©「錆色のアーマ」プロジェクト
“逆2.5次元”「錆色のアーマ」外伝がついに上演!
20年6月に上演予定であった「錆色のアーマ」外伝 -碧空の梟-(あおのふくろう) が、10カ月の時を経て上演される。17年に舞台第一弾、19年に第二弾、そして今作・第三弾が上演される“逆2.5次元”ともいうべきプロジェクトで、舞台を原作として、コミカライズもされてきた。第一弾から出演してきた荒木健太朗は本シリーズにさまざまな魅力を感じているという。
荒木「舞台が原作のはずなのに、台本を読むとまるで原作があるみたいなんです。舞台で描かれるストーリー以外のエピソードがすでに存在しているように描かれていて。だから稽古場では『これはどういうことなんだろう?』とみんなで話しながらシーンをつくりあげていきました。さらに幕が開けたら、お客様もいろんな考察をしてくださっていて、それを知るのも楽しかったです」
その3作目となるこの「外伝」で描かれるのは、本編の主人公のひとり・孫一(まごいち)が属する集団「雑賀衆(さいかしゅう)」のサブストーリー。荒木が演じるのは、その雑賀衆の一人・鶴首(つるくび)。不治の病を抱えながら影で孫一を支える存在だ。
荒木「鶴首って謎が多いんですよ。第一弾で“梟”という暗殺集団にいた過去が明かされたのですが、第二弾で、その前は陰陽師だったという事実も発覚した。俺は一体何者?って(笑)。今作では、鶴首が“梟”にいたときのエピソードが明らかになりそうなので楽しみです」
続けて「今回もお客さんに言われるんだろうな~」と愛おしそうに語ったのが、鶴首の体当たりぶり。
荒木「きっと『今回の鶴首さんはどんな風に命懸けになるんだろう』と言ってもらえるんじゃないかな。大雑把に言うと、鶴首って毎回死にかける人なんです(笑)。誰よりも最前線にいて、身体を張って、みんなを守っている。雑賀衆のリーダーになってもいい人間だと思われていたのですが、鶴首自身は孫一という人間をお頭としてしっかり認めていて、孫一が天下一になりたいという夢を叶えるために鶴首は命を張ってるんだと思います」
登場人物それぞれが自らの信じるもののために戦うシーンが多く描かれる本作で、荒木が「裏の主役」と話すのが“アーマ”つまり武器。登場人物たちは、まるで漫画のような魅力的な武器を持っている。
荒木「鶴首のアーマは、ライフルがベースになっています。ライフルって演劇じゃなかなか出てこないんですよ。距離が必要な武器だから、舞台のサイズではあまり使われないんですね。そういうものを思いっきり使った、つまり他ではあまり見ないようなアクションも面白さのひとつだと思います。そういう、武器も含めた“殺陣”が一人ひとりのキャラクターを象徴していて、それがこの作品の魅力のひとつになっているのだと思います」
シリーズのことも、役のことも、愛着を持って話す姿が印象的だった荒木。最後に、このコロナ禍で上演することをこんな風に語ってくれた。
荒木「上演は決まりましたが、この1年を過ごした今はもう『絶対はない』ということを僕たちは知っています。それでも開幕を待ってくれるお客様がいて、いろんな方が大変な思いをして動いてくれてこの舞台ができる。だから僕らはしっかり備えをして、前向きに、一日一日を一生懸命やるしかないと思っています」
インタビュー・文/中川實穗
※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載
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【プロフィール】
荒木健太朗
■アラキ ケンタロウ ’82年生まれ。’04年に舞台デビュー後、ミュージカル『刀剣乱舞』をはじめ、数多くの舞台に出演している。