でもある野村眞人による上演+展示『分身と観客』の一環として上演される本作は「精神科訪問看護師として働いてきた男性と、俳優でありその息子でもある親子2名による上演作品」とのこと。演劇を通して現実はどのようにまなざされるのか、ケアと演じることはどう関わるのかなど気になるポイント多し。

2本目はやしゃご『アリはフリスクを食べない』。知的障がい者の兄とともに暮らす弟、周囲の人々の関係とその変化を描いた伊藤毅の第一作にしてやしゃごの代表作がブラッシュアップを経ての再再演。初演から10年を経ての改訂とのことで、繰り返し同じテーマを描き続けてきた伊藤の10年は戯曲と上演にどのような変化をもたらすのだろうか。

3本目は果てとチーク『害悪』。令和元年度北海道戯曲賞最終候補作となった本作はギリシャ悲劇『トロイアの女たち』をベースにした近未来SF。「家父長制を強く内包した戦争の狂気に、翻弄される女性たちの残酷な顛末」を描いたこの作品が早稲田小劇場どらま館での初演、小劇場 楽園での再演を経て、座・高円寺という大きな劇場で再び上演されるのは、それだけ多くの人に届けられるべきものをこの作品が描いているからに他ならない。これまでの公演会場とは桁違いに大きな劇場で果てとチークがどのような変化を見せるのかにも注目。是非いま、多くの人に見てほしい劇団の一つです。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ライター・河野桃子の優先順位高め!

これを書いていていつも思うんですが、毎月1日にこの記事が公開され、他の方の「優先順位高め」の舞台を眺めていると、体がひとつしかないことに絶望しそうになります。自分が何十人もいたらぜんぶ優先順位高めなのに…。
嘆いていても体はひとつ。今月の優先順位高め、なんとか5作に区切りよくしぼりました。

(公演日順)

スペースノットブランク『光の中のアリス』は、松原俊太郎さんの戯曲の4年ぶり再演。芸術監督の推薦するアーティストやカンパニーを招聘する<世田谷パブリックシアター フィーチャード・シアター>に選出されての上演です。世田パブ、手堅いな。

●月蝕歌劇団としては3年ぶりとなる『~幻惑演劇実験集~二千某年のドグラとマグラ』。2018年に代表の高取英さんが急逝されて、あの独自のアングラ世界をどうしていくのだろうと思っていましたが、ついに実験企画として再始動するとのことで、期待と応援の気持ちです。

やしゃご『アリはフリスクを食べない 2024』は再再演。知的障がい者(※字は劇団サイトより)を俳優が演じることが多く、その日常を丁寧で緻密に描き、そしてクオリティ高い作品をつくる劇団。今回、MOMOという劇場サイズと作風がとても合いそうだというのも魅力的です。

ペペペの会+いいへんじ『LifeとWork』は、ひとり芝居2本立て×3グループの上演。生活と仕事について。彼らは20代後半ですがこれは全世代の命題。丁寧に創作する2団体たちのあえての一人芝居からきっと自分の人生をも鑑みられるんじゃないかなと。

ブルーエゴナク『たしかめようのない』。初めてブルーエゴナクに出会ってから9年。リズム良く軽やかで挑戦的な粗さながら地に足のついた作品を創作していたのが、今や、もはや隙のない静謐な空間を創造していて、それは作風が変わったという結果の前に、創作と表現におけるアーティストとしての技術と姿勢が着実に積み重ねられてきたのだと思います。今作だけでなくこの先も期待しています。
劇場の中も外も寒くなりがちな季節です。
良い観劇を。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

お笑いファンにとっては11月こそが『M-1グランプリ』の佳境。12月の準決勝〜決勝はウイニングランです。一方で『キングオブコント』の余韻もあってコントを観たい気持ちが高まる時期でもあります。今月、私が観に行くと決めているコント/演劇公演を3つ、ご紹介します。

鬼ヶ島単独ライブ『47歳の転校生』
ここ数年、目立った活動がほとんどなかったお笑いトリオ、鬼ヶ島。昨年、久しぶりに揃ってユニットコント公演に出演はしたものの、3人のコントを観る機会はぐっと少なくなっていました。最後に彼らがキングオブコント決勝に出たのも、実に11年前のこと。そんな彼らがとうとう再始動。単独ライブ『47歳の転校生』は学園コントを得意とする鬼ヶ島らしいタイトル。47歳(と46歳)になっても、変わらず学園コントをやってくれそうです。転校生のようなありがちな導入から、想像もしていない世界へと連れていってくれるのが鬼ヶ島のコントの醍醐味。たとえば、つのだじろう的な、楳図かずお的なおどろおどろしい感じがあるのに、バカバカしくてつい笑ってしまう。そんな昔から変わらないダークファンタジーテイストに、いまの彼らがやるからこその面白みが加わったコントが観られる予感がします。

