舞台『K』といえば、緻密に織り上げられた原作のストーリーや魅力的な登場人物たちを忠実に再現し、2.5次元作品のなかでも高い評価を得ているシリーズだ。そんなシリーズ中の人気キャラクター、八田美咲と伏見猿比古の物語をフィーチャーした「K -Lost Small World-」が東京・京都で上演決定! 元は親友同士にもかかわらず、初演、第二章では敵対するクラン(《王》を筆頭とする組織)の一員として火花を散らしていた八田と伏見。ふたりはどのようにして出会い、なぜ別々の道を歩むことになったのか。前作から続投の八田役・植田圭輔、伏見役・安西慎太郎に話を聞いた。
過去に舞台「戦国無双」~関ヶ原の章~でも共演しているふたりだが、そのタッグがより強いものになったのはシリーズ前作舞台『K』第二章-AROUSAL OF KING-だったという。初演で伏見を演じたのは、2.5次元作品を中心に高い人気を誇る鈴木拡樹。役を引き継ぐにあたり、安西は当然プレッシャーを感じていたそうだが……。
安西「初演で(鈴木)拡樹さんが演じているのを観て『このクオリティーの高さ……マジか!』と思っていたんですよ。だから伏見役に決まり、不安も感じていたときに植ちゃんに連絡したら『いや、しんた(安西)はしんただし、比べる必要はないんだから。伏見猿比古っていうキャラクターのなかで、しんたの伏見をやればいいんだよ』って言われて、そのひと言でだいぶ肩の荷が下りました。今でもプレッシャーがないわけではないですけど、僕は僕の芝居を、という意識に変わりましたね」
植田「僕はしんたなりの伏見の役作りをいちばん近くで観ていて、稽古最終日の段階で『しんたの伏見が受け入れられないわけがない』と思っていたんですよ。宮野真守さんが声で命を吹き込んだアニメの伏見がいて、初演の拡樹くんが人間として演じた伏見がいて、そのふたりともまた別の、安西慎太郎にしかできない伏見がちゃんと生きてましたから。実際に舞台に立ったときのお客さんの反応を見ても『よし!』って思いましたし」
そんなふたりにとっても念願だったという、今回の舞台『K -Lost Small World-』上演。演出の末満健一は先ごろ上演された舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺なども手がける話題の演劇人のひとりだが、安西が「モノに頼らない、僕らの想像の限界を超えるような表現を提案される方」と語るとおり、燃え盛る炎をフラッグで表現するといった手法がかなりユニークだ。
安西「今回も〝何かが起きる”んですかね? 前作・前々作でも役者が自動販売機やゲートを演じたりしたんですが、そういう演出を今回も作品のなかで効果的に使ってくるんじゃないかと」
植田「どんなふうに形になるのか楽しみなシーンがほかにもたくさんあるんですが、伏見と大貝阿耶と3人で自転車に乗る場面があるんですが、あれをどう再現するのかなって」
八田と伏見の中学時代を中心に描かれる今作。青春を感じさせるような甘酸っぱいシーンもあり、ミステリアスな世界観が炸裂する初演や第二章とはかなり違ったニュアンスを持っている。
安西「八田と伏見の若いころを演じるとはいえ、軸になるのはふたりの気持ちの部分だと思うんですよ。ふたりが出会ってから離れてしまうまでに何があって、どういう関係になってしまったのか。それを繊細に、丁寧に演じていかないとその後のストーリーへと話がつながっていかないし、お客さんも受け入れてくれないだろうなって思うので。物語の色んな側面を考えながら取り組まないといけないなと思います」
植田「原作を読むと、伏見や八田というキャラクターがなぜ愛されているかが分かるんですよね。大人目線で観ると恥ずかしかったりバカバカしいものなんですけど、中学生だからこそ掲げられる、ふたりだけの目標みたいなものを持っていたりして。今作の物語がテレビアニメの第一期につながっていくんですけど、そこでのふたりの関係性を説明するというよりも、中学時代のふたりを僕らが真摯に演じることで、おのずと世界観がつながっていくものになったらいいなと思います。だから僕らはこの作品でも『K』のキャラクターとして一生懸命がむしゃらに、思ったことを声を大にしていければって」
インタビュー・文/古知屋ジュン
構成/月刊ローソンチケット編集部 7月15日号より転載
【プロフィール】
植田圭輔
■ウエダ ケイスケ ’89年、大阪府出身。舞台『弱虫ペダル』、舞台「戦国無双」、舞台「ノラガミ」など、舞台を中心に数々の人気作に出演している。9月には舞台「インフェルノ」にリッカ役で主演。
安西慎太郎
■アンザイ シンタロウ ’93年、神奈川県出身。’13年にミュージカル『テニスの王子様』に出演し、人気を博す。今後8月に「喜びの歌」(東京)、9~10月には舞台「幽霊」(東京・兵庫)が控える。
【公演情報】
舞台『K -Lost Small World-』
日程・会場:
2016/7/22[金]~24[日] 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
2016/7/30[土]・31[日] 京都劇場
★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!