コンドルズ福岡公演迫る☆メンバー直撃!勝山康晴&ぎたろー インタビュー☆

↑ 思い出の場所である福岡・イムズホール入口にて  写真左:ぎたろー(新人)  写真右:勝山康晴

 

近藤良平を筆頭に、男性のみが学ラン姿で、ダンス×生演奏×人形劇×パフォーマンス×映像×コントと、あらゆるジャンルで観客を楽しませてくれるダンス集団「コンドルズ」。

今年結成25周年を迎える彼らも、昨年はコロナ感染拡大の影響を受け、各地での公演が中止となっていたが、今月21日には2年ぶりに福岡イムズホールに帰ってくる!

このイムズホールでの開催、去年は中止になったとはいえ実に20年にも及び開催されており、福岡でのお馴染みの公演場所、コンドルズも福岡のファンも慣れ親しんできた場所だ。そんなイムズホールが入る福岡市内の天神にある商業施設イムズが、今年30年目を迎えて8月末で閉館となる。そのため、コンドルズのイムズホールでの開催も今回で最後。

そんな話を聞きつけ、ローチケ演劇部では、公演を間近にキャンペーンで福岡を訪れていたコンドルズのメンバーでプロデューサーも務める勝山康晴 氏と福岡出身のメンバー、ぎたろー(新人)氏の二人を直撃!昨年の緊急事態宣言下での自粛期間中の過ごし方からイムズホールへの思いを、イムズホールの控室で聞いた。

 

――去年は数々の公演が中止になり、自宅で過ごされていたかと思いますが、自粛期間中はどう過ごされていたんでしょうか?

勝山「とにかく動画を作っていました!去年、埼玉公演が中止になった時に、動画作品を作ってくれないかと言われたのがきっかけでした。今までやったことなかったけど、じゃあやってみるか!という話になったんです。それで、メンバー各自が自宅なんかで自分のスマホで動画を撮影して、締切を決めてそれを自分に送ってもらって編集をして。大変だったというか、あまりにも新鮮な作業だったんですよ。オクダさんというメンバーが編集とかするんですけど、いつもすぐに怒るから(笑)、オクダさんを怒らせる前に俺がめちゃくちゃ厳しく締切を出して集めたりして。でも、つたないなりにも満足いく30分の動画が出来上がったんですよね。意外に評判も良くて。それをきっかけに動画やってみるかという話になって、6月1日から毎日、メンバーの一人がTwitterで2分程度の動画作品をあげていくという企画をやり始めたんですが、それが100日以上続いています。それで俺が、『締切はいついつだろ!』と、めちゃくちゃ怒るというね(笑)」

 

――誰が一番締切を守らないんですか?(笑)

勝山「俺も一番守らない(笑)。ギリギリまで作業出来るから。拓郎なんかはきちんとしてますねぇ。こんなおもしろいものをよく家で作れたな~と思うほど、すごくレベルの高いものを作ってますよ。この2分の動画は、各自で内容も考えて、編集も出来る限り自分でやってねっということで、どうしても自分で出来ない人は友達に頼んだりしてもらいながら、各自が編集ソフトを使って作り上げたんです。みんな最初はテロップ入れるのも下手くそだったのが、段々とうまくなっちゃって(笑)。メンバーに光二郎さんってハゲのおじいちゃんがいるんですけど(笑)、『わしはもう…やらなくてもいい?』とか言ってきたから『ダメですやってください!』ってやってもらって。でも、結局は使えるようになってましたもんねえ。この各自での動画作成は新鮮な取り組みでしたね。意外とみんな『あいつのあれがよくなかったな~』とか言い合って(笑)、おもしろかったです」

 

――皆さんいろんなスキルが上がったって感じですね(笑)

勝山「今回、コロナの影響で公演が中止になって、みんなが監督になって動画を作ってみたことで、ポジティブに考えれば(笑)、各自のスキルアップにつながりましたね。自分たちの何か変わったのかな~?…あっ、皆で集まって作るのってやっぱり楽しいわ~って、改めて思えたかな。埼玉公演の時は新作を作ったんですけど、練習時間も感染対策の決まりがあって夜の8時には帰るように決めているから練習時間は通常の半分ですよね。それはもう、メンバーの集中力はすごく高かったです」

 

――こういう状況にならないと経験できないことが多かったようで!

