舞台「かげきしょうじょ!!」|青山なぎさ インタビュー

斉木久美子原作の漫画『かげきしょうじょ!!』(白泉社『メロディ』連載)。2021年にアニメ化もされた人気作の初舞台化が決定。未婚の女性だけで作り上げる美しく華やかな舞台で人々を魅力する「紅華歌劇団」のスターを目指し、その人材育成の「紅華歌劇音楽学校」で輝く舞台へ情熱をそそぐ歌劇少女たちの青春スポ根ストーリーで、多くのファンの心を掴んでいる本作がどんな舞台になるのか期待が高まる。原作でも人気の「紅華歌劇音楽学校」本科生・野島聖役を演じる声優・青山なぎささんに、作品の魅力や舞台初挑戦の心境などを聞いた。

――10月に舞台「かげきしょうじょ!!」で舞台に初挑戦されます。出演が決まったときの心境からうかがえますか?

まさか、こんなに早く舞台をやらせていただけるとは思っていなくて…。私は声優としてデビューしましたが、そもそもの芸能界を目指そうと思ったきっかけは、舞台女優になりたいという夢だったんです。その夢を持ってこの業界に飛び込んで、ミスコンなどいろいろ挑戦していく中で、応援してくださる方から声優に向いているんじゃないかとアドバイスをいただいて。2020年に『ラブライブ!スーパースター!!』のオーディションを受けてありがたいことに合格して、声優をやらせていただいていただくことになったんです。声優として頑張りたいという気持ちが今は強いのですが、心の中には舞台の上で輝きたいという思いもあったので、この作品に携われるって聞いた瞬間は本当に嬉しくて“いいんですか?”って思いました。

――そうなんですね。舞台女優を目指されたきっかけは?

きっかけは大学生になってからのことです。私が中学生の頃に、母が「たぶんミュージカルが合っているんじゃないか」と言ってくれていたのですが、その頃の私は演劇というものに興味がなくて。小さい頃からクラシックバレエをやっていたので、歌はいいかなって思っていたんですけど、だんだん歳を重ねていくにつれて歌がすごく好きになっていって、歌と踊り両方ができるものって考えたときにミュージカルだと。そんな時期に入学した中央大学で劇団The座というミュージカルサークルを見つけて入部したら、もうハマってしまって。バイト代を貯めて、ほぼ毎週のようにミュージカルを観に行っていましたね。大学生活の中で一番お金を使ったのは、ミュージカルのチケット代でした(笑)。それをきっかけに“やっぱり私は就職するんじゃなくて、歌とか声で自分を表現する道に進みたい”と一気に方向転換することを決めました。

――ミュージカルサークルでは、舞台にも立たれたんですか?

はい。自主公演のような感じで、本当にちっちゃい劇場を借りてやったりとかはしていました。

――原作漫画もアニメも人気の『かげきしょうじょ!!』ですが、物語のどんなところに魅力を感じますか?

やっぱり私も舞台系のお仕事を目指していたってこともあるので、音楽学校の生徒たちがみんなライバルで主役をつかむのはひとりしかいないっていう状況の中、お互いが本当は蹴落としたい気持ちもあるのに相手のために一声かけてあげたりとか、自分だけじゃなくて周りのことも考えながら成長していく姿が見られるのがこの物語の面白いところかなと思っていて。それは私自身が経験してきたことでもあるので、“わかる!その気持ち~”っていうのが大きくて。年齢も性格も境遇もモチベーションもさまざまでも、みんなで夢を求めて上を目指して行こうって頑張っている彼女たちに背中を押されるような作品だなと思います。共感しかないですし、私もこの作品を見てもっと頑張ろうっていうモチベーションになっています。

――今回演じるのは、主人公の渡辺さらさや奈良田愛の先輩で、原作でも非常に人気の高いキャラクターの本科生・野島聖役。聖にはどんな印象を持っていますか?

