チャールズ・ディケンズの長編小説「オリバー・ツイスト」を原作とした大作ミュージカル『オリバー!』が、約30年ぶりに新演出版で上演される。『メリー・ポピンズ』『レ・ミゼラブル』のプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュ率いるクリエイティブチームが手掛ける本作に、市村正親、武田真治、濱田めぐみ、ソニンら実力派俳優が集結。そして主人公のオリバーには、それぞれの魅力が煌めく4名のキャストが登板する。
オーディションを勝ち抜き、見事オリバー役を射止めたエバンズ隼仁、越永健太郎、小林佑玖、高畑遼大に出演への意気込みなどを聞いた。
――オーディションの時に印象に残った出来事、そして受かったときのお気持ちをお聞かせください。
高畑:オーディションの会場はスタジオでやることが多いのですが、『オリバー!』では舞台上だったんです。舞台で歌うと声が響くので、気持ちよく歌えました。舞台に立って改めて「僕はこの場所が好きなんだな」って実感しました。お母さんから「受かったよ」って教えてもらったときは、飛び上がるほどうれしかったです!
越永:オーディションのときはセリフを失敗してしまって、ちょっと落ち込みました。受かったことを知ったときは、うれしくて気付いたら泣いてました。
小林:僕は去年、『エリザベート』という作品に出る予定でしたが中止になってしまったので、一年間パワーを溜めていました。オーディションでは久しぶりにマスクを外して大きな舞台で歌えたことが気持ちよかったです。受かったと聞いたときは、「やったー!」って叫びました。
エバンズ:習い事のバレエに行っている日に受かった知らせを聞いたのですが、「今日合格の連絡がくるかも……」とずっとそわそわしていて、その日はバレエに集中できなくて怒られました(笑)。でも受かったと聞いてからは、一気に気持ちが入れ替わりました。
――お稽古をしていく中で、好きになったシーンはありますか?
小林:「何でもやるよ」と「愛はどこに?」という曲の場面が好きです。「何でもやるよ」は、みんなで馬車を作ったりして、すごくたのしいシーンなんです。
越永:僕も「愛はどこに?」が好きです。オリバーが、「愛はどこにあるんだろう?」と思いながら歌う姿にグッときます。
高畑:「信じてみなよ」という場面は、大人も子供もキャストが勢ぞろいで、みんなで歌っているとハモリパートがすごくきれいなんです。「愛はどこに?」では、オリバーが初めて自分の気持ちを言葉にするシーンなので、胸がジ――ンとします。
エバンズ:僕のお父さんはイギリス人なのですが、イギリスでは『オリバー!』を知らない人はいないくらい有名な作品で、その中でも「愛はどこに?」は一番知られている曲です。オリバーが何を求めているのかが表れているナンバーになっていて、歌うととても気持ちがいいところも好きです。「信じてみなよ」は、大人も子供もたくさん出てくる場面で、みんなが街の人になりきっていて、19世紀のロンドンにタイムワープしたような気持ちになれる、たのしい場面になっています。
――歌唱披露でも歌われていた「愛はどこに?」は、やはり皆さんお好きな曲なんですね。本番でも注目したいと思います!では、ご自身とオリバー、「ここが似てるな」って感じるところはありますか?
エバンズ:だまされやすいところかな(笑)。あとは、明るく元気なところが似てると思います!
高畑:僕は、世間知らずで素直なところかなあ。
越永:ドジで心配性なところが似てると思う!
――4人が集まると、どんな話で盛り上がるんですか?
小林:ダンスかなあ。振り付けのわからない部分を確認をしあったり、みんなでわいわいがやがや始まるよね。というのも、僕たち……。
全員:ダンスが苦手なんです…!
――ダンスはみんなにとって課題?
エバンズ:みんな苦手だから、一緒に同じところを踊って練習していると、ドジャー役のみんなに笑われちゃったりするよね。
高畑:ドジャーのみんなはダンスが上手いから、教えてもらったりしてるんだよね。頼りになる存在です!
――歌の方はどうですか?
小林:歌はみんな大好きだよね。
高畑:オリバーは主人公だから曲も多いんだよね。歌好きな人手ぇ挙げて!
全員:はいっ!!
――歌唱披露でも、皆さんの澄んだ歌声がとても印象的で、今後のご活躍もたのしみになりました!これからやってみたい役、出演してみたい作品などはありますか?
小林:僕は、子どものときに演じた役の大人版をいつかやってみたいです。たとえば、『フランケンシュタイン』ではビクターの少年役を演じたので、大人のビクターを演じたり、『エリザベート』では少年ルドルフから青年ルドルフになったり……。
越永:僕は『オリバー!』に出てくる、ビル・サイクスをやってみたいな。あと、『キンキーブーツ』のローラ!
高畑:いつか『ライオンキング』のシンバをやってみたいです。『キンキーブーツ』ではヤングローラを演じていたので、大人のローラもやりたいです!
越永:僕、ローラもだけど、ブーツ屋のチャーリーもやりたいな。
――いつかお二人のローラとチャーリーの共演が実現するかもしれないですね。
エバンズ:僕は、めちゃくちゃ変なキャラクターもやってみたいし、ヒーローも、悪役も、とにかくいろんなタイプの役を演じてみたいです。
――それでは最後に、たのしみにしているお客さまへメッセージをお願いします!
高畑:今、世の中が暗い状況ですが、『オリバー!』という作品で観た方の心に灯りをともせるようになりたいです。オリバーも、作品の中で諦めずに頑張っているので、現実でも「頑張ろう!」という気持ちになってもらえたらうれしいです。
エバンズ:僕は周りの人に笑顔になってもらえるのが大好きなので、オリバーを上手に演じて、「このミュージカル、とってもたのしかったな」って思って帰っていただけるように頑張りたいと思います!
越永:たのしい曲も多い作品なので、歌やダンスにぜひ注目して観てほしいです!
小林:オリバーという役を、喜怒哀楽豊かに表現したいです。今、世界中が大変な状況ですが、この作品を通して、元気や希望を届けられるように頑張りたいと思います!
取材・文・写真/古内かほ