勝山「これだけインターネットやSNSが流行っているのは分かっているけど、ベテラン組は『俺たち年だしなぁ』って言って避けて通ろうとしてきたけど、結果、引きずり込まれましたよね(笑)。やり方を学べました。それと同時に身に染みて感じたのは、ユーチューバーってすごいや!ってことですね(笑)。ルールとフォーマットをちゃんと勉強しないと、安直にあの中に入ったところで勝ち目はないってことが分かりました。それも大事なことです。でも、やってよかったですね」

 

――今回の福岡・イムズホールでの作品『GET  BACK』は新作ではないんですか?

勝山「今回、コンドルズが25周年で、イムズが無くなるということで、20年間一緒にやってきた場所ですから、集大成をやりたいという思いがあって、一番評判が良かった作品を選びました」

 

――20年間同じ劇場で公演をし続けるというのは他でもありますか?

勝山「いや、夢のようですよ。全国で僕らが一番長くやっているのがこの福岡のイムズ、イムズホールなんです。他は劇場がつぶれちゃったりとかしたし。だからイムズ、イムズホールは僕らのホームグラウンドでもあり、一番勝手知ったる劇場なんですよね」

――では、それだけに思い出もたくさん?

勝山「それが・・・、昨日からキャンペーンで来て、いろんな媒体で思い出話をさせてもらっているんで・・・まだまだあふれるようにあるんですよねぇ(笑)。でも、一番言っておきたいことは、イムズはとても協力的だったということ。通常ですと予算のこともあって地方公演での仕込みって1日しか貸してもらえないのを、ここは1日多く貸してくれていたんです。これって舞台人にとってはすごく大きなことで、準備が2回出来るんです。しかしそうなると、我々の仕上がりが8割くらいの状態で来ちゃって(笑)、残りの2割のブラッシュアップをロビーとか楽屋で完成させるって感じ。朝から晩までギリギリで初日を迎えるって感じの作り方をやらしてもらえる場でした。小道具なんか全部ここで作ってました。そのあとのツアーに小道具を回してたりとか。(福岡市)天神にあったショッパーズ(商業施設) に材料を買いに行ってたよな?」

 

ぎたろー「そうなんですよねぇ。劇場入りしたらまず若手がショッパーズに行って、小道具を買いそろえて戻ってきて…と、毎年やっていましたね」

 

勝山「イメージとしては、学園祭ですね。学園祭の一番楽しいところって、学園祭前日だったりするじゃないですか。我々にとってここイムズホールは常に学園祭みたいで、最高の時間を過ごしてこれました。イムズホールを初日にすることが多かったんですが、照明や音響とかいろんなものを試させてもらっていましたね。お客さんの反応はどうだろう?というのも様子を見たりして。。イムズでウケなかった場面は、他の地ではカットしてましたもんね。だから、イムズのスタッフとイムズホールに観に来てくれていたお客さんたちが、僕らの作品のクリエーションに参加してくれていたんですよね。それが全国ツアーに回っていたんです。だから、本当に思い出深い大事な場所です」

 

――ぎたろーさんは、福岡出身ですから、さらに思い出もあるのでは?

ぎたろー「イムズは、僕が女性とのデートで初めてお金を払った場所です(笑)。ピエトロでご飯を食べた時に僕が払って。自腹で芝居を観たのもイムズホールで、97年に東京の劇団だったと思いますが、かっこいい個性的な俳優さんがいたんですけど、すごく滑舌が悪いから(笑)、『これなら俺も役者やれるかもしれない!』って勘違いしたんですよね(笑)。あと、コンドルズを大学生の時に初めて見たのもイムズホールでした。『この人たちが踊れるなら俺も踊れるかもしれない!』なんて思ったり(笑)。あとは、東京へ行ってサラリーマンをやっていたんですが、それを辞めてコンドルズに入れてもらったんですが、コンドルズに入って初めての公演がイムズホールだったんです。だから、いろんな意味で自分の人生の転機になるきっかけが、このイムズ・イムズホールに詰まっていたなと。僕を‟おとな“にしてくれた場所だなって思います(笑)。だから無くなると思うと寂しいですね」

 