ふわっとしていて愛らしくて娘役にぴったりな外見なのに、腹黒いところがけっこうあって(笑)、そのギャップがいいんだろうなって。どストレートにものを言う子なので周りに敵は多いんですけど、間違ったことは言っていないのと実力があるので、他の生徒たちから演技や歌の面では尊敬されて慕われる先輩で居続けてられる。演じるのが難しいなと思いましたね。私もすごく好きなキャラクターで、カッコイイなって思う部分もあるし、それ言い過ぎじゃないってところもあって、いろいろな感情がある子なので、いざ舞台で自分が聖役として出るってなったら、相当冷静に周りを見ないといけないなと思っていて。あとは感情を表に出し過ぎないとか…、舞台初挑戦なので、それをどこまでチャレンジできるかっていうのが課題かなと。原作になるべく寄り添っていきたいと思っています。

――聖のどんなところが好きですか?

原作漫画で、文化祭で第100期予科生たちがパフォーマンスするときに、主人公のさらさが急遽行けなくなるっていうところがあるんですけど、そのときに聖が「早く帰れば」みたいなけっこう冷たい言葉をかけて、みんなからは「それ酷くない?」って空気になるんですけど。それは実は、さらさのおじいちゃんが倒れてしまったらから、今すぐ帰ったほうがいいよって優しさで言ってるんですけど、それが言葉でうまく表現できないというか。そういう不器用さも可愛いなって思います。ほんとはいい子なのにって(笑)。

――青山さんと聖の共通点はありますか?

共通点…、自分のことをあまり人に言わないところですかね。周りに心配をかけたくないというか、彼女ほどではないですけど、悩みとかがあってもわりと自分の中で解決しようとするほうだと思います。

――聖は予科生の奈良田愛の指導担当。本科生と予科生とのやりとりも注目ポイントだと思いますが、そこはどんな風に演じたいと考えていますか?

特に愛ちゃんは元国民的アイドルグループのメンバーで独特なキャラクターなので、本科生としてしっかり構えていないと押されちゃうのかなっていうのがあるので、役作りはしっかりしていきたいなと思っています。

――役作りでアニメの野島聖は意識しますか?

これは迷っていて。2.5次元舞台が初めてで、そもそも舞台経験がないので、そこは演出家さんや他のキャストの方々と話し合いながら、稽古で固めていきたいと思います。

――舞台初挑戦で楽しみなことは?

今回の舞台は歌うシーンもあるので、歌があるっていうのを聞いて“え!ほんとに?”って思って。もう、私にとってはミュージカルと一緒じゃないって(笑)。演技だけじゃなくて歌にも挑戦させていただけるのは嬉しいです。あとは、共演させていただくキャストの皆さんと稽古が出来ることが本当に楽しみで。皆さんから沢山学んでどこまで自分のものにできるかっていうのがすごく楽しみですね。

――逆に不安なことはありますか?

やっぱり初挑戦なので、稽古がどんな感じに進んでいくのかもわからないですし、本番の幕が開くまでどんなペースでどのくらいの練習時間で進んでいくのか何もわからないですし。その今から何が起こるんだろう?っていうのが想像できないことがちょっと不安ですね。

――キラキラとした舞台俳優を目指す歌劇少女たちの青春スポ根ストーリーを描く舞台「かげきしょうじょ!!」。青山さんが注目してほしいところは?

スポ根ストーリーってまさにその通りだなと思っていて。お互いで切磋琢磨しながら、絶対負けないぞっていう強い意志をもって成長していく彼女たちなので。ぜひその姿を皆さんに観ていただきたいです。それで “あ!明日から自分も頑張ろうかな”って思ってもらえるような作品にしたいなと思っています。

――最後に舞台を楽しみにしている方へ、意気込みと熱いメッセージをお願いいたします!

初めて舞台に挑戦させていただくということで、至らないところばかりなんですけれども、必死に稽古をして皆さんに追いつけるように頑張りたいです。私が演じる野島聖は、他の生徒よりもかなり強烈なキャラクターといいますか、ちょっとイラっとしてしまうような言動も多い子なんですけど、それを是非とも皆様に感じていただけるような役作りをしたいなと思っています(笑)。それだけじゃなくて、その裏には聖の本当の内面的な部分が隠されているというのもわかっていただける演技をしたいです。この舞台をきっかけに、原作漫画やアニメも見てみようかなと思ってもらえたら嬉しいですし、いろんなところから「かげきしょうじょ!!」を楽しんでいただければなと思います。

インタビュー・文/井ノ口裕子