テアトロコントspecial『寸劇の庭』
3組のユニットや劇団が集まって中・短編を上演する公演『寸劇の庭』が開催されます。いま小劇場界の話題の中心である劇団アンパサンド。画餅でも活躍する神谷圭介さんが所属する3人組コントユニット、テニスコート。そしてブルー&スカイさん、大堀こういちさん、吉増裕士さんの3人による近現代不条理集合3人。それぞれに独自の面白さを生み出し続けている人たちがこんなに集まるのは、かなり貴重な機会ではないでしょうか。「近現代不条理集合」というユニット名から、不条理の面白さが観られることは確実かと思います。個人的にテニスコートのコントが久しぶりに観られるのもうれしい。アンパサンドは作・演出の安藤奎さん、ナカゴーの川﨑真理子さん、そしてここにもテニスコートの神谷さんがキャストに名を連ねる3人芝居。3人の、ふだんの公演よりも短めの尺のアンパサンド、これは必見と言ってしまっていいのではないでしょうか。

ザ・ギース『20周年コントセレクション』
今年のキングオブコントでラブレターズがキングに輝いたいまこそ、触れずにはいられないのが彼らの直属の先輩であるザ・ギース。シティボーイズが率いる少数精鋭の芸能事務所・ASH&D。そこに所属する若手芸人の中ではいちばんの古株である彼らがとうとう20周年を迎えました。3日間にわたる記念公演では、日替わりでコントを披露。チケットは全日売り切れていますが、シュールと「びっくり」が共存する彼らのベストコントをまとめて観られる機会。配信を切望しています!

11月は、演劇人によるコントが豊作です。ウーマンリブvol.16「主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本」はこのメンツをザ・スズナリで! という驚きがあります。エトエと自己批判ショーの合同コント公演 「コント合衆国」も気になります。演劇では、シベリア少女鉄道クラシックアーカイブス『君がくれたラブストーリー2024』も楽しみ。シベ少には、再演で観たい作品がいくつもあります。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

今年もあと2か月なんて、早すぎますね~!素晴らしい舞台に元気をもらって2024年を乗り切りましょう♪まずは、ミュージカル好きとしておススメの3作品です。

Theatre Polyphonic 第7回公演ミュージカル『翼の創世記』 Genesis of Wings
ギリシャ悲劇、ストレートプレイ、ミュージカル、2.5次元、幅広く作品を作り出している演劇界のヒットメーカー石丸さち子氏の新作オリジナル脚本のミュージカル。描くのは、世界初の有人動力飛行を叶えたライト兄弟とその妹キャサリンの人生。空に憧れた兄弟の喜びと悲痛な運命を三人芝居で観せます。客席100規模の劇場で、石丸演出の濃密な世界を堪能できそうです。

ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』
2009年にブロードウェイで初演され、日本公演は2019年、2021年に続く3度目の上演。人気短編小説家のトーマスが、幼なじみのアルヴィンの突然の死に際し、弔辞を読むために故郷へと帰ってくるところから始まります。110分間で紡がれる“ふたり”追憶の旅を巡るストーリー。美しい俳優たちの美しい歌声も魅力です。今回は、アルヴィン役・太田基裕さん×トーマス役・牧島輝さん、アルヴィン役・山崎大輝さん×トーマス役・小野塚勇人さんの2ペアで上演されます。脚本、音楽、演出が同じでも、演じる俳優によって空気感が変わるので、できれば両方観たいところ。

ミュージカル『SONGWRITERS』
作詞家・森雪之丞氏の脚本&作詞&音楽プロデュース、俳優・岸谷五朗氏の演出によるオリジナルミュージカル。2013年に初演され、2015年に再演されて以来10年ぶりの復活公演です。舞台は1976年のアメリカ。自作のミュージカルがブロードウェイで上演され成功することを夢見る、自信過剰な作詞家のエディ・レイク(屋良朝幸)と、気弱な作曲家のピーター・フォックス(中川晃教)の幼なじみ二人を中心に展開する物語。岸谷演出による華やかな歌、ダンス、芝居とコメディセンスが詰まった傑作を今度こそ見逃しません!

ガラッと変わって、注目のストレートプレイ。

『そのいのち』
俳優・佐藤二郎氏が12年ぶりに書き下ろした新作戯曲。主演が宮沢りえさんということでも話題です。宮沢さん演じる介護ヘルパーの山田里見と、彼女の雇い主で障がいを持った相馬花とその夫・和清の穏やかな日々。あることをきっかけにその穏やかな関係が徐々に狂い始めていく。その先にあった驚愕の秘密…、「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」が描かれる。宮沢りえさんが「そそられます」と共鳴した物語、観てみたくなりますよね。

そして、今月のおススメ2.5次元舞台は、この3作品です!

舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズ Part2
魔法使いと心を繋ぐ育成ゲーム『魔法使いの約束』の舞台化作品、舞台『魔法使いの約束』の新作です。〈大いなる厄災〉と戦う21人の“賢者の魔法使い”たちのビジュアルがとにかく美しい。乙女の気持ちになれる舞台です。

『アオペラ -aoppella!?- 1st Playlist ~音和と奏ヶ坂の合同学園祭でーすよ♪~』
2021年3月にスタートした、「青春」×「アカペラ」というコンセプトで声優陣による本格的なアカペラ歌唱を楽しめる音楽原作プロジェクト「アオペラ -aoppella!?-」の初舞台化作品。アカペラに懸ける高校生たちのキラキラした青春ストーリー&生のアカペラを存分に楽しめます。

ミュージカル「NO.6」
あさのあつこ原作の近未来SF、ディストピア小説『NO.6』を初ミュージカル化。漫画化やアニメ化もされている人気作品です。人類が化学の粋を集めて作り上げた理想都市“NO.6”の高級住宅街・クロノスで暮らす優秀な少年・紫苑と、矯正施設から脱走してきた謎の少年・ネズミが偶然出会うところから物語が始まる。舞台版では、紫苑 役・今牧輝琉さんとネズミ役・古田一紀さんのW主演で上演されます。グランド・ミュージカルへの出演歴も豊富な入絵加奈子さん、吉野圭吾さんが脇を固める本格派のミュージカルを期待できそう。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

今月は3本のオリジナルミュージカル、『Bye Bye My Last Cut』『You know Me あなたとの旅』Theatre Polyphonic 第7回公演ミュージカル『翼の創世記』 Genesis of Wingsを楽しみにしています。

『Bye Bye My Last Cut』は、上田一豪さんが作・演出を、小澤時史さんが作曲を手掛けます。『You know Me あなたとの旅』は、高橋亜子さんが脚本を、福井小百合さんが音楽を、横山清崇さんが演出を手掛けます。Theatre Polyphonic 第7回公演ミュージカル『翼の創世記』 Genesis of Wingsは、石丸さち子さんが企画・脚本・作詞・演出を、森大輔さんが作曲・音楽監督・演奏を手掛けます。

いずれもグランドミュージカルの第一線で活躍するクリエイターの皆さんが、ご自身で生み出される、初演となるミュージカルたちで、上演劇場の座席数を調べてみると、301席、123席、105席と小劇場での上演です。日々商業作品を手がけ、きっとお忙しいスケジュールながらも、ご自身から生まれるものを作り続けていらっしゃることにリスペクトします。それぞれから、どんな作品が生まれてくるのか楽しみです。キャストの皆さんも、実力のある、様々な作品に出演されている、魅力的な皆さんが参加されています。普段大劇場で活躍されている方々を、近くで拝見できるのも、小劇場の醍醐味のひとつ。色々と楽しみに劇場を訪れたいと思います。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

11月ですね。今年もあと2ヶ月。早いね。驚いちゃう。
さて、そんな11月の優先順位高めな作品はこちら。

ますばやっぱり、テアトロコントspecial『寸劇の庭』。あの(どの?)『寸劇の館』から10ヶ月、「寸劇の」シリーズの新作が登場です。(そんなシリーズがあるかは不明です…)
今回の『庭』は3本のオムニバス作品。『館』でいうところのタイタニックスキームがない模様ですが、見逃せない3本になります。
まずは、近現代不条理集合3人。ブルーさんの作で大堀さんの演出で、ブルーさんと吉増さんが、ですよ。この笑いが保証された安心感たるや。そして、『館』に続き、テニスコートも寸劇のシリーズには欠かせない存在。ここで安心感が増しますね。3組目は劇団アンパサンド!これは楽しみ!出演者も、テニスコート/画餅の神谷さんにナカゴー川崎さん!これはみなさん、チケット早めに押さえた方がいいですよ。爆推しです。

というわけで、今回は1本集中で…と思ったのですが、どうしても観て欲しいのが、明日のアー本公演vol.10『整理と整頓と』。連載でも書かれている大北さんが考えるユーモアとは?を舞台で堪能できますよ!3日まで。ぜひに。以上、「今月の優先順位高めです」でした。