――ほんとに、いろいろな思い出がありますねぇ…

勝山「実は、僕の妻との出会いがイムズホールだったんです。彼女は当時東京の女子大生だったんですが、福岡出身で帰省していたんです。ダンスをしていたから、その繋がりからその時に物販の手伝いに来ていたんです。僕はその時知らなかったんですけど、帰ろうとしていてふと物販のところを見たら何かが光っていて、そしたら物販出していたロビーの角(下記写真左)に妻が立っていたんですよ。それで、「手伝ってくれたんですか?」って話しかけて、『それなら打ち上げに来てくださいよ!』って誘って話しをしたのがきっかけだったんです。でも、検証してみたところ・・・あの場所は照明が当たる位置だったから、それで光っていただけなのかな?と(笑)」

 

ぎたろー「そこに立っていたっていうこと自体、運命ですよ~!(笑)」

 

勝山「実は…、もう1つ思い出があって。(妻と出会った)その場所から2mくらい離れたベンチの角のところ(上記写真右)で、福岡に来られていたつかこうへい先生にご挨拶させて頂いたという思い出もあるです。僕は大学生の時に演劇をしていたんですが、当時からつかこうへい先生をすごく尊敬していて大好きで、当時は先生によるオーディションも受けたほど。最終まで残って一番に落とされましたけどね(笑)。そのベンチに腰掛けていらっしゃる先生に挨拶させてもらえたんです。先生が病気でもう痩せ細ってしまっていた頃で、背中を丸めて座っていらしたんです。オーディションに落ちた話をしたら、「そうか…悪かったねぇ。君には頑張って欲しい」って言われたんですが、その後は嬉しすぎて号泣ですよね。そんな思い出の場所がこのイムズホールのロビーでは思い出として残っています。わずか2mの間に勝山パワースポットがあるんですよねぇ(笑)」

 

ぎたろー「さっき、勝山さんその場所で結構写真撮りましたよね(笑)」

 

勝山「とにかくここの場所は自分らにとっては学校のようで、楽屋裏側に行っても思い出がぽろぽろとあふれ出て来るんですよねぇ。高校がつぶれるより、ここがつぶれることの方がさみしいですからね(笑)」

 

ーーでは、公演に話を戻しますが、今回の見どころは?

勝山「集大成であることは確実で、どこを切り取ってもおもしろい作品です。初めて見た方も楽しめますし、今まで応援してくれた方たちには『20年この場所で公演を続けてこられたのも、あなたたちのおかげなんだよ』という感謝の気持ちを込めています。公演のタイトル『GET BACK』はビートルズが解散する直前に出した曲のタイトルなんです。ビートルズがバラバラになっていた時期にポールが『もう一度俺たち一緒にやろうよ!』っていう意味合いも込めて、『戻ろうぜ』という意味のタイトルなんですよね。現状、コロナのワクチンやら東京五輪の話でなんとなく人々がギスギスした感じが東京では特に感じるんです。だから『俺たち今はバラバラだけど3年前は俺たちもう少しうまくやれてなかったかな?ひとつになる必要はないし、同じような世界には戻らないかもしれないけど、お互いを気遣いあえていたじゃん?そういうところを思い出さない?』という、少し祈りにも似たようなイメージでこのタイトルを選びました。あとは単純に『イムズ戻ってきてくれ』という願いもあるかな(笑)」

 

ーー最後に、イムズホール最後の公演へかける意気込みも聞かせてください。

ぎたろー「僕はイムズに大人にしてもらった…後押ししてもらったという思いがあるので、見に来てくれたお客さんがコロナでめげていたりするなら、この公演を見てもらってスカッとしてもらえたらなと思っています」

 

勝山「イムズ公演は今回で終わりにはなるけど、福岡公演は来年も続けていくし、コロナ禍の生活で何か止まってしまった皆さんの新しいページの始まりになるような公演に出来たらいいなと思っています。来年くらいには少しは光が見えてくるだろうし。あとは、どんな卑怯な手を使ってでも、感動させてみせますよ(笑)。舞台って素敵ねって思ってもらえるようにしますので、安心して観に来てください」

 

21日に公演が迫ったコンドルズの福岡・イムズホール公演。メンバーにもファンにとっても、思い出がたくさん詰まった福岡・イムズホールでの最後のパフォーマンスをしっかりと目に焼き付けておきたい。

 

取材・文=ローチケ演劇部(